第70回(2019年)NHK紅白歌合戦~まとめ~

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 このホームページでリアルタイムに紅白について扱うのは12回目、リアルタイムだともう30回近くになるでしょうか。過去の分も含めると通算で50回くらいは見てると思いますが、それを踏まえて考えると今回の紅白歌合戦は相当なハズレ回です。少なくともここ10年くらいの中では間違いなく一番下です。最低視聴率更新という報道もありましたが、私としましてはもっと下がっていても全然不思議ではないと思いました。過去の紅白、賛否両論だろうなぁという回はありましたが、今回みたいに否の方が間違いなく多いだろうと確信できる内容は、正直そう多くはありません。

・司会、およびVTRを多用する演出

 司会については正直ほぼ書くことないです。それでも綾瀬はるかはしっかり存在感を示すことができた、と書くと失礼かもしれませんが、今回ほど司会の腕が試される場面が少ない紅白は記憶にありません。

 とにかく今回ほとんどの曲紹介でVTRを使っていた印象があります。初出場歌手が出てくるとそれを紹介するVTR、変わった企画があると制作風景を追うVTR、スポーツや番組絡みの企画があるとその映像を紹介するVTR…。VTRを使ってない場面はほとんどステージが立て続けの時くらいだったのではないでしょうか。それくらい今回はVTRを多用していました。

 VTRが本当に必要ならば別に構わないですが、今回は司会者の喋りだけで成立する場面でもガンガン使用していた印象がすごくあります。VTRはセット転換の穴埋めや司会者の負担軽減には良いのですが、尺がガッチリ決まっているので時間調整が出来ないのが難点。紅白歌合戦の主役は勿論歌ですが、司会者の軽妙なやり取りも見どころの一つだと思います。技量は問われますが、生放送でうまく立ち回るのも司会の醍醐味ではないでしょうか。そもそもここ10年紅組司会がそれを前提にした選出になっていないのが根本的な問題でもありますが…。上沼恵美子が司会していた時ほどでないにせよ、せめて2000年代前半にアナウンサー同士が司会していた程度の軽妙さは欲しいです。近年なら第66回のイノッチ綾瀬コンビが好例でしょうか。その点では総合司会の内村光良は、3年続けてよく頑張っていると思いますが…。
 ですので、まずここで改善して欲しいのはVTRの使用を減らすこと。そちらの方が色々楽なのかもしれないですが、会場の熱も冷めてしまうので真剣に再考を願いたいです。これに関しては2016年辺りから、紅白に限らずどの番組でも本当に年々酷くなっているので、業界全体として考え直して欲しいです。

・紅白の主役は歌であって、スポーツではない

 アテネ五輪で日本人メダリストが活躍した第55回(2004年)は、NHKで不祥事が重なった事情もあってかなりスポーツ頼りの印象が強かったですが、間違いなく今回はそれより酷かったです。オープニングから顕著で、出場歌手総出のスペシャル映像を作ったここ2年と比べると今回は五輪映像で始まる形。確かに紅白は世相を映す鏡のようなもので、特に2020年東京五輪を考えると多少それ寄りの演出になるのは理解出来ますが、ラグビーW杯の活躍もあってほとんど最初から最後までそれで押し通した感が今回は強すぎました。本当にラグビーが必要だった場面は、「ノーサイド」と後半最初のLittle Glee Monsterのステージくらいで十分なはずです。それに代表選手もノリが良くて協力的なのは大変好感を持てますが、色々仕事をさせ過ぎです。本業で2019年より結果が悪くなったら、間違いなくこの時期の広報活動が原因だと言ってしまいたくなるくらいで…。

 2020年も東京五輪パラリンピック後の紅白なので、当然何人かのメダリストは招待されると思います。そこそこ大きく扱われることも間違いないでしょう。それ自体は一年の出来事を反映する上で問題は全くないのですが、必要以上にそれを出し過ぎないこと。ここ何年かのゴタゴタで、オリンピックに対する好感度はマスコミが思っている以上に相当良くないです。そこは制作側も、一応頭に入れて欲しいところです(色々しがらみがあるのは分かるのですが…)。

・ホール以外のステージの多さ

 今回非常に悪い意味で印象に残ったのは、予告されていない中継演出や事前撮りがあまりにも多かったこと。私のリサーチ不足かも分からないですが、RADWIMPS星野源がNHKホール外でのステージになるとは本番で初めて知りました。YOSHIKISSやカイトも事前撮りのアナウンスはなかったように思います。当然そういう予告があると視聴率も見る方のテンションも下がるのであえてやらなかったのだと思いますが、無しなら無しで詐欺に遭ったような気分になります。勿論特別出演クラスになると出演することが目玉になるので、ステージの場所など二の次にはなりますが…。そもそもの問題として、正式歌手以外の企画ステージが多過ぎることも確かです。

 今年に限らずここ数年の傾向ではあるのですが、果たして無理して目玉を作る必要はあるのでしょうか。そもそも紅白歌合戦に出場歌手として選ばれること自体、輝かしい実績で視聴者にとっても目玉になるはずなのですが…。

・選曲センス

 実は選曲が良かった年自体過去あまりなかったりしますが、それでも今回はものすごく悪かったです。特に気になったのはメドレーの多さとその必然性の無さ、更に言うとメドレーの選曲の悪さ。タイトルのセンスの悪さは以前から指摘していますが、今回はそんな次元の問題ではありません。はっきり言って、退化しています。

 メドレーを選ぶ必然性があるステージは、複数曲の魅力をしっかり残していること。したがって演奏時間は長ければ長いほどいいです。トリのMISIA松田聖子椎名林檎ゆず辺りは問題ないです。冒頭10秒くらいですが演出衣装という点で氷川きよしがギリギリでしょうか。

 したがって演奏時間が長くないのにメドレーにするのは、確実に片方の魅力が死んでしまうので、ダメです。更に言うと、昨年一昨年歌ったばかりの楽曲を選ぶようだと最悪です。特に後者の場合今後の紅白のことを考えていない、とまで言いたくなります。最低でも、懐メロで揃えるかその年の曲で揃えるかにしないといけません。TWICEKing & PrinceDA PUMP辺りはもう二度と繰り返して欲しくない選曲です。Perfumeも「FUSION」のパフォーマンス後だと「ポリリズム」が余計に見えました。

 それにしても、今回1ステージで2曲以上歌った歌手は13組(うち後半11組)ですか…。前回は9組(サザン含む)、その前は5組。メドレーにすれば一見豪華に見えても、実体はそうでもないということは今回本当に口を大にして言いたいです。

・ステージ演出(特に前半)

 出場歌手によってステージの扱いが全然違う、これもまた以前から毎年指摘することですが今回更に酷くなっています。3分以上ある歌手、歌で聴かせるステージに関しては特に文句ないですが、特に前半の演歌陣とJ-POP若手はどうにかならないのでしょうか。場が持たないと勝手に判断して変な演出に走ったり(山内惠介)、挙句の果てにはそれを恒例行事にしたり(水森かおり三山ひろし)、2分を切るような演奏時間にしたり(丘みどりGENERATIONSLiSA)、イントロなどをカットできる限りカットしたり(日向坂46AKB48)、持ち歌を歌わせてもらえなかったり(Hey! Say! JUMP島津亜矢)…。前半に関しては企画も例年以上に詰め込み過ぎで(ディズニー、おしり&企画会議、三津谷ダメ出し、表彰状、チコちゃん、ジャニーズ、キスマイの映像…)、終わってみるとどちらがメインなのか分からない状況でした。視聴率が報道されるのは後半なので基本そっちメインになるのは仕方ないとしても、もう少し前半も本来のステージ中心で作ること出来ないのでしょうか。前回のあくまで歌をメインにする演出、後半ではスポーツメインの部分以外ほぼ出来ていましたが、前半はハッキリ言って失格点の内容でした。

・演奏とかセットとか、そもそも台本とか

 数年前は一時生オーケストラがあった記憶ありますが、今回は完全にカラオケだったようです(生演奏のステージ除いて)。これもVTRと共通しますが、時間の尺が読みやすい代わりにその場でのアドリブが効かないわけです。例えば少しテンポを早めて演奏したり、状況次第ではアウトロを少しカットしたり。臨場感もそうなのですが、生放送ならではの醍醐味を自ら欠いているような気がしてなりません。ハッキリ言いますが、今回その点で一番紅白らしかったのはNHKホールではなく、スタジオから中継されたおげんさんといっしょのコーナーでした。

 台本もそうなのですが、何と言いますか年々制作側に余裕がなくなっているような印象もあります。あとはセット、大掛かりになって映像技術も進歩して演出の幅が増えるのは結構なことですが、その分転換などで時間をかけ過ぎていて、技術も進歩し過ぎたことで逆にリアル感が失われている印象もありました。リアル感でいうと、AI美空ひばりはまさにそんな状況でした。とりあえずいくらCGが素晴らしくても、ホールの風景とテレビの映像に、ズレがあるのは良くないと思います。

 

・テロップ

 五輪前ということで、「TOKYO2020・コレが楽しみ」なんていうテロップもありました。それを聞くのは良いのですが、完全にソロ歌手に集中しています。グループ歌手に関しては嵐の数人にあった程度でしょうか。なんだかソロ歌手重視になってしまっているといいますか、非常に不平等な気がしました。せめてグループにはボーカルなりリーダーなり1人に聞くべきではないかと思います。

・今回良かったところ

 というわけで苦言だらけの内容ですが、良かったところもあります。まずは何と言っても後半ラスト4ステージ、特に紅組はMISIAを選んだという人選も良く、ステージも含めてメッセージ性と未来への希望を感じさせる内容で大変素晴らしかったです。トリ前の氷川きよし松田聖子も良かったですね。氷川さんは、2019年にやってきたことがステージの表現として非常に良い形で出ていました。あとはトップバッターのFoorinは3分以上しっかり時間を取って、出場歌手とホールの観客全員が盛り上がる理想的なステージを見せていました。トップから3組続けてという流れは前回同様ですが、これは次回も継続で問題ないのではないでしょうか。

 次に総合司会、和久田麻由子アナウンサーは今回見事にノーミスで乗り切りました。桑子アナも武田アナも悪い意味で印象に残る場面があったので、そういう意味では久々に頼れる理想的な進行役が登場したという印象です。次回も続投を望みます。

 あとはどの紅白でもそうですが、余計な演出・応援なしでもステージを成立させられる歌手のステージはやはり素晴らしいですね。三浦大知Superfly辺りはその典型だと思います。どちらかと言うとKing GnuOfficial髭男dism菅田将暉といった初出場にそれが目立ちました。そういう意味では、歌手選出は良かったということになります。

 

・最後に

 前回のまとめで、「前年の紅白の内容が優れていると翌年大きく視聴率が下がったり、内容が悪くなったりするケースが多いです」と書きましたが、結果的にはまさにその通りの内容になりました。色々と書きましたが、結論を言うと良い歌番組を見せて欲しい、これに尽きます。2019年はヒット曲がやや不足していたとともに、そもそもリリースラインナップの時点で何を歌わせるのが良いか悩ましい状況の歌手もいました。したがって例年より選曲しにくかったとは思いますが、それを加味してもあんまりな内容でした。2020年は嵐の活動休止前ラスト、東京五輪を受けてという明確なテーマがありますが、とにかく押しつけがましくせずにいかにうまいこと魅せるか。更に言うと、2021年はNHKホール工事のため東京国際フォーラムでの開催が決定しています。

 紅白歌合戦は、おそらく今年来年辺りまた大がかりな変革期に入ることになると思います。それは、出場歌手選考だけでなく紅白対決というコンセプトや男女で分ける組み合わせも含めた話になる可能性もあります。今年の紅白、さらにはこの先の紅白がどうなっていくのか。自分が生きている限りは、出来る限り見守っていきたいです。

 

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