2017.11.18 SHISHAMOワンマンツアー2017秋「奇跡なんて起きないと言ったあの娘も、いつか誰かととびきりロマンチックな恋をする」 in Zepp Osaka Bayside

ライブレポ

 SHISHAMOは春ツアーだけでなく秋ツアーも毎年恒例、ここ2年はZepp規模の会場を回る形になっています。今春は神戸のワールド記念ホール、2年前は大阪城野音で彼女たちのステージを見ましたが、秋にZeppで見るのは今回が初めてです。初めてといえば、今回の会場はZepp Osaka Bayside。今年2月に出来たばかりのライブハウスはZeppクラスでも一番大きなハコで、2800近いキャパは府内で一番大きいホールと同等もしくはそれ以上の規模。個人的には例年になく大阪のライブハウス初来場が多くなった年ですが、ここにもようやく行くことが出来ました。そして何より、11月16日に行われた記者会見以降初めて行われるライブが今日のステージ。こういったタイミングでワンマンライブに出くわすのは当然初めてで、今後もそうそうあるとは思えません。チケットを購入した8月には、今日まさにその日になるとは想像していなかったですが…。早速レポしていきます。

 先述した通り、Zepp Osaka Baysideに足を運んだのは今回が初めて。最寄り駅の桜島駅で降りたのは4年前のサマソニ大阪以来でかなり久々。1時間くらい並んだ思い出がある舞洲行きのシャトルバスが停まっていた駐車場は、いつの間にか工事で閉鎖されていました。桜島から会場で歩く道は、線路沿いでUSJに向かう道。その途中に最近出来たらしいセブンイレブンは人でいっぱい。イベントのたびに大忙しなのは間違いなさそうでした。ただ女子の割合が男子より高い今日のライブ、トイレの列が凄いことになっていましたが…。会場はZeppなので、内装に関しては言うに及ばず。ただ自分が行ったことのあるZeppと比べると、新しくて綺麗という印象はやはり強かったです。

 3000近いキャパですが、今日は見事にSOLD OUT。やや前の方に陣取りましたが、やはりなかなかの圧縮具合でした。周りを見渡すと、やはり自分より若い人が中心です。島のステージを作ったりすることもなく、シンプルなメインステージのみで可能な限り入れています。これで早々と完売ですから、大したものです。

 5分ほど遅れて開演、3人が登場して大歓声。”かわいい”という声は、特にギターの松岡彩ちゃんに挙がっていました。デニスサロペットをいつも着こなしている彼女ですが今日はツナギ姿。あとの2人はTシャツ+Gジャンで、ボーカル・宮崎朝子ちゃんはadidasの黒。ドラム・吉川美冴貴ちゃんは緑のTシャツでした。まだ発表されていない新曲をまずは披露。歌詞・演奏ともに全く無駄を感じさせないラブソングは見事なもので、来年の今頃は定番曲として演奏されて欲しいと感じました。「好き好き!」「笑顔のおまじない」を経て、最初のMCに入ります。

 非常に長いツアータイトルを朝子さんがカンペを見つつ読み上げて、最初の挨拶を終えると方々から”おめでとう!”の声が複数。その声を一旦は制しつつ、自分たちの言葉で発表したいということで、代表して朝子さんが話します。

 ”12月31日、私たちSHISHAMOは、第68回NHK紅白歌合戦に出場することになりました!”

 鳴り止まない大拍手が会場内に響き渡ります。「明日も」が発表されて以来、常々今年の紅白に選ばれて欲しいとは思っていましたが、本当に発表されるとものすごく嬉しいものです。それと同時に、信じられないという気持ちもまだ少しだけあったりします。記者会見は大変緊張していたようで、その緊張は今もまだ残っているようでした。さすがにあの場でTシャツというわけにはいかないということであの服装、”吉川のジャケットが合わない”という朝子さんの発言には即座に”おいおいおい!”とツッコミを入れていました。


 直後にいつも通りの属性調査。中学生は男子がほとんどいないようで、”まだ中学生男子にSHISHAMOは早いかー(朝子)”。高校生は女子と比べると男子のレスポンスがもう少し小さめ、朝子さんのドSっぷりがここぞとばかりに発揮されていました。専門学校は勿論女子メイン、男子で目の前にいた子は”自動車?”と尋ねて大当たり。”自動車顔だもん(朝子)”とは言っていましたが。メインはやはり大学生、ここまでは女性メインですが、私含めた大人はどう考えても男性ばかりでした。ちなみに小学生・幼稚園の子も親同伴でチラホラいた模様。話すたびに表情をほころばせる3人の笑顔がとても可愛かったです。

 ライブに戻って、続いて披露されるのは「きっとあの漫画のせい」。すっかり定番曲になっています。「終わり」を経て演奏されるのは今年8月発売の「BYE BYE」ですが、これが凄まじいパフォーマンスでした。

 演奏で魅せる楽曲は各バンドに存在しているかと思いますが、この曲は特に群を抜いていると思います。ステージ少し前に移動して披露される彩ちゃんのベースは、他のバンドでも滅多に見られないようなカッコ良さでした。もう完全に、彩ちゃんはチャットモンチーの福岡晃子とタメを張ってもいいくらいのプレイヤーになっていると言っても過言ではないのかもしれません。ものすごいパフォーマンスです。

 3曲演奏後のMCも紅白話。出場を知ったのは記者会見の日の朝、起きたのは午前5時。吉川さんは友達がほとんどいない、朝子さんは更に輪をかけて友達がいないようですが、そんな2人でも3年ぶりとかいう単位でLINEから祝福メールが来たと話しています。更に朝子さんは、前日大阪のホテルでのエピソードを披露。マッサージの人にそれとなく”大晦日どう過ごしてます?”と聞いたところ毎年紅白歌合戦を見ていると答えたのですが、脇に置いていたギターに気づいたその人からはバックバンドで出ると思われたのだとか。”大晦日どこにいるか探しますねー”との答え、たださすがに自分から出場歌手ですよとは言えなかった模様。そういう意味では、まだまだSHISHAMOも伸びる余地がおおいにあると感じた話でした。

 今回は最近演奏されていない昔の曲もやります、とのこと。そこで次に演奏されたのは「花」「デートプラン」「深夜のラジオ」「行きたくない」。『SHISHAMO』『SHISHAMO 2』期の楽曲が並びます。今のようにブレイクする前の曲ですが、観察眼は当時からお見事。加えて抜群の声量ではっきりと歌う朝子さんはボーカリストとしても既に超一流の域に達しています。聴いたことのない人も一定数いたと思われますが、概ね初めてでも楽しめた内容だったように感じました。

 彩ちゃんメインのMCはユニバの思い出話。大阪出身ですが、会場がユニバに近いことに思いのほか驚いていた様子。今でも3回行けば元を取れるという年間パスポートを購入して行っているみたいです。そんな彼女が初めて行ったのは小学生の時、保護者1人と自分含めた友達4人。その時は1人はぐれて、トイレに行っている間に自分もはぐれて結局一つもアトラクションを楽しめなかったそうです。迷子に慣れていない子どもだったので、泣いてしまったのだとか。勿論今ではそんなことなく楽しめるようになったという一言には、当たり前だろという朝子さんのツッコミが入りました。

 ちなみにユニバーサル・スタジオ・ジャパンの呼称は関東だとUSJ、関西だとユニバ。ただ朝子さんは彩さんの影響ですっかりユニバで定着したために、他と話す時に戸惑われるのだそうです。彩ちゃんは以前見た時あまり喋りが上手くなくて、それをかわいさでカバーしている印象だったのですが、いつの間にやらかわいさそのままに喋りが上手くなっています。話の内容もすごくまとまっていて、こうやって字にもかなり起こしやすくなっています。

 「笑顔のとなり」、しんみりと聴かせる「夏の恋人」を経て新しいシングルの宣伝。両者とも新垣結衣と瑛太が主演する映画『ミックス。』のために描き下ろした楽曲のようで、そこから2曲「サボテン」「ほら、笑ってる」を演奏。特段盛り上がる楽曲ではなかったですが、それでも前の方は結構な圧縮具合。オーディエンスの声掛けで体調不良の人が出たということで、これらの楽曲を演奏後少し進行を中断。3人とも心配そうに、そしてみんなにも無理しないでくださいね、と優しく声を掛けます。

 続いてはすっかり恒例となった「吉川美冴貴の本当にあった○○な話」、訳すると自虐漫談のコーナー。紅白の記者会見後ドラムの練習した帰りに、いつも使ってるのはサラリーマンが多い駅。ですがおそらく気づかれたい声をかけられたいという一心で?普段使わない学生など若い人が多い駅を使って帰ることにしたとのこと。通学帰りでごった返していたホームですが、やはりある程度オチは想像できるもので既に笑い声がチラホラ。誰ひとり気づかれることなくいつも通りに帰ったようです。プレイは文句なしに素晴らしいのですが、以前もネットの女性ドラマー総選挙で名前が出なかったり今日もこの人だけ”かわいい”と声を掛けられることが群を抜いて少なかったりで、ある意味相変わらずの安定感でした。

 というわけでライブはここから終盤戦。もう怒涛のセットリストです。「僕に彼女ができたんだ」「量産型彼氏」「君とゲレンデ」「タオル」「君と夏フェス」。「量産型彼氏」は先ほど自虐トークしていた吉川さん最大の見せ場で、今回も見事な演奏でした。「君とゲレンデ」はこれからの時期定番ですが、この時期SHISHAMOを見るのが初めてという関係上個人的にはようやく初見のパフォーマンスでした。「タオル」はいつも通り丁寧なレクチャーで、1枚1000円2枚2000円からぐるぐるぐるぐる。私は面白くて良いアイデアだと思っているのですが、出たての頃CDJで披露した時はとある有名な音楽ライターに”さすがに引いた”と書かれています。そのせいではないと思いますが、これ以降ロキノン主催のフェスには一切出ていません。それ以外のフェスでは完全にお馴染みで、今年も年末は28日RADIO CRAZYに出演するのですが…。

 本編ラストを飾るのはやはりこの曲、「明日も」。紙テープ演出も施されていました。おそらく大晦日NHKホールで歌うのもこの曲なんだろうと思います。笑顔で応援する人、楽曲の良さに涙する人、表情は人それぞれですが噛み締めながら聴いているのは同じでしょうか。アンコールのMCでは、吉川さんがみんなの表情を見ながらこの曲を演奏していると話していました。個人的に生きてきた中で一番思い入れが強い歌詞は中学生の時に知ったMr.Children「終わりなき旅」ですが、同じことをこの曲から感じた中高生はきっといっぱいいるのだろうと推測。そして、そんな中高生が大人になってもSHISHAMOの音楽は同じように愛されて欲しいと、しみじみと感じた瞬間でした。

 アンコールは初期から演奏されている2曲、「君との事」「恋する」。それぞれの曲の間に来年関西で開催されるワンマンライブの告知と3人が挨拶。楽しかった、特に大阪はファンが積極的ですごくやりやすいということを話していました。今日は朝子さんが喋っているのに勝手に話し掛ける人も多くて、そのたびにドSな返しを展開していたりしましたが、それもまた愛情の表れ。逆に言うと、そういう人たちが多いからこそ体調不良が出た際に助け合ってスムーズに救うことが出来たわけで…。

 というわけで、まだ2017年も1ヶ月になりますが今年足を運ぶワンマンはこれが最後になります。12月に興味あるライブもいくつかあるのですが、これだけ素晴らしいライブを見せられるともうここで締めた方が綺麗かな…と。ただRADIO CRAZYに関しては少なくとも28日は行く予定にしています。それにしても紅白出場という価値は冷静に考えれば考える程大きく、ガールズバンドでは1980年代のシュガー、10代だったWhiteberryとZONE、再結成後のプリンセスプリンセスしかいません。SHOW-YAやGO-BANG’S、チャットモンチーやSCANDALでさえも達成していない快挙なわけです。音楽性含めて考えると、本当に史上初の事例と言い切ってもいいかもしれません。ものすごいことです。

 SHISHAMOに関して言えば、来年も間違いなく見に行くことになります。差し当たりツアー初日の3月オリックス劇場は確定で、あとは神戸・京都・奈良のうちどこか1ヶ所を予定しています。あとは7月28日に行われる川崎・等々力陸上競技場のワンマン。これに関しては現状迷っています。SHISHAMOといえば川崎で結成されたバンド、たびたび川崎フロンターレの試合にも行っているようで地元愛も半端ないです。2010年代を代表する、もっと言うと21世紀を代表するバンドとしてこれからも応援していきたいです。

 

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