【今週の総合ソング・チャート“JAPAN HOT100”】
1位 Aimer
2位 SEVENTEEN
3位 モーニング娘。’21
4位 King Gnu
5位 優里
6位 宇多田ヒカル
7位 優里
8位 BTS
9位 ラストアイドル
10位 back numberhttps://t.co/ynTVsdWD3S pic.twitter.com/CVMZj4VDCV— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) December 15, 2021
『鬼滅の刃』タイアップのAimer「残響散歌」が1位を獲得。CDセールスはありませんがダウンロード・ストリーミングで堂々の首位。ポイント数から推測するとダウンロードは2位の約3倍でブッチギリです。ストリーミングはそこまで差はありませんが、そもそも初週で1位になることが凄いことです。当面の間はこの曲がビルボードを牽引しそうな雰囲気で、年間ランキングでも間違いなく上位に入るのではないかと思われます。
SEVENTEEN「あいのちから」は初週CDセールスの高さで2位。25万枚で7400ptほどの数字です。ラジオオンエア3位、ストリーミングも70位なので悪くありません。15万枚ほど売り上げたモーニング娘。’21「Teenage Solution」は3位、ストリーミング未解禁ですがダウンロード9位にリッピング4位、他アイドルと比べて必ずしもCDセールス一辺倒とは言えない結果になっています(占める割合は80%なので十分高いですが)。逆にダウンロード2位のKing Gnu「一途」はCD未発売、ストリーミングやYoutubeの伸びはありますが総合では4位止まりでした。
CDセールスで見ると3位のラストアイドル「Break a leg!」は9万枚売上で総合9位、こちらはほぼポイントの100%近くをセールスが占める状況です。8.8万枚で5400pt、これが一つの目安になりそうです。約4万枚売り上げた新人男性地下アイドルグループ・パピーハイブリッド「全肯定ヲタクでいいじゃんか!」はラストアイドル以上にCDセールスに偏っていて、CHART insightのグラフは綺麗に真っ黄色でした。圏外で一応ランクインしているTwitter以外計上ゼロ、これでも総合29位には入ります。3.9万枚で3000pt、といったところです。したがってCDセールスだけでビルボード総合10位以内に入るには、8万枚くらい売り上げれば達成可能という計算になります。もちろんポイントと順位は週によって変わるので一概には言えないですが…。なおCD7位の愛乙女☆DOLL「Passion for Life」は総合92位、この辺りになるとCDセールスで高い数字を記録してもほぼアピールにならないと考えて良さそうです。
ロングセラー組は優里「ベテルギウス」が総合5位、ストリーミングだけでなくダウンロードも5位で稼いでいます。ここ最近テレビ番組での披露も多いので、そこで相乗効果が生まれている可能性もありそうです。宇多田ヒカル「君に夢中」が総合6位、今週からYoutube集計が加わりましたが少しストリーミングで差をつけられた形です。そのストリーミング3位のマカロニえんぴつ「なんでもないよ、」はダウンロードなど他の数字が伸びず総合11位、一方back number「水平線」はカラオケ2位がモノを言って総合10位に入りました。「ドライフラワー」や「Butter」も相変わらず強く、いまだにダウンロードやYoutubeで上位に入ってます。BTS「Butter」はここにきてラジオ2位に躍進。基本新譜のオンエアが多くなるはずのランキングで、大変珍しい現象が起こっています。
時期的な需要もあって、クリスマスソングがいくつかランクインしています。「クリスマスソング」「恋人たちのクリスマス」「silent」「白い恋人達」、これらはもう毎年の風物詩のような物ですね。
1位 Aimer「残響散歌」
ひねくれたリズムで奏でられるイントロの時点で完成度が高い楽曲です。『鬼滅の刃』タイアップは極端な話どういう楽曲でも絶対大ヒットが保証されていますが、これだけ大きな作品だと平凡・安直な内容ならば叩かれてその先の保証がしにくくなる面もあります。それゆえに制作側も相当気合いと覚悟を持って今回の楽曲に臨んだことが、開始数秒の時点でひしひしと伝わります。
「カタオモイ」「蝶々結び」などバラードのイメージも強いAimerさんですが、今年のアルバム『Walpurgis』収録曲で核になっているシングル曲「STAND-ALONE」「SPARK-AGAIN」は激しいバンドサウンドです。今作はいわばその流れの延長線上にある楽曲とも捉えることが出来ますが、それらと比べても疾走感が半端ない作品です。3分ちょっとの短さも、一気に駆け抜けていくような雰囲気をよく表しているように思えます。ものすごくカッコ良い楽曲で、『鬼滅の刃』抜きでも文句無しの名曲と言える水準に十分達しています。
それを表現したMVも素晴らしいですが、全力で走る女子高生よりも印象的だったのは足場の上で佇むAimerさんを横から捉えたショット。オーラが凄いです。彼女が歌う楽曲のMVは過去に何作も見ていますが、ここまで本人の姿が印象に残ったのは間違いなく初めてです(むしろ本人が映っているイメージがほぼありません)。そういう意味でも今回のMVは、『鬼滅の刃 遊郭編』同様あるいはそれ以上に必見と言って良い作品ではないでしょうか。
6位 宇多田ヒカル「君に夢中」
TBS系ドラマ『最愛』主題歌。既に配信は開始されていますが、YoutubeのMV公開は自身のデビュー日に合わせる形になりました。
彼女がブレイクした1999年初めにはR&B系の歌姫と呼ばれていましたが、そのジャンル特有の心地良さがAメロ中心によく出ています。低音と高音で声質を変え、細かな感情が秀逸に表現されている彼女の歌声や歌詞も魅力的ですが、個人的には低音が響き渡るサウンドが今回の楽曲の肝のように感じました。音質の良いステレオで聴くとより映えるタイプのナンバーだと思います。コンサートで特に聴きたい曲でもありますね。
翌年2月にはアルバム『BADモード』発売も決定していて、そちらも非常に楽しみです。ここ数年アルバムからの盛り上がりがやや欠けている印象もありますが、来年は今のところのリリースラインナップを見る限りかなり盛り上がりそうな予感がしています。
60位 サカナクション「プラトー」
現在サンテFXの目薬のCMでオンエアされている楽曲です。12月3日に配信開始、MVはライブビデオという形でYoutube公開となりました。オンラインライブを経て現在全国ツアー開催中、こちらも来年3月にコンセプト・アルバム『アダプト』の発売が予定されています。
ギターの轟音が響き渡るイントロは貫禄の一言。そこから細かく刻まれるドラムの音、中盤以降はベースが見せ場となり、キーボードの音も心地よく響き渡ります。テレビの音楽番組やヒットチャートでは今年特にバンドが目立たない一年になりましたが、この曲はバンドサウンドの神髄を一から十まで感じられる楽曲になっています。演出面や発想の凄さが高く評価されているサカナクションですが、根本を言うとやはり5人のメンバーが奏でる音楽のセッションの素晴らしさ。それをあらためて再認識出来るナンバーです。
ここ2年で音楽業界は様々な打撃を受けましたが、もっとも深刻だったのはやはりロックを筆頭としたバンドではないかと思います。ロックフェスが次々と中止になったことは、単純な現場減少には留まらない大きな問題で、場合によっては将来のバンド人口の減少にも繋がりかねません。そういう意味ではサカナクションの役割は今後さらに大きくなりそうですが、とは言え期待を裏切らないどころか絶対にそれ以上のパフォーマンスをするのもサカナクションの大きな魅力。今作もそうですが、来年の作品やライブも非常に期待したいです。
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