今週のビルボードチャート~2/23(YOASOBI、[Alexandros]、ずっと真夜中でいいのに。他)

今週のチャート総評

 Aimer「残響散歌」が6週連続1位、勢いが全く止まりません。DL, ST, 動画の配信3要素はいずれも1位で完全制覇。カラオケまで4位に上昇しました。「ドライフラワー」の連続1位をストップさせるのはこの曲かもしれません。その優里は「ベテルギウス」が2位に再上昇、ただポイントの伸びは「レオ」「シャッター」「ミズキリ」含めて一旦ストップの様子。米津玄師「POP SONG」は28位止まりのストリーミングが伸びず、大きくポイントを下げて3位止まりでした。そのためCDセールス1位(約7万枚)の≠ME「チョコレートメランコリー」が総合4位、先週のチャートだと8位相当のポイントなので順位が押し上げられる結果になっています。

 ロングセラーで今週数字が伸びたのはSaucy Dog「シンデレラボーイ」。先週より1000pt近く伸びています。75%近い比率を占めるストリーミングが8位→4位、動画再生も18位→5位で大きく順位を上げました。なお本日テレ東音楽祭に出演、このパフォーマンスきっかけでさらに数字が伸びる可能性も十分ありそうです。また、2017年5月リリースの代表曲「いつか」も75位→46位で大きく順位アップ、さらに「あぁ、もう。」「結」が100位圏内に入っています。

 11位にYOASOBI「ミスター」が初登場。先週の水曜配信開始でダウンロード2位のスタートとなっています。ストリーミングは46位ですが、こちらは全期間集計される来週以降がキーになります。原作は直木賞受賞作家の島本理生が担当、これが収録されている書籍も2/16に発売されています。

 13位に山下智久「Face To Face」が初登場。ジャニーズ事務所退所後初のCDシングルで、約4万枚の売上を記録してセールス2位。配信もされていますが、ポイントはCD売上が80%近くを占める形です。

 21位はK-POPのボーイズグループ・TREASURE「JIKJIN」。既にYoutubeでは公開1週間で3500万再生を達成、ストリーミングも19位となっています。33位は映画『グッバイ、ドン・グリーズ!』主題歌の[Alexandros]「Rock The World」、「日々、織々」との両A面CDとして発売されました。ただポイントはCD売上よりラジオオンエア数(2位)の方が多くを占める形になっています。35位に初登場のJO1「Dreamer」は配信リリース、ダウンロード16位ですがポイント比率は35位のストリーミングが主体となっています。

 今週のアルバム1位はずっと真夜中でいいのに。『伸び仕草懲りて暇乞い』でしたが、このリード曲「袖のキルト」が50位にランクイン。間違いなく注目作のはずですが、意外にもラジオオンエアは20位圏外でした。その他67位にM!LK「HIKARI」も初登場。

今週のピックアップ曲

≠ME「チョコレートメランコリー」

 バレンタインソングも昭和末期以降増えましたが、今年の新曲は指原莉乃プロデュースの≠MEで決まりでしょうか。平井大も「バレンタインソング」を1月に発表していて、そちらの支持も強そうですが…。一般的に有名なのはやはり「チョコレイト・ディスコ」、さすがに1986年の「バレンタイン・キッス」は少なくなりつつあるかと思いましたが、2021年の女子高生に聞いたLINE MUSIC調査ではいまだにそれが1位でした。

 楽曲は中世ヨーロッパ色もあるややシリアスなテイストが強い雰囲気で、王道路線とは違います。ハロプロ色もやや入っている印象で、そこはプロデューサーの好みが加味されている可能性もありそうです。かわいいルックスと歌声はアイドルファン的に十二分の魅力ですが、パフォーマンスや歌声の迫力・凄味は多くありません。そこがうるさ型の楽曲派や圧倒的多数のアイドルファン以外のリスナーにどう響くか、でしょうか。

YOASOBI「ミスター」

 昨年発表された新曲がかなりの数だったので、まだ2月ですが久々のリリースという印象も少しだけあります。MVはまだ未制作。基盤の右上がハートに見えるのは気のせいでしょうか。

 楽曲はざっと言うと、短編小説のストーリーを3分間でうまくまとめたという内容です。1番のBメロで前触れ無く転調する部分が、起承転結の「承」を象徴しているように感じました。2番で少しずつコードを下げていくベースラインも良く、全体的に大変丁寧に作られていることがよく分かる作品です。歌声も勿論素晴らしいですが、トラックだけに耳を傾けてもドラマチックな進行で聴き応え抜群。今年もYOASOBIの勢いは変わらず続きそうです。

TREASURE「JIKJIN」

 スピード感のある映像と、それによく合ったトラック。迫力抜群の振付と、これによくマッチしているメンバーの歌声。今のK-POPにおける王道の完成度の高さを象徴している作品だと思います。理屈抜きにカッコ良い、とファンでない立場からでも素直に感じられる楽曲ではないでしょうか。メロディーや技巧で凄さを伝えるのも一つの方法ですが、マンパワーで問答無用に圧倒させることが出来るのはやはり強いです。

[Alexandros]「Rock The World」


 ロックフェス常連のバンドはここ2年ほどコロナ渦で現場が激減、そのため名前を聞く機会を減らした面々も増えましたが、彼らは「閃光」「風になって」が大評判でむしろ活躍の場を広げた印象もあります。陣営の作戦の上手さは勿論ありますが、やはり根本としてロックバンドの中でも屈指の演奏力・楽曲が一番の要因であることは疑いようのない事実です。

 冒頭から洋平さんの歌声が美しく、白井さんのギター演奏も冴え渡っています。J-ROCKの雄的存在ですが、ここ数年の楽曲と同様この曲もJ-POP的要素が強く、素直ながらも技巧を感じさせるメロディーが絶品の出来に仕上がっています。ヒット曲で使われる音の種類が多様化する中、楽器4つでこれだけの世界を表現出来ることはやはり凄いことです。バンドサウンドの素晴らしさをあらためて感じることが出来る楽曲で、個人的にも強くお薦めしたい作品です。

ずっと真夜中でいいのに。「袖のキルト」

 ついつい体を動かしたくなるリズムと、そのテンポによく合ったメロディーが心地良いです。サビの高音がかなり高い印象で、そういう点では平歌とのギャップも聴きどころになります。良い曲です。アルバムを聴いてもらうという意味でも、上々のプロモーションと言えるのではないでしょうか。

 

 

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