2018.1.21 PASSPO☆ 歌って踊って奏でるツアー 2017→2018 in 神戸VARIT.

ライブレポ

 2009年結成なので、いよいよ今年10年目を迎える“空と旅”をテーマに据えた日本の女性7人組ガールズロックユニット・PASSPO☆。個人的にも初めて見た2013年TOKYO IDOL FESTIVAL以来、ワンマンは2014年から3年間空きましたがTIFを含めると6年連続見る形になっています。言うまでもなく彼女たちは本来ダンス主体のパフォーマンスですが、2014年の「Perfect Sky」以来バンドスタイルでも活動を始めています。今回2017年11月からの「歌って踊って奏でるツアー」は、通算2度目となるバンド形式とダンス形式両方を2部で披露するという内容。BAND PASSPO☆のステージは初見、ダンスステージは過去に何度も見ていますがバンドとの比較もしたかったので両方参加。そういえばPASSPO☆に限らず2回公演の両方に足を運ぶのは今回が初となる。BAND PASSPO☆のステージとダンス形式のPASSPO☆のステージ、当記事では両方書いていきます。ではどうぞ。

 神戸VARIT.は比較的足を運ぶ機会が多いライブハウスですが、よく考えると昨年は1度も足を運ぶことなく。ベビレで2回、Negiccoの対バンと藍井エイルでも行っていますが、残念ながら集客はそれらと比較すると少なく。さすがにガラガラということはなかったですが、2階未開放でも1階はそこまでギュウギュウではありませんでした。1部も2部も同じくらいの人数で、2部の場合一昨日に買った自分が最後尾近くだったので約150人ほど。ですがパッセンの盛り上がりはそれを全く感じさせることなく、特に2部は4年前に行ったumeda AKASOの時以上に高いテンションだったように思いました。

 さて第1部はバンド形式のライブ。まず各々の演奏とパート割りを説明していくことにしましょう。


 上の動画は2014年、BAND PASSPO☆最初の曲となった「Perfect Sky」。当時は奥仲麻琴槙田紗子も所属している9人体制。今回のライブでも、後述するMC直後に生演奏で披露していました。

 メインボーカルを務めるのは黄色担当・森詩織。圧倒的な声量と縦横無尽な動きでグループを牽引しています。彼女は2013年TIFで初めて見た時に、その歌唱力に驚愕した記憶があります。おそらく彼女がいなければ、今日までPASSPO☆のフライトに足を運ぶことはなかったでしょう。
 リードギターはショッキングピンク担当・安斉奈緒美。ソロで演奏する美味しい箇所も複数担当しています。ギターの腕前に関してはもう少しといったところですが、姿は大変カッコよくて美しいです。2部も含めて、当日はちょっとマイクの調子が良くなかった印象もありました。
 リズムギターは青色担当・藤本有紀美。上のMVではDJ担当ですが、さこてぃ卒業によってパート変更になった形。メンバーで一番の身長かつルックスで、ギターを弾いている姿も美しくて絵になっていました。
 ベースは緑色担当・増井みお。グループ1のかわいい系がベースという例は他のガールズバンドでも多々ありますが、一番背の低い彼女もそれに則った形。見た目とは裏腹にパワフルな歌声もそうですが、ベースの音もよく出ていて、なかなかの腕前でした。
 キーボードは白色担当・根岸愛。言わずと知れたグループのキャプテン。曲によって楽器の前に立ったり、ショルダー状にキーボードを弾きながら歌ったり。もっとも後者はあまり音が出ていなかったような。元々のパート割り時点で歌割りも多く、実質ボーカル兼任と言っても良さそうです。
 ドラムは紫色担当・玉井杏奈。ほとんどの楽器で相当な練習を要したとは思いますが、ドラムはその中でも一番練習が必要な楽器。演奏はもう少し強弱のメリハリがあれば尚良しという印象でしたが、ダンスなど他の仕事も多々ある中フライトで10数曲演奏出来るだけでも相当凄いことと考えて良いと思います。
 最後に橙色・岩村捺未はタンバリン担当。あと”キャンディー太鼓”と呼ばれている太鼓も要所で叩いていました。多少のリズム感は要すると言え、他の楽器担当と比べるとどうなのでしょう。そんな彼女のキャッチフレーズは”ダメ人間のカリスマ”。というわけでこのパート割りにはすごく納得。ちなみにその分歌パートはダンスver.と比べて結構多め、声もなかなか安定で良い味を出しています。盛り上げ役としても良い仕事。この独特の存在感、ゴッドタン辺りに呼ばれると相当光り輝くような気がしてならないのですが、どうでしょうか。

 演奏曲は「キャンディー・ルーム」「Mr.Wednesday」「BABY JUMP~天国への搭乗便~」「Truly」「Party like a Rockstar」「ラブリフレイン」「WING」などなど。14曲くらいありました。アンコールは「ギミギミaction」「Let It Go!!」。なお最年少の玉井杏奈が1月31日に誕生日を迎えるということで、有志のファンがみんなに紫のサイリウムを配って「ギミギミaction」ラストサビで一斉に掲げて点灯するというサプライズがありました。

 この日は幕張メッセでももいろクローバーZ・有安杏果の卒業公演、前日にはアイドルネッサンスの解散発表。アイルネとは一緒にライブをしたことがきっかけでグループLINEも作るほど仲良しのメンバー、名古屋でその報道を聴いた時は大変驚いたそう。今ツアー1部前半MCの題材は時事ネタということだったらしいですが、おそらくその縛りがなくても話していたと思います。PASSPO☆はずっと続けていきたい、目標に向かって走り続けたい、人から言われて解散は絶対したくない、するとしたら全員が納得する形で…と話すあんにゃともりしーが非常に印象的でした。

 バンドとしてはまだまだ成長中といった印象ですがモノには十分なりそうで、年を経るとまた色々変わっていきそうです。セルフプロデュース色を高めたり、メンバー作詞作曲のナンバーが増えたり果てはダンスよりこちらの方がメインになったり…など可能性は十分考えられます。気がつけばSCANDALやSILENT SIRENみたいに、実力派ガールズバンドと呼ばれる日も来るかもしれません。あるいは大手のロックフェス出演も考えられるでしょうか。アイドルとしては”ベテランなんて呼ばないで””しぶといとも言われる”と自らネタにするくらいですが、ガールズバンドとしてはむしろこれから。そういう意味では、今後が大変楽しみになるステージでした。

 第2部はダンス形式。こちらはオフィシャルのTwitterでセットリストも挙がっています。ツアーごとにセトリも大きく変えているようです。

 昨年8月に見た前回ツアーもなかなかの盛り上がりでしたが、今回の盛り上がりは間違いなくそれ以上。メンバーは勿論ですが、パッセンと言われるファンもおおいに場を盛り上げていました。熱狂的なコール、真ん中では時折リフトも起こるほどの熱気。そして今回非常に特徴的だったのは女性ファン。客層は8割以上が男性ですが、なんと少ない方の女性が前列を全て占めるという形。更にアンコールの声出しもその女性ファンたちが進行。モデルの仕事をしているメンバーもいるので他の女性アイドルと比べると若干女性ファンの割合は高いですが、それでもかなり珍しい出来事のようです。

 セットリストに着目すると、今公演は中盤のアコースティックパートを除くとほぼアゲ曲中心。特に『Cinema Trip』に収録されている「NASA!~なんであいつ好きなんだ、嗚呼~」「PlayGround」「Music Navigation」辺りはそれまでの曲と比べても動きが激しく、大変迫力がありました。このダンスの振付一つを取っても、大きな進化を感じさせるPASSPO☆はまだまだ推すに値する素晴らしいグループだとあらためて実感。時折キスシーンまで入る振付、卒業したメンバーを連想させる楽曲も躊躇なく取り入れるセットリスト。このチームワークを見る限り、確かに自ら解散の道を選ぶ気配は全くなさそうでした。チームワークと言えば、ラストであいぽんが歌う直前にマイクを落としたシーンがありました。瞬時にゆっきーがそれに気づき、拾って渡したのも当然ですが、歌い終わった後にわざわざドヤ顔でアピールしてオチをつけるまでに至るのが大変面白く美しかったです。

 というわけで、本来のダンスステージを見るとやはりこの路線で貫いた方がファンも盛り上がっていいのではないかと思ったり。ですがBAND PASSPO☆のステージも当然捨てがたく、この辺りはどちらも一定のレベル以上でライブできるPASSPO☆が凄いという結論になるでしょうか。更に言うと歌に関しても突き抜けて上手いもりしーは別格としてそれ以外も平均的に良くて聴き応えあったり、楽曲も大体が高クオリティー。そうなると必要なのはやはり知名度を広く上げることになるでしょうか。

 勿論ロックフェスに呼んで欲しいのは当然ですが、それに至るまで何が必要なのか。例えばPASSPO☆がバンドもやっていることを知っている人はどれだけいるのでしょうか。意外とみんな濃いキャラクターの持ち主であることはどれだけ知られているのでしょうか。実を言うと私もなちゅやゆっきーのキャラに気づいたのは本当につい最近だったりします。楽曲にしても、クラウンレコード移籍後の楽曲はYouTubeだとフルでアップされていますが、配信では全然見かけません。一般的には、「少女飛行」が突然オリコン1位になったのは知ってるけどそれ以降活動していることをほとんど知らない人も多いのかもしれません。

 メンバーのパフォーマンスが凄いのは6年も見てるので個人的には分かっているのですが、アイルネ解散が象徴している通りそれだけだと限界があるのが現状。プラチナムとクラウンレコードには、今からでも本気でもっとPASSPO☆を売り出して欲しいと切に願うこの頃です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました