2023.5.3 VIVA LA ROCK 2023 in さいたまスーパーアリーナ 1日目

ライブレポ

 2014年初開催以来、ゴールデンウィーク恒例のロックフェスとなったVIVA LA ROCK。3日間開催から2019年以降4日間に拡大、ただ2020年は生憎の状況もあってオンラインのみでした。様々な制限のある中で2021年・2022年も開催されましたが、今年はようやく声出し等解禁。会場外に設置されたVIVA LA GARDENも復活、レイアウトなどの変化はありますが4年前とほぼ同じ状況での開催にまでこぎつけました。

 私も4年前に2日目3日目と参戦(リンク先にレポあり)、出演者の豪華さと快適な環境が印象的でまた足を運びたいと思っていました。2020年の緊急事態宣言以降個人的な状況もあってフェスへの参加は控えていましたが、今年からいよいよ復帰。その第1弾として選ぶには、これ以上ないイベントです。今回は全5日間中、1日目~3日目まで3日間参加。その中で見たステージを、日にちごとに順次レポしていくことにします。

 なお今回はこれまで以上に自分の目線を重視して文章を書いていきます。ステージのおおまかな流れについては公式のPHOTO&REPORT、特に各ステージごとの総括レポート(STAR STAGE, VIVA! STAGE, CAVE STAGE)を見てもらえれば問題ないはずなので、そちらを参照してください。

岡崎体育(VIVA! STAGE)

 2019年8月のROCK IN JAPAN FESTIVAL以来のフェス参戦、個人的トップバッターは岡崎体育になりました。初めて見たのはまだ「MUSIC VIDEO」でバズっていない2015年4月のカミコベ、ユニークな楽曲とパフォーマンスに感銘を受けました。当時からスーアリのワンマンライブ開催が夢だったと話していましたが、2019年6月に実現。それ以前に出演のオファーはあったようですが、メインステージは今回が初出演(自身の夢のため、外のGARDEN STAGEにしてもらったそう)。ちなみに自分が見るのはスーアリ直後に開催されたエビ中フェス以来です。

 ステージに1人で立って盛り上げる姿は以前と同様ですが、心なしか大きくなったように見えました。手にするステージドリンクの中身はオレンジジュース、太り過ぎないかどうかだけが心配です。一通り踊らせた後で(途中おなじみのジャンケンあり)、久々にやると言う「Call on」。ようやくの声出し復活でコール&レスポンスを促しますが、そのコールが常人に出来ない難しさで客にキレるというお約束の展開。これでこそ岡崎体育。新曲の「サブマリン」は彼のナンバー珍しいレゲエ調。横ノリのリズムは心地よいですが、歌詞は相変わらずの調子。あとは1万人以上は確実にいるフェス会場、どれくらいファンの人がいるか挙手させるMCもありました。彼目当てのファンはやはりほとんどいない模様で、逆に好きなアーティスト21位以下の人は多数。それを見てまた怒るという、こちらもお約束?のような展開が繰り広げられました。

 「FRIENDS」のパペットを持参したオーディエンスもカメラに映りましたが、さすがにもうバンドに喧嘩は売れないようで?今回は演奏無し。あとは相対評価でTwitterに点数を書き込んでほしいと話す場面あり、現時点での検索結果は100点くらいの人が多いようでした(そもそも書いてる人があまりいなかったですが)。総じて以前に見た時と大きく変わりなくて一安心、これはオーディエンスの声出しや動きについても同様です。

キュウソネコカミ(VIVA! STAGE)

 キュウソはもう何回もフェスで見ているような印象でしたが、意外と個人的には2017年メトロック以来6年ぶり3回目で多くありません。観客参加のコール&レスポンスが多いバンドなので、この3年間はファン・演者ともども相当辛かったことが容易に想像できます。その鬱憤を晴らすような圧巻のステージでした。

 リハから全開で飛ばすキュウソ、本番はインディーズ時代からやってる曲から演奏開始。「ファントムヴァイブレーション」では”スマホはもはや俺の臓器”大合唱、セイヤさんもテンション上がりまくりでキレキレです。

 言いたいこと主張したいことに噛みつくのがキュウソ流、新曲の「ひと言」はそんなSNS時代に言わずにいられないことをそのまま歌詞にした曲でした。以前と違って曲調が激しくない所が、よりリアルな怒りになっているような面もあるでしょうか。その後はお馴染み「DQNになりたい、40代で死にたい」、”ヤンキーこわい”では、「筋斗雲」と書かれたダンボールにセイヤさんが乗るという光景が繰り広げられました。

 前方エリアではサークルモッシュも発生、本格的にコロナ渦前の光景が復活したことを再確認できたステージでした。オーディエンスを煽ると同時に、ケガしたり体調を悪くしていないか何度も気にかけるメンバーの優しさも印象的です。おそらく今年もフェスに出まくるであろう彼らですが…。何よりもそれを一番楽しみにしているのは、メンバー自身ではないかとあらためて感じました。

大森靖子(STAR STAGE)

 大森さんはインディーズ時代から知っているアーティストで、初めて見たのは2013年TOKYO IDOL FESTIVALにおけるZepp Tokyoの弾き語り。あの時ゲリラ豪雨が降っていなければおそらく見ていなかったはずのステージで、運命的な物を感じます。その後ワンマンにも行きましたが、今回見るのは2019年ビバラ以来4年ぶり。ZOCの活動が多くなって以降音源もあまり聴かなくなってしまったので、相当ブランクがあります。

 久々に見た大森さんは、4年前より確実にバンドの音圧が強くなっています。新しい曲はともかく「ミッドナイト異性清純交遊」の演奏ではそれが明らかで、何度も現場で聴いているからこその感覚です。”お前がいちばんかわいいよ!”のコール&レスポンスから「絶対彼女」、道重さゆみ愛健在であることもしっかり再確認できました。

 ただ圧巻だったのはやはり後半。その名の通り怪獣のような雄叫びを連発する「怪獣GIGA」、4年前のビバラでも衝撃を受けた「死神」。マイクの赤いコードが首を絞めるための紐に見えたのは、おそらく私だけではないと思います。完全憑依した状態でラストの「Rude」は、「死神」とは逆に”生きろ”というメッセージを痛切なほどに訴えていました。”誰もみんな生きることが許されています”という去り際のメッセージ、これはここ3年間のことがあるからこそ余計に響くものがありました。

 激しい動きと歌声で暴れ回る大森さんとは対照的に、笑顔でかわいく踊る女性コーラスも印象に残りました。彼女は大森さんがプロデュースするアイドルグループ・MAPAのメンバーである宇城茉世。ちなみに今回歌った「怪獣GIGA」は、MAPAのセルフカバーです。

KEYTALK(VIVA! STAGE)

 2010年代後半以降のロックフェスにおいて欠かせない存在であるKEYTALK。個人的に見る機会も多く、2019年ロッキン以来6回目です。新潟・神戸・大阪・茨城と、見る場所もかなりバラけています。

 したがってやる曲はもう大体想像つきます。曲順こそ異なりますが、「YURAMEKI SUMMER」「MATSURI BAYASHI」はほぼ毎回聴いてます。新曲(今回は「君とサマー」)を混ぜてたまにレアな曲も入れて(今回は「バイバイアイミスユー」)、最後は絶対に「MONSTER DANCE」。巨匠も例のごとくビールを飲んでます。とは言え今回は声出しそのものが久々、マンネリと言われようがいつも通りにやること自体に価値があります。

 アリーナは少なくとも前方エリアは満員、みんな声を挙げ手を挙げて踊っていました。楽しかったです。ロックフェスの風物詩として、今後も解散するまでずっと出続けて欲しいです。

SHISHAMO(STAR STAGE)

 SHISHAMOはもう10回以上見ているバンドです。初めて見たのは2015年メトロック東京、チャットモンチーを見た後でした。何度となくワンマンにも足を運びましたが、最後に行ったのは2020年1月。3年ぶりに見るステージ、当然初めて見て以来最長のブランクとなります。

 SHISHAMOはビバラの歴史とともに歩んできたようなバンドです。「君と夏フェス」のMVが撮影されたのは、2014年第1回のVIVA LA ROCK会場でした。そんな深い歴史を持つ彼女たちですが、「君と夏フェス」の演奏は意外にもリハーサル。本編はちょうど10周年記念の再レコーディング版が配信されている「恋する」からのスタートです。

 3年間ステージを見ていないので、「君の目も鼻も口も顎も眉も寝ても覚めても超素敵!!!」「狙うは君のど真ん中」は今回初めて見るパフォーマンスです。「君の目も鼻も…」のイントロでは、普段ギターを弾く朝子さんが右手でキーボードを弾くパフォーマンスもありました。逆に毎回欠かさず演奏されているのは「タオル」。ここ最近物価高が止まらない中でSHISHAMOのマフラータオルは、デビュー当時から変わらない据え置き1000円。財布に優しいバンドなのは昔からそうですが、今もそのままなのは大変ありがたい話です。ユニークな朝子さんのイラストも相変わらず健在ですが、システムを説明する彩さんの喋りは確実に昔より上手くなっていました。

 「明日も」はビジョンに歌詞が表示されます。これも以前からと同様のスタイル、何度聴いても心を動かされる曲であることも同じです。ちなみにこの曲が発表された2017年のビバラでは、VIVA LA GARDENで開催されたゆるキャラショーの着ぐるみの中に入っていたこともあったそうです。当時と異なるのはそのまま次に、真逆とも言える内容の楽曲「明日はない」が演奏されたことでしょうか。こちらも歌詞ありの映像ですが、白黒の演出がなされていました。

 ライブ終了後、バンドデビュー10周年ということで花束贈呈の演出あり。本人たちの知らないサプライズですが、バックの音楽がベートーヴェンの第九という大仰さは気になりました。

ano(CAVE STAGE)

 昨年放送された『水曜日のタウンタウン』の企画以降知名度が急上昇、テレビ番組の出演が増えている彼女はもともとアイドルグループ・ゆるめるモ!のメンバーです。アーティストとしては2020年にanoとしてデビュー、現在『チェンソーマン』のEDテーマに起用された「ちゅ、多様性。」がヒット中。各話ごとに設けられたエンディングテーマで、もっとも大きな反響を得ています。そのためライブハウス状のCAVE STAGEは、制限がかかる満員状態。直前の出演もSKY-HIプロデュースのNovel Coreで、入れ替わりのため入場までかなりの時間がかかりました。

 バラエティ番組ではいわゆる”不思議ちゃん”というイメージもありますが、ステージは大変明快なシャウト系。グループ時代に習得したと思われる煽りなどのテクニックも、既に出来上がっている様子でおおいに盛り上がりました。楽曲のネガティヴな歌詞も含めて先ほど見た大森靖子にも近い雰囲気、あるいは4年前に同じ場所で見た神聖かまってちゃんを彷彿とさせる部分もあります。”生きろ”というメッセージを残したのも共通でした。アイドルグループ時代にビバラポップ!の出演はありますがVIVA LA ROCKについては初、出演できた喜びも彼女らしい語り口で話していました。

 ラストの「ちゅ、多様性。」ではダンサーも登場、大変盛り上がるステージになりました。おそらくは今年多くのロックフェスに呼ばれるはずで、楽曲やタレントだけでなくアーティストとしても大幅に伸びることが期待出来そうです。

Chilli Beans.(CAVE STAGE)

 2月に配信開始となったVaundyとのコラボ曲「rose」がビルボード44位にランクイン、当サイトでもレビューしました。昨年の『Chilli Beans.』はCDショップ大賞にもノミネート、1度生で見たいと考えていたバンドですが、思いのほか早くそれが実現する形になりました。

 3人組の女性バンドですが、ドラムのサポートは男性。この点ではtricot(こちらのドラムは正式メンバーですが)に近いです。ベースのMaika、ギターのLilyは分かりやすいですが、グレーのシャツを着たMotoはサングラス装着で楽器無し。女性のみのバンドはこれまで色々見ていますが、そういえば楽器を持たないボーカルは特に3人組だとあまり見た記憶がありません。演奏する前の時点で、まずはそこに新しさを感じました。

 ステージは7曲演奏、確かにセンスのあるサウンドワークです。ただそれ以上にインパクトを感じたのは、7曲全てがオーディエンスと一緒に動くことを前提に作られている部分です。どの曲でも手を横に振るなりコールするなり、何かしら参加する要素が入っていました。おそらくじっくり演奏を聴かせる曲もあるとは思うのですが、少なくとも今回は観客との一体感を最大限に重視したパフォーマンスのように見えました。前方エリアの観客も観客で、動くべき場面での動作は反応も含めてバッチリ。ファンもかなり訓練されているのは間違い無さそうで、その点ではアイドルグループに近い雰囲気もあります。

 見る、というより参加する立場としてはとにかく「楽しい」という感想で、また一緒に盛り上がりたいと心から思わせるステージでした。終わってからのオーディエンスも反応は上々、こちらでも現場を重ねるたびに観客が増えるのは間違い無さそうな雰囲気です。そういえば初の音源リリースが2021年なので、声出し解禁後のライブはこれがほぼ初めて。個人的には夏フェスでもっともお薦めしたいアーティスト、来年の今頃はもっと大きいステージでの演奏が早くも期待できそうです。

マカロニえんぴつ(STAR STAGE)

 ここ3年ほどで知名度を上げたアーティストはほとんど初見になるわけですが、彼らのライブも初めて見る形になりました。もっとも彼らは2019年時点で注目のアーティスト、その年の末には「愛のレンタル」を私立恵比寿中学に提供しています。「なんでもないよ、」などのテレビパフォーマンスではっとりさんのボーカルが優れていることは確認済、だからこそ生で見たいアーティストでもありました。

 声の出し方が優れているということは高音も中低音も発音も優れているということですが、あらためて生で聴いてもやはりその印象でした。加えて「リンジュー・ラヴ」「恋人ごっこ」「ヤングアダルト」「洗濯機と君とラヂオ」など曲も歌詞含めて質の高い名曲なので、必然的に間違いの無いステージになります。だからこそ最大ヒット曲の「なんでもないよ、」で締めるセットリストはまた格別。聴かせる曲だけでなく盛り上げる曲もしっかりあり、早いうちにまた2回目を見たいアーティストの1組です。

この日のまとめ

 久々のフェス参戦ということで、アーティストについては前半が過去複数回見ている面々、後半は新しく見るアーティストメインになりました。今回ラストのTHE ORAL CIGARETTESのUVERworldはスルーしましたが、この2組も過去に生のステージを見ています。4年前のビバラも日ごとに傾向が分かりやすいラインナップになっていましたが今年も同様、メインステージの初日はいわゆる常連組で2日目以降に繋げるという狙いがあるように感じました。CAVE STAGEで見ていた裏のアーティストもgo!go!vanillasにMY FIRST STORYにSKY-HI、非常に分かりやすいです。

 2日目は新進気鋭のスターから大ベテランまで、幅広く見る形になりました。それについては次回の記事で、じっくり書いていきます。

 

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