今週のビルボードチャート~7/13(フォーティエイト48、ヨルシカ、METAMUSE他)

今週のチャート総評

 1位~6位まで、3位を除くと全て順位キープという大変珍しい週になりました。Official髭男dism「ミックスナッツ」は通算3週目の1位獲得、ストリーミング中心に安定しています。ポイントに占める割合は高くないですがカラオケも4位、ポイント数もほとんど変化なくキープしています。


 CDセールス1位(約15万枚)は関ジャニ∞「喝采」でした。総合3位に初登場となっています。今月は日産スタジアム・ヤンマースタジアム長居でのワンマンが開催予定、CDリリースもこれに合わせる形となっているようです。

 12位はAdo「逆光(from ONE PIECE FILM RED)」、配信開始に合わせて続々とランクインしています。今作も初登場でダウンロード指標2位・動画指標5位でした。他の曲も「新時代」が8位、「私は最強」が43位でしっかりHot100圏内をキープしています。

 22位にヨルシカ「ブレーメン」が初登場。配信初週でダウンロード4位ですが、それよりも4位に入ったラジオ指標の方がポイントは大きいです。9ヶ月ぶりの新曲ということです。

 28位はENHYPEN「Future Perfect (Pass the MIC)」、こちらも8日前アップで既にYouTube1300万再生を達成しています。ポイントの中心は23位に入ったストリーミング、こちらは昨日まで集計週まるまるLINE MUSIC再生キャンペーン実施のようです。

 76位のMETAMUSE「tiffany tiffany」はCDセールス3位、CDは「わがままぱじゃま」との両A面です。ZOCから改名後初となるシングル作品になっています。その他74位にNissy(西島隆弘)「I Need You」、79位にCreepy Nuts「堕天」、84位にBiS「Hey boy hey girl」、94位にaespa「Girls」、96位にクボタカイ「ピアス」がそれぞれ初登場となっています。

 先週38位でピックアップしたwacci「恋だろ」が7位に急上昇。動画指標で3位になっています。楽曲については先週の記事でレビュー済ですが、想像以上に大きな動きになっている様子です。

 先週69位に初登場のフォーエイト48「ロミエット」が9位にランクイン。メジャー1stシングルですが、3.6万枚売り上げています。TikTokクリエイターによる7人組グループ、CD売上も高いですがLINE MUSICキャンペーンによるストリーミング再生数上昇も順位の押し上げに大きく貢献しています。

 XG「MASCARA」も48位から15位に上昇。こちらも先週の記事でレビューしています。ストリーミングが100位圏外から45位に上昇したことが最も大きい要因ですが、5位→2位のラジオ指標が思いのほか大きく物を言っている印象もあります(今週も25%近くのポイントがラジオです)。

 Mrs.GREEN APPLE「ダンスホール」もストリーミング中心にポイントを伸ばして最高位更新の18位。今週はアルバム『Unity』も総合2位に初登場しています。アルバムと言えばSaucy Dogも『サニーボトル』収録の3曲がHot100にランクインしていますが、フィジカルが高い割合を占める特性もあってそちらの順位は8位止まりでした。

 水曜日のカンパネラ「エジソン」も順位上昇継続で33位→20位。TikTokランキングで1位、動画指標18位ですがストリーミングも17位、ダウンロードも含め配信要素全てでランクアップになっています。

今週のピックアップ曲

フォーティエイト48「ロミエット 」

 ここ数年YouTubeクリエイターの音楽ユニットとしてデビューする事例が多数発生しています。彼らもその1つですが、TikTokerとしての活動も多いということです。今回デビューしたのはフォーティエイト48、Team48として2020年頃から知名度が上昇しているそうです。メジャーデビュー曲はDECO*27が提供、ネット音楽中心に実績を挙げている超有名どころです。

 楽曲そのものは踊りやすい歌いやすいノリやすい、純粋に明るく聴きやすいナンバーだと思います。TikTokで踊るにもバッチリです。ユーザーにとっては親和性高い楽曲ですが、アーティストならではの特殊性は固定ファンでない自分からするとまだ見えません。今後に期待、というところでしょうか。

Mrs.GREEN APPLE「ダンスホール」

 ビルボードは7週目のランクインですがMVは6/28公開なので2週前、やや遅めですがこのタイミングでピックアップします。

 バンドメンバーが踊るのは最近だとSEKAI NO OWARI「Habit」、セカオワは意外に初期からMVにダンスを取り入れています。大昔だとサザンオールスターズが、1983年の紅白歌合戦でバンドではないダンススタイルのステージを演じたことがあります。さてこの曲、演奏は当然メンバー自らレコーディングしたものと思われますが(その割は打ち込みが目立っているような気もしますが)、映像は完全に演奏よりもダンスがメインです。小気味よく明るい爽やかなナンバーですが、こちらもTikTokを筆頭とする”踊ってみた”への意識が見え隠れしているような気がします。

ヨルシカ「ブレーメン」

 こちらはダンス要素一切無しの、アニメーションMVに合わせて丁寧に聴かせるナンバーです。YOASOBIやyamaなど、令和になってからブレイクする女性アーティストは完全にこういった聴かせる楽曲+アニメーションMVが主流になっているとあらためて感じるわけですが…。

 ただ今回の楽曲はバンドサウンドの生音が目立つ編曲、ちょっとばかりダウナーな雰囲気は昭和のシティポップあるいはジャズに通じる印象もあります。ヨルシカもどちらかと言うと若者がファン層の中心を占めている印象ですが、実際に聴くと年代を問わず広く通用する曲が多いように感じます。「ただ君に晴れ」「だから僕は音楽を辞めた」は既にYouTube再生1億突破、このデータこそが広い世代に聴かれている証のような気がします。

METAMUSE「tiffany tiffany」

 ZOCの活動は個人的にあまり追えていませんが、大森靖子についてはメジャーデビュー期より前の活動も生で見ているので思い入れは強いです。ZOCから改名、METAMUSEとしての第1作は勿論大森さんの作詞作曲です。

 力強さを感じさせる音と、一つ一つの言葉が重いフレーズとそれに合わせた歌声。突然の転調を含む旋律の運び方もソロで発表された一連の曲に近い雰囲気で、確かにこれを本人ではなくメンバーが表現するとなると相当な技術と思い入れが必要な印象があります。

 ZOCのファンは10代・20代女子が多いようです。実際、5年前に足を運んだ大森さんソロのライブも服装他の熱狂度は女性の方が圧倒的に高めでした。ファン層が広がらない悩みもあるようですが、個人的には本来のファンに向けて尖った楽曲・尖った活動をしていく方がより高い芸術性が生まれて面白い結果になるように思います。

クボタカイ「ピアス」

 96位に初登場したこの曲は、今週のTikTokランキングで5位にランクインしています。TikTokは踊れる曲のイメージが個人的にありますが、甘い歌声で聴かせるラブソング(ほぼ若手男性ボーカル限定ですが)もよくランキング上位で見かけます。

 この曲もその法則に従った楽曲で、若干空気が抜けたようなボーカルの歌声がクセになります。ただ編曲は意外とギター弾き語りシンプル系ではなく、クラップも含む打ち込み音やキーボード音など電子系の音が目立っています。TikTokで流行り始めた曲がビルボードチャートを駆け上がる例は今年本当に多いですが、果たして今回はどこまで上昇するでしょうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました