今週のビルボードチャート~7/6(つばきファクトリー、NAYEON、wacci他)

今週のチャート総評

 引き続き接戦の上位争い、今週はOfficial髭男dism「ミックスナッツ」が首位返り咲き。171pt差で相変わらずの接戦です。ダウンロード・ストリーミングはヒゲダン有利、YouTubeはセカオワ有利で3要素の合計もセカオワ。その中でヒゲダンが首位に返り咲いた要因はカラオケとリッピング、特にカラオケは4位と40位で意外と大きな差がありました。フィジカルもどちらかと言えばヒゲダンが有利、この2週は細かい要素で順位が動くケースが多いです(先週のセカオワもラジオが決め手になりました)。


 CDセールス1位(約9万枚)・ダウンロード10位のつばきファクトリー「アドレナリン・ダメ」は総合3位。「弱さじゃないよ、恋は」「アイドル天職音頭」との3曲A面です。相変わらずの多種発売ですが、ストリーミング未解禁のためLINE MUSICキャンペーンも当然無し。ハロプロ側としては、やってもやらなくても大差ないという判断かもしれません(とは言え解禁した方が、多少でもファン層が広がるように思いますが…)。

 NAYEON「POP!」が51位から5位に大幅アップ。ストリーミングが96位から5位にまで伸びています。配信開始日が6月24日で金曜日、フルの期間で集計されるのは今週が初めてです。Spotifyランキングはデイリーで韓国4位日本9位、グローバルでもなんと65位でした。K-POPではありませんがチャーリー・プース「レフト・アンド・ライト (feat. Jung Kook of BTS)」も24位→13位、Spotifyデイリーではグローバル7位韓国1位日本15位です(特に韓国の再生数は2位の1.5倍を記録しました)。

 B’z「SLEEPLESS」が18位に初登場しています。ダウンロード1位ですが、ストリーミングにあまり伸びがないのは気になります(Spotifyで現在47万)。8月10日にアルバム『Highway X』がリリース、ここからの先行配信という形になります。シングル・アルバムともにオリコン連続1位記録継続中ですが、シングルCDの発売は2017年を最後にありません。

 20位のA.B.C-Z「Graceful Runner」はCD売上2位です。ジャニーズで3万枚の売上は、さすがに少しまずいような気がします。なお今回の楽曲提供は、LiSAの「シルシ」「紅蓮華」などでお馴染みの草野華余子が担当しています。CDセールス順にいくとFANTASTICS from EXILE TRIBE「Escape」が総合23位、BiSH「どんなに君が変わっても僕がどんなふうに変わっても明日が来る君に会うため」が総合51位、IVVY「BLUE DAISY」が総合73位、Aqours「ユメ+ミライ=無限大」が総合86位。今週はいつも以上に、CD売上以外でポイントをあまり稼げていない曲が目立ちます。

 38位はwacci「恋だろ」、こちらはダウンロード16位です。CD売上はほぼ無しですが(リッピング74位)、そもそも6月15日のリリースです。実は先々週に100位で登場していますが、先週は圏外でした。突然のランクアップ要因は挿入歌として起用されているドラマ『やんごとなき一族』のようです。6月30日の最終回放送日にドラマに出演した松下洸平との共演ステージがYouTubeにアップ、これが今日の時点で「人気急上昇中の音楽1位」にランクイン。そのためMV公開後もずっと圏外だった動画指標が22位に急上昇、ストリーミングもこれに続く形になっているようです。CD売上偏重型のアーティストと比べると、ランキング上位に入るためにはいかにストリーミング・動画再生数を増やすかが重要な要素になること、これが非常によく分かる事例になっています。

 48位のXG「MASCARA」はK-POP女性グループ、公開1週間で500万再生を突破しています。2022年3月の「Tippy Toes」でデビュー、今作が2作目です。K-POPとは書きましたが、メンバーは7人全員が日本出身。レーベルや事務所は違いますが、NiziUに近い位置づけのグループと考えて良いでしょうか…。

 今週はauの通信障害が発生しましたが、思ったほどポイント低下には繋がらなかったようです。特にSaucy Dog「シンデレラボーイ」がポイントアップ、それどころか「いつか」「結」「優しさに溢れた世界で」「魔法にかけられて」「あぁ、もう。」と軒並み順位上昇&再登場というムーブメントが発生しています。本日7月6日にミニアルバム『サニーボトル』がリリース、特に後者3曲はその新作に収録されているので、来週もある程度の順位は見込めそうな気配です。ちなみに6月28日には、LINE MUSICの邦楽RockのTOP5を独占するという現象まで起こっています。

 ONE OK ROCK「Save Yourself」は32位→21位、徐々に上げています。水曜日のカンパネラ「エジソン」も46位→33位、伸びそうな気配です。一方Uru「それを愛と呼ぶなら」幾田りら「レンズ」有華「Partner」あいみょん「初恋が泣いている」などは大幅ダウン。LE SSERAFIM「FEARLESS」も夏の特番出演が多い割に現在60位で伸びていないような印象もあります。

 さて今週も27位にランクインしているきゃない「バニラ」突然の活動休止宣言がありました。イベントやコンサート出演どころか直近の配信リリースもキャンセルということで、かなりのっぴきならない事情が発生したものと推測されます。「バニラ」はイントロの時点で良さを感じさせる楽曲だっただけに、これ以降の活動にも期待していたのですが…。

(※7/13のビルボードによる順位訂正につき当記事も総合の順位のみ書き替えました)

今週のピックアップ曲

つばきファクトリー「アドレナリン・ダメ」

 3曲A面、全ての楽曲のMVがアップされています。「アドレナリン・ダメ」はハロプロの十八番であるダンスナンバーで、メンバーの能力の高さを歌唱面・フィジカル面双方で感じることが出来る楽曲に仕上がっています。

 「弱さじゃないよ、恋は」はミディアムテンポ、メンバーの歌声を堪能する楽曲だと思います。そして「アイドル天職音頭」はハロプロ内で何年かに1曲は必ずあるような気がするおかしな曲です。ダサいと言われても仕方のないナンバーですが、個人的にこういうネタ曲はむしろ直球勝負の楽曲より耳が残るので案外好きだったりします。こういう音頭系はK-POPましてや海外の音楽では絶対にあり得ないので、今後も各アーティスト定期的に試みてもらいたいと感じる次第です(個人的にダサいことが決して悪いことだとは思っていません)。

NAYEON「POP!」

 “パッパッパッ”と”POP”を連呼するサビが、韓国語を知らなくても耳に入る聴きどころになっています。一般的にPの音は破裂音と呼ばれていて、跳躍が”ピョンピョン”と表現されるようにテンションを高める・爽やか・明るいという効果があると言われていますが(あくまで個人の見解)、この曲はそういった”P”の音から逆算して作られた楽曲にように感じました。

 したがってMVもプクッと膨らませる風船がポイントになっています。球体は風船だけでなく泡を表現するにもピッタリで、ここもうまく曲の内容から計算された内容になっています。一言で言うと聴いていて楽しくなるテンションアゲアゲの楽曲ですが、そこには感覚よりも分かりやすい論理的な部分も含まれているように見えます。いずれにしても思わぬ奥深さが含まれている楽曲で、それが繰り返し再生される要因の一つになっているのかもしれません。

ONE OK ROCK「Save Yourself」

 日本語版・英語版のMVがアップされていますが、今回はあえて英語版の感想を記します。

 TakaさんのボーカルとToruさんのギターで始まるオープニングから一音一音の熱量高く、そのまま重量級のバンド演奏で突き進むような作品です。サビのメロディーは幾分キャッチーで、近年の曲より2014年近辺のシングル曲に近い雰囲気でしょうか。

 いずれにしても海外を拠点にすることで、ロックミュージック・バンドロックで表現できる全てのことに挑戦しようという方向性は今も昔もブレていません。「完全感覚Dreamer」はもう一昔前の曲になりつつありますが、それだけ長期間人気を保つ理由はその姿勢にあるということがあらためてよく分かります。

wacci「恋だろ」

 挿入歌になっているドラマ『やんごとなき一族』は、TVerでも上位に入る人気を誇っています。世帯視聴率は高くないようですが、令和の現在はそれだけで番組人気を測ることは不可能です。

 wacciといえば「別の人の彼女になったよ」がYouTube6000万再生、「大丈夫」も1800万再生しています。世代によってはもう誰でも知っているくらいのミュージシャンであることは言うまでもありません。楽曲はタイトルが示す通りの共感性高いラブソング、温かい言葉と歌声にうっとりしたくなるナンバーです。MVは弁当屋さんとお客さんのラブストーリー、こちらも素敵な内容ですが、唐揚げを食べる女優さんの姿を見るとお腹が減りそうな作品でもあります。

 いつの時代でもこういったラブソングはヒットするものですが、10代・20代のリスナーにとって過去の傾向は関係ありません。ベタと言われ続けようとも、こういった楽曲を作れるかどうかはメジャーレーベルのミュージシャンにとって重要な能力であるとあらためて感じるところです。

XG「MASCARA」

 どうしてもNiziUとの比較になりがちなグループですが、あえてその路線で記すとするとこのグループは全くの対照的な曲とパフォーマンス。クール・黒・暗めの照明などは、NiziUどころかTWICE、さらに前の少女時代やKARA辺りとも違う雰囲気です。キャッチーな印象も正直申し上げるとありません。

 それ故に日本では社会現象になりにくいグループにも見えますが、だからこそ技術が磨かれより魅力的なパフォーマンスを追求できるのではないかとも感じます。また、単純に今までのK-POPらしさとは一味違う雰囲気が漂っているというのも大きな魅力で、それ故に日本・韓国双方で国民的人気グループになる素地もあります。ダンスパフォーマンスも間違いなくカッコ良く、これに影響されてK-POPを志す日本人が更に増えることも容易に想像できそうです。

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