第42回(1991年)「そして、神戸」
ステージ
作詞:千家和也 作曲:浜 圭介
前歌手:ザ・ベンチャーズ、欧陽菲菲
後歌手:(ラトビアから中継)、ライマ・バイクレ、冠 二郎
曲紹介:堺 正章(白組司会)
ソロ歌手として9年ぶりに復帰した紅白歌合戦は、クール・ファイブ時代に歌う機会のなかった名曲の初歌唱でした。1972年11月発売のこの曲は翌年オリコン年間32位の売上・レコ大作曲賞さらに日本有線大賞まで受賞していますが、第22回病欠の件もあって第23回・第24回ともに選ばれることはありませんでした。
「素晴らしい曲というのは、時代を超えてもその艶は消えません。年輪を感じさせる歌、その一つが前川清さんのこの歌でございます。「そして、神戸」!」
欧陽菲菲「ラヴ・イズ・オーヴァー」から全く間を置かない進行で、テンポも原曲と比べてかなり速いです。この後にソ連からの独立を果たしたラトビア共和国からの中継が入るせいもあるでしょうか、時間調整の意味合いも含まれている様子です。ただマイクを口から大きく離して歌うパフォーマンスはクール・ファイブ時代に見られなかった光景で、迫力と声の圧は若い時と比べても格段に上がっています。元々が短い曲なので堂々のフルコーラス、演奏時間は原曲よりも約25秒短めでした。
応援など
白タキシードのステージ衣装のまま、次に歌う白組初出場歌手・冠二郎の応援に加わります。細川たかし・森進一・鳥羽一郎と一緒に曲紹介で激励、それぞれにセリフが用意されていました。
1991年の長崎といえば、やはり雲仙普賢岳の噴火が最大のトピックになります。紅白で史上初となる出場歌手全員の合唱は被災地支援の意味合いが強く、長崎出身のさだまさしがこのために「SMILE AGAIN」という曲を書きおろします。その歌い出しを担当したのは、長崎県出身・長崎を題材にした楽曲で有名になった前川さんでした。
さださんはこの年の紅白で「奇跡~大きな愛のように~」を歌いますが、同じ長崎出身ということで曲紹介にも登場。白組司会の堺さんとコミカルなやり取りが展開されます。オチの弱いエピソードと前川さんの棒読み・なぜ呼ばれたのか分からないと言いたげなとぼけた表情が秀逸でした。
堺「さて、今年さだまさしさんが一番嬉しかったことは、ゴルフでホールインワンをなさったことだそうです」
前川「ほう、おそらく奇跡ですね」
堺「はい、そして一番腹が立ったことは、そのホールインワンをした時のクラブが貸しクラブだった、ということだそうでございます」
前川「ほう、それで?」
堺「終わりです」前川「はっ?」
堺「それでは長崎県出身、さだまさしさん「奇跡」」
第43回(1992年)「男と女の破片」
ステージ
作詞:荒木とよひさ 作曲:都志見隆
前歌手:堀内孝雄&ケー・ウンスク、川中美幸
後歌手:工藤静香、チェッカーズ
曲紹介:堺 正章(白組司会)
前年7月リリースの曲ですがロングセラーを記録、新曲に近い扱いで歌唱する形になりました。少し前に当時の紅白史上初の紅組白組歌手同士によるデュエット、その後にチェッカーズ解散という大きな目玉に挟まれる曲順となっています。前年同様直前のステージからの合間無し、一応曲紹介する堺さんの顔は映りますが、慌ただしさは前年と同様です。「続いての白組はこの曲カラオケでヒット致しました。「男と女の破片」、前川清さんです!」、テンポも明らかに原曲より速いです。
曲紹介にもあった通り、この曲は中高年のカラオケ需要が高い曲でした。演歌らしい演歌とは違う歌謡曲の曲調、作曲家の都志見隆はアイドル系と同時進行で当時こういった”大人のポップス”と標榜された楽曲も多く手掛けています。
紫色のタキシードで2コーラス、前年と同様に熱唱のステージでした。
応援など
この年は前半に尾上梅幸(7代目)・尾上菊五郎(7代目)・尾上丑之助(現・5代目尾上菊之助)の口上がありました。音羽屋三代による挨拶後、各組の歌手5人も1人ずつ名乗ります。北島三郎・五木ひろし・森進一と1人ずつ裃姿で挨拶しますが、なぜか直前の細川たかしが「ほ、ほ、細川たかしでございます」と変な挨拶。これに続く前川さんも「ま、ま、前川清でございます」、コメディアンでもある以上普通には出来ないということでしょうか。ついでにこの後の都はるみも「み、都はるみでございます~」とおかしなアレンジを加えていました。
この年の全員合唱はYOSHIKIが提供した「TEARS ~大地を濡らして~」を歌唱。前川さんは光GENJIと一緒にサビ少し前の一節を歌います。
後半、小林幸子が62500個の電球を使用した紅白史上初の超巨大衣装をステージで見せつけます(もっとも本番ではほとんどつかず大失敗)。その後に始まる米米CLUBの準備中、堺正章や吉幾三のやり取りに入ろうとしてうまくいかないシーンがありました。これについては米米CLUB「君がいるだけで」曲紹介の記事を参照してください。
第44回(1993年)「別れ曲でも歌って」
ステージ
作詞:荒木とよひさ 作曲:都志見隆
前歌手:美川憲一、オルケスタ・デ・ラ・ルス、(マジックショー)
後歌手:長山洋子、光GENJI
曲紹介:堺 正章(白組司会)、武田鉄矢
オルケスタ・デ・ラ・ルスの歌唱後、6分近くにわたるマジックショーが終わってからのステージです。2ステージ分はあったこのコーナー、おそらく放送当時かなりの視聴率が逃げたのではないかと思われるのですが…(実際この年後半は前年と比べて軒並みダウンしています)。
審査員を全員ステージに上げていたので、堺さんが直々に着席を促します。そんな中、4年前の白組司会・武田鉄矢(この年海援隊として出場)が勝手に司会を横取りして進行に入ります。それに気づいた堺さんが口喧嘩、その後ろで前川さんが大笑いしていました。もっともこの年の前川さん、赤いタキシードの左胸に黒い薔薇を装着しています。「亡きお母様の写真を今日は胸にポケットに潜めまして、歌ってくださいます」、母親は前年の2月に逝去されたということです。
2コーラス、例年にもまして歌に気持ちが乗った熱唱でした。曲紹介の内容が、楽曲の歌詞とリンクしています。照明を暗くして歌以外はほとんど手を加えていないような演出、聴き応えのあるステージです。賑やかなサルサ音楽とマジックショーの後と考えると大きなギャップがあります。前川さんの後もその年のフレッシュなヒット曲が4曲続くので、それらと比べても対照的でした。
応援など
前半3番手は香西かおり、山川豊ともに大がかりな差し入れがありました。まずは先攻の香西さんには魚河岸からの大きな鯛が届きます。一方後攻の山川さん、「鳥羽といいますと魚がおいしいんです、実はそちらから届いております、白い魚が!」と前川さんが持ち上げますが、届いたのはビニール袋に入ったシラス100gでした。
細川たかしが歌う前、曲紹介では細川直美(朝ドラ『かりん』主人公)・細川ふみえ・細川護熙(首相就任)などが活躍した細川ブームが取り上げられます。堺さんの進行に前川さんが割り込み、またまた細かいやり取りが見られました。ボケが振られる台本で、無理やり堺さんにバトンを渡すというテクニック?を見せています。
前川「あの、もう1人忘れておりませんか?」
堺「あははは、その人の名前でございましょう。最後に言おうと思ったんです。その人の名は?」
前川「その人の名は?細川!」
堺「俊之さんですか?失礼いたしました。あなたが言うはずだったのに」
第45回(1994年)「恋するお店」
ステージ
作詞:千家和也 作曲:伊藤 薫
前歌手:X JAPAN、工藤静香
後歌手:ケー・ウンスク、美川憲一
曲紹介:古舘伊知郎(白組司会)
直前の曲順が全くジャンルが異なるX JAPANと工藤静香ということで、両司会に助っ人(和田アキ子・桂文珍)を加えた4人のトークコーナーが設けられます。アッコさんと上沼さんに押されるオチと思いきや、最後に古舘さんがアッコさん相手に大逆襲。アッコさんが嘘泣きして立ち去る中、舞台に向かう前川さんはいつも通りの落ち着きです。
「前川清さんの登場でございます!こんなに男っぽい佇まいなのに、どうして前川さんは終始一貫女心を歌うんでしょう。そう、それは一瞬の眼差しに男の優しさが溢れているからかもしれません。それでは、前川さん。あのビブラート天国にご案内致します。「恋するお店」」
当時の紅白歌合戦はテロップのアニメーションが凝っています。この年の歌手名テロップには名前の下に扇子や波のような柄も描かれていました。前川さんのステージ、イントロに乗せて葉っぱが左上からヒラヒラ落ちてきて、真ん中下部に配置されるとともに歌手名が表示される動きを見せています。近年の紅白歌合戦テロップは以前より確実に情報量が増えましたが、凝ったアニメーションが消えたことに関しては若干の寂しさもあります。
直前にあったコミカルなやり取りも、前川さんの登場でガラリと上品な雰囲気に変わります。ストーリー性のある歌詞は勿論見せ場であるロングトーンの声量も抜群、演奏後だけでなく間奏でも大きな拍手が客席から起こりました。
応援など
この年の前半、「美男子研究家」のタスキをかけた谷村新司が「二枚目の法則」を説明するシーンがあります。前川さんはその横に立ってしばし拝聴。「グループであること」「男ばっかしであること」「地域では九州」「グループ名がカタカナであること」。「この四原則とくれば、次の登場はもちろん!」。横にいた前川さんがマイクを持って準備に入ろうとした所で、無情にも古舘さんは「藤井フミヤさんの登場です」と紹介。横でちょっとだけ体を傾けるトボけたリアクションを見せていました。
何回にもわたる交渉の末に出演を受諾、吉田拓郎のステージは超豪華ミュージシャン勢揃いの生演奏でした。前川さんもその中にコーラスの1人して、森進一・五木ひろしとともに参加します。
さらに細川たかし「夢酔い人」、こちらは白組歌手多数が小芝居で参加するステージでした。前川さんは岡っ引きに扮して登場しますが、目の前でSMAPの森且行がバク転でステージ上の凹みに転落。大慌てで舞台上に誘導するシーンが見られました。森さんと草彅剛が泥棒役で、2人を縄で縛ったりサビで一緒に踊ったりしています。
第46回(1995年)「そして、神戸」
ステージ
作詞:千家和也 作曲:浜 圭介
前歌手:小林 旭、由紀さおり・安田祥子
後歌手:田村直美、南こうせつ
曲紹介:古舘伊知郎(白組司会)、上沼恵美子(紅組司会)
戦後以来最大の被害となった1月17日の阪神淡路大震災、このステージを含めた4曲は「勝敗とは関係なくお聴き頂きたいと思います」というアナウンスもありました。
「さて、続いては前川清さんなんですが、彼には素晴らしいあの名曲「そして、神戸」があります。しかしこの曲を歌って頂くかどうか我々は、議論を重ねましたよね」
「そうなんですよね、ものすごくいい歌なんですけどもね、やっぱり神戸が受けた大被害のことを思うとですね、戸惑いってあったんですね」
「そうですよね…、ただリクエストが非常に多い中で、特に神戸あるいはその周辺にお住まいの方々のリクエストが圧倒的であった、わけですよね」
「住む人もねぇ、街もお洒落な神戸からすっごくいい歌が出てますが、今年あった出来事を絶対忘れないためにお聴き頂きたいと思います。前川清さんです。「そして、神戸」。」
紅組司会の上沼恵美子は兵庫県淡路島出身、震災で甚大な被害が出た地域の一つでした。前年のみの1回きりと考えていたそうですが、2年連続司会を引き受けた最大の理由はやはりこの震災でした。当時紅組司会が白組のステージを紹介するのはあまりないことでしたが、これに関してはむしろ古舘さんより上沼さんの方が自然であったように思います。
神戸市からの中継、ハーバーランドとポートタワーの夜景が映ります。観覧車のネオンが美しく光りますが、まだこの時点では復興途上という段階でした。神戸港の全面復旧は、2年後の1997年まで待つ形となります。
ピンクのスーツ姿で歌う前川さんは、左胸に黒い花をつけています。紅白歌合戦は毎年緊張すると話す前川さんですが、2011年のインタビュー(夕刊フジ)によるとこの年に限っては冷静でいられたと述懐しています。ステージは天井から照らされるライトのみ、セットさえも全く映らない極限にまで楽曲に寄せた演出です。
神戸の街の夜景が映る2番冒頭、アップのショットでは中盤まで目を瞑りながら歌唱します。神戸を舞台にした男女の恋愛を描いた楽曲は、この年このステージでそれ以上の大きな意味を持つ歌になりました。平成で30回放送された紅白歌合戦の中でも間違いなくトップクラスの名場面、1995年の紅白はどのヒット曲よりもこのステージが印象に残ったという視聴者が非常に多かったのではないかと思います。
応援など
小沢健二が白組全歌手応援演出、あとは米米CLUBの曲紹介における裃姿で米俵を持つ応援に参加(詳しくはこちらの記事を参照)。ただやはり歌唱曲の関係もあって、この年に関して言うと例年通りのコミカルな場面はありませんでした。
第47回(1996年)「抱きしめて」
ステージ
作詞:大津あきら 作曲:浜 圭介
前歌手:森高千里、郷ひろみ、(「ドラえもんのうた」歌唱)
後歌手:大月みやこ、森 進一
曲紹介:古舘伊知郎(白組司会)、憲三郎&ジョージ山本
この年から前半トリ前の曲順が3年続きます。藤子・F・不二雄先生を追悼する「ドラえもんのうた」全員合唱ステージ後、すぐに場面が変わって曲紹介モード。古舘さんと前川さんに挟まれる形で、憲三郎&ジョージ山本の2名も待機。
古舘「さあ、白組今度は自信を持って送り出しますのは前川清さんでございますけどもね」
山本「前川清さんは偉大ですよ。お笑いのセンスも超一流ですから」
木梨「私たちの小さい頃からずっとギャグセンス、テレビに出る前川さんずっと見ておりますから。はい、もう大好きなんです」
山本「清さん、1曲歌を歌う前に、なんか素晴らしいその、洒落かなんか言って頂けますか?」
前川「一生懸命考えさせて頂きました」
木梨「よろしくお願いします」
前川「(体を震わせながら)憲三郎&ジョージ…山本は、ノリ…ノリが良くて、歌がジョージ!ハハハ…」
木梨「(前川さんの頬にキス)」
古舘「素晴らしい!銀歯越しのキスでございます」
山本「歌に行ってもらいましょうか」木梨「早く歌の準備を」山本「大至急、大至急」
古舘「さあ、態勢を立て直すことが出来るでありましょうか、前川さん」
古舘「あっ、もう既に皆さん直立不動の達人と化しておあります!ピッと決めます歌は、「抱きしめて」です」
歌う前に無茶ブリされて滑るという大惨事(台本通りだとは思いますが)、挙動不審のまま慌ててステージに向かいますが、歌のシーンに切り替わると見事に背筋を伸ばす上品な一流歌手の姿になっていました。
「抱きしめて」はポニーキャニオンからBMGビクターにレーベルを変えた1作目の曲で、「そして、神戸」と同様浜圭介が作曲しています。浜さんは「望郷じょんから」「舟唄」など演歌を手掛けることが多い作曲家ですが、この曲は演歌とはやや遠いバラード調の楽曲です。そのため1コーラスがやや長く、構成は1コーラス歌唱後サビ繰り返しという形になりました。
ちなみにこの曲、年が明けてから同郷の後輩・福山雅治のオールナイトニッポンに多数のリクエストがあったようです。そこからゲスト出演に発展、最終的には2002年の「ひまわり」提供にまで至る形になりました。「ひまわり」はヒットしてその年の紅白歌合戦でも歌唱しますが、これについてはまた次回触れることにします。
応援など
「今年中高生の間で大流行したのが、ダボダボの靴下・いわゆるルーズソックスと、髪の毛を染める茶髪ですね」。紅組司会の松たか子が話した後、「染めてまいりました染めてまいりました」と話しながら登場したのが前川さんと細川たかし。若者のファッションとは全く異なる濃い歌舞伎メイクを施していました。松さんだけでなく会場の皆さんも当然ながら微妙な反応でしたが、構わずそのまま進行。TRF「LEGEND OF WIND」のステージに移行します。メイク時間は推定30分、オープニング出演後ウルフルズ「ガッツだぜ!!」のステージまでは出演が確認できます。その後急いでメイクを落として、前川さんが歌うのは約30分後でした。
この年の歌い納め、北島三郎「風雪ながれ旅」では大トリ史上初の早替え演出が含まれています。黒から白に袴を替えるサブちゃん、紋付き袴姿で囲むのは五木ひろし・吉幾三・細川たかしと前川さんでした。演歌にカテゴライズされる前川さんですが、こうした応援以外で和服を着るシーンは非常に少ないです。大トリなのでエンディングの衣装も当然そのまま、29回の出場で「蛍の光」を和服で歌ったのはこの時のみです。
第48回(1997年)「薔薇のオルゴール」
ステージ
作詞:ちあき哲也 作曲:杉本真人
前歌手:藤井フミヤ、森高千里
後歌手:長山洋子、南こうせつ
曲紹介:中居正広(白組司会)、T.M.Revolution
マジック:TOKIO マジック指導:ナポレオンズ
曲紹介ではこの年初出場・T.M.Revolutionの西川貴教が登場。前川さんに質問します。
西川「あのですね、ちょっと思ったんですけど、前川清さんいつもね、静止してこうやってこう歌ってらっしゃるじゃないですか」
前川「あ、静止してね。そうです」
西川「でもね、あれもいいんですけど、なんかこう、ちょっと一緒に踊ったりとかして歌ってみませんか」
中居「例えばどんな踊りですか?例えば?」
西川「いいですか?(前川さんの前に出て適当に踊りながら)♪あなたひと~りに~かけ~た~恋~」
中居「はい、ありがとうございました。はい、以上で結構です。はい、もう黙ってください。さあ今回前川さんのバックではTOKIOの皆さんがマジックに挑戦してくれるということで。はい、よろしくお願い致します。さあそれでは歌って頂きましょう、前川清さん「薔薇のオルゴール」です」
西川さんがスベリ倒していましたが(とは言え会場からそれなりに笑いはありました)、そんな彼に前川さんは背中を優しく叩きながら笑顔を見せます。おそらく後で温かい言葉をかけられたのではないかと思いますが。ちなみにこの2人は、後に2014年9月の『NHKのど自慢』で共演しています。
舞台ではTOKIOの5人が待機、曲紹介にもあった通り後ろで次々にマジックを披露します。赤い薔薇を手で消したり布になったり瓶に入れると伸びたりしたり、明らかに歌よりも後ろに目がいく演出でした。白い薔薇を燃やすと赤い薔薇になったり三面鏡から城島さんが出てきたり、色々やっています。三面鏡と言えば1989年に大失敗をやらかしていますが、ここでは全てのマジックが大過なく大成功の様子でした。
歌の方も歌詞を間違えることも無く豊かな声量で大熱唱、演出も含めて大成功のステージです。最後は長瀬智也が薔薇の一片を前川さんにプレゼント、微笑ましいエンディングになりました。
応援など
前半トリ・南こうせつ「うちのお父さん」にタンバリンで参加後、もう一仕事が控えています。T.M.Revolutionやつんくが男性の眉毛メイクについて話した後、鼓の音に乗せて細川たかしと一緒に登場。「来年はこういう眉毛が流行るのです!細川たかしはお公家さんの眉毛です!」「前川清はひょっとこ眉毛!」「こんなに頑張って来たのに、審査員の方、是非ともよろしくお願いします」。2時間(実際は推定50分ほど)かかったメイクですが、出演時間は僅か20秒でした。
この30分後、加山雄三の還暦記念ステージにもコーラス&タンバリンで参加。若大将のステージには第32回にも登場しているので、16年ぶり2回目です。カメラで映るシーンでは、ちょっとコミカルな動きを見せていました。なお当然ですが、ひょっとこのメイクは30分かけて落としています。
第49回(1998年)「神戸」
ステージ
作詞:前川 清 作曲:都志見隆
前歌手:吉 幾三、工藤静香
後歌手:伍代夏子、橋 幸夫
曲紹介:中居正広(白組司会)
踊り:梅沢富美男
「そして、神戸」に続く神戸を舞台にした楽曲、本人が作詞した曲が紅白で歌われるのは初となります。歌う前には神戸出身の藤原紀香にコメント、地元の好きな部分を語ってもらいました。「さあそれでは参りましょう、前川清さん「神戸」です、どうぞ」、前半トリ前ということもあってか曲紹介には何かしらの文言がカットされた跡が見えます。
前川さんを照らすライトがかなり強めで、顔が見えなくなる状況です。スタッフもそう感じたのでしょうか、歌い始めて間もなくちょうどいい光量に調節されました。
コミカルな場面のない前半でしたが、中盤からは女形に扮した梅沢富美男が登場。この年から『ふるさと皆様劇場』がレギュラー番組化、共演機会が多くなります。梅沢さんは「夢芝居」で第34回に出場しているので、紅白には15年ぶりの出演でした。したがって近年よくトーク番組で自ら話している、紅白出入り禁止という事実は存在していません(次の年にも連続テレビ小説『やんちゃくれ』出演者の一員として登場しています)。
梅沢さんの踊りがステージに花を添えますが、演奏終了後に状況は一変。女形のメイクのまま、番組さながらのやり取りが展開されます。スタンバイする紅組歌手陣や客席からもなかなかのウケ具合でした。
梅沢「さあ、前川さん!飲みにいこうや!」
前川「飲みにいこうってあんた、急に何言ってんの。まだ、まだくだりがあるから、そんな」
久保純子(紅組司会)「何なさってるんですか!梅沢さん、前川さん、もう次いきますからね!」
梅沢「あの日約束したのに!前川さん!あんまりじゃないのアンタ約束破って!」
応援など
例のごとく、前川さんはこの年も梅沢さん以上の濃いメイクで登場します。ヴィジュアル系バンド・LUNA SEAの曲紹介、細川たかしだけでなく吉幾三も一緒にど派手な姿で乱入。ただ自ら名乗るシーンがないので、中居さんからは「誰が誰だか分かりません、どなたですか?」と尋ねられる始末。ついでに「鈴木その子かと思いました」とまで言われてしまいます。ちなみに前年の眉毛メイクも河村隆一の曲紹介、RYUICHIさんは2年連続この被害に遭遇?する形になりました。
約20分後、今度はメイクを落として忠臣蔵の応援合戦に参加(一応磯貝十郎左衛門役のようです)。槍を使ったパフォーマンスも披露しています。あとは郷ひろみを大ファンだと話す久保純子の曲紹介で、吉幾三や山本譲二などと一緒に参加する場面もありました。
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