2015.5.5 Negicco「Never Give Up Girls!!! & Rice & Snow」in 新潟県民会館大ホール

 皆さん、こんにちネギネギ!というわけで今年初めて開催されるNegiccoの全国ツアー「Never Give Up Girls!!! Rice&Snow」もついにファイナルを迎えました。5月5日、彼女たちの地元新潟で行われるワンマンライブは彼女たちにとって初となるホールライブ、新潟県民会館大ホール。キャパシティは1730人ほど。参考までに今年4月に自分が参戦したKYOTO MUSEが350人、昨年開催して惜しくも完売できなかったらしいりゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館劇場でおよそ900人。Negiccoの3人が口を揃えて「県民会館でワンマンライブをすることは想像さえもしていなかった」というこのライブ、公演前日になってついに完売・当日券も発売しないという超朗報が届きます。満員御礼の中で開催された凱旋ライブ、早速レポしていくことにしましょう。

はじめに

 開場時間となる15時の時点でかなりの長さの行列。この日は物販の販売が開場以降ということもありましたが、早くもライブハウス各会場とは全く違う人数。開場してからもその列は大変に長く、1000人を超えていたようにも見えました。物販のスペースがあまり広くないため、一旦商品を選んでもらった後に会計でまた並んでもらうという、規模の大きいアーティストだと会計せず盗難に発展しそうな人が続出しそうなシステムでした。普段ここで行われるライブでどういった形式の物販をしているかどうかは分からないですが、ちょっと今後のことを考えると要検討事案になるのではないかという気もします。

 関西でのリリースイベントやワンマンライブはどう見ても30~40代男性の方々がメインでしたが、この日に関しては必ずしもそうではありませんでした。もちろん自分を含めて各地から新潟にやって来たという人も多いですが、明らかに地元民な子ども連れのファミリーや若い方、還暦過ぎていると思われる方、アルビレックスのサポーターっぽい方々もいて様々。確かに会場から帰る時に乗ったタクシーで、Negiccoは新潟のイベントほぼ全て出演していて知らない人はいないという運転手の話がありましたが、それを立証しているかのような客層でした。リハーサルが押していたのと物販の行列待ちで開場時間が15分ほど伸びます。私が座っていた1階席の横ではステージ下からタワーレコードの嶺脇育夫社長が通り過ぎて、後ろの方の関係者席に着席。場内ちょっとした歓声。ちなみに同じT-Pallete Records所属のlyrical schoolの芽依ちゃんも足を運んでいたようです(Twitterより)。

開演~レア曲もいくつか

 場内音楽が止まって歓声が挙がるものの再び流れ初めて笑いが起こる、そんな和やかな雰囲気の中で場内暗転。スクリーンが降ろされます。「夢掴む日まで この手は決してはなさない」、「SKY」という楽曲の歌詞の一節が映し出されて、デビュー以来の彼女たちの写真がスライド。恵比寿LIQUIDROOMで今回のライブ開催が決定した瞬間、それに当たっての3人へのインタビュー、そしてつい1時間ほど前なのにもう使われている開場時の映像。スクリーンの後ろに本人がスタンバイ、そして今日は一緒に楽しみましょうというメッセージの後、記念すべき最初に演奏された曲は「ネガティヴ・ガールズ!」。ステージ右手側にはストリングスの演奏も加わっています。2年前の『Melody Palette』収録曲なので、ちょうど今のNegiccoが軌道に乗り始めた時期の楽曲。間奏のセリフ、ライブごとに切り替わるので聴きどころの一つになりますがカレーライス好きのぽんちゃことMeguちゃん、”あー、カレー食べたい!”。仙台公演後この日まで1週間カレー断ちしていた模様です。Twitterでも度々呟いていますが、ライブ後に満面の笑顔でカレーライスを食べたのは言うまでもありません。曲中に自己紹介。Nao☆ちゃんは「いつやるの?」「今でしょ!」のコール&レスポンス。そろそろ林先生にもNegiccoのライブを見せたくなる心境になってきました。

そして次に披露されるは「トリプル!WONDERLAND」。会場に響き渡る「N!e!g!i!c,c,o!」のコール。早くも客席はものすごい一体感でした。ただホールでNegiccoのライブを見るのは不思議な光景だなぁ、ともこの時点では感じました。その後畳み掛けるのは「パーティーについて。」「ガッター!ガッター!ガッター!」「新しい恋のうた」という3曲。「パーティーについて。」「新しい恋のうた」は2013年発表シングル「愛のタワー・オブ・ラヴ」「アイドルばかり聴かないで」のカップリング曲でアルバム『Melody Palette』には未収録。この2曲は会場によってセトリに組み込まれていることもありますが「ガッター!ガッター!ガッター!」については完全に初聴。これは新潟総合テレビで放送されている特撮『超耕21ガッター』のエンディングテーマだそうで、2011年ミニアルバム『GET IT ON!』に収録されている曲。個人的には存在さえ知らなかった楽曲ですが、新潟の人にとっては割と馴染み深い楽曲なのかもしれません。おそらくファン度が高ければ高いほど嬉しい選曲だったのではないかと思われます。

日本海の香りに乗せて

 ここまで5曲、ストリングスの音を混ぜながらの演奏でしたがそれが終わるとともに波の音のSEが流れます。ピアノを弾くのは、これまでのツアーでも何箇所かで参加していた長谷泰宏氏。そのシンプルな演奏のみで繰り広げられるのはもちろん「サンシャイン日本海」。3人は椅子に座りながらの歌唱、ここまでの5曲とガラリと空気を変えていました。幾分声に緊張が表れていた印象もありましたが、これも生ライブならではの醍醐味でしょうか。スクリーンには歌っている表情のビジョンが流れます。運営側もそうですが、県民会館側も彼女たちを全面的に応援しているように見えました。

 引き続き選曲された「Summer Breeze」は2008年の楽曲。ホーンの演奏も加わります。一応『Negicco 2003~2012 -BEST-』にも収録されていますがまだ個人的には完全に聴き込んでいないナンバー、メロディーの良さと3人の声の美しさが非常に印象に残りました。椅子から立ち上がって再び聴かせるナンバーは「ルートセヴンの記憶」。今度はフルートの演奏が入ります。”青い鳥探したら 林檎のシンフォニー聴こえる”という歌詞は竹達彩奈が歌う「apple symphony」の引用らしいですが、個人的には新潟の国道7号線を舞台にした「中央フリーウェイ」という感覚でした。これもまた切ない歌詞と歌声が印象的で、今回の公演で一気に好きな曲の一つに加わりました。新潟で聴くからまた格別という印象がすごくあって、機会があれば本当にもう一度ライブで聴きたいとあらためて思いました。そして先日坂本真綾のトリビュートアルバム『REQUEST』でカバーした「プラチナ」。これは今回ライブで初披露でしたが、YouTubeで探すと2010年イベントでNao☆ちゃんソロという形で歌ったことがあるようです。

 ここまで9曲連続。ようやくのMCはやはりファイナルということで全国ツアーの感想。最初のツアーがもう1年も前のことのようという感想とあっという間だったという相反するも共通しているような内容。地方を回るとその土地の美味しいものをやはり食べたいということでお金を使う話になり、コンビニでお金を卸す時に残高を見て無言になるというぽんちゃ。というわけで皆さんの差し入れが命綱ですという、県民会館を満員にしたアーティストとは思えない内容でした。ホールになってもNegiccoらしいMCはやっぱり変わらないんだなぁと、安心すると言いますかほっこりすると言いますか。こんな3人だからこそ応援したいという気持ちにあらためてさせる内容でした。

ホールで初めてのラインダンス

早くも後半戦、まず披露されたのは「あなたとPop With You!」。明るいテイストで盛り上げた後は『Rice & Snow』から「BLUE, GREEN, RED AND GONE」「二人の遊戯」、先ほどまでとは打って変わってクールなナンバー2曲。やはりこの雰囲気は今年のアルバムになって生まれた新境地であり、ものすごい成長部分であることを再確認。「相思相愛」のあら恋mixではもちろんコール&レスポンスでお馴染み。そして次の曲がとにかく圧巻、「圧倒的なスタイル」

 この曲の間奏でファン全員がラインダンスをするというのは、Negiccoのライブお馴染みの光景というより名物と言っても差し支えありません。ただ椅子のあるホールで果たしてどうなるのかという思いもありました。声かけに合わせて皆さん肩を組んでラインダンス、脚を上げるのはさすがに難しい様子ですが周りを見渡すと凄かったです。本当に全員参加していたように見えました。前も後ろもおそらく2階席も、ファンだけでなく地元の人も老若男女問わず本当に全員、それこそ「圧倒的」という言葉で形容したくなる光景でした。そして”ラインダンスをやってほしいところがあります!”とぽんちゃが指を差したスクリーンには「8月16日 日比谷野外大音楽堂」の大きな文字。同時にファンクラブ”Negicco House”開設の発表もありました。その発表の直後に演奏された楽曲は「フェスティバルで会いましょう」。これ以上ないほどに美しい流れの進行は初めて見たという勢いでした。

 その後のラストスパートも立て続け。「パジャマ・パーティー・ナイト」「クリームソーダLove」「1000%の片思い」「自由に」「Space Nekojaracy」、『Rice & Snow』収録曲で見事に固めたセットリスト。結局この日にやらなかったのは「裸足のRainbow」と「ありがとうのプレゼント」くらいでしょうか。前半にいくつか懐かしい曲も入れて後半はほぼ完全に新しいアルバム曲メイン。この構成に今のNegiccoのこだわりが詰まっているように感じたのはきっと私だけではないような気がします。

 Negiccoにとって初のホールライブ、一つの到達点のように見えて実はまだ通過点に過ぎないと完全に確信できたのが「圧倒的なスタイル」以降の流れでした。「自由に」「Space Nekojaracy」辺りのパフォーマンスは、1年前や2年前でも想像できないほどのクオリティに成長しています。伸びの著しさを表すのに”2次関数的”というフレーズを個人的によく使っていますが、さしづめ彼女たちの場合は下積みの長さを踏まえると”y=aのx乗”という「指数関数的」という言葉の方が相応しいでしょうか。

 ラストは「ときめきのヘッドライナー」。個人的には2年前のリリースイベントで初めて彼女たちのCDを買って握手した思い出がある1曲なので、やっぱりその時のことを思い出してしまいます。もっともその時のMCの思い出はNao☆ちゃんの”ラッキー、クッキー、もんじゃ焼き”とあらゆる意味でツッコミどころがあるワンフレーズ…。あの時はこんなに天然な人なんだなぁと思った記憶あるのですが、今ではすっかりワールドにハマってしまっています。最近”今でしょ!”の元ネタは実は彼女だったのではないかと思い始めてます。さすがに嘘です。でもこの曲がホールでも映える楽曲になったなぁというのは間違いなく本当のことだと思いました。

アンコール

 「アンコール!ネギ!」というコールが響き渡る中、再び3人が登場。このツアーはサトウ食品協賛で、毎回10人の方にコラボTシャツが当たるという抽選会が行われていますが今回は100人。さすがに抽選するのは難しいというわけで終演後番号を貼り出すという形式でした。ちなみに私は惜しくも番号1つ違いでした。そして告知。日比谷野外音楽堂の他にHARD OFF ECOスタジアム新潟で行われる音楽フェス・音楽と髭達に出演することも決定。そしてその球場で来週行われる公式戦・横浜DeNA対巨人の試合にNao☆ちゃんが始球式で参加することも決定。ちなみに試合の協賛もサトウ食品だそうです。更に8月11日にはニューシングル発売の発表が。こちらはどんな曲と言われると、ぽんちゃ曰く”分からない”の一言。まだ決まったばかりでレコーディングもしてないようなので、詳細を待ちましょう。

 アンコールで演奏されたのは「さよならMusic」「光のシュプール」。なんとこのライブでは地元新潟の放送局・新潟放送(BSN)のローカルニュース番組で生中継ということで、その時に演奏されていたのが「さよならMusic」でした。もしかすると往年のザ・ベストテンみたいに地元アナウンサーも出てくるのかなと思いましたが、さすがにそれはなかったです。そしてラストの「光のシュプール」。歌詞に幾度となく繰り返される”終わらない”のフレーズを締めにする辺り、やはり意図するものが次のステージであることを示唆する内容ではないかとあらためて感じました。

 全ての楽曲が終わって、あらためて3人が一人ずつ感想を述べます。そして会場の全員をバックにして記念撮影。スクリーンの向こうに移動して退場、それが降りてくる中最後まで手を振って観客の声援に応えていました。

おわりに

 新潟は関西からだと案外距離が遠く、夜行バスだと10時間もかかります。自分は前日に東京まで夜行バス、そこから上越新幹線で越後湯沢まで乗ってあとは2日間えちごツーデーパスを利用して新潟県内の鉄道を乗りまくったわけですが。ただ古町や万代など意外とNegiccoの聖地とも言える場所には足を運んでいないので、次に新潟を訪れる時はそこをメインで回りたいです。あとWILLER EXPRESSは新潟の停留所がえらく中途半端だったので、今度は万代バスターミナルから出る新潟交通を利用したいです。そこのカレーライスも大変美味しく、また聖地とも言える場所らしいので。

…という話ではなくて。ライブに関しては、本当に来て良かったとこれだけ思える現場も滅多にないという感想でした。そしてNegiccoにとって最大のハイライトになるという予想は良い意味で外れたような気もしました。日比谷野外音楽堂はキャパシティが3000ほどで一気にグレードアップしますが、今のNegiccoの勢いならそこさえも埋めるような気がします。サマソニと重なったり盆だったりで結構大変な条件ですが。

 「圧倒的なスタイル」以降は、完全に新潟県民会館をNegiccoの手中に収めたと言っても過言ではなかったと思います。ライブハウスでやっているいつものNegiccoのライブ(といってもそんなに参戦歴ないんですが)と全く同じ雰囲気だったのではないでしょうか。また長谷さんのピアノ演奏で聴かせる演出も楽しめて、本当に守備範囲の広いグループになったなぁということも感じました。さすがに新潟最大級のキャパシティ・朱鷺メッセのワンマンはまだまだという感じもありますが、もしかすると日本武道館ワンマンは来年辺り本当に実現するかもしれないという勢いでした。

 Perfumeの3人もMCで話していたことがありますが、大きな会場は案外ステージで立っている時より立った後の方が実感わくのだそうです。彼女たちの場合1回目の東京ドームがそれだったという話でした。もしかするとNegiccoの3人も後々それを感じるのかもしれませんが、矢継ぎ早に決まる大会場でのライブ。意外と感慨に浸るどころじゃないのかもしれません。日比谷野外音楽堂は3ヶ月後、おそらくそれより大きい会場か次の全国ツアーもすごい勢いで決まると思います。次のシングルの内容次第ではそれが更に加速されるでしょう。

 ただ2年前に握手した時に感じた一人一人のファンへの丁寧かつ温かいやり取り、ゆるくてほんわかとする雰囲気のMC、そして新潟に根ざす地域性。これだけはずっとそのままでいて欲しいとともに、おそらくそのままでいてくれそうという期待もあります。長い長いNegiccoのサクセスストーリーはまだ終わらないどころか、実は序章に過ぎないのかもしれません。おそらくグループの活動が終わるその時まで彼女たちを追い続けることになると思います。3人の軌跡、あるいは奇跡というべきなのでしょうか。Negiccoファンの方は勿論、このレポを読んでもし興味を持った人がいれば是非作品を聴いてリリースイベントに足を運んで頂ければと切に願います。

 

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