歴代紅白歌合戦歌唱曲・演奏時間&構成表(第22回・1971年その1)

 昨年、カラー映像が全編残っている第23回(1972年)から第73回(2022年)まで51年分歴代紅白歌合戦歌唱曲・演奏時間&構成表を作りました。内訳はこちらの記事を見て頂きたいですが、先日4Kリマスターでこれまで全編放送のなかった第22回(1971年)NHK紅白歌合戦がこの土日にわたってオンエアされました。

 本編レビューは年明けを予定していますが、オンエアの熱が冷めやらないうちにこの原曲比較と時間計測をここでやっていきます。記事は3部構成で、この年出場の紅白各25組中各10組・全20組ずつ振り返ります。3つめの記事で演奏時間ランキングを作る予定です。

 

演奏時間&構成表 1(第22回・1971年)

 演奏時間・構成は紅白歌合戦で実際に披露したステージを指しています。フル再生時間はSpotifyの音源基準、オリジナル未配信曲は手持ちのCDからインポートしたiTunes音源を基準としています。

 

曲順 楽曲 アーティスト 演奏時間
構成
フル再生時間
構成
1(白1) また逢う日まで 尾崎紀世彦 2分17秒
2コーラス
2分55秒
2コーラス+サビ
2(紅1) 17才 南 沙織 1分54秒
2コーラス
2分49秒
2コーラス半
3(白2) 空に太陽がある限り にしきのあきら 2分21秒
2コーラス
2分42秒
2コーラス
4(紅2) 何かいいことありそうな ピンキーとキラーズ 2分13秒
2コーラス
3分35秒
2コーラス半
5(白3) 想い出おんな 美川憲一 2分7秒
2コーラス
3分37秒
3コーラス
6(紅3) 天使になれない 和田アキ子 1分49秒
1コーラス+サビ
3分17秒
2コーラス+サビ
7(白4) この世のある限り 坂本 九 2分12秒
2コーラス+サビ2
3分2秒
2コーラス+サビ2
8(紅4) 私という女 ちあきなおみ 2分5秒
2コーラス
3分22秒
3コーラス
9(白5) 掠奪 西郷輝彦 2分51秒
冒頭+2コーラス
2分58秒
冒頭+2コーラス
10(紅5) 希望 岸 洋子 2分26秒
1コーラス半
4分36秒
3コーラス
11(紅6) 知床旅情 加藤登紀子 2分6秒
2コーラス
3分17秒
3コーラス
12(白6) 「にっぽんのうた」から デューク・エイセス 2分28秒
3曲
いい湯だな 0分40秒
1コーラス
2分49秒
4コーラス
女ひとり 0分46秒
1コーラス
3分23秒
3コーラス
筑波山麓合唱団 1分1秒
冒頭+終盤
3分28秒
1コーラス
13(紅7) 長崎未練 青江三奈 2分28秒
2コーラス
4分1秒
3コーラス
14(白7) よこはま・たそがれ 五木ひろし 2分3秒
2コーラス
3分33秒
3コーラス
15(紅8) わたしの城下町 小柳ルミ子 2分4秒
2コーラス
2分58秒
2コーラス半
16(白8) 花嫁 はしだのりひこと
クライマックス
2分22秒
2コーラス
2分54秒
2コーラス
17(紅9) みちのく小唄 藤 圭子 1分15秒
2コーラス
3分22秒
6コーラス
港の別れ唄 藤 圭子、内山田洋と
クール・ファイブ
1分25秒
1コーラス
2分39秒
2コーラス
18(白9) 初恋 舟木一夫 2分28秒
2コーラス
3分53秒
3コーラス
19(紅10) 竜飛岬 島倉千代子 2分28秒
2コーラス
3分22秒
2コーラス
20(白10) 北海太鼓 北島三郎 2分41秒
1コーラス半
3分14秒
2コーラス

各ステージ・補足

 尾崎紀世彦は日本レコード大賞を引っ提げてトップバッター、堂々のステージでした。最後の繰り返しがカットされる2コーラス、1曲目にして早くも大熱唱のステージです。

 紅組トップバッターの南沙織は本来のイントロ前にテレビ番組オリジナルの演奏が加わりました。やや速いテンポ・間奏半分カット・最後のフレーズは1回繰り返しのみ。やや派手な締めがあったものの、演奏時間は2分を切る短さです。

 にしきのあきらはオープニングでラッパの演奏を披露、歌は2コーラス=フルコーラス披露。ただ間奏は大部分カット、テンポもかなり速めでした。

 紅組歌手が帽子を使って応援するピンキーとキラーズですが、キラーズのメンバーはこの年演奏無しでコーラスのみでした。「何かいいことありそうな」はサブスクでも解禁されていますが、それと比べると曲調が変わるレベルでの速いテンポで進みます。

 拍手が終わらないうちに始まる美川憲一「想い出おんな」、演奏開始時間がやや掴みにくいです。1番と3番の2コーラス。ラストの1フレーズ繰り返しはカットされずそのまま、アウトロも原曲に準じた演奏でした。

 和田アキ子の「天使になれない」は、意外にも2作しかないオリコン週間10位以内に入ったシングル曲のひとつ。実績の割に紅白で1度しか歌われていませんが、その紅白でも2番カットで1コーラス+サビのみ。2分を切る短いステージになってしまいました。

 大々的に柏木由紀子との結婚を祝福された坂本九は「この世のある限り」を熱唱、その花嫁がサプライズ登場する演出でした。原曲よりもテンポが速くなったことで、スウィングのフィーリングを新たに取り入れたような歌唱となっています。フルコーラスで演出も豪華、それだけにヒット曲が出なくなっていたとは言え翌年の落選に驚いた視聴者は当時多かったのではないでしょうか。

 独特のデザインの衣装が異彩を放つちあきなおみは、「私という女」の1番・3番を歌唱。

 西郷輝彦の「掠奪」は冒頭から2コーラス、テンポやや速いものの完全フルコーラス。1番終了後の演奏停止もしっかり再現されていましたが、ここで次の紅組演奏を間違って演奏し始めるハプニングが発生しました。なおこのステージでの演奏停止時間は原曲より心持ち長め、1分37秒辺りだと短いステージなら終了している時間で、そうなるとこのハプニングは無理もない出来事だったのかもしれません。

 前年病気のため出られなかった岸洋子はこの年あらためて「希望」で出場、イントロがシングルと異なるメロディーになっています。当時のヒット曲としては1コーラスかなり長めなので1番と3番後半からの構成でしたが、フィナーレに向かって盛り上がる演奏と歌唱はまさにレコード以上の内容。圧巻のステージでした。

 40名全員の審査員紹介とザ・ドリフターズが絡む応援合戦を経て、加藤登紀子が「知床旅情」を歌唱。司会が喋り終わらないうちに演奏開始、テンポだけでなく段取りからして慌ただしい状況でした。1番と3番の歌唱(最後1フレーズ繰り返しあり)、原曲には無いピアノの音が異彩を放ってます。

 デューク・エイセスは47都道府県歌う『にっぽんのうた』(実際は『にほんのうた』として発表されていますが)から3曲披露、「いい湯だな」「筑波山麓合唱団」はそれぞれ第19回・第20回に続く再演。「いい湯だな」は水上の1番、「女ひとり」は大原三千院の1番、「筑波山麓合唱団」は冒頭と4人揃ってゲロゲロゲーと歌う箇所を歌唱しました。

 青江三奈は「長崎未練」、前年までに残した3年の実績を考えると急に出番が早くなった印象でした。1番と3番の歌唱、間奏もかなり短くされています。

 五木ひろしは「よこはま・たそがれ」で初出場、ここから大晦日は50年連続で紅白歌合戦に出演します。1番と3番の歌唱、テンポ少し速いため演奏時間は短めでした。

 イントロで階段を歩きながら司会の水前寺清子とトークする小柳ルミ子、名場面であると同時に時間が相当押していたことも分かります。年間1位の曲ですがこれもテンポ結構速め、ただ彼女の歌唱が遅れがちなことを推察してでしょうか間奏でテンポを落としてます。1番と2番の歌唱。

 はしだのりひことクライマックスが歌うのはもちろん「花嫁」、元が短いので最後の繰り返しでフェイドアウトする以外フルコーラスです(ステージは1度繰り返し)。イントロ・間奏のメロディーが原曲と比べてややはね気味になっていました。

 東北6県を歌う藤圭子は青森と岩手を歌って早くも終了、直後に内山田洋とクール・ファイブが登場して「港の別れ唄」を披露。本番直前で前川清が急病に伴い辞退、当時妻であった彼女が代わりに歌うという演出でした。急遽のことなのでクールファイブの面々はマイクスタンドでは無くコードマイク1本ずつ2本使用、マイクを持ちながらコーラスする光景は他であまり見られなかった使い方ではないかと思われます。

 『繭子ひとり』出演者が登場後に歌うのは舟木一夫で「初恋」。「絶唱」に近いテイストの和製歌謡で、衣装も和服姿でした。1番と3番の歌唱。

 舟木さんの演奏が終わらないうちに津軽三味線の演奏開始、島倉千代子の「竜飛岬」は聴かせる本格演歌でした。歌以外の演奏がかなり長いため、2コーラスの歌唱ですが結果的にはフルコーラスとなっています。

 北島三郎の「北海太鼓」は冒頭白組歌手の太鼓演奏でしたが、本編以降は本職の方による太鼓演奏でした。2コーラスですが、2番は中盤パート省略の構成になっています。

 

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