歴代紅白歌合戦歌唱曲・演奏時間&構成表(第29回・1978年その1)

 今回は1978年・第29回のステージ演奏時間・構成の一覧を作成します。

 ヒット戦線にニューミュージックやロックが本格的に進出、この年のレコードシングル売上ランキングは新しい時代の到来を感じさせる顔ぶれが揃いました。一方これまでヒットの中心にいた演歌が空前の大不振、さらにレコード年間トップ3独占のピンク・レディーがまさかの辞退宣言。新世代アーティストはテレビ出演を拒否する歌手も多く、1970年代ではもっとも制作に頭を悩ませた紅白歌合戦だったかもしれません。

 

演奏時間&構成表 1(第29回・1978年)

 演奏時間・構成は紅白歌合戦で実際に披露したステージを指しています。フル再生時間はSpotifyの音源基準、オリジナル未配信曲は手持ちのCDからインポートしたiTunes音源を基準としています。

曲順楽曲アーティスト演奏時間
構成
フル再生時間
構成
1(紅1)夏のお嬢さん榊原郁恵2分9秒
2コーラス
2分53秒
2コーラス半
2(白1)バイブレーション
(胸から胸へ)
郷ひろみ2分18秒
1コーラス半
3分48秒
2コーラス
3(紅2)シンデレラ・ハネムーン岩崎宏美2分22秒
2コーラス半
3分58秒
3コーラス半
4(白2)カナダからの手紙平尾昌晃・畑中葉子2分11秒
2コーラス
3分3秒
2コーラス半
5(紅3)火の国へ石川さゆり2分22秒
2コーラス
4分19秒
3コーラス
6(白3)国道ささめ雪狩人2分21秒
2コーラス
3分14秒
2コーラス半
7(紅4)かもめはかもめ研ナオコ2分14秒
1コーラス半
4分25秒
2コーラス
8(白4)グッド・ラック野口五郎2分35秒
2コーラス
3分17秒
2コーラス
9(紅5)坊がつる讃歌芹 洋子1分58秒
2コーラス
3分52秒
4コーラス
10(白5)許してください角川 博1分48秒
1コーラス半
4分22秒
3コーラス
11(紅6)しあわせ芝居桜田淳子2分15秒
1コーラス半
3分57秒
2コーラス+サビ
12(白6)ブルースカイブルー西城秀樹2分39秒
1コーラス+ラスト
5分13秒
2コーラス+ラスト
13(白7)あんたのバラードツイスト2分30秒
1コーラス半
4分28秒
2コーラス
14(紅7)飛んでイスタンブール庄野真代2分29秒
2コーラス
3分17秒
2コーラス+サビ
15(白8)青葉城恋唄さとう宗幸2分3秒
2コーラス
4分5秒
3コーラス半
16(紅8)Mr. サマータイムサーカス2分23秒
2コーラス
3分56秒
3コーラス半
17(白9)タイム・トラベル原田真二2分24秒
1コーラス+ラスト
3分56秒
3コーラス+ラスト
18(紅9)迷い道渡辺真知子1分57秒
2コーラス
3分3秒
3コーラス

各ステージ・補足

 榊原郁恵がこの年初出場でトップバッター、代表曲「夏のお嬢さん」を歌唱。フレッシュなステージですが、テンポは最初から速めです。

 2年連続白組トップバッターの郷ひろみは「バイブレーション(胸から胸へ)」。1コーラスが長いため構成は1コーラス半。ダイナミックなステージ、テンポはこちらもやや速くなっています。

 岩崎宏美の「シンデレラ・ハネムーン」はイントロから尋常ならざるテンポの速さ、バックダンサーの動きを見ていても、焦っているのではないかとまで思える慌ただしさでした。歌っている最中にテンポが速くなる場面もあり、番組開始15分でこんなに巻く必要があったのでしょうかと思えるくらいです。1番と3番にラストも加わる歌割りは、前半に登場する他の歌手よりも多いくらいですが…。(ステージレビュー→紅白名言集解説・25~シンデレラ・ハネムーンの謎~

 白組2番手の「カナダからの手紙」は平尾昌晃・畑中葉子のデュエット、平尾さんは当時16年ぶりの紅白出場でした。一応演歌にカテゴライズされる曲だとは思いますが、テンポはこちらも原曲より相当速いです。間奏も半分以上カットされていました。

 石川さゆりは故郷・熊本を舞台にした「火の国へ」の1番と3番を歌唱。さすがにこの曲はじっくり歌い上げるタイプの演歌なので、テンポアップは無しでした。ただ間奏は相当カットされています。

 狩人若干程度テンポ速いものの、1コーラスしか歌えなかった前年の「あずさ2号」と違って2コーラス。ヒットとしてはもう少しでしたが、前回よりは確実に持ち味を発揮できたステージだったように見えます。

 前回は歌番組出演どころでなかった研ナオコは、「かもめはかもめ」の大ヒットで2年ぶりの紅白復帰。中島みゆき提供の名曲を聴かせるステージですが、間奏無しの1コーラス半はやはり構成に物足りなさが残ります。その代わりに、もう1つの持ち味であるタレント性を活かした応援で活躍していました。

 前回かなりカット箇所が多かった野口五郎は、2コーラスのみの「グッド・ラック」をフル歌唱。ただその代わりテンポは原曲よりかなり速め。どちらかと言うとバラード調とも言える楽曲が、完全に小気味良いアップテンポに変化する演奏でした。(ステージレビュー→紅白歌合戦・野口五郎の軌跡

 芹洋子はこの年初出場、歌唱曲は「四季の歌」ではなく「坊がつる讃歌」でした。1コーラスが短いので3コーラスでもいいくらいですが、結果は間奏も無しの2コーラス。したがって演奏時間は2分を切っています。

 同じく初出場の角川博は前年1月に発売の「許してください」を歌唱。講談調の曲紹介は凝っていましたが、歌は間奏無しの1コーラス半(1番と3番後半)で2コーラスさえも歌えず。テンポまで原曲より速くなるという扱いの悪さでした。

 桜田淳子はこちらも中島みゆき提供の「しあわせ芝居」を歌唱。代表曲の1つになりましたが、紅白では1コーラス半(1番+2番Bメロ以降、ラスト繰り返し無し)の歌唱。テンポも少し速めでアウトロも数秒の短さでした。(ステージレビュー→紅白歌合戦・桜田淳子の軌跡

 西城秀樹は1コーラス歌唱後にラストパート。イントロから1番まではほぼ原曲通りですが、ラストは歌っている間にテンポが急に速くなる編曲になりました。ただドライアイスを駆使したステージは圧巻の内容で、22年後の紅白でも再び歌われる形になっています。(ステージレビュー→紅白歌合戦・西城秀樹の軌跡

 中間審査後の初出場6組はニューミュージックコーナーとしてわざわざコーナー化、なぜか前後に南カリフォルニア大学チアガールのダンスを挟むという謎の演出でした。ツイストはデビュー曲「あんたのバラード」、ただフルで2コーラス4分超という長さなので、紅白での歌唱は1コーラスと2番ラストのみになっています。(ステージレビュー→紅白歌合戦・バンド出場歌手の歴史

 庄野真代は生のバックバンド持ち込みで「飛んでイスタンブール」を2コーラス、この時期の初出場歌手としては好待遇です。ただテンポは原曲より明らかに速め、間奏もほぼカットでした。

 さとう宗幸はかの有名な「青葉城恋唄」、ギターを弾きながら1番と3番を歌唱。1コーラスが短いということもあって、演奏時間はやや短め。

 サーカスは「Mr. サマータイム」を2コーラス、1番と転調後の3番を歌唱。ラストの繰り返しは無いものの、テンポ・アウトロも含めて比較的原曲に忠実なアレンジでした。

 原田真二は生のバックバンド持ち込み、本人もピアノを弾きながら歌唱。歌は1番Aメロ+2番Bメロ+2番サビ+ラスト繰り返しで全体の半分以上がカットという具合ですが、20秒以上にわたるアウトロの演奏は当時の紅白だとほとんどない編曲。見事な内容でした。

 コーナーのラストを飾る渡辺真知子は、レコ大最優秀新人賞受賞曲の「迷い道」を2コーラス。1番と3番の歌唱でテンポもほぼ原曲通りでしたが、意外と1コーラスが短いため演奏時間は2分に乗らない結果となりました。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました