さて、今回の紅白歌合戦について総括するとともに、次回についての提言もいくつか書いてみましょう。

 

・全体的な流れ、ステージの質

 良かったと思います。歌を大事にする演出は次回以降も継続を求めます。音声も今回は問題になる箇所全くなく上々でした。ただカメリハはもう少し時間をかけても良いのではないでしょうか。

 

・司会

 白組司会の中居正広は一部空振りする箇所もあれど、全体的に効果的なアドリブも沢山出ていてさすがの司会ぶりでした。アーティストの曲にしっかりと敬意を表して紹介する場面は歴代の白組司会者の中でも屈指のレベルでしょう。非常に安定していました。次回も続投を求めます。

 一方紅組司会の仲間由紀恵は過去2回と比べてもイマイチな司会ぶり。カンペに目がいくのは仕方がないとしても、事前にプレッシャーをかけられたせいかどうも前半は曲紹介などで詰まる場面が目立ちました。アドリブも2、3年前と比べても利いていないような感じで、それを最も端的に表した場面はセクスィー部長のシーンでしょう。中居さんとの息は合ってなくはなかったですが、全体的には完全に押され気味だったのは疑いないところ。次回も彼女の紅組司会を望む声があるようですが、個人的には変えてほしいです。
 総合司会の松本和也アナも特に問題なく安定した進行でした。3年単位でのテーマを定めていることを考えても次回続投は間違いないでしょう。

 次回は第60回ということもあって、過去の紅白司会者が揃うコーナーも予想されます。あるいは全体的な進行を中居と松本アナに任せて、歴代司会者がそれぞれ司会進行をリレー方式でやるという可能性もなくはありません。まあそれをやると進行が煩雑極まりなくなるので止めた方がいいとは思いますが、でもゲストで出てくるくらいならちょっと期待してもいいかなと考えています。

 

・曲目、曲順

 曲目はJ-POPに関しては全く問題ないですが、演歌で新曲が少なく同じような古い曲が多いのはやはり気になるところ。ヒットのない大御所はともかく氷川きよしや天童よしみなどヒットしている歌手でも懐メロを選曲するのはちょっと疑問が残りました。ステージが良く、演出も合っていたので許容範囲ではありますが、今回歌われなかった「玄海船歌」「幸せはすぐそこに…」はヒットが出なくなった年にあらためて、今回の「北の漁場」みたいに歌われることを願います。

 流れを意識した曲順も大方問題はないのですが、最終盤に関してはやっぱり気になりました。紅組と白組の間に勢いの差があり過ぎで、特にトリに関しては歴然としていました。これは演出というよりも両歌手のパフォーマンスの方に表れていたのでどうしようもない所ですが、紅組は次回記念碑的なトリになる可能性のある人は少ないはずなので本当にトリにふさわしいパフォーマンスを出来る人になってほしい所。紅組大トリが2004年以来ない、と言うより21世紀になってから1回しかないのでいい加減そろそろ欲しいところ。天童よしみ石川さゆり辺りはもう次回にでも大トリにして良いように思います。

 さて次回は第60回ということで、通常通りに考えると例年以上におなじみの懐メロが多くなることが予想されます。ただそれをやると、せっかくここ数年時代に合った演出になっている部分が逆戻りになる可能性が非常に高くなるので賛成できません。ここで1999年(第50回)の後半の曲目と曲順を見てみましょう。

松田聖子「SWEET MEMORIES」(1983年)
郷ひろみ「GOLDFINGER ’99」(この年の大ヒット曲)
坂本冬美「風に立つ」(この年の曲)
三波春夫「元禄名槍譜 俵星玄蕃」(この年の大河ドラマの為だけに歌われた曲、ただしステージは最高の内容)
小林幸子「やんちゃ酒」(この年の曲はこれが最後)
さだまさし「奇跡~大きな愛のように~」(1991年、紅白では2回目)
由紀さおり・安田祥子「故郷」(童謡、紅白では2回目)
森 進一「おふくろさん」(1971年、紅白では4回目)
石川さゆり「天城越え」(1986年、紅白では3回目)
谷村新司「昴」(1980年、紅白では4回目)
天童よしみ「川の流れのように」(1989年、美空ひばりのカバー)
五木ひろし「夜空」(1973年、紅白では初歌唱)
和田アキ子「あの鐘を鳴らすのはあなた」(1972年、紅白では3回目)
北島三郎「まつり」(1984年、紅白では3回目)

 とまあ、1999年とは全く思えない曲順でした。紅白でも過去に複数回歌唱している曲ばかりで新鮮味もほとんどなく、また前年はSMAPがトリ2つ前、安室奈美恵がトリ前だったこともあって完全に時間が引き戻された感覚に陥りました。ここ数年はその年を代表するJ-POPが後半に歌われることも多くなったので、当時のようなことがもし繰り返されることがあれば紅白歌合戦の将来にも関わります。

 そういう面では、ここ2年新曲はSMAPがラスト&最後の4曲が懐メロというのはちょっと不安材料です。2007年は阿久悠を追悼する意味合いがあり、今回は演出と氷川きよし大トリという人選で救われた面がありますが、3年連続その傾向はちょっといただけません。個人的には第60回だからこそ今後に繋がるような曲順にしてほしいですし、またトリは特にそうしてほしいと思います。だから一番理想なのは圧倒的にDREAMS COME TRUEMr.Children。果たして双方とも次回の紅白に出てくれるのか疑わしい部分がありますが…。この2組でないにしても出来る限り新鮮な人選を望みます。特に和田アキ子北島三郎は絶対にトリに選ばないでほしいと思います。五木ひろしも出来れば避けて欲しい選択。SMAPはギリギリセーフという所ですが、そうなると他にいなかったからという風にも取れなくもないです。新曲で締めるのならばいいのですが、「世界に一つだけの花」で大トリは完全にアウト。昔みたいな、悪い意味での「いかにも…」という感が出てしまいますからね。今回の曲順は例年になく「攻め」の姿勢が出ていたので、その姿勢は絶対に崩さないでほしいところです。

 

・審査方法

 視聴者投票は今の時代だからこそ出来るサービスなので今後も続けざるを得ないと思いますが、せめて同じ人の名前で2つの媒体で審査員応募できないという風にはできないでしょうか?その辺は技術的な問題もあるので微妙なところですが、それでもケータイとワンセグはもう2つに分ける必要もなく、1つにして良いと思います。今の携帯電話はワンセグがついて当たり前ですからね。

 ファンの熱狂度が高い歌手が白組の方に多いのが悩み所。SMAP、氷川きよし、東方神起辺りはその歌手がいるから白組に投票するという人がかなり多そう。紅組だと強いて言ってPerfumeくらいで…。特定の歌手のファンは投票禁止、なんてことはまず不可能ですからね(そもそもファンの境界線が曖昧で、ファンクラブに入っていなくても熱狂的な人はいるはず)。

 ゲスト審査員の扱いもまた微妙な所。票の価値が軽くなった分今の方が間違いなく気楽に見れるので良いように思いますが、ちょっと白組に偏り気味の近年の傾向を考えると…。やっぱり昔に戻って最後にボールを投げる方が味があっていいんじゃないかな、という気がしますね。視聴者もよく考えればどうしても白組に勝ってほしい!と思っているのはごく少数ですし、視聴者の票数の価値云々を言う人なんて少ないはずです。ゲスト審査員もよく考えれば一番前で見ているわけですから一番審査しやすいはずで、票の重みがあっても疑問はないでしょう。ちょっと乱暴な結論になってしまいましたが…。

 

・最後に私案

 次回の大晦日の紅白は第60回とはいえ、特に出場歌手の人選や曲目・曲順は全くそれを意識せず今回・前回を踏まえてやるべきだと思います。合間のショーコーナーで「紅白60回を振り返る」みたいなものがあってもいいですが、それで十分です。あくまでも2009年の紅白歌合戦であることを大事にしてほしいです。後半に全く1999年であることを感じさせなかった第50回の歴史は絶対に繰り返して欲しくないですね。

 と言いつつせっかくの第60回、過去の紅白もやっぱり振り返ってほしいわけです。そこでこんな企画を考えてみました。箇条書きで。

「第60回記念!思い出の紅白歌合戦」
・放送時期は12月前半の土曜日に総合で(大晦日直前はリハがあるのでNG、総合が無理ならBSでも)
・放送時間は午後9時から11時45分まで(無理なら7時20分から10時くらいでもOK)
・セットはもちろん昭和のセット、出来れば1973年か1974年辺りの復刻を希望
・司会は水前寺清子と堺正章(さすがに山川静夫や鈴木健二は年齢的に厳しい)。
・出場歌手は昭和の紅白に1回でも出場した歌手を各15~20組ほど
・もちろんバックバンドも紅白に分けて、ついでにテンポが異常に早いステージや2分以内の演奏時間のステージもやってみよう
・亡くなった歌手や引退した歌手も映像で振り返る
・もちろんスタインソングに乗せて入場行進
・ついでなら萩本欽一や桂三枝辺りも呼んで応援合戦もやってみよう
・一応審査員も呼んで最後にどちらが勝つか審査してもらう

こんなのがあってもいいんじゃないかなぁと個人的には思うわけなんですが。