絢香(4年連続4回目/第57回/2006/22/大阪府出身)
「みんな空の下」(2009/絢香/絢香/初)
~いよいよラスト!万感の熱唱!~

 いよいよ残り各2組、両組の出場歌手がそれぞれのステージ脇に登場します。紅組は小林幸子天童よしみ以外はJ-POP勢が目立つ顔ぶれ、倖田來未と一緒に歌ったmisonoが随分目立っています。
 まずはステージ上で本人からのメッセージ。「私にとって歌はなくてはならないものです。その歌・音楽に感謝の思いを込めて、そしていつも応援してくださっている皆さんに感謝の気持ちをこめて心から歌いたいと思います。聴いてください。」
 真っ赤なドレス、バックの演奏はピアノのみでひたすら熱唱。歌ももちろんですが、それ以上に特筆すべきはカメラワーク。映像が残っていない時代はわかりませんが、1ステージで全くスイッチングを行わないというのは紅白どころか他の歌番組でも類を見ない画期的なことではないでしょうか。これはおそらく歌っている絢香の表情を余すところなく伝えようというスタッフの意図、そして本人の了承があって成り立つことで、それは演出的にはかなり勇気のいる内容でもあったように思います。色々意見はあるかもしれませんが、個人的には非常に素晴らしい判断だったように感じます。
 バセドー病の治療で活動休止ということですが過去の事例を見るに、おおよそ1年、長くても2年以内で戻ってくるでしょう。あるいはその間に妊娠・出産という可能性もあるので何とも言えない面はありますが、もしかすると次回の紅白がそのまま復帰のステージになるかもしれません。いずれにしても紅白のステージに帰ってくることは間違いないはずなので、その時を期待したいですね。今は無理をせず万全な状態で帰ってくることを願いたいです。(5分3秒)

(解説)
・その後上記に書いた通り、2年後の第62回(2011年)で紅白復帰する形となりました。その後も出演回数を重ねて、紅白には第67回(2016年)まで計8回出場しています。

・4月に結婚と病気公表後は活動をセーブして、ライブ出演も抑え気味になりました。活動休止直前は紅白を含めた各年末音楽番組に出演しましたが、ネット上では理解ない人のバッシングが当時目立っていた印象もあります。

・スイッチング無しで引きの絵も少ないカメラワークは紅白史上初で、その後も第64回(2013年)~第66回(2015年)の美輪明宏しかありません。それ以前だと第49回(1998年)で「母に捧げるバラード」を歌った海援隊も武田鉄矢のアップ多めでしたが、審査員席の表情が映る場面もありました。

SMAP(5年連続17回目/第42回/1991/32~37)
「そっと きゅっと~世界に一つだけの花」
 「そっと きゅっと」(2009/麻生哲朗/久保田利伸/初)
 「世界に一つだけの花」(2002/槇原敬之/槇原敬之/2年ぶり4回目)
~華麗に生まれ変わった「世界に一つだけの花」~

 SMAPの曲紹介はかつて白組司会を務めた阿部アナが進行。その前に西田敏行にコメントを求めます。「感動を頂きました。生きる力を頂きました。素晴らしかったですね。なんか、すみません泣いちゃって…。」「「歌の力」って「生きる力」ですよ。本当にありがとうございます。皆さん本当に、ありがとう…。」『探偵ナイトスクープ』でも頻繁に見られる西田敏行の涙ですが、もともと感情が常に表に出るタイプで、盛り上がるステージでは今回の審査員の中でも群を抜くぐらいノリノリでした。
 6年前に大トリで歌った時と同様、今回も阿部アナが曲紹介。白組歌手全員が花を持って応援します。阿部アナの横にいる遊助が目立っていますね。偶然にも、2ndシングルのタイトルになったたんぽぽを持ってます。
 幕が降りた状態で、階段上のステージで歌うのは「そっときゅっと」。Aメロ後半から少しずつ、メインの下のステージに移動します。その両脇には、花が飾られています。
 幕が上がり、階段ステージにはストリングス隊が登場。大きなビジョンに表示されるのは様々な花の映像。「世界に一つだけの花」は原曲と異なるアレンジで、生音がかなり強調されています。両脇にある花壇からそれぞれ一輪の花を摘み取って左ポケットに入れる、これもまた新しい演出。全員歌唱を含めると紅白では4回目になるこの曲ですが、例年とは違った新鮮さがありましたね。こちらもここ数年の中では上位に入る凝ったステージでした。(4分51秒)

(解説)
・西田さんと言えば感情豊かなリアクションで、2001年~2019年まで司会を務めた『探偵!ナイトスクープ』ではVTRを見て感動する場面が多々見られました。リアクションの大きさと陽気な性格は、第29回(1978年)の白組応援団長で出演した際に余す所なく発揮されています。

・「そっと きゅっと」を楽曲提供した久保田利伸は紅白に関して言うと第41回(1990年)にアメリカからの中継で出場したのみ。ただ楽曲提供については第36回(1985年)の田原俊彦「華麗なる賭け」、第47回のTOKIO「ありがとう…勇気」があります。

・「世界に一つだけの花」は2000年代の紅白で4回歌われる形になりました。その後第65回(2014年)でもメドレーの1曲として披露されます。SMAPがもし解散せず紅白出場を続けていたら、更に2回ほど多く歌われていたのではないかと容易に想像できます。

DREAMS COME TRUE(2年ぶり13回目/第41回/1988/44~51)
「その先へ~紅白スペシャルヴァージョン~」
 「MIDDLE OF NOWHERE」(2008/吉田美和/吉田美和/中村正人/初)
 「その先へ」(2009/吉田美和/中村正人/吉田美和/鎌田樹音/初)
~20周年で初めてのトリ!~
ギター:ニュートン・フォークナー

 ゲスト審査員の森光子にコメント。「歌の力強さ…何にも負けない凄さを、今日はいっぱい知らせていただいて、嬉しかったです。ありがとうございました。」そして「白組・紅組にもエールを頂けますか」という仲間さんの問いに「私から?」と答えた後、「とてもじゃないけど、恐れ多くて…。」その次の言葉を言おうとした瞬間「でも紅組も白組も勝ち負けではなく心を一つにして歌うということが本当に素晴らしい素敵なことだなと私も思わせて頂きました」と仲間さんが喋ります。そして「私が言うんですか…皆さんと同じです」と森さんが話して、ここのやり取りを締めます。
 「紅組最後の「歌の力」です」という曲紹介。まず披露されるのは2009年に発売されたアルバム『DO YOU DREAMS COME TRUE?』の中の一曲、「MIDDLE OF NOWHERE」。ギターは世界的なギタリスト、ニュートン・フォークナーBARKSのこの記事によると、この曲を歌うならこの人にギターをプレイしてほしいというドリカムたってのラブコールで実現したということらしいです。もっともそれ以上に吉田美和の歌声が響きわたっていたので、そこまで大きく目立っていたわけではありません。ただ実際本当に凄いギターテクを持っている人ということで、今後のドリカムのライブでももしかしたら見られるのかもしれません。
 「MIDDLE OF NOWHERE」と「その先へ」は別の曲ではありますが、先を見据える内容の歌詞という面では共通しています。「その先へ」からはバックバンドはもちろんのこと、三原綱木とザ・ニューブリードの演奏も加わってものすごい迫力です。スタジオで三原さん指揮のもと、ザ・ニューブリードが演奏する様子が大きなビジョンに映し出されます。ステージには本来のバックバンドだけでなく、featuring名義でこの曲にクレジットされているFUZZY CONTROLもいます。バンドだけでなくコーラス隊、大きなフラッグを振る専属ダンサーもいます。
 「みんなも歌え!もっともっと、ここへ届くように!」「みんなの愛する人へ届くように!」「もう会えない人へ届くように!」「その先へ!明日へ!」ラララ…のコーラスをバックに、吉田さんが魂を込めてこの場限りの言葉で熱唱します。「その先へ!」「来年へ!」もはや何も言うことはないでしょう。NHKホールだけでなく、テレビやラジオの向こうにいる人たちにも間違いなく届く感動のステージでした。当分の間トリあるいは大トリを定位置にしてもいいかもしれません。(4分43秒)

(解説)
・森さんはこの年『放浪記』上演2000回達成、国民栄誉賞を受賞します。この回で14度目の紅白出演、8回のゲスト審査員は史上最多記録です。ただこの時点で健康状態はかなり良くなかったようで、上記に書いたやり取りは決してスムーズに進んだとは言えず。相当な緊迫感が画面から伝わりました。このゲスト審査員が最後の紅白出演、芸能活動自体も翌年2月に休止するという形になります。2012年11月に92歳で逝去、その年の紅白では和田アキ子の「愛、とどきますか」のステージで追悼されました。

・スケジュールの都合で前年辞退したドリカムですがこの年は出演、演奏メンバーのいるJ-POPグループ初のトリになりました。「その先へ」を演奏するFUZZY CONTROLはドリカムのプライベートレーベル・DCT records所属のロックバンド。ボーカルの鎌田樹音はその後2012年に、吉田美和と結婚します。

・「MIDDLE OF NOWHERE」はシングル「連れてって 連れてって」のカップリング曲。当時パナソニックのCMソングとして多くオンエアされ、もしかすると表題曲より知名度高い楽曲かもしれません。「その先へ」はフジテレビ『救命病棟24時』第4シリーズ主題歌。このドラマから「朝がまた来る」「いつのまに」「何度でも」「さぁ鐘を鳴らせ」が主題歌になっていて、いずれも多くの支持を集める楽曲になっています。

北島三郎(23年連続46回目/第14回/1962/73/北海道出身)
「まつり」(1984/なかにし礼/原 譲二/3年ぶり5回目)
踊り:荒波ダンサーズ

 いよいよ最後です。審査員席前から阿部アナが、両司会にここまでの感想を尋ねます。仲間さんからも中居さんからも、「紅組・白組関係なく素晴らしいステージの連続で感動」という内容のコメントが出てきます。「最後の曲の紹介です!」とバトンを渡す阿部アナ、両司会にコメントを振る間にダンサーは客席通路にスタンバイ完了で準備万端。
 ラストのこのステージ、実はここまでに出てきた左下の表示がありませんでした。ハプニングではあると思いますが、生で見ていてそれに気づいた人はほとんどいないと思います。今回の紅白はこれまでのどの紅白以上に力の入ったステージが多く、両司会、そして総合の阿部アナも本当にスムーズに進行していました。あとはもうこのステージだけという惜別の思い、あるいはさっきのドリカムの余韻に浸っていた人、様々ではあると思いますがいずれにしても第60回の紅白は残り1ステージとなったわけです。もうここまでくるとそういうことは些細なことではないのかな、とあらためて感じます。
 ステージ中央に立つ両司会、今回は紅組白組歌手も最初から舞台に集まります。2人声を揃えて「まつり!」と曲紹介したこのステージは、もう紅白歌合戦の風物詩。大トリで歌われるのはもう4回目、第14回(1963年)から46回も紅白に出場しているいわば紅白の主。紅白の垂れ幕が上がって階段上のステージから登場する北島三郎はいつも通りの紋付袴、今回はエメラルドグリーンの衣装です。
 荒波ダンサーズという名前の踊りの服の色も赤と白。降りしきる紙吹雪の色も赤と白。両軍の出場歌手が持っている「60」と書かれたうちわの色も赤と白。そしてステージの電飾も赤と白。73歳という年齢もあって迫力という意味ではドリカムの方が上だったと思いますが、でもやっぱりこの人がいるからこそ紅白歌合戦、なのかもしれません。最後は「紅白」、ではなく「これが日本のまつりだよ」と本来の歌詞で締めました。
 今回は「まつり」らしいステージとは言え、いつもと比べると今回の紅白のここまでのステージ、あるいは60年という歴史をしみじみと感じさせる、そんな内容だったように感じました。おそらくは今回がサブちゃんにとって最後のトリになるのではないかと思いますし、「俺が出場できなくなってでも後輩の若手を出してあげたい」ということも言っていたのでもしかすると今回で最後になるのかもしれないですが、でもやっぱりこの人にだけは生きている限りずっと紅白に出続けてほしい、そんなこともあらためて思わせる内容でした。(4分11秒)

(解説)
・「まつり」はこの回で4度目の大トリ。複数回紅白のトリで歌われた楽曲は他にもありますが、大トリに限定するとこの曲以外に存在しません。また、3回大トリの時点で他になく、2回大トリもメドレーを除くと「帰ろかな」「風雪ながれ旅」のみ。つまり言うと、同じ曲で2回大トリに選ばれること自体が北島三郎しか達成していない大記録ということになります。

・最終的には第64回(2013年)、通算50回出場の年で勇退。「究極の大トリ」として「まつり」のステージが用意されましたが、その様子はまた本編レビューで書く予定にしています。

・「MIDDLE OF NOWHERE」はシングル「連れてって 連れてって」のカップリング曲。当時パナソニックのCMソングとして多くオンエアされ、もしかすると表題曲より知名度高い楽曲かもしれません。「その先へ」はフジテレビ『救命病棟24時』第4シリーズ主題歌。このドラマから「朝がまた来る」「いつのまに」「何度でも」「さぁ鐘を鳴らせ」が主題歌になっていて、いずれも多くの支持を集める楽曲になっています。

 さて最終審査です。紅白両軍の出場歌手はもちろん、先ほどギターを弾いていたニュートン・フォークナー、そして先ほどの「まつり」でも映っていましたがはるな愛もいます。もちろんmisonoも先ほどからずっと登場していて、目立っています。
 会場にうちわが上がります。今回は例年以上に白の色が目立ちます。ただゲスト審査員だけ見ると7vs3で紅組優勢。一応仲間さんは「紅も多いですよ」と言っていましたが、どう見ても白の方が多いです。なおゲスト審査員は白鵬関、勝間さんと森さんが白のうちわを掲げていました。
 今回も前回に引き続き1曲目からステージを振り返ります。紅白両組の出場歌手のステージはもちろん、こども紅白や「歌の力」、スーザン・ボイル、矢沢永吉の映像もそこに含まれていました。ワイプでは各出場歌手がその映像を見る姿。左下に紅組、右下に白組歌手の表情がそれぞれ映ります。
 ダイジェストが終わった直後、下手からせんとくんが再び登場。そして先ほどの「まつり」でサブちゃんの真横で歌っていたことについて、「中居さん最後何やってたんですか?」と阿部アナがツッコミ。「気持ちが入っちゃったんです」「北島さんにキスしようかと思いました」と中居さん。1月11日まで配信されるNHKオンデマンドの再放送のお知らせをはさんで、いよいよ結果発表。
 213029vs348679、今回もやはり白組の勝利。紅白史上初となる5連勝になりました。ケータイ・ワンセグ・デジタルTVいずれも白組が圧倒していましたが、特にケータイは28428vs65231で倍以上の差でした。「1回くらい勝たせてよ」と和田アキ子の声。
 「最後締めくくりました、おめでとうございます」と語って優勝旗を渡すのは原辰徳監督。握手してくださいと言う中居正広は小さい頃からジャイアンツ、その中でも原さんの大ファン。いつも以上に嬉しそうな笑顔でした。「申し訳ないです」という中居さんに対して「勝ち負けじゃないですよね、歌は!気持ちですよね」と仲間さん。確かにその通りなんですが、そこにはある種の開き直りといいますか、なんか色々なことを感じてしまったのはきっと私だけではないはず。

 最後は白い服装に赤い蝶ネクタイ姿の平尾昌晃先生の指揮で「蛍の光」。この曲をバックに乗せて映す出場歌手の表情は本当に良いものです。
 AKB48は白いワイシャツに黒いスカートというシンプルな衣装。後ろで大はしゃぎしている水森かおり、こっそりカメラ目線の黒田俊介(コブクロ)。初出場のFUNKY MONKEY BABYSも笑顔です。
 aiko木村カエラのツーショット、カメラに気づいて手を振ります。紅白で活動休止となる絢香も笑顔で「蛍の光」を口ずさんでます。涙はありません。
 一人だけ後ろを向いてうちわを振るあ~ちゃん(Perfume)に、満面の笑顔の北川悠仁(ゆず)小渕健太郎(コブクロ)flumpoolのメンバーが肩を組む姿も確認できます。そしてなぜかその横にいるはるな愛
 赤い着物姿の平原綾香伍代夏子水森かおりと手を振り、舞台正面は小林幸子の横にいきものがかりが並びます。舞台上手にゲスト審査員、その後ろにアリス德永英明。真ん中は大御所の面々に混じって、misonoがかなり目立っています。
 ラストのカメラの位置は、いつもの上手側ではなく下手側の1階席。紙テープ発射で終わります。2秒の静寂の後に鐘の音。そうです、「ゆく年くる年」。2009年も残り15分になります。

(解説)
・白組5連勝は当時の新記録。最終的には翌年の6まで伸ばしました。これまでの最長記録は3で、紅組が3度・白組が3度記録しています。

・NHKオンデマンドの放送はこの年から開始されました。また公式Twitterの開設もこの年。2009年10月からTwitterを利用しています、とはっきり書かれています。ネット環境の進化とともに、紅白歌合戦も展開が年々広がっていきます。

・エンディング、紙テープ発射のカメラワークはこの年6年ぶりに下手側からとなりました。2000年代はほとんどの年で上手側からのショットでしたが、この年を境に下手側からラストを映す形が恒例となります。なお左上の紅白歌合戦テロップと右下の「終」テロップは変化ありません。