aiko(9年連続10回目/第51回/1998/35/大阪府出身)
「恋のスーパーボール」
(2011/AIKO/AIKO/初)
~心をこめて笑顔でラブソング~
ゲスト審査員の松井冬子にコメントを求めます。「紅組は構築された統一美があったと思います。そして白組には甘美な歌声で大変魅了されています」。直後の曲紹介では、井上真央が彼女の大ファンであることを話します。
黒いリボンを3つつけた白い服に動きやすそうな黒いズボン、赤い靴が今回の衣装。バックのCGはタイトルに合わせたスーパーボールが流れます。アップテンポで動き回るパフォーマンスは大変彼女らしく、ラストサビの跳ねるようなアクションも印象的。安定の良ステージです。(2分47秒)
(ウラトーク)
ウラトーク審査の話をこのタイミングで思い出す神田アナ。聴いていた人もほとんどが忘れていそうな雰囲気ですが。
aikoを見て「20歳くらいの高円寺とか阿佐ヶ谷とかに住んでいる女の子みたい」「古着買ってそう」と話すテリーさん。神田アナも「下北っぽい」と言っています。「小田急線か、中央線」「リッチな感じじゃない、地方から出てきてさ、一人暮らししてそうだよね」と勝手なイメージのみで語っています。その後も高円寺に住んでそうな女性トークをひたすら進めていました。
(スーパーハイビジョン)
特記事項はありません。
(解説)
・ゲスト審査員の松井冬子は女性に焦点を当てた日本画を描く美術家です。この時期は横浜美術館で展示会を開催。画家の紅白ゲスト審査員選出は第39回(1988年)の安野光雅以来で、日本画に絞ると第25回(1974年)の橋本明治以来。平成では唯一の選出になりました。
・aikoのこの年のリリースはシングル2枚、「恋のスーパーボール/ホーム」と「ずっと」。「ホーム」は映画『阪急電車 片道15分の奇跡』の主題歌で、沿線にポスターが多数掲示されました。デビュー前に阪急沿線で暮らしていたaikoは、2005年に阪急宝塚本線の駅を舞台にした「三国駅」も発表しています。
ゆず(2年ぶり4回目/第54回/2002/34~35/神奈川県出身)
「Hey 和」
(2011/北川悠仁/北川悠仁/初)
~祝結婚!愛と平和の大合唱~
合唱:UZ choir 合唱指導:佐々木久美
ゲスト審査員の大竹しのぶ。「時々…あっごめん今コード踏んでたでしょ?」と横にいる田中将大にツッコミ。「マーくんのコードのくだり大丈夫なんで」と慌てて話を進めようとする嵐のメンバー。「立ち上がりたくなるのを抑えてます」「カメラに回らないスタッフさんの動きに感動してます」とコメント。笑い声が起きますが、スタッフの動きに関する感想はほぼ毎年出ています。
歌前にゆずの2人に今年を振り返ってもらいます。
北川悠仁「ツアーの直前に東日本大震災がありまして、一時はツアーをやれるのか、またツアーをやっていいのかすごく悩んだんですけど、今こそ歌を届けたい。そんな一心で急遽規模を縮小してツアーを回りました。またあの途中で東北ツアーをやらせて頂いたり、被災地にも歌を届けに行かせて頂いたり、あらためて歌の力を感じ、また多くの応援してくれる皆さんと絆を感じる一年でした」
岩沢厚治「震災直後に笑福亭鶴瓶師匠から、こんな時こそ音楽とお笑いやで、と言われまして本当に心に残りましたし、自分たちのやるべきことが見定まったかな、という感じですね」
ステージ上の2人の周りに250本のキャンドルが立てられます。100名を超える大合唱団は、合唱だけでなく手拍子の演出も入ります。ステージがまさに一体化していたというのは、こういうことを指します。2人の歌声も感情が非常に入っていて、非常に意義のある内容でした。(3分1秒)
(ウラトーク)
ゲスト審査員のショットを見て、「このツーショットなかなか見れないですね」「マーくん借りてきたの?タキシード?」。
ゆずのコメント中、キャンドルのセッティングの様子を実況。「急いで運ぶと消えちゃったりして大変」「20人くらいでセットしてるかな?」という状況です。そして「ラジオを聞いて勇気づけられた」という応援メッセージを見て、テリーさんがラジオの素晴らしさについて話します。
北川悠仁のエピソードをテリーさんが話します。「礼儀正しいんだよなぁ」「以前新幹線でお会いしたんですけども」「遠くの方に、わざわざ来てくれて」「母を連れて旅行しているんですって」という親孝行っぷりで。
大学時代まで横浜に住んでいた神田アナは、偶然彼らの路上ライブに遭遇したことがあるそうです。「凄い人だかりで」「後から考えるとこの2人だった」、そして「立ち止まって恋が芽生えたかもしれない」とのコメントに「やだ~、もっと早く言ってくださいよ~」と返します。結局神田アナには「何でもミーハーでいること」とアドバイスします。これが「若くいられる秘訣」でもあるのだとか。
ちなみにテリーさんはジャニーズの後輩とはよく洋服の話をしている模様。若い子と一緒の服を着る体型を維持するために、スポーツと腹七分を心がけているようです。
(スーパーハイビジョン)
特記事項はありません。
(解説)
・大竹しのぶは36年ぶり2回目のゲスト審査員。第26回(1975年)は連続テレビ小説『水色の時』ヒロインとしての選出でしたが、紅白の審査に「どっちでもいい」という迷言を残しています。この年舞台『ピアフ』を初演しますが、5年後に「愛の讃歌」を紅白で歌う姿は当時全く想像できなかったです。
・この年のゆずのシングルは「Hey和」と「翔」、同年発売のアルバム『2-NI-』の新曲は「HAMO」「代官山リフレイン」などが収録されています。歌唱曲の「Hey和」は2011年1月リリース。震災1ヶ月後のマリンメッセ福岡公演での演奏も配信され、その売上が日本赤十字社に寄付されます。元々は同社の献血のキャンペーンソングでした。
・合唱指導の佐々木久美は1980年代から多くのコンサートツアーに参加、キーボード演奏やコーラスを務めています。後年の紅白でもテロップに名前が載ることが多く、テロップ無しでもかなりの回数出演していたものと思われます。言うまでもなく、第70回(2019年)以降の紅白に出演している日向坂46のキャプテンは同姓同名の別人です。
倖田來未(7年連続7回目/第56回/2000/28/京都府出身)
「愛を止めないで」
(2011/倖田來未/谷口尚久/初)
~「セカンドバージン」主題歌でオトナの魅力全開!~
ゲスト審査員の鈴木京香にコメントを求めます。「すごく感激してます、出場歌手の皆さんのパフォーマンスからエネルギーとか勇気とか愛とか、色んなメッセージが受け取れるような気がして、本当に歌の力って凄いな、と思っています」「宮城県の出身なんですけれど、一人一人の祈りがゆずさんの今の曲の「Hey和」みたいなものを形づくっていくんじゃないかなと思って、そしてその祈りが、いま被災地で困難に立ち向かってる地元の皆さんにも絶対に届くはずだと思って、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございますと言いたいです。」その京香さんが主演した映画『セカンドバージン』の主題歌として、次のステージも含めた2組続けて曲紹介。
ステージは星空に彩られ、客席には赤色のサイリウム。バックにはバラの花も映し出されます。ボディラインを強調したドレスは5年前と似たような印象でしょうか。肌色の生地が、シースルーのボディースーツにも見えます。
ピアノのみの演奏・イントロ無しのサビから入る聴かせるステージ。ただMステスーパーライブの次の日に体調不良を起こした影響でしょうか、高音を出すのにかなり苦労している印象もありました。(2分21秒)
(ウラトーク)
鈴木京香が喋ってる間、テリーさんが若さを保つ秘訣についてお話中。「シャツを外に出すようになっちゃうとダメだね」。話が一区切りした所で、彼女は綺麗だという話になります。
早速倖田來未について「関西のオバちゃんっていう感じがするよね」とまたまた偏見に基づくトークを展開。「近寄りやすい感じが素敵ですよね」とは返します。「芋の煮っころがしとかくれそうだよね、隣に住んでたら。ヒジキとか」、確かに分からなくもないですが。
「妊娠10週目というのがどういう状態なの?」と話すテリーさんはごもっともですが、「それを私に聞きますか?」と出産経験のない神田アナのコメントも間違ってはいません。経験のある隣のディレクターによると「ウッと来る時が人によってはあるかも」。
(スーパーハイビジョン)
特記事項はありません。
(解説)
・鈴木京香が主演する『セカンドバージン』は前年NHKが放送したドラマで、その時の主題歌も倖田さん担当で楽曲は「あなただけが」でした。宮城県仙台市出身ということもあって、この年以降NHKの東日本大震災プロジェクトにも大きく関わります。
・倖田さんはこの年8月発売のマキシシングル「4 TIMES」収録にされた「Poppin’ love cocktail」でBACK-ONと共演しましたが、そのギタリストのKENJI03と12月に結婚。その時点で妊娠8週間であることも発表されます。
・翌年1月のアルバム「JAPONESQUE』発売後に活動休止、7月に第一子を出産します。その後10月に新曲発売、現在まで長く活躍しています。
・この時期からカバーも積極的に発表するようになりました。Tik Tokで人気のある「め組のひと」が収録されているカバーアルバム『ETERNITY~Love & Songs~』は2010年10月に発売されています。倖田さんだけでなく原曲のRATS&STARにおいても、意外なことに紅白では1度も披露されていない楽曲でもあります。
東方神起(2年ぶり3回目/第59回/2004/23~25/韓国出身)
「Why? (Keep Your Head Down)」
(2011/Luna, Yoo Young Jin/Yoo Han Jin/Yoo Young Jin/初)
~アジアのスーパースターが2年ぶりの登場!~
まず黒いコートを着たユンホが舞台中央から登場、しばし1人でダンスパフォーマンス。そして白いコートを着たチャンミンが下手側から、2人のバックダンサーを従えて登場します。ツーショットの後からはまさに彼らの世界、一旦演奏が止まってから、ユンホの「行くぜ!」コールから一気に踊りが激しくなります。
炎が噴き上がる演出も入ります。縞スーツの8人のダンサーもものすごい迫力。ピンマイク装着ですが、パフォーマンスは明らかな生歌です。ラストのチャンミンの叫びは特に圧巻。ただただステージに釘付けになるような、ひたすら格好良いパフォーマンスでした。(3分7秒)
(ウラトーク)
テリーさんは彼らとボウリング大会をしたこともあるみたいです。「俺はガーターだったんですけども、向こうはストライクでした」。「パワー落ちるかなと思ったけど落ちなかったね」、「今は今で別の迫力がありますね」と話が展開します。その後、奥さま方はなぜみんな韓流ドラマが好きなのかと話します。
炎演出バックのチャンミンを見て神田アナの一言、「炎に毛のマフラーって、暖かそうじゃないですか」。そして「こういうのを見るたびに、早く日本のスターが欧米で人気者になってほしいって思うね」というコメントで締めるテリーさんでした。
(スーパーハイビジョン)
特記事項はありません。
(解説)
・前年は活動するどころではない状況でしたが、日本ではJYJの活動休止と入れ替わるように2人で再始動。紅白で選曲された「Why? (Keep Your Head Down)」は、活動再開後第1弾シングルでした。
・兵役のため2015年から2年間は活動休止しましたが、それ以外の期間では現在まで日本韓国両国にわたって活動を続けています。ただ紅白出場はこの年が一旦最後になります。
・近年でもドームツアーに日産スタジアム単独3日公演を開催するなど、高い人気は変わらず健在です。ただコロナ禍以降はどうしてもライブ開催は難しく、リリースもデジタルシングル1作に留まるなど活動がセーブ気味になっています。
あしたを歌おう。~ニッポンの嵐「ふるさと」~
「ふるさと」
(2010/小山薫堂/youth case/2年連続2回目)
歌前は阿部渉アナが進行。紅白歌合戦のために作ったオリジナルソング「ふるさと」を、今回も新たなメッセージを込めて歌います。
二宮「3月11日、福島県いわき市の豊間中学校で卒業式が行われました。ピアノの伴奏に合わせて、生徒たちの歌声が響き渡った体育館。その体育館に津波が押し寄せたのはそれから3時間後のことでした。」
大野「5月上旬、自衛隊の皆さんが瓦礫に埋もれていたピアノを運び出しました。鍵盤は砂にまみれ、弦は錆びつき、かろうじて音が出る程度。それでも学校のみんなはそのピアノの音に合わせて、泣きながら校歌を歌いました。」
相葉「傷ついたピアノは地元の楽器店の店長、遠藤さんに引き取られました。気の遠くなるような修復作業。遠藤さんはおよそ半年間にわたって毎日コツコツと修理を続け、ついにピアノは蘇りました。」
櫻井「こちらがそのピアノです。沢山の思いと沢山の希望が詰まったピアノです。」
松本「僕たちは今日このピアノと一緒に歌いたいと思いました。このピアノが音を取り戻したように、日本中の故郷が元気を取り戻しますように。」
東北の風景をバックに、櫻井翔がそのピアノで演奏をしながら、前回の紅白でも披露された「ふるさと」を歌います。1番は嵐のメンバー4人での歌唱、2番は被災地の皆さん(陸前高田市、南三陸町、大洗町、大船渡市、女川町、いわき市)が歌ってる映像メインで、テレビ画面ではステージがワイプで映る状況になります。サビからは被災地だけでなく日本全国各地の人々が歌ってる映像、そして紅白の出場歌手も加わっての大合唱になります。
参加した出場歌手は石川さゆり、川中美幸、伍代夏子、藤あや子、水森かおり、夏川りみ、アンジェラ・アキ、いきものがかり、水樹奈々、Perfume、西野カナ、AKB48(約20名)、夏川りみ、秋川雅史、TOKIO、FUNKY MONKEY BABYS、flumpool。前回はJ-POP歌手のみでしたが今回は増加、ただ白組歌手の異常なまでの少なさがやや気になります。胸元が見えるドレス姿のさゆりさんと赤い大きなリボンの西野さんの衣装が、かなり目立っていました。(4分1秒)
(ウラトーク)
ウラトーク審査で悩む声が神田アナから聞こえます。嵐のメッセージを聴きながら、「今年の紅白は特別ですね」としみじみ語るテリーさん。「歌の力がここまであったのかとあらためて感じた年」「絆やボランティアがいつまでもあるようなわけではない、その後にどう生きていくのかが本当は問われるんだよね」など、非常にマジメな話を2人で展開していました。東北だけでなく、茨城や千葉も大変だったこともあらためて触れています。ラジオの功績についても再び話していました。
(スーパーハイビジョン)
特記事項はありません。
(解説)
・櫻井翔のピアノ演奏もまたこの紅白屈指の名場面。この緊張は、後年自身の番組のエピソードトークでも語られるほど大きいようでした。数はそれほど多くありませんが、その後もテレビやコンサートなどで披露する機会はあったようです。
・前回の「ふるさと」は1コーラスのみでしたが、この回から2番の歌詞が加わりました。この年からチャリティーイベント『嵐のワクワク学校』が開催されますが、そのテーマソングにもなっています。紅白のみならず、この年はNHK・嵐双方にとって重要な位置づけを占める楽曲に成長しました。
・東日本大震災の死者は1万人を超え、直接的な被害は16~25兆円と言われています。現在も避難者は4万人いると言われていて、10年経った現在も復興は道半ば。2018年12月に一度宮城県東松島市に足を運びましたが、津波で被害を受けた場所はほぼ更地状態でした。被災者が言うのならともかく、そうでない人が「復興が叶った」と現段階で言うことは、とてつもなく無責任な言葉だと個人的に感じています。
平原綾香(8年連続8回目/第56回/2003/27/東京都出身)
「おひさま~大切なあなたへ」
(2011/岡田惠和/渡辺俊幸/初)
~連続テレビ小説「おひさま」感動シーンと共に~
連続テレビ小説『おひさま』の映像がダイジェストで流れます。映像終了後、高良健吾、寺脇康文、マイコ、田中圭、永山絢斗の5名が真央さんの応援に登場します。
寺脇(父・良一役)「水くさいぞ陽子。お前がなぁ、紅組の司会という大役を務めるんであれば我々が応援に来ないわけがないだろ」
田中(兄・春樹役)「陽子、がんばれよ」
永山(兄・茂樹役)「陽子、応援してる」
マイコ(親友・相馬真知子役)「陽子さん、いつも心に太陽を」
高良(夫・和成役)「陽子、司会もできるんだな」
と、それぞれ応援コメントします。
そのドラマの名場面をバックに平原さんが熱唱。上からのショットで始まるカメラワークが新鮮です。一つ一つの言葉をいつも以上に噛みしめているような歌唱に聴こえました。最後は投げキッスで締めます。(2分23秒)
(ウラトーク)
応援の様子を見て「ドラマの時とは全然違うファッションで面白いですね」と妙な部分に注目します。司会も出来るんだな、という所で「本当落ち着いてらっしゃいますよね」「それがおかしいよなぁ」とも話します。
神田アナがこの曲について紹介。元々はメロディーだけだったそうですが、視聴者からの反応で7月16日放送分から毎週土曜日だけ歌詞入りが出るようになったと説明します。また、平原さんがリハを終えた時に、後ろのモニターの映像を見るとグッとくると話したコメントも紹介。
歌い終わった後、一瞬カメラショットに映った鈴木京香の目頭が熱くなるシーンにも触れていました。
(スーパーハイビジョン)
スーパーハイビジョンで見る映像、あるいはNHKホールで見た場合は当然終始バックの映像が見れる状況になります。したがって個人的にはほぼそちらに釘付けとなったため、彼女の歌声は十分耳に入るとしても姿にはあまり目がいきませんでした。
(解説)
・おひさま、と言われると今は別の意味での呼称で聞かれることが多くなっていますが、この年上半期に放送された連続テレビ小説のタイトルでした。オープニングの音楽は当初演奏のみで、途中から歌詞と平原さんが歌う声が追加される形となります。
・共演者5名はいずれも紅白初出演。田中圭は後に第70回(2019年)でゲスト審査員を務めます。高良健吾と井上真央は『おひさま』で夫婦役ですが、2015年の大河『花燃ゆ』でも主演・杉文役と高杉晋作役という近い間柄で共演しています。
・連続テレビ小説から5名応援で登場するのは当時としては珍しく、梅若部屋の力士が大挙して登場した『ひらり』の第43回(1992年)以来19年ぶり、個々の役者のテロップ紹介付きだと『澪つくし』の第36回(1985年)以来26年ぶりでした。ただ2年後、大幅にその記録は更新されます。
・平原綾香は8年連続出場でしたが、実のところCD売上は「Jupiter」「明日」「ノクターン」以外決して高くはありませんでした。朝ドラ主題歌のこの曲でさえもオリコン最高44位です。翌年も『ダーウィンが来た』新テーマ曲の「スマイル スマイル」がリリースされますが、紅白出場はこの年でストップ。ただ実力派歌手としての評価は、現在も変わらず非常に高いです。
千 昌夫(22年ぶり16回目/第19回/1966/64/岩手県出身)
「北国の春」
(1977/いではく/遠藤 実/22年ぶり6回目)
~被災した故郷の仲間たちへ 心をこめて…~
井上真央が一旦退席して、代わりに阿部渉アナが登場。千昌夫の地元、陸前高田市の竹駒地区コミュニティーセンターから中継が入ります。担当は盛岡放送局の宮島大輔アナ。「千さん紅白出場おめでとう 一本松の新芽と共に来年もガンバッペシ」という横断幕が、地元住民によって掲げられています。
千さんの幼なじみである板林公一さんに話を聞きます。「陸前高田の誇りだ」「とにかく粘り強くて本当に腕白だった。悪ガキだったよなぁ~」。方言で体の方は大丈夫か?と返す千さんに対して「ほんとにほんとに全国の皆さんから多くのご支援を頂いて何とか年を越すことができます。俺たちも健太郎(本名:阿部健太郎)さんのように粘り強く、力を合わせて前に進みます。健太郎さん、俺たちと一緒にガンバッペシ!」
いつもみんなから私の方が応援されてるんですよと話す千さん。同じ岩手県出身の阿部渉アナが曲紹介を担当します。「北国の冬というのは本当に長くて厳しいものです。そんな北国の春を待つ皆さんに、千昌夫さんが思いを込めて歌います。「北国の春」」。
今回のセットは三角形をテーマにしていますが、このステージでは骨組みが舞台上に無数作られていて、針葉樹林のように見えます。過去5回紅白歌合戦で歌われてる名曲ですが、ここまで一つ一つの歌詞を噛み締めて歌われることもなかなかありません。左手の拳に凄く力が入っていました。会場の手拍子も温かいです。
ラストの精一杯の伸ばし、そして「東北、ガンバッペシ!ガンバッペシ!」と力強くメッセージ。被災地を故郷にしている彼が言うからこそ、歌うからこそ説得力があります。(2分40秒)
(ウラトーク)
横断幕を見て「紅白、なんか貼り直した感じありますけど」といきなりツッコミを入れる神田アナ。「多分「赤」いっていう字を書いたんだろうねぇ。急遽訂正して」とテリーさんは分析します。
「やっぱりねぇ、神様が見てるね。余計な金儲けしてるんじゃなくて、お前は歌があると、お前は歌が一番似合うだろうと」千さんについてこんなことを語った矢先にゲスト登場。AKB48の指原莉乃と峯岸みなみが登場。
「始まる前からたかみなキャプテンからの言葉があって、210人での大円陣をして気合いを入れただけあって」「自分たちでは納得いってます」と言う峯岸さん。「地元が大分県なので、おじいちゃんおばあちゃんが見てくれてるんじゃないかなという気持ちで頑張りました」と指原さん。レコード大賞については「夢みたい」という感想で、今日は「昨日がとても緊張したので今日は逆に楽しもうという気持ち」でみんな臨んだステージだったようです。
楽屋はやはりごった返してるようで、「ご飯を食べたいのに、20分弱並ばなきゃいけない」「(3階の)食堂と(101)スタジオが控え室になっていた」とか。目の前がテリーさんの控室で、かなり賑やかな状況のようでした。靴は全員自分の名前を書かないと分からない状況だったようです。喋っている間に千さんのステージ終了。
(スーパーハイビジョン)
特記事項はありません。
(解説)
・千さんは22年ぶりの紅白ですが、1980年代中盤以降はほとんど歌手ではなく実業家という状態でした。バブル崩壊で多額の借金を抱えたことが、皮肉にも歌手活動再開の理由の一つになります。
・陸前高田市は東日本大震災の津波被害が極めて甚大で、市の全世帯のうち7割以上が被害を受ける状況でした。高田松原に植えられた松の木もほぼ全て流されましたが、その状況でただ1本残った松が「奇跡の一本松」として取り上げられ、千さん自身も「いっぽんの松」のタイトルでこの年発売の新曲のタイトルにしています。現在も震災遺構として保存され、観光名所の一つになっています。
・宮島大輔アナは1997年アナウンサーとして入局、当時盛岡放送局所属でした。その後東京アナウンス室、宮崎放送局、ラジオセンターを経て、2021年再び放送部副部長として盛岡放送局勤務になりました。
・「北国の春」は紅白史でも大変重要な曲で、3年連続歌唱・5回にわたる歌唱は放送当時史上最多の記録でした。その北国は東北ではなく、長野や新潟といった信越地方がモデルになっていると言われています。
あしたを歌おう。~世界からのメッセージ~
まずはサッカー日本代表の長谷部誠選手が登場。3月11日の震災時には「ドイツにいて、何も出来ない歯がゆさを感じていたんですが、サッカーをすることでしか行動を起こせませんでしたが、日本への思いは常に持っていました。」ここで紅白の視聴者に向けたメッセージ。
「震災が起こった後に、多くの日本人が示した思いやりの心や思慮深い行動について、チームメイトや多くのドイツ人に、日本人は本当に凄い、感動したと言われました。僕はそれこそが日本の財産だと思っています。震災によって感じた人と人との繋がり、人間の温かさをずっと胸に持ち、共に歩んでいきましょう。」
続いて香港のジャッキー・チェンから映像でメッセージが送られます。冒頭の挨拶と最後は日本語でした。メッセージ中、香港のチャリティーイベントの映像も流れます。
「日本の皆さん こんにちは。
今年3月震災のニュースを見て僕はとても悲しい気持ちになりました。4月1日には香港でチャリティーコンサートを開きました。皆さんの力になれたら…そう願っています。
中国にはこういう言葉があります。「寒い冬が過ぎれば暖かい春が来る」
皆さんなら必ず美しい日本を再建できる 僕はそう信じています
日本 がんばれ!」
(ウラトーク)
AKB48のメンバーが加わったということで、あらためてウラトークについての紹介を入れます。その後トーク再開。
グループは2日と3日が休みで、元旦が劇場での挨拶。それを聴いてテリーさんは「落語みたいだなぁ」と思わず。指原さんは「初めてプライベートで(大分に)帰る」らしいです。そのまま大分の雑煮の話に展開。やはり、かぼすを入れるらしいです。東京が実家の峯岸さんは「家族とのんびり初詣」などごく普通のお正月になりそうだとか。ジャッキー・チェンの映像では、AKB48が上海でライブをした時の体験を峯岸さんが話します。
(スーパーハイビジョン)
特記事項はありません。
(解説)
・長谷部選手はこの時期ドイツ・ブンデスリーガのVfLヴォルフスブルクでプレー。2010年FIFA日本代表ではゲームキャプテンに指名されました。代表引退の2018年に第69回紅白のゲスト審査員を務めます。現役生活はドイツのアイントラハト・フランクフルトで継続中、ブンデスリーガの出場試合数はアジア人最多記録を誇ります。
・ジャッキー・チェンは日本でも大変著名な香港の俳優。1978年の『蛇拳』『酔拳』からスターダムになります。2011年の映画『1911』で出演作100本達成、それ以降も『ライジング・ドラゴン』『ドラゴン・ブレイド』を大ヒットさせています。
・ウラトークで登場したAKB48のメンバーはバラエティー担当の2人でした。現在でもテレビで見る機会が多いですね。当時の総選挙の順位は指原莉乃が9位、峯岸みなみが15位。指原さんが文春きっかけでHKT48に移籍するのは翌年、同じ理由で峯岸さんが研究生に降格するのはさらにその翌年のことです。
レディー・ガガ(初出演/第62回/2008/25)
「Yoü and I」
(2011/Lady Gaga/Lady Gaga/初)
「Born This Way」
(2011/Lady Gaga, Jeppe Laursen/Lady Gaga, Jeppe Laursen/初)
アメリカのニューヨークからレディー・ガガのスペシャルパフォーマンス。「ハロー紅白 ハッピーニューイヤー!」と日本語で挨拶した後に「Yoü and I」のピアノ弾き語りを披露。そのピアノもかなり凝ったデザインです。この紅白のためにwhistkeyをsake、NebraskaをJapaneseに歌詞を変えています。真珠のメガネとネクタイが異彩を放ってますが、それ以外は若干フォーマルな衣装のように見えます。
「Born This Way」では、メガネを取って椅子を後ろに向ける演出が入ります。コーヒーカップを持つ場面もあります。サビに入ってからは、ダンサーを従える形で踊ります。鏡に乗って動かしてもらったり廊の中に入るような演出もあったり。録画とは言え相当凝ったステージでした。(5分4秒)
(ウラトーク)
色々話していたものの、レディー・ガガのステージになると即座に話を移行。「好きっていう次元ではなく凄い」とAKB48の2人が口を揃えて話します。テリーは彼女と同じ靴を持ってると自慢。「7月くらいにオーダーして、4ヶ月くらいかかりました」とのこと。ミュージシャンには一切作らないものの、テリーさんはそうでないから作ってくれたのだそうです。
レディー・ガガのことを「21世紀のジョン・レノンだと思っているんです」とまで話すテリーさん。AKB48では大島優子と同じ年だと話してます。
『Born This Way』は800万枚で、世界第2位の売上と神田アナが解説。サビのダンスは高橋みなみがいつも真似してると指原さんが話します。
その彼女は歌前の円陣の中心で、こんな言葉で気合を入れていました。「こんだけ大人数いれば映ってないって心配する人いるかもしれないけど、会場全体の人は見ているし、レコード大賞も取らせて頂いたから、その分しっかりこの1年頑張っていきましょう、来年も頑張ろうという意味をこめてやりましょう」。あとは人文字に関して「調整に調整を重ねた」ことも話します。
(スーパーハイビジョン)
・会場では右上に設けられた映像で、大体スクリーンの1/6の大きさを凝視して見るような状態でした。
(解説)
・レディー・ガガは2008年の1stアルバム『The Fame』が早々に大ヒット。デビューしてすぐに国際的アーティストになりました。その翌年の再発盤『The Monster』は2010年世界で最も売れたアルバムになります。この年は『Born This Way』をリリース、やはり大ヒットしました。
・デビュー当時から社会貢献活動には積極的で、この年の東日本大震災でも相当の寄付・復興支援イベントの出演を行いました。紅白はVTR出演ですが、8日前のMステスーパーライブはなんと来日して生出演。「Marry Thie Night」「Born This Way」を生で披露、トリで度肝を抜くパフォーマンスを見せていました。
・このパフォーマンスの日本語訳は当時各所で喧々囂々となっていました。英語詞と訳詞を照らし合わせて見る限り、見解としてはこのブログ記事が一番無難なのかな、と思います。歌詞やタイトルに原語から大きく離れる訳がつけられるのは、1950年代からずっと続く永遠の課題です(さすがに昭和と比べるとオリジナルの日本語タイトルがつけられる例は激減していますが)。
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