石川さゆり(29年連続35回目/第28回/1973/54/熊本県出身)
「天城越え」(1986/吉岡 治/弦 哲也/2年ぶり8回目)
~魂の熱唱!荒木飛呂彦のイラストにも注目~
イラスト:荒木飛呂彦

 ゲスト審査員の吉田沙保里にコメントに求めます。「歌の力は本当に素晴らしいな、と感じています。」すでに舞台袖には出場歌手が勢ぞろいしています。紅組はやはりピンクの着物を着たももいろクローバーZ高城れに百田夏菜子が良い位置に陣取り、インパクトを放ってます。
 楽曲は紅白で8度目となる「天城越え」。炎をイメージした赤い照明、着物の色も真っ赤です。2番からは『ジョジョの奇妙な冒険』でお馴染みの荒木飛呂彦が描いた能面のイラストがバック映像に加わり、ただでさえ怖い歌が余計に怖い歌になっております。相変わらずの上質かつ鉄板のステージでしたが、そろそろ別の曲を紅白で歌って欲しいともやはり思いました。(3分47秒)

 

(ウラトーク)
 「この人は芸術だね」「日本の宝ですよ」「年を重ねるたびに良くなっていくよね」「一つの歌の歌い方がどんどん変わっていくって凄いですよね」さゆりさんの世界を堪能、特にサビを歌った直後のあの表情に対するリアクションが非常に大きかったです。小松アナは本人のコンサートに行って、東北の民謡を歌ってる姿に感動した話もしていました。ちなみにこのウラトークのために、小松アナは全出場歌手の1年分の新聞を読んで取材したそうです。

 

(解説)
・ももクロは高城れにと百田夏菜子だけエンディングに参加。これは当然年齢的な理由によるもので、当時のメンバーの年齢は高い順から19, 18, 17, 17, 16でした。もっとも百田さんと有安さんは早生まれの違いでしかないので、若干気の毒な印象もありますが…。

・この年のさゆりさんの新曲は「浜唄」「生まれ変わるよりも」。「生まれ変わるよりも」は宮沢和史の楽曲提供でした。

・荒木飛呂彦といえば『ジョジョの奇妙な冒険』、これは1986年から長く連載され続けています。元々コアなファンが多かったようですが、一般的な知名度が上がったのは2007年の『アメトーク』で取り上げられてからだと思います。

北島三郎(26年連続49回目/第14回/1962/76/北海道出身)
「風雪ながれ旅」(1980/星野哲郎/船村 徹/5年ぶり7回目)
~演歌ひとすじ50年 感謝の気持ちをこめて~

 2曲続けてのステージですが、今回はイントロで相葉さんの曲紹介が入ります。それと同時に、風雪とは言えないほど大量の真っ白な紙吹雪が舞います。NHKの公式ツイッターによると、台本には「爆雪」と書かれていたそうです。その量はなんと50kg、みかん箱25箱分。76歳、そろそろこの演出は老人虐待一歩手前じゃないのかという声も起こりそうですが、曲は相変わらずの絶唱。さすがに声量は相当落ちている印象もありますが、技術に関しては相変わらず第一級。次回もまた紅白で見られることを楽しみにしたいです。(3分41秒)

 

(ウラトーク)
 最初から紙吹雪の量に総ツッコミ。「掃除大変だよ、これ」「歌いにくくないの?」「鼻に40枚入りますね、片方だけで」「最後バケツが落っこちて来ちゃう」「人が落っこって来ちゃう」、それこそドリフみたいなことになるのではという話まで発展。とは言え歌にはテリーさん感銘を受けていて、「こんな歌稚内で聴いたら泣くだろうなあ…」とラストに。

 

(解説)
・紙吹雪の量はもしかするとこの回が一番多いかもしれません。もしくは唯一フルコーラスを歌った第47回(1996年)以来でしょうか。画面が埋まるほどの紙吹雪は実を言うと毎回間奏以降で、イントロからこの勢いで登場するのは初めてでした。

・トリ前での出演はこの回で13回目になりました。トリは13回務めているので、翌年も含めた50回中26回もラスト付近で歌唱を務めた形になります。この合計数は五木ひろしで21回、森進一で19回。それだけ紅白歌合戦において重要な存在であったことがよく分かる数字です。

・ニュースを挟む形になった平成の紅白には25回出場していますが、前半での歌唱は一度もありません。これもまた驚異的で、20回以上出場でこの記録を持っているのは他に小林幸子のみです。令和も含めると、現在は松田聖子が15回、Perfumeが13回連続で後半のみの出演になっています。

いきものがかり(5年連続5回目/第59回/2003/28~30/神奈川県出身)
「風が吹いている」(2012/水野良樹/水野良樹/初)
~日本中がひとつになったロンドン五輪の名曲~

 曲を紹介する堀北さんの両側にゲスト審査員の澤穂希吉田沙保里が登場。豪華なスリーショットです。それ以外にも松本薫鈴木聡美入江陵介石川佳純と、この日招待された五輪のメダリストが舞台袖に勢ぞろいします。石川選手は和服から洋装に着替えています。そしていよいよ紅組最後の曲紹介。
 「第63回NHK紅白歌合戦、紅組最後の歌です。ロンドンオリンピックの感動とともにいつもこの歌がありました。爽やかな歌声と希望に満ちたメロディーが私たちに生きる喜びを感じさせてくれました。この歌に出会えてよかった。いきものがかり、「風が吹いている」。」

 前ステージの紙吹雪が舞台上に残る中のステージは、雪が解けつつある春を自然と想起させる光景です。おなじみのバンドメンバーをしたがえての演奏、バックの映像はもちろんロンドン五輪の名場面。体操・卓球・レスリング・ボクシング・競泳・バドミントン・柔道・サッカー・バレーボール…。様々な競技で躍動する姿が映し出されます。そしてこの第63回を迎えた紅白歌合戦。歌で紅白の勝敗を争うこの番組はもちろん競技ではありませんが、番組当初からスポーツの要素を取り入れている部分もあるわけです。そもそも紅白歌合戦の前身番組のタイトルは「紅白音楽試合」でした。そういう意味ではトリにして紅白の原点に立ち返る、そんなことを感じた人ももしかしたらいたかもしれません。
 いきものがかりの吉岡さんは、本当に本当に素晴らしい歌声でした。紅組歌手がステージに集まって「ラララ…」と歌う終盤、そして最後に見せた渾身のロングトーン。まさにこの紅白のトリにふさわしい内容でした。一つだけ不満があるとしたら、テレビだとAメロ途中~Bメロにかけての五輪映像が長すぎるということでしょうか。オリンピックの選手がそれぞれの各競技の代表なら、紅白の出場歌手、それもトリになるとまさに歌手の代表とも言えるわけです。そこはもっと歌い手の彼女の表情を見たかったかなぁ、というのが一視聴者としての素直な感想です。(4分34秒)

 

(ウラトーク)
 歌前に堀北さんの凄さについて語るテリーさん。「間違えていても軌道修正できる、顔色一つ変えずに。これが凄い」と今回の司会ぶりを見て話します。そして女優としては「夏目雅子・吉永小百合クラス」と、ここに限らず何度もウラトーク内で話しています。
 「日本人の好きな声してるね」というのが、吉岡さんに対するテリーさんの評価。そしてここではやっぱりオリンピック関連の話題が中心になります。最後のシーンは、「見回しますとホールのお客さんが、ちょっと目を潤ませているような」「お客さんが、いい顔している」と周囲の状況を報告。

 

(解説)
・映像に登場したオリンピック選手は今回のゲストの他に、女子バレーボールチーム(銅)、室伏広治(ハンマー投げ・銅)、平岡拓晃(男子60kg柔道・銀)、太田雄貴(フェンシング男子フルーレ団体・銀)、内村航平(体操男子個人総合・金など)、福原愛(卓球女子団体・銀)、村田諒太(男子ボクシングミドル級・金)、藤井瑞希・垣岩令佳ペア(女子バドミントンダブルス・銀)、小原日登美(女子レスリングフリースタイル48kg級・金)など。ほとんどのメダリスト、あるいはメダル獲得選手以外の映像もあったように見えます。

・間奏で五輪の様子が映し出されるのは第57回(2006年)・トリノ五輪時の平原綾香のステージが初で、バックの映像で同時に流れるのは第59回(2008年)・北京五輪時のMr.Childrenが初。ただミスチルの時はスタジオだったので、NHKホールで五輪映像バックに歌が披露されるのは今回が初めてでした。

・いきものがかりは1980年代生まれ初の紅白トリでした。その後が数回トリを務めていますが、紅組ではいまだに1980年代生まれ唯一のトリという状況です。20代のトリは第54回(2003年)のSMAP草彅剛香取慎吾)以来、ソロだと第48回(1997年)の安室奈美恵以来で、これ以降8年間出ていません。タイアップの所以があったとしても、ここでの紅組トリはかなりの抜擢だったのではないかと思います。

・「風は吹いている」はNHKロンドン五輪中継テーマソング、したがってNコン・朝ドラ・五輪の3つを担当して紅白でも披露する形になりました。この3つ全てを担当したアーティストは現在でもいきものがかりとゆずの2組のみ、そして3つとも紅白で披露したのはいきものがかりだけです。

・「風は吹いている」はフルコーラスだと7分45秒にわたる超大作です。これは歴代トリでフルコーラスが最も長い楽曲です。トリの4分半は決して短い方ではありませんが、それでも構成は冒頭サビ+1コーラスプラスアルファでCメロも無し。各歌番組、尺をどう納めるか大変苦労したものと思われます。

SMAP(8年連続20回目/第42回/1991/35~40)
「SMAP 2012’SP」
 「Moment」(2012/山口一郎/山口一郎/初)
 「さかさまの空」(2012/麻生哲朗/菅野よう子/初)
~歌い納めは「梅ちゃん先生」主題歌!~

 「世の中が大変厳しくなりましたな。でも一生懸命頑張ってやればきっといいことはある。だから今年、いや来年だ。来年から明るく私たちも歌を歌っていきたいな。はい。よろしくお願いします。頑張りましょう!」日本の師匠(おやじ)こと北島三郎の至言でした。そして最後は5人での曲紹介。
松本「出場歌手が歌に込めた熱い想いに大きな感動をいただきました。」
相葉「素晴らしい歌のパワーに支えられてここまで司会の大役を務めることができました。」
二宮「日本中の皆さんに歌で、会いたい。という思いを感じて頂けたと信じています。」
櫻井「繋がる心、そして明日への夢が、きっと大きな力を産むのだと思います。」
大野「いつも心に歌を、大好きな歌を口ずさみながら新しい年を迎えましょう。」
松本「2013年が皆さんにとって素晴らしい年になりますよう、沢山の笑顔に包まれることを願っております。第63回NHK紅白歌合戦、最後の歌です。「SMAP 2012’SP」。」

 ベース音のクラップで始まるオープニングに乗せて、最初に披露されたのはサカナクションの山口一郎が提供した「Moment」。NHK五輪テーマソングの後にTBS五輪テーマソングというのも妙な感覚ですが…。2012年のアルバム『Gift of SMAP』のジャケットに描かれた模様に合わせたバック映像、衣装は赤を基調としています。
 1コーラス歌った後、ラストはもちろん『梅ちゃん先生』主題歌の「さかさまの空」。夕焼けの東京タワーをイメージした映像が本当に美しいです。紅組司会の堀北さんが口ずさんでいる姿も、やはりこれ以上無いほどの美しさです。
 前回の「オリジナルスマイル」とは全く違う形ですが、これもまた大トリならではのオーラに満ち溢れていました。上手いとはさすがに言えませんが、5人のやさしい歌声は聴く人の気持ちが和らげる効果があります。素晴らしいステージでした。そして、夕焼けの東京タワーが星空を経て、昼の東京スカイツリーに変化する映像が何より、今回の新しい紅白歌合戦を象徴しているような気もしました。(4分34秒)

 

(ウラトーク)
 「話しているうちに紅白の今年のテーマになるんですね、歌であいたい」としみじみと語る小松アナ。SMAPを尊敬する嵐は「この言葉ひとつひとつを大切に言いたい」と小松アナに話していたそう。
 テリーさんからみるとSMAPは奇跡だと。「テレビ界でトップでいれるのって、大体ね、5年ですよ本来は」というのがその理由のようです。
 紅組・白組勝敗の行方は、テリーさん・小松アナともに分からないの一言。堀北さんが歌っている姿にも注目します。ちなみにテリーさん、来年は久々に他局で演出を手掛けるようです…。

 

(解説)
・「Moments」はサカナクションの山口一郎提供曲。TBSのロンドン五輪中継テーマソングでした。これは前回北京の「この瞬間、きっと夢じゃない」に続いて2作連続です。モーニング娘。の「I WISH」「そうだ! We’re ALIVE」もそうですが、意外とTBSの五輪タイアップは他の民放他局よりも紅白で歌われています。

・ジャニーズ系のドラマ主題歌はほとんどの場合メンバーの誰かが主演を務める形ですが、「さかさまの空」はSMAPも含めた事務所からの出演一切無しでした。これはデビュー22年目にして初めてのことになります。また、連続テレビ小説主題歌がトリで歌われるのも史上初で、現在も唯一の事例になっています。

・SMAPは3年連続大トリ、通算5回目の大トリでした。この3年連続大トリは第18回(1967年)~第23回(1972年)の美空ひばり以来の大記録です。また両組トリがその年発表の楽曲のみで占められるのは第54回(2003年)以来9年ぶり。ただ厳密に言うと「美しい昔」は外国曲カバーで「世界に一つだけの花」は前年発表なので、これを抜きにすると第45回(1994年)まで遡る必要があります。平成では他に第40回(1989年)のみでその後にも存在しない、非常に稀少な事例となっています。

・東京スカイツリーが完成したのは2012年2月29日、新しい東京のシンボルになりました。翌年5月31日に、スカイツリーから新しい本放送が開始されます。

~エンディング~

 例年通り団扇を揚げてもらう会場審査、客席はどう見ても白優勢。これを見てaikoさんがふくれております。ゲスト審査員はウタ♪ウッキーの人形を挙げてもらいますが、今回はこちらも7対3で白組優勢。そして例年通り映像で全てのステージを振り返ります。勿論その際に出場歌手の表情を映すワイプも健在。

 「こんなに歌で感動したことはないんじゃないかな、というくらい私は皆さんの歌に感動させていただきました。皆さんの歌のパワーで最後まで頑張れました、ありがとうございます。」と話す堀北さんはずっと凛とした佇まいでした。一方マツジュンは「本当にあっという間でした。本当にこう、密な時間を過ごせたなという風に思いますし、2013年が一日一日本当に皆さんが幸せに過ごせることを願っています。」と振り返ります。そんな中で大野さんは「ここまで来たら是非とも勝ちたいですね」と、あくまで一貫した立場。まだ少し時間がかかるということで有働アナ、プリンセス・プリンセスの岸谷さんにコメントを求めます。「頑張りましたから、もう一生懸命やりました、はい。」そしてファンの皆さんに、と求められて「本当に今日で最後なんで素晴らしい華々しいステージで最高でした。」と。少し驚いた表情を見せていますが、後日談によるとやはり当人は突然フラれて驚いていたそうです。

 そして集計結果の発表は、318625 vs 351942。僅差で白組優勝でした。会場審査が462 vs 1979、残りが視聴者審査。ホームページによると、デジタル審査では紅組の方が票数多かったようです(259717vs247463)。それ以外、特にケータイやスマートフォンでは白組が倍以上の差をつけていました。優勝旗を渡すのは吉田沙保里選手、受け取るのは大野さん。「勝ちました!」と高らかに勝利宣言。

 ラストはもちろん「蛍の光」合唱、指揮は平尾昌晃先生。紹介と演奏開始に若干の間がありましたが、おそらくこの演奏も今回は事前収録。いよいよ指揮者を置く意味が問われそうな所ですが…。ただどういう時代の紅白歌合戦であっても、最後のこの合唱で歌手が一同に歌う風景は微笑ましいものです。

 吉岡聖恵にマイクを向けられつつ歌うaiko、カメラに向かって手を振る水森かおり、降ってくる紙吹雪を受け取る藤あや子伍代夏子西野カナの頭についた紙吹雪を跳ねのける中島美嘉、エンディングを堪能するという表情のYUIきゃりーぱみゅぱみゅ、よく見ると後ろの方でチラチラ映っているクリス松村、そしてかなり久々にエンディングの舞台に立っている気がするTOKIO。嵐のメンバーや有働由美子が挨拶する中で、「お正月」のメロディーを最後に加えた蛍の光でした。紙テープ放出と同時に最後の「第63回NHK紅白歌合戦」「終」のテロップ。今回はちゃんと2年ぶりに無事表示されました。

 

(ウラトーク)
 全ステージを振り返る映像を見て「主演者の皆さんって、帰ったら自分のとこ見るんでしょうね」とつぶやくテリーさん。「今日の出来事じゃないみたいですね」「これ見ると我々はいろんなこと喋ってきたな、って」と語る小松アナ。「永ちゃんって凄いよね、だってさ63歳になっても”ちゃん”だよ」「でもテリーさんもいいですよ、”テリーさん”って呼ばれてるんですから」というやり取りもありました。そして「副音声で楽しんでた方は是非オンデマンドで」と、有働アナと同様に小松アナも宣伝。
 結果発表を見届けて、テリーさんがステージに向かいます。そしてラストは小松アナの独り語り。「蛍の光」をバックに1分間見事な喋りで締めくくりました。

 

(解説)
・2年前に紅白初のマスコットキャラクターとして登場したウタ♪ウッキーは、ゲスト審査員の投票でしか使われなくなりました。そして翌年はボールでの審査に切り替わったので、この年限りで自然消滅となります。

・第56回(2005年)からゲスト審査員の1人が代表して勝った方の司会に渡す優勝旗ですが、女性が担当するケースはこの回が初めてでした。

TOKIOは1997年以降ジャニーズカウントダウンライブ出演が恒例になっていたので、この年が第47回以来16年ぶりのエンディング出演でした。NYCは東京ドームに移動していましたが、この年は関ジャニ∞もエンディング出演。以降この年から3年間は、Sexy Zone以外東京ドームの出演無しでこちらに残る形となっています。