第70回(2019年)NHK紅白歌合戦~その1~

オープニング

 11月に竣工したばかりの新国立競技場を司会者3人が歩いているシーンからスタート。事前予告はなかったですが、壮大なオープニングテーマ「新体歌」(作曲:岩崎太整)も用意されています。競技場の感想は「ど~んと、迫力がありますね」と早速綾瀬さんらしい表現が飛び出します。もちろん事前収録ですが、流れとしては競技場からそのままNHKホールに走って向かう形。

 競技場が暗転して、トラック内に1964年以降のオリンピック名シーンの映像が流れます。1964年東京の開会式から始まり、メキシコ・モントリオール・ロサンゼルス・ソウル・バルセロナ・アトランタ・シドニーはほぼ一瞬(ミュンヘンとモスクワに至っては省略)。日本人選手が映像に出てくるのはアトランタ以降。やはり映像の大半を占めるのは、目に見えて日本人メダリストが多くなり、紅白で中継テーマソングが歌われるようになる2004年アテネ以降になります。

 「栄光の架橋」(第55回・ゆず)、「GIFT」(第59回・Mr.Children)、「風が吹いている」(第63回・いきものがかり)、「Hero」(第68回・安室奈美恵)…。それぞれのテーマソングをバックに流れる名場面。2020年東京とともに、今回の紅白歌合戦への期待も高める構成のオープニングに仕上がっています。

 

 第70回NHK紅白歌合戦、夢を歌おう。タイトルコールとともに会場が明るくなりました。ステージ上には既に全出場歌手が集まっています。

 舞台袖から今回の司会担当4人が登場して、内村光良(総合司会)綾瀬はるか(紅組司会)櫻井翔(白組司会)和久田麻由子(総合司会)の順番に自己紹介。「何度立ってもここは慣れません!」と緊張でテンション高めの内村さん、開始2秒で早くも噛んでしまう綾瀬さん。

 そして今年日本中に感動を与えたラグビーワールドカップ日本代表の紹介。ラファエレ ティモシー、アタアタ・モエアキオラ、松田力也、木津悠輔、アマナキ・レレイ・マフィ、ヴィンピー・ファンデルヴァルト、山中亮平、徳永祥尭、中村亮土、坂手淳史、福岡堅樹、茂野海人、ヴァルアサエリ愛、田村優、姫野和樹、中島イシレリ、稲垣啓太、堀江翔太、田中史朗計19人。現在の代表は31人なので、相当な人数が呼ばれています。席は下手側1階席後方、ウラトーク席の真ん前に3列用意されています。早速櫻井さんが代表に質問。「元気を出して」という曲はすごく聴いていたので、すごく楽しみです」「と話す姫野選手。イシレリ選手は「めちゃ楽しみにしてます」とコメント。

 

(ウラトーク)
 今回のウラトーク担当は山里亮太渡辺直美が担当、アシスタントは杉浦友紀アナウンサー。「いつもと違うテイストですね、始まりが」「確かに。やっぱり2020、今そこですからね!」新国立競技場の映像に反応しています。

 オープニング映像はリハーサルでも隠されていたので、3人ともこの場で初めて見るようです。「栄光の架橋」については「この歌聴くとさ、アスリートの人みんな泣くんだよね」「カラオケボックスで、浜口京子ちゃんがあれ歌いながらずっと泣いてたらしい、相方が言ってた」とエピソードトーク。映像を見ながら、これからの紅白にワクワクしています。山里さんも渡辺さんも、暗転の中で集まっている出場歌手に大興奮。「俺さっきさ、五木ひろしさんとすれ違った時にさ、いいにおいがした!」

 司会者が挨拶で喋るたびに大声援。山里さんはMISIAのことをシャーミーと言ってます。杉浦アナは和久田アナについて「すっごい緊張してるって言ってました」。ラグビー日本代表を紹介するショットではウラトーク席が真後ろに映り込むので、しっかりアピール。

 

(解説)
・新しい国立競技場は2019年11月竣工・12月21日に開場式。本当に出来上がったばかりの時でした。建設デザインについてのゴタゴタもありましたが、とにかく無事に開場という形になりました。こけら落としは年が明けた翌日、第99回天皇杯のヴィッセル神戸対鹿島アントラーズの試合で、NHK総合でしっかり生中継されています。

・五輪NHKテーマソングが常時歌われるようになったのは2004年アテネ以降ですが、初めての歌唱は1992年バルセロナ・第43回の光GENJI「リラが咲くころバルセロナへ」でした。五輪のメダリストが紅白歌合戦に複数人呼ばれるようになったのも、この時が最初です。ちなみに過去のメダリスト最多出演人数は第55回、アテネの17人でした。

・第40回(1989年)で1964年東京五輪の金メダリスト約20名が観客席に招待されていましたが、この時のラグビー日本代表のように大規模の招待客を紅白に呼んだのはその時以来です。奇しくも平成・令和とどちらも新しい元号の元年というタイミングでした。

・この年は出場歌手だけでなく、ダイヤモンド☆ユカイ・中元みずき・中村倫也・木下晴香といったディズニー企画出演歌手もオープニングに加わってます。真ん中後方、司会者の後ろで映っている姿が確認できました。

紅1(全体1):Foorin(初出場)

・2018年結成、デビュー 第69回(2018年)初出演
・9~13歳・5人組(Foorin team E:6~12歳・5人組)
・タイトル:「パプリカ-紅白スペシャルバージョン-」
 楽曲:「パプリカ」(2018/8/15 シングル)…2年連続2回目
  詞・曲:米津玄師 英語翻訳:Nelson Babin-Coy 英語監修:佐藤久美子
・歌唱前テロップ:米津玄師 手がけた国民的ヒット曲
・歌唱前テロップ:米津玄師 手がけた国民的ヒット曲
・演奏時間:3分30秒

 内村さんから「レコード大賞おめでとう!」のエールが歌前に入ります。「皆さん一緒にパプリカを踊ってくださいね~」と笑顔で話すもえの(住田萌乃)ちゃん。前回同様、3組続けてのステージになるようです。

 オープニングから続けて出場歌手がステージに残ります。衣装で目立っているのはブッチギリで椎名林檎でしょうか。後ろで一番アクションが大きそうなのは純烈のメンバー。サビのパプリカの振り付けは想像以上に全員揃ってます。ラグビー日本代表も一緒に踊ります。決して笑わないと言われている稲垣選手も、心なしか顔がはにかんでいるように見えます。

 2番からは綾瀬はるかの頼りない?紹介を受けてFoorin team Eが登場。エスコートするのは女性メンバーが松田聖子MISIA乃木坂46白石麻衣、男性メンバーは氷川きよし菅田将暉。後ろにいるMISIAはAメロの振りまで憶えています。それを横で見守る林檎さんも見ていて面白く、紅白ならではの光景と言えます。出場歌手だけでなく、観客やスタッフに至るまで笑顔で踊っているようです。

 CメロではFoorinのメンバー5人がゲスト審査員席やウラトーク席に向かいます。ラグビー日本代表はともかく、上沼恵美子とツーショットを求めるメンバーのちせちゃん(新津ちせ)はなかなかの度胸があります。それは冗談として、今回のトップバッターはここ何年かもしくは平成から通して考えても屈指の演奏時間及び楽曲の知名度。ホールと視聴者全員を笑顔にさせるステージは、この後の紅白の展開にも期待が持てそうな印象でしたが…。

 

(ウラトーク)
 ウラトーク席には双眼鏡が装備されています。「Foorinが歌うとみんな笑顔ですねー」「五木ひろしさん、(動きが)キレてるよ!」。そんな中で早速ゲストにラグビー日本代表の堀江翔太が登場します。

 堀江選手が始まる前に一緒に踊りたいと言っていた「パプリカ」を、そのまま踊ります。山里さんと渡辺さんがその様子を実況。「僕の出番の時はめっちゃ緊張します」、この後何かしらの出番があるようです。相当緊張しているようで、声も枯れていると自ら話しています。

 途中メンバーの男の子、たける(楢原嵩琉)君が目の前に来た時は、会話を中断して応援。「彼はね、地元のバッティングセンターでよく打つらしいんだけど、パプリカが有線からかかると、打率がグッと下がるらしい」。ラグビー日本代表を映すついでにウラトーク席が映り込むシーンが、今年は例年より相当多そうです。

 

(解説)
Foorinはこの年「パプリカ」で第61回日本レコード大賞受賞、もちろん史上最年少記録でした。発表した楽曲は今年解散するまで「パプリカ」のみ、これも大変レアな記録です。なお受賞時には放送時間の関係で生出演は出来ず、メンバーのもえのちゃんが電話出演という珍しい光景でした。

Foorin team Eバージョンはこの年12月に『みんなのうた』でオンエア、同じタイミングでYouTubeにもMVが公開されます。最年少のクララちゃんは6歳、この年齢は「マル・マル・モリ・モリ!」を歌った第62回の芦田愛菜鈴木福よりも1つ下で、紅白史上最年少歌唱記録になります。

・他にもFoorin楽団バージョン、手話バージョンに吹奏楽バージョンなどNHK公式で数多くのアレンジが作られました。また翌年には選抜高等学校野球大会の入場行進曲にも採用されますが大会は中止。2021年にあらためて採用される形になりました。

・出場歌手は中継組と直後に歌う2組を除いて全員出演しているように見えます。3組後のGENERATIONSはステージ衣装をグレーのスーツで隠している様子。その後のHey! Say! JUMPは既にヘッドセットマイクを装着しています。前述したディズニー組も参加しています。DA PUMPISSAだけ前方であと6人は階段上でした。

・4組いる大人数の女性アイドルグループ、乃木坂46白石麻衣・秋元真夏・齋藤飛鳥と時間帯的に本ステージ出演不可能な15歳の筒井あやめが前方、8人が階段上。欅坂46菅井友香・小林由依と同様に14歳の山崎天が前方、8人が階段上。日向坂46小坂菜緒・佐々木久美・齊藤京子が前方で8人が階段上ですが、上メンバーの方が多く映ってます。AKB48は後方で正面からは全く目立たない位置でしたが、代わりに岡田奈々・村山彩希・小栗有以・向井地美音の4人で踊る姿がバッチリ撮れました。

白1(全体2):郷ひろみ(9年連続32回目)

・1972年デビュー 第24回(1973年)初出場
・1955年10月18日生 福岡県出身
・タイトル:「2億4千万の瞳-エキゾチック”GO! GO!” ジャパン-」
・楽曲:「2億4千万の瞳-エキゾチック・ジャパン-」(1984/2/25 シングル)…2年ぶり6回目
  詞:売野雅勇 曲:井上大輔
  振付:梅棒 踊り:梅棒と愉快な仲間たち、そっくりアスリート2019
・歌唱前テロップ:あのスポーツヒーローが登場?
・歌唱中テロップ:いざ2020! スポーツヒーローが次々に?
・演奏時間:2分40秒
・TOKYO2020 コレが楽しみ:陸上男子100m(チケットは落選)

 和久田アナの曲紹介で、前回同様今回もロビーで歌うシーンからスタート。アスリートに扮したダンサーが次々に動き回ります。トイレのマークまで筋肉仕様イラストにGOという文字になっているのが細かいです。おっと、ダンサーに混じって岡村隆史チコちゃんが迷子。これもまた前回と同様の展開。ラグビーボールを託されて、そのままホール内にダッシュ。ボールはそのまま、客席にいるヴァルアサエリ愛選手にパスされます。

 ゲスト審査員と司会者全員にハイタッチして、ダンサーも全員集合してラストサビ。2ステージ目ですが、早々と紙吹雪と紙テープ噴射が1回ずつあってフィナーレ感満載。前年同様迫力とスピードを兼ね合わせた、非常に盛り上がるステージでした。

 

(ウラトーク)
 「パプリカ」の演奏が終了したタイミングである人が横に登場。曲順で誰なのかはほぼ分かるので名前を言ってもあまり問題は無さそうな気はしますが、演出の建前上名前は伏せてます。

 いちいちテロップに出る歌詞に反応する山里さん。サビは直美さんも一緒に歌ってます。ジャパン!は堀江選手も一緒に大合唱。前年同様、横を通る郷さんに大興奮しています。

 

(解説)
・この回はソロ歌手やゲスト審査員のテロップに”TOKYO2020 コレが楽しみ””思い出のオリンピック”の情報も追加されています。ただグループ歌手にはそういった物がなかったので、その点やや不平等な印象もありました。

・そっくりアスリート2019でまとめられた主なメンバーはしまぞうZ(錦織圭)、小坂なおみ(大坂なおみ)、さかとも(坂本勇人)、あれ慎之助(阿部慎之助)、ものまねJAPAN(サッカー日本代表)、澤井一希(八村塁)など。いずれもフジテレビの細かすぎて伝わらない選手権に出演していそうな方々です。他にもそっくり館キサラ他に出てそうな人が多くいますが、実際の所は私も詳しくないので分かりません。

・「2億4千万の瞳」は第66回以来2度目の白組トップバッターになりました。単独曲で同じ曲が2度トップで歌われるのは史上初です。もっとも翌年すぐ「パプリカ」が同様の例になりましたが…。

紅2(全体3):aiko(2年連続14回目)

・1997年デビュー、1998年メジャーデビュー 第51回(2000年)初出場
・1975年11月22日生 大阪府吹田市出身
・楽曲:「花火」(1999/8/4 シングル)
  詞・曲:AIKO
・歌唱前テロップ:代表曲「花火」!
・歌唱中テロップ:NHKホールに花火が打ち上がる!?
・演奏時間:2分17秒(歌前の喋りと終わりの花火SEは除く)
・歌手名テロップ併記:山里亮太・ラグビー堀江選手もaikoファン

 「翔太くん、日本代表の皆さん、ベスト8おめでとうございます。そして山里さん、ご結婚おめでとうございまーーす!」よく見ると郷さんがホール内に入った時点でスタンバイしていましたが、ウラトークを聴いていなかった人で気づいていた視聴者はどれくらいいたのでしょうか。客席内から歌い始めた事例は過去にもありますが、ウラトーク席からというのは当然初めて。歌い始めて自然と後ろの2階席を振り向いて手を挙げる仕草が、長年の人気とライブ実績を証明しています。

 真横で歌われた堀江選手は「ヤバい!」の一言、その後ラグビー日本代表の山中選手の横に座って歌うシーンは全員がノリノリの大盛り上がり。選手側はaikoを生で見れて嬉しい、ただおそらく歌ってる本人も日本代表の前でこうやって歌えるのが嬉しいという状況ではないかと思います。

 当たり前のように他の観客ともハイタッチしながらメインステージに移動、画面中に大きな花火のCGが打ち上がります。ステージによくあるタイプの特殊効果花火までCGで作られています。技術の進歩が凄いことになっているとともに、火を使う必要がなくなっているので安全面も昔より考慮されています。

 ラストは歌い上げるとともに、2019から2020の大きな数字の花火で締めます。ただこれはしっかりセットの骨組みが作られていて、天井から降りてくる様子が映っていました。というわけで相当に凝った内容のステージでしたが、演奏時間を見る限りではもう少し長く聴きたいという気持ちも少しだけあります。

 

(ウラトーク)
 当然ながら4人とも大興奮、特に真横で歌われている堀江選手は「近っ!」「ヤバい!」という言葉が思わず漏れます。「ホンマちょっと泣きそうでした」。山里さんと堀江選手の顔を見て直美さんは「見たことない顔になってますよ」とツッコミ。aikoがステージに移動しても、堀江選手は放心状態のまま。

 喋っている時に突然アップになる山里さん、それに気づいて大声で声援していますが「ラジオの時に呼んでる呼び方で呼ぼうとしちゃった今」、確かに一瞬それが顔をのぞかせていました。そして杉浦アナは3ステージ目にして早くも感動で涙。ファンクラブに入るほどのファンなのだそうです。

 

(解説)
・「花火」は1999年に発表されたaikoの初ヒット曲で、紅白初歌唱になりました。この時期ブレイクした曲が10年以上後の紅白で初歌唱になった例は、他にポルノグラフィティ「アポロ」があります。

・ウラトークのMCを務める山里さんはこの年6月に、女優の蒼井優と結婚。ブレイクした2000年代中盤~2010年代前半までは基本的に気持ち悪いと評されるキャラクターでしたが、実は学生時代結構モテていたみたいです。分かる人には分かるもので、2008年くらいには番組で共演していたPerfumeあ~ちゃんが彼を理想のタイプだと言っていました。

・前年のDAOKOなどで見られたCG演出はこの年さらに進化しています。観客席にまで大胆にCGを取り入れたのはこの時が初でした。

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