本編が始まる前に脚本を担当した宮藤官九郎のコメント。ここまでの感想は「すごい楽しいです」そしてこれからのコーナーについては「ドキドキしてます、大丈夫でしょうか」「やっぱり朝見てた時も変だなと思ってたけど、夜見ても変なモノは変ですねぇ」松本潤の紹介で、いよいよ2013年ならではのコーナーが始まります。

GMTスペシャルユニット feat.アメ横女学園
「暦の上ではディセンバー」(2013/宮藤官九郎/大友良英/Sachiko M/衛藤直子/高井康生/初)
振付:木下菜津子

 GMTとして出演するのは天野アキ(能年玲奈)入間しおり(松岡茉優)遠藤真奈(大野いと)宮下アユミ(山下リオ)喜屋武ちあき(蔵下穂波)、そしてアメ横女学園の有馬めぐ(足立梨花)成田りな(水瀬いのり)、さらに現実世界でシャドー役だったベイビーレイズの4人(5人組ですが1人は13歳なので未出演)も舞台に立っています。あまちゃんスペシャルバンドが生演奏で、迫力が凄いことになっていました。特にギターがなかなかにエグい音を出しております。
 歌に関してはドラマ内の足立ユイのセリフを借りると素人レベルで、確かに限りなくCに近いB級なのですが、これだけ揃ったことにまず価値があるわけで。個人的に言うと天野アキがせっかく北の海女スタイルなんだから、GMTの4人もドラマと同じく長ねぎ(埼玉)とかがばいばあちゃん(佐賀)とかの格好をしていれば完璧だったんですが。それと小野寺薫子(優希美青)ベロニカ(斎藤アリーナ)がいなかったのが少し残念でしたが、これは中の人の年齢の由縁なので仕方ないところ。むしろ恋人発覚で脱退した宮下アユミと有馬めぐがいたことに価値があったのかもしれません。ただ仮にもGMT1位だった有馬めぐがこの扱いで満足するのかなぁとも思う部分もありますが。(1分33秒)

天野アキ「ありがとうございます!再び天野アキでがんす!いきなり個人的な話で恐縮ですが、おらには一緒に東京さ来るはずだった親友がいます。ミス北鉄の足立ユイちゃんです!おらよりめんこくて、なまってなくて、ちょっと腹黒いがいい子です!ユイちゃーん!こっち来て一緒に歌うべ!」

再びスナック梨明日に中継が繋がり…
かつ枝「アキ!それはなんぼなんでも無理っつうもんだべ」
六郎「んだんだ!紅白は基本的には一人一曲だ!」
大吉「いやいや、そういう問題でねぇべ。北鉄で行くにはあのー、えーと、宮古から山田線さ乗って…」
正義「要するに、めんどくせぇ」
菅原「ユイちゃんがそこさ着く頃はゆく年くる年も終わって、さだまさしがダラダラ喋ってる頃だべ」
(ヒロシがアップで登場)
アキ「どいてって、ストーブさん!またユイちゃんに被ってるべ!」
ヒロシ「あ、あ、ごめんごめん」
(足立ユイが映るかと思ったら、今野弥生がミス北鉄の格好で振り向く)
弥生「あたし?」一同「いやいやいやいや」
ユイ「アキちゃん!すぐ行くから待ってて!」

 NHKホールでは生演奏&オープニング映像。アキちゃんだけでなくユイちゃんも一緒に飛び上がります。そしてテロップは「第157回「おら、紅白出るど」」。鉄拳によるおなじみの絵は、ユイちゃんが北三陸鉄道に乗って、そこからタクシーで宮古駅から飛行しながら直接NHKホールに向かう内容。演奏のあまちゃんスペシャルバンドはやはり時間がないということで、オリジナルよりかなりテンポ速めの演奏。
 ユイちゃんを乗せたタクシーがNHKホール前に到着。黒川タクシーという名前が思いっきり入っています。よく見るとナンバーも50-89で、紅白にかけてます。尋常ではない力の入り方です。むろん運転手は黒川正宗(尾美としのり)。ユイちゃんがタクシーを降りて駆け足でホールに入場、一方親族にも関わらず正宗は警備員に止められるのでありました。
 そしてユイちゃんがステージに登場。「アキちゃん、来たよー!」「本当に来たんだユイちゃん」「あれ…夏ばっぱ…?」審査員席の宮本信子のショットが映ります。「似てるけど別人だー、とりあえず歌うべ」というわけで2人揃って、「潮騒のメモリーズです!」

潮騒のメモリーズ
「潮騒のメモリー」(2013/宮藤官九郎/大友良英/Sachiko M/初)

 『あまちゃん』の名場面をバック映像にして2人が歌います。弥生の猛特訓の成果が出たかどうかはよく分かりませんが、お座敷列車やあまカフェ同様、このNHKホールの舞台でも立派に歌い上げていました。いやもうこればっかりは足立ユイが上京してこうやって歌ってることに意義がある、それでいいのではないでしょうか。
 そして「2番は大好きなおらのママが歌います!」会場から割れんばかりの大歓声。(2分4秒)

天野春子「潮騒のメモリー」

 これはものすごいことです。あまちゃん世界で考えると表舞台で出ることが許されなかった春子がついに舞台の上で歌えるということ、そして現実世界で考えると小泉今日子が紅白で歌うのは出場歌手として「快盗ルビイ」を歌った第39回(1988年)以来25年ぶり。その間はどんなにヒット曲を出しても辞退し続けていたわけで、もうあらゆる意味で待望のステージになるわけです。もうこの人が舞台に登場した瞬間、個人的には感動して泣いてしまいました。その一言に尽きます。(1分55秒)

鈴鹿ひろ美「潮騒のメモリー」

 セリから上がる演出・そして着物姿で歌う鈴鹿ひろ美から大女優としての風格を感じます。バイオリンの楽器が入るところにも扱いの違いを感じさせます。本来ものすごく音痴な方なんですが、この紅白の舞台でも10回に1回よりも低い確率に当たった模様。”三代前から””親譲りの”というフレーズもあまカフェで歌った時と同様。見事なものでした。
 なお現実世界で考えると、薬師丸ひろ子は「セーラー服と機関銃」「探偵物語」などのヒット曲があり、紅白にもゲスト審査員で1度、中継ゲストで1度歌っていますが生で歌うのは意外にもこのステージが初めて。本来の歌唱力はヒット曲を出していた当時よりもむしろ上がっていて、非常に高いです。そもそも音痴な役柄は、案外歌がうまい人が演じることが昔から多いものです。(2分14秒)

あまちゃんスペシャルキャスト
「地元に帰ろう」(2013/宮藤官九郎/大友良英/Sachiko M/初)

 「北三陸さ帰りてぇ!」という本編で使われたセリフの後に、この日出演したあまちゃんキャストが全員集合して大合唱。あれ?北三陸市の中継はLIVEって書いてありませんでしたっけ?そんな細かいことは気にしてはいけません。もちろんバックではこの日いなかったメインキャストの映像も多く流れました。水口琢磨(松田龍平)荒巻太一(古田新太)天野忠兵衛(蟹江敬三)種市浩一(福士蒼汰)熊谷美寿々(美保純)足立功(平泉成)磯野心平(皆川猿時)梅頭(ピエール瀧)他多数。途中からなぜかサンバアレンジになるのも同様。「さいたまー!」「徳島ー!」「佐賀ー!」「沖縄ー!」「岩手ー!」というところも同様。いや岩手は2人がやってるからこの紅白しか見られないバージョンですね。ラストの決めポーズに春子が「ヒビキ!」と叫ぶその向こうには、ヒビキ一郎(村杉蝉之介)がカメラを抱えて手を振ってました。ここまで追うとはさすがアイドルオタクの鑑と言えます。(1分41秒)

 

 ショーが終わり、松本潤がコメントした後に北の海女軍団が絡む場面もそのまんまで完璧でした。最後にアキちゃんからご挨拶。「全国の皆さん、この一年応援してくださって本当にありがとうございました!そして東北をはじめ撮影など色々とたくさんの皆さんにお世話になりました。いつかまた皆さんにお会いできる日を楽しみにしています。…じぇじぇ!」ちなみにこのコーナーにかけた時間は本当に15分。もちろん、脚本を担当したのは宮藤官九郎。半端なさすぎです。
 このドラマを見ていた人にとって、夢のような時間帯というのはまさにこのことを指すと思います。もっとも余計にあまロスになってしまいそうな方も多数出てきそうですが。ドラマを見ていなかった人がどう感じるのかという部分も確かにありますが、そんな方々にはDVD購入・レンタルでもNHKオンデマンドでも容易に見れるので是非ドラマを見ましょうということを声を大にして言いたいところです。

(ウラトークチャンネル)
 もちろんテリーさんもコロッケさんもあまちゃん視聴者です。コーナーが始まると、まず橋本アナが「この音楽を生で聴ける日がくるとは思わなかった」、局のアナウンサーという立場を差し引いても一番興奮しています。テリーさんは周りを見渡して、「年輩の皆さんの方が拍手している、これが凄い」と話します。
 オープニング映像を見て「よかった、鉄拳」としみじみするコロッケさん。「これと半沢直樹でテレビの力が帰ってきたって感じがしない?」としみじみ語るテリーさん。ただこのコーナーはもうほとんど語るよりもだまって見入るシーンの方が圧倒的に多かったです。橋本アナに至っては「言葉を失っています」と表現しています。
 「NHKの視聴者に対する恩返しだね」「こんな紅白ってなかったんじゃないですかねぇ」「小泉今日子さんも薬師丸ひろ子さんも全然色褪せない」最後は是非東北に行ってほしいという語りでこちらは締めました。

(解説)
・紅白歌合戦と連続テレビ小説の歴史は第17回(1966年)の『おはなはん』から始まりましたが、ここまで大々的にやったのは『あまちゃん』以外にありません。作品同様このコーナーも尋常ではないほど好評の声が多く、翌年以降も紅白用に連続テレビ小説のドラマが作られるきっかけにもなりました。また、『ゲゲゲの女房』以降既にその流れは作られていましたが、一時期低迷していた連続テレビ小説の人気が再び高くなるきっかけになった作品にもなっています。

宮藤官九郎は第56回(2005年)の紅白歌合戦にグループ魂の一員として出演しています。最後に登場した村杉蝉之介も、同バンドのバイト君として紅白出演歴あり。このコーナーには出演していませんが、港カヲルの皆川猿時も『あまちゃん』に出演。クセのある北三陸高校潜水土木科の教師を演じていました。

・GMTの一番の出世頭はやはり松岡茉優でしょうか。女優ではなくバラエティ番組にも多く出演、ブレイク作としています。他のメンバーも女優として着実にキャリアを重ねています。ベロニカを演じた斎藤アリーナは演技でなく音楽・朗読がメインになっていますね。

・アメ女を解雇された足立梨花も『あまちゃん』がブレイク作となり、バラエティ番組含めて多くの作品に出演。水瀬いのりは声優活動メインになり、2015年以降主演級の役を多く演じるようになります。ベイビーレイズはその後ベイビーレイズJAPANに改名しますが2018年に解散、その後はそれぞれソロで活動しています。センターの林愛夏が尋常ではなく高い歌唱力だったので、紅組歌手としての紅白出場も期待していたのですが…。

・上に挙げた通り、コーナーに出演しなかった方々もほとんどが当たり役で、独特の味を出していました。グループ魂の皆川猿時は別として、いずれもその後の紅白でも顔を見せていない方々ばかりです。北の海女の一員であった美保純は当日なんとBS朝日のプロレス特番「俺たちのプロレスアワード」に出演、ある種のポリシーを感じさせるエピソードでもありました。また蟹江敬三は翌年3月に逝去、この頃既に末期の胃癌という診断があったようですが、69歳という年齢も含めてあまりにも早すぎる訃報でした。

・小泉今日子や薬師丸ひろ子、小池徹平に関しては既に書きましたが、杉本哲太も1980年代前半にバンド・紅麗威甦のボーカルとしていくつかヒット曲を出していました。渡辺えりも1999年に曲を出しているようです。そういえば双方今回の劇中でも、少しだけ歌う場面がありました(杉本さんは「ゴーストバスターズ!」と言ってるだけですが)。

橋本愛は『あまちゃん』以前から演技が評価されていましたが、その後はさらにドラマ・映画で見る機会が増加します。彼女も実は高い歌唱力の持ち主で、昨年末にTHE FIRST TAKEで披露した「木綿のハンカチーフ」は非常に大きな反響を呼びました。

能年玲奈もその後大活躍が予想されましたが、事務所からの独立騒動の結果「のん」という芸名で活動する形になっています。『あまちゃん』でも事務所絡みのバタバタは色々ありましたが…。ただ『この世界の片隅に』で数々の賞を受賞するなど、評価の高さと人気は現在も変わっていません。岩手銀行やJAのCMなど、岩手県との繋がりは現在も強いです。