紅白名言集解説・14~気がつけば民謡もすっかりご無沙汰~

 2002年、細川たかしさんが「津軽山唄」を歌った時の曲紹介です。紅白ではないですがコロムビアさんが公式動画をアップしていますので、まずそちらを見て頂きましょう。

 いやー凄いです。マイクの使い方と声量が常人では有り得ない領域に達しています。紅白のステージも本当にこんな感じで、度肝を抜かされました。この年の紅白は演歌に偏ったジャンルを見直し、J-POPの歌手を少し増やしつつオペラや民謡の選曲もあったりするなど、積極的なチャンレジが目立つ内容でした。平井堅の「大きな古時計」に中島みゆきの「地上の星」、中継のステージを復活させて演出の幅を広げた年でもあります。その「地上の星」の後に、香西かおり「津軽じょんから節」と細川たかし「津軽山唄」の民謡対決という流れでした。

 民謡歌手・三橋美智貴として歌いますという白組司会・阿部渉アナの曲紹介が大変素晴らしいです。思えば細川さんが初出場した1975年は、師匠・三橋美智也は紅白で初めて民謡、「津軽じょんから節」を歌った年でもありました。歌だけでなく津軽三味線の演奏でも魅せるステージは本当に見事なものがありました。翌年「津軽甚句」を三橋さんが選曲した際は、冒頭津軽三味線演奏の後に2コーラス歌う構成。三味線を受け取ってマイクを三橋さんに手渡したのが、弟子の細川さんでした。

 「望郷じょんから」など津軽をテーマにした楽曲も歌ってはいますが、39回出場した細川さんが歌った民謡がこの年のみというのは些か勿体ない気もします。また、「地上の星」直後の曲順ということもあって個人視聴率が伸びなかったせいもあるのか、翌年以降は伊藤多喜雄さんの「TAKIOのソーラン節」以外民謡が歌われるケースは全く無くなりました(「きよしのズンドコ節」「きよしのソーラン節」はちょっと違うので…)。エンタメ色の強い今の紅白も良いのですが、何年かに1曲くらいは紅白で民謡を選曲してもいいのではないかという気はしています。もう19年前の高齢者は今の高齢者よりも更に上という状況で、民謡を好きで聴く人口が減っているのはおそらく確かですが、だからこそという想いもありますね…。

 

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