紅白名言集解説・16~はばたけ鳥軍団~

 1980年の応援合戦の一コマ。このツイート、多分文章を見ただけでは何のことか分からないと思います。

 当時の紅白歌合戦では紅白別の応援合戦が恒例で、内容は当時の定石だと紅組がラインダンス、白組が組体操。ただ3, 4年ほど続いて多少マンネリ化したのもあったでしょうか、この年は松づくし vs はばたけ鳥軍団という題目で前半に設けられました(ちなみに後半にもフレンチカンカン vs 忍者体操という対決が設けられています)。

 紅組の松づくしは扇子を使って色々ポーズをするという内容で、これは明治から続く宴会芸の一種。都はるみと小林幸子が小唄を歌いながら、紅組歌手12人が手に持ち頭に刺し口にもくわえながら一生懸命演じていました。

 それに対抗する白組は、司会の山川静夫アナの紹介によると”時代を先取りした応援”。ですが登場したのは、雄鶏と雌鶏の着ぐみを身に着けた白組歌手10人。2人1組でお腹から白い風船で出来たタマゴを順々に産むものの、最後の前川清が産んだのは赤いタマゴ。他の9人からコケコ!コケコ!コケコ!と散々に責められて、赤い風船を割ったら白いタマゴが出てきたという、たったそれだけの内容でした。

 というわけで、山川アナが「いやいや白組も大したことありませんでしたけれども」というコメントで落とすオチ。実際本当に全くなんということのない内容で、少なくとも40年経って話題にするのは当記事以外存在しないものと思われます。ちなみに白組歌手10人、と書きましたがその中に紛れ込んでいるのは、『笑っていいとも!』がまだ始まる前に地下芸人と言われていた時のタモリ。コケコ!とひたすら鳴き声が響き渡るシーンでは、地味に彼のエクスキューズ芸が光っていました。

 翌年の紅白歌合戦では大がかりなセット転換が導入されて、一気に舞台が華やかになりますが、こういった歌と全く関係のない応援合戦も一旦なくなります。紅組白組別の応援合戦自体は次の年以降も継続しますが、そこには必ず歌ないし踊りが発生して見応えのある内容になります。これは1985年まで続けられた傾向でした。

 なお今回紹介する画像は本文とは一切関係ありません。ご参考までに。

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