2021年ビルボード年間チャートを私なりに分析

 本日の午前4時にビルボードの年間チャートが発表されました。

 総合チャート(楽曲アルバム)を筆頭に、アーティストアニメUGC作詞家作曲家、CDセールス(シングルアルバム)、ダウンロード(楽曲アルバム)、ストリーミングと多くの種類が発表されています。

 この記事では総合チャートのTOP50に、それぞれの年間チャートの順位を追加してみたいと思います。要は私設CHART INSIGHTの年間版を勝手に作るということです。項目はCDセールス・ダウンロード・ストリーミング・アーティスト。それに配信開始日と、紅白出場の情報についても加えています。

ビルボード2021年ランキングHOT50(私設版)

 CD→セールス、ダ→ダウンロード、ス→ストリーミングで順位掲載。アーティストの横の数字はアーティスト別の順位、紅白歌合戦については紅組を赤文字白組を青文字で表記しています。アンダーラインが引いてある曲目は、前回以前に紅白歌合戦で歌唱された楽曲です。配信開始日はSpotifyの情報に準拠する形としました。

アーティスト配信開始日CD
1.ドライフラワー優里(4)2020/10/2511
2.DynamiteBTS (1)2020/8/2852
3.夜に駆けるYOASOBI(2)2019/12/1543
4.LiSA(8)2020/10/126025
5.怪物YOASOBI(2)2021/1/68764
6.ButterBTS (1)2021/6/476
7.うっせぇわAdo (6)2020/10/2338
8.群青YOASOBI(2)2020/9/1137
9.菅田将暉(16)2020/11/25821011
10.廻廻奇譚Eve (24)2020/12/2389
11.勿忘Awesome City Club(30)2021/1/272210
12.Step and a stepNiziU(5)2020/11/25203434
13.Cry BabyOfficial髭男dism (3)2021/5/7913
14.DISH// (18)2017/8/152015
15.Permission to DanceBTS (1)2021/7/91618
16.紅蓮華LiSA(8)2019/7/3951730
17.Stand by me, Stand by you.平井 大(13)2020/9/96012
18.Ado (6)2021/4/271927
19.きらり藤井 風(21)2021/5/31523
20.PretenderOfficial髭男dism (3)2019/5/155217
21.Take a pictureNiziU(5)2021/3/29223663
22.裸の心あいみょん(9)2020/6/173919
23.Make you happyNiziU(5)2020/6/304024
24.I LOVE…Official髭男dism (3)2020/2/126316
25.魔法の絨毯川崎鷹也(38)2018/3/145420
26.ハルジオンYOASOBI(2)2020/5/116714
27.春を告げるyama (33)2020/4/173522
28.水平線back number (7)2021/8/132847
29.ツキミソウNovelbright (25)2020/12/115126
30.Pale Blue米津玄師(10)2021/6/16421178
31.白日King Gnu (17)2019/2/224735
32.アンコールYOASOBI(2)2021/7/25021
33.ギラギラAdo (6)2021/2/143244
34.感電米津玄師(10)2020/8/56533
35.猫~THE FIRST TAKE Ver.~DISH// (18)2020/4/292637
36.CITRUSDa-iCE (44)2020/11/255336
37.ハルカYOASOBI(2)2020/12/186225
38.マリーゴールドあいみょん(9)2018/8/87241
39.YOKAZE変態紳士クラブ(40)2020/4/3029
40.GrandeurSnow Man (14)2021/1/201
41.かくれんぼ優里(4)2019/12/18231
42.One Last Kiss宇多田ヒカル(29)2021/3/91270
43.Bluma to LunchBLOOM VASE (39)2020/12/1928
44.silentSEKAI NO OWARI (36)2020/12/16965545
45.三原色YOASOBI(2)2021/7/21450
46.naporiVaundy (12)2020/5/2732
47.Lemon米津玄師(10)2018/3/1459
48.もう少しだけYOASOBI(2)2021/5/102443
49.怪盗back number (7)2021/5/242152
50.不思議星野 源(31)2021/4/27512592

ざっと見渡した感想…

 最上位は概ね納得の結果ですが、ランクが下がるにしたがって今年の曲が目立たなくなっています。集計期間の2020年11月23日以降に配信開始した曲は50曲中26曲、半分しかありません。2020年を超えて2019年以前に発表された楽曲も9曲あります。もっとも「ドライフラワー」「うっせぇわ」「魔法の絨毯」辺りは前年分のポイントはほぼ無いので、多少は参考程度と認識して良いとは思いますが…。

 要因はやはりストリーミングの比重が大きいことで、Hot50は未配信のSnow Manを除いて全曲100位以内に入っています。これ自体は結構なことですが、ストリーミングで上位に入る曲は自然にそこから再生される例も多いので、必然的に再生回数は増えやすくなる傾向にあります。例えば初めて聴くアーティストで検索した場合、一番最初に流すのは最新曲ではなくランキング上位の人気曲になるのは自然なことです。さらにアーティストの人気をかけ合わせると、人気アーティストの代表曲はもっとも再生回数が伸びやすい傾向になります。「白日」「Lemon」「マリーゴールド」などは既にそういう状況で、「夜に駆ける」「炎」もそうなりそうな気配があります。

 ヒットの度合いを測る上ではその方が正確だと思いますが、一方でこの年ならではのヒットが見えにくくなるという難点があります。これは自分自身が2000年代以前のオリコン年間ランキング(=CDランキング)を見て育ったから余計にそう感じている面もあります。また2022年・2023年と後になればなるほどそういった超ロングセラーが残りやすくなりそうな予感もあるので、”その年に人気があったヒット曲を紹介する”という点で考えると今後に不安を残す結果でもあるような気がします。

 CD売上上位のみで年間Hot100に入るのは非常に難しくなりました。100万枚近く売り上げたSnow Manでも40位止まりです。そのCDランキングはジャニーズや坂道系などのアイドル系が非常に目立っていて、最近多くなったボーイズグループも台頭しています。一方Hot100でCD売上が上位に入るアーティストは少しストリーミングの数字が下がっていて、50位以内だと米津玄師と星野源にその傾向が出始めてます。CD購入の動機はアイドルでなければファンの収集アイテムという側面が現在強いので、そこから固定ファンの割合が上昇しているのではないかという推測も出来ます。

 今年はLINE MUSICキャンペーンなどもありましたが、こういった施策は年間Hot100レベルのヒットを目指すにあたって言えばほぼ意味がない結果のようです。”楽曲の人気を定量化させたランキング”を作るにあたっては、その動きを目立たなくさせたのは成功と言えるでしょう。

ビルボード2021年ランキングHOT50(ほぼ集計期間内発表曲のみで作成)

 せっかくなので、今度は2020年10月以降に配信された曲のみでランキングを作ってみました。総という名前で、Hot100の順位も併記しています。

アーティスト配信開始日CD
1.ドライフラワー優里(4)2020/10/25111
2.LiSA(8)2020/10/1246025
3.怪物YOASOBI(2)2021/1/658764
4.ButterBTS (1)2021/6/4676
5.うっせぇわAdo (6)2020/10/23738
6.菅田将暉(16)2020/11/259821011
7.廻廻奇譚Eve (24)2020/12/231089
8.勿忘Awesome City Club(30)2021/1/27112210
9.Step and a stepNiziU(5)2020/11/2512203434
10.Cry BabyOfficial髭男dism (3)2021/5/713913
11.Permission to DanceBTS (1)2021/7/9151618
12.Ado (6)2021/4/27181927
13.きらり藤井 風(21)2021/5/3191523
14.Take a pictureNiziU(5)2021/3/2921223663
15.水平線back number (7)2021/8/13282847
16.ツキミソウNovelbright (25)2020/12/11295126
17.Pale Blue米津玄師(10)2021/6/1630421178
18.アンコールYOASOBI(2)2021/7/2325021
19.ギラギラAdo (6)2021/2/14333244
20.CITRUSDa-iCE (44)2020/11/25365336
21.ハルカYOASOBI(2)2020/12/18376225
22.GrandeurSnow Man (14)2021/1/20401
23.One Last Kiss宇多田ヒカル(29)2021/3/9421270
24.Bluma to LunchBLOOM VASE (39)2020/12/194328
25.silentSEKAI NO OWARI (36)2020/12/1644965545
26.三原色YOASOBI(2)2021/7/2451450
27.もう少しだけYOASOBI(2)2021/5/10482443
28.怪盗back number (7)2021/5/24492152
29.不思議星野 源(31)2021/4/2750512592
30.僕が僕じゃないみたいだSixTONES (15)2021/6/165211
31.Film outBTS (1)2021/4/1546146
32.I promiseKing & Prince (19)2020/12/16567
33.三文小説King Gnu (17)2020/10/3058664582
34.Poppin’ Shakin’NiziU(5)2021/2/20604679
35.Life Goes OnBTS (1)2020/11/206151
36.UniverseOfficial髭男dism (3)2021/2/2462775999
37.再会(Produced by Ayase)LiSA × Uru (68)2020/11/16653069
38.優しい彗星YOASOBI(2)2021/1/20707241
39.I CAN’T STOP METWICE (11)2020/10/267160
40.春泥棒ヨルシカ(23)2021/1/9727777
41.桜が降る夜はあいみょん(9)2021/2/17736467
42.正しくなれないずっと真夜中でいいのに。(28)2020/12/17747866
43.ステイザ・キッド・ラロイ×
ジャスティン・ビーバー(71)
2021/7/97675
44.僕は僕を好きになる乃木坂46(35)2021/1/20773
45.HELLO HELLOSnow Man (14)2021/7/14822
46.題名のない今日平井 大(13)2021/2/108461
47.RenegadesONE OK ROCK (27)2021/4/16853397
48.Umillennium parade x Belle(77)2021/7/128727
49.Magic TouchKing & Prince (19)2021/5/199013
50.シャッター優里(4)2021/7/79165

BTSとYOASOBIがやはり目立つ結果に

 やはり個人的にはこちらの方がピンと来る結果のように見えます。「Dynamite」や「群青」は今年のヒットと言っても差し支えないとは思いますが…。

 BTSはHot100に7曲ランクイン、うち今年度集計は4曲でした。YOASOBIは11曲中今年度集計は6曲、この2組が今年の2強と言って差し支えないと思います。髭男は7曲ランクインですが今年配信曲は2曲のみ、アルバムもあってアーティスト3位ではありますが勢いは少し落ち気味のようです。「ドライフラワー」でブレイクした優里は「かくれんぼ」「ピーターパン」といったそれきっかけの過去曲需要が高く、それが「シャッター」「ベテルギウス」のヒットに繋がったと捉えることも出来ます。NiziUも引き続きヒットで5位、上半期ブレイクして3曲Hot50入りさせたAdoは過去曲やアルバムリリースがない分6位でした。逆に「水平線」「怪盗」が今年ヒットしたback numberは過去曲の再生も多く7位、「高嶺の花子さん」「クリスマスソング」の2曲はかなり前のヒット曲に関わらずHot100入りしています。

 CDセールス上位のSnow ManとSixTONESはHot100だとあまり目立っていませんが、アルバムも年間2位・3位なのでアーティスト別ランキングはかなり上になりました。アルバムも当然ストリーミングで1枚分聴けますが、集計対象はCD・ダウンロード・ルックアップ。したがってフィジカルが強いアーティストが圧倒的に有利になります(リスナーの行動を考えるとストリーミングで集計しようがないですからね…)。ちなみに曲単位でHot100入りしていないMr.ChildrenがHot Album 6位、アーティスト43位でした。そう考えると、ジャニーズを差し置いて『BTS, THE BEST』が年間1位になったBTSが文句無しに2021年トップアーティストと言って間違いなさそうです。

 さてビルボードと紅白歌合戦の関連性についても調べたいところですが、これは次回の記事に回します。今年だけでなく過去の年間チャートも使って、可能な限り見ていきたいです。もっとも5年前と現在ではCDセールスの比率が異なり、何よりストリーミング普及度が全然違うので、本当に参考程度の分析にしかならないかもしれないですが…。

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