紅白名言集解説・24~この機会に海原千里・万里の曲を調べてみました~


 1995年、紅組司会を務めた上沼恵美子さんがtrfの女性メンバーを前にして展開した語り。メンバーも大笑いする見事な話術でしたが、そのせいかどうかは不明ですが直後のステージではYU-KIさんが歌詞を間違えてしまうハプニングも起こりました。歌唱曲は「Overnight Sensation~時代はあなたに委ねてる~」で紅組前半2番手。披露後に赤坂へ移動して、日本レコード大賞の栄誉に輝きました。12月30日放送になってからもう随分経ったレコ大ですが、2005年までは大晦日放送。アーティストによっては、レコ大に出て移動して紅白のオープニングに出てまたレコ大に戻るという、昭和よりも1往復分余計に移動が発生するようになりました。

 さて、このくだりですが、どうも不思議な点があります。

 上沼さんが海原千里・万里のコンビ漫才時代に「大阪ラプソディー」を歌ってヒットさせたのは間違いないのですが、果たして他の曲が本当に存在しているのかどうか、ちょっと疑問があるのです。とりあえずネットで可能な限り、調べてみました。

~まずは上沼さんのレーベルのホームページ

 まずは現在の所属レーベル・テイチクのディスコグラフィーを調べてみます。シングルは「時のしおり」が2019年発売、その前にリリースした「あかんたれ」は”海原千里・万里時代の隠れた名曲”とあります。「大阪ラプソディー」のセルフカバー、関西で長年共演している円広志さん提供の楽曲もありますが、2004年以降しか情報は無さそうです。アルバムは2005年のベストに2018年のライブアルバム、色々カバー曲も歌っているようですが、「大阪城小唄」「淡路島ブルース」「伊勢海老音頭」と呼ばれる楽曲はありませんでした。

~次にそれぞれのタイトルで検索

大阪城小唄→リンク。色々出てきますが、合致しているタイトルはありません。そもそも大阪城というタイトルがつく曲もほとんど無さそうです。

淡路島ブルース→リンク。洲本市にこの名前の立ち呑みバーがあるようです。食べログの口コミによると、地元の人によく利用されている店っぽいです。Facebookにもページがありました。店内ではロックミュージックがよくリクエストされているみたいですね。お酒は飲めないですが、行ってみたい気持ちはあります。ただ残念なことに、上沼恵美子さんに関連する文面はなさそうでした。ちなみに上沼さんは、兵庫県三原郡福良町、現・南あわじ市出身。

伊勢海老音頭→リンク。トップで表示されたのは、伊勢の温泉施設・みたすの湯ブログ内記事の第51回伊勢えび祭…。

~次に「海原千里・万里 歌」で検索

 ゴールデン☆ベスト 海原千里・万里のCDが出ているようです。Spotify解禁もされているようで、収録曲をチェック。

 収録曲は全部で16曲。まずは「大阪ラプソディー」で、その次は「天満エレジー」。どうやら「大阪ラプソディー」のB面曲のようです。軽快な表題曲に反して、ものすごくスローなド演歌です。両曲とも調べると山上路夫作詞・猪俣公章作曲。結構なゴールデンコンビですね。以下「黄昏のパラダイス」「ふたりの故郷」「道頓堀行進曲」「野菊の駅」「恋ものがたり」「夢ごこち」、あとの8曲は大阪ご当地ソングのカバーですね。画像検索する限り、「黄昏のパラダイス」は表題曲でB面「夢ごこち」、「道頓堀行進曲」はラストアルバムのタイトルのようです。もしかすると、このラストアルバムでゴールデンベストに収録されていない曲があるのでは…?

~最後に「海原千里・万里 道頓堀行進曲 アルバム」で検索

 とりあえずそれっぽい情報は出てきました→リンク

 …さっきピックアップしたゴールデンベストとほとんど変化ないですね、はい。

 それ以外も色々当たりましたが、やはりどう頑張っても「大阪城小唄」「淡路島ブルース」「伊勢海老音頭」のタイトルは出てきません。あ、待てよ、よく考えると…。

~そもそも『生活笑百科』でも紅白の司会でも適当にホラを多々吹いていたような記憶が

 当時のレコード会社はビクター、直接電話やメールで問い合わせたわけではないのですが、おそらく台本もしくは上沼さん自身の咄嗟の発想に拠る可能性が高いと思われます。よくよく考えると、自ら作詞作曲したのならともかく、こうやってネタに使われると提供した作家に迷惑がかかる可能性もあります。当時も上沼さんは歌手活動をしていて、調べると1995年でもしっかり「大阪ひとり」というシングルを発売していました。上方芸人は1960年代~1970年代にかけて、お笑い色の強い楽曲を多々歌っていますが、千里・万里時代を含めて上沼さんの曲は至ってマジメ。軽快なテンポな曲はありますが、ウケ狙いの曲は一つもありません。そこは元々歌手志望であった故なのかもしれないですね。歌手としての出場が叶えば、それこそ西田敏行さん以来史上2人目の歌手司会審査員ゲスト出演コンプリートという快挙となりますが、「時のしおり」はもう少しという所で残念ながら叶わず。石川さゆりさんよりも年上ということを考えると、第70回のビートたけしさんみたいな特別枠の可能性もありそうですが、果たしてどうなるでしょうか。紅白で歌う上沼さんの姿も、個人的には少しだけ見てみたいと思っています。

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