歴代紅白歌合戦歌唱曲・演奏時間&構成表(第40回・1989年第2部その2)

演奏時間&構成表 3(第40回・1989年)

 演奏時間・構成は紅白歌合戦で実際に披露したステージを指しています。フル再生時間はSpotifyの音源基準、オリジナル未配信曲は手持ちのCDからインポートしたiTunes音源を基準としています。

 その1(第1部)はこちらその2(第2部前半)はこちらを参照してください。

曲順 楽曲 アーティスト 演奏時間
構成
フル再生時間
構成
36(応援) 鉄腕アトム 児童合唱団
(テロップ無し)
1分10秒
2コーラス
2分29秒
3コーラス
37(白18)
白後半11
DOWN 沢田研二 2分54秒
2コーラス半+サビ
3分41秒
2コーラス半+サビ
38(紅18)
紅後半11
いい子を抱いて眠りなよ 小比類巻かほる 3分25秒
2コーラス+サビ
4分5秒
2コーラス+サビ2
39(白19)
白後半12
白い奇蹟 聖飢魔II 3分2秒
1コーラス半
5分37秒
1コーラス半
40(紅19)
紅後半12
Groove A・Go・Go 杏里 4分23秒
2コーラス半
5分35秒
2コーラス半
41(白20)
白後半13
オペラ座の怪人 市村正親 3分21秒
4分16秒
42(紅20)
紅後半13
I AM CHANGING 島田歌穂 3分13秒
3コーラス
4分2秒
3コーラス(原曲)
43(白21)
白後半14
北国へ 細川たかし 3分9秒
2コーラス+サビ
3分58秒
2コーラス半+サビ
44(紅21)
紅後半14
酔いどれて ケー・ウンスク 2分46秒
2コーラス
3分45秒
2コーラス半
45(白22)
白後半15
Q チョー・ヨンピル 2分49秒
2コーラス+サビ
4分4秒
3コーラス+サビ
46(紅22)
紅後半15
赤とんぼ 由紀さおり・安田祥子 3分14秒
4コーラス+ラスト
2分52秒
4コーラス+ラスト
47(白23)
白後半16
暖簾 五木ひろし 3分10秒
2コーラス
4分16秒
2コーラス+サビ
48(紅23)
紅後半16
離別(イビヨル) パティ・キム 3分21秒
1コーラス半
3分22秒
1コーラス半
49(白24)
白後半17
吉 幾三 2分43秒
2コーラス
5分3秒
3コーラス+サビ
50(紅24)
紅後半17
下町夢しぐれ 八代亜紀 2分55秒
台詞+2コーラス
4分45秒
台詞+3コーラス
51(白25)
白後半18
指輪 森 進一 3分3秒
2コーラス
4分53秒
3コーラス
52(紅25)
紅後半18
福寿草 小林幸子 3分20秒
2コーラス
5分1秒
3コーラス
53(白26)
白後半19
陽はまた昇る 谷村新司 4分21秒
2コーラス+サビ
4分43秒
2コーラス+サビ
54(紅26)
紅後半19
だってしょうがないじゃない 和田アキ子 3分13秒
2コーラス
4分18秒
2コーラス+サビ
55(白27)
白後半20
夜汽車 北島三郎 3分19秒
2コーラス
4分37秒
3コーラス
56(紅27)
紅後半20
風の盆恋歌 石川さゆり 3分16秒
2コーラス
5分34秒
3コーラス

各ステージ・補足

 第2部ちょうど半分の所で組み込まれた「鉄腕アトム」の合唱は、紅白におけるNHK以外のキャラクター初出演の場でもありました。この年逝去した手塚治虫が描くキャラクターが、77枚の絵柄をめくる形で次々に登場します。合唱は児童合唱団ですがテロップ無し、放送時間を考えると事前録音で間違いありません。絵をめくっていたのはNHKのスタッフでしょうか…。歌は1番と2番の2コーラスです。

 沢田研二は第1部のザ・タイガースに続く出演でした。近年は紅白で2回以上歌うアーティストも増えましたが、その元祖はジュリーです。「DOWN」はアルバム『彼は眠れない』収録曲、翌年にシングルカットされました。これまで以上にロック色強めのステージ、構成はアウトロが短くなったのみで堂々のフルコーラス歌唱。(ステージレビュー→紅白歌合戦・沢田研二の軌跡

 小比類巻かほるの歌唱曲は「いい子を抱いて眠りなよ」、こちらもアルバム『TIME THE MOTION』収録曲で翌年シングルカット。ロック色強めのステージも共通しています。EPICソニーからTDKコアへレーベル移籍した直後の紅白出場でした。構成はラストサビ繰り返しを除いてフルコーラス。なお1989年はロック系やバンドの女性歌手が多くヒットした年ですが、PRINCESS PRINCESS渡辺美里浜田麻里中村あゆみSHOW-YAなどほぼ全員が辞退と思われる不出場です。

 ヘヴィメタルバンドとして初の紅白となった聖飢魔IIですが、曲は思いっきり聴かせるバラード教典「白い奇蹟」でした。オープニングはゴジラのSEも鳴り渡る悪魔の征服風ですが、本編は閣下の見事な歌声で間奏に拍手が入る内容です。Cメロと間奏まるまるカットの1コーラス半ですが、ラスト2回繰り返しのサビは”全ての季節 秘密の色に”と最後のワンフレーズだけ1回目に無理矢理くっつける構成にされています。(ステージレビュー→紅白歌合戦・バンド出場歌手の歴史(怒涛の1980年代編)

 杏里の「Groove A・Go・Go」はアルバム『CIRCUIT of RAINBOW』収録曲、シングル曲ではありません。ただフジテレビ月9ドラマ『ハートに火をつけて!』主題歌として十分に知られた楽曲でもあります。生バンド演奏は当然として、ステージはダンサーも多く引き連れて本人もダンスパフォーマンスを披露。間奏も一部分は原曲と異なるオリジナルで、力が入っています(ワンマンライブでもこのアレンジの可能性高そうですが)。歌はカット無しのフルコーラス、たださすがに1分以上にわたるアウトロは短くなっていました。かなりの好待遇ですが、この時期オリジナルアルバムは週間1位当たり前クラスの大ヒットで『CIRCUIT of RAINBOW』は年間6位のセールス。辞退だらけのこの年の紅白における、唯一呼ぶことが出来た大物アーティストと言って良いのかもしれません。

 この年はミュージカル対決が組まれました。白組は『オペラ座の怪人』から、劇団四季ミュージカル主演の市村正親がその世界観を紅白で表現。それに合わせて凝った美術セットも作られています。全編日本語の歌唱、ただ構成は1989年リリースの『The Phantom Of The Opera』収録の「オペラ座の怪人」とは大きく異なります。パイプオルガンを演奏しながら歌う部分は別の曲のような気もしますが、これについては今後また調査する予定です。

 前回『レ・ミゼラブル』の「オン・マイ・オウン」を歌った島田歌穂は、『ドリームガールズ』の「I AM CHANGING」を選曲。中盤では、前回まで連続出場していた小柳ルミ子がよくやっていたダンサー囲みの早替えパフォーマンスがありました。

 あまり間を開けずに始まる次のステージは細川たかし「北国へ」、セット替えが演奏開始に間に合っていない様子です。2コーラスにラストサビもあり、最後は半音高い音に転調していました。

 ケー・ウンスクはこの年のヒット曲「酔いどれて」を選曲。歌の世界に入り込む熱唱で、2番は涙を流しながらのパフォーマンスになっています。

 チョー・ヨンピルは韓国でこの年発売したアルバム曲「Q」を歌唱。日本語音源の存在は不明ですが、ステージは2コーラス目以降日本語での歌唱でした。ラストサビは半音高めに転調しています。

 由紀さおりは2年前にトリ前で歌った「赤とんぼ」を、姉・安田祥子との共演で歌唱。美しいハーモニーで聴かせます。「どこかに帰ろう」の歌唱つきでした。ただ歌詞構成で変更あり、”十五で姉やは嫁に行き”のくだりがカットされ、歌い出しの一節が2回歌われています。

 五木ひろしはいつもより少し早い曲順で「暖簾」を歌唱。10年連続金賞を受賞していたレコ大を辞退、売上も際立って高いわけではありませんが、五木さんにとっては強く思い出に残っている楽曲だそうです。ラストサビ以外はフルコーラス。(ステージレビュー→紅白歌合戦・五木ひろしの軌跡

 この回は韓国出身の歌手が4人登場しましたが、そのラストを飾ったのはパティ・キムでした。日本では当時も知名度は高くなかったと思われますが、歌手活動はこの年30周年で大ベテランです。「離別(イビヨル)」は1973年発表の楽曲で、日本でも複数の歌手がカバーしていました。Spotifyで配信されている音源と照らし合わせる限りでは、間奏含めた完全フルコーラス。1番韓国語・2番日本語での歌唱でした。

 吉幾三は4回目にして終盤の曲順です。「港」を間奏短めの1番・3番歌唱。なおこの年はかなり体調が悪く、歌唱後すぐに救急車で病院に搬送。エンディングも不参加でした。

 八代亜紀は2年ぶり復帰、セリフから始まる渋い演歌「下町夢しぐれ」の1番と2番を歌唱。16回目の出場ですが、着物姿で歌うのはこの回が初めてでした。

 森進一は2年続けて自身作曲のナンバー、この年は「指輪」でした。こちらも聴かせる演歌らしい演歌、1番と2番の歌唱です。

 小林幸子は「雪椿」と同じ作詞作曲陣の「福寿草」ですが、曲紹介がいよいよ衣装メインになってきました。この年は天女のイメージ、せり上がりの登場ですが一応歩行可能で、エンディングもこの衣装のまま参加しています。歌は1番と3番の歌唱でした。

 谷村新司は1979年リリースの「陽はまた昇る」、自身の父親を亡くして間もない時期のステージでした。2コーラス後の間奏が僅かにカットされる程度で、この年もフルコーラスの熱唱です。アウトロもトリ仕様のアレンジが施されていました。(ステージレビュー→紅白歌合戦・谷村新司の軌跡

 前回の紅組司会・和田アキ子はロングヒットになった「だってしょうがないじゃない」を2年連続歌唱。紳士のようにダンディーだった前年とは打って変わって、今回は肩を露出するロングドレス姿です。構成は前回と同じですが、アウトロが少しだけ長くなりました。1990年代以降は紅白で歌った曲を再び歌う機会が非常に多かったアッコさんですが、この曲は意外にも後年の紅白で歌われていません。

 平成最初の紅白も白組トリは北島三郎、「夜汽車」を歌います。両司会のやり取り中に演奏開始、第2部も時間がかなり押し気味の様子です。1番と2番の歌唱。自身が作るメロディーと歌声がよくマッチしている名曲ですが、こちらも演奏が終わらないうちに喋り始める紅組司会の三田佳子が余韻を台無しにしていました(むろん問題はスタッフの指示ですが)。

 平成最初の紅白、満を持して大トリに選ばれたのは石川さゆりでした。富山の越中おわら風の盆を題材にした「風の盆恋歌」の1番と3番を絶唱。聴かせるという意味では「津軽海峡・冬景色」「天城越え」以上で、まさしく圧巻のステージでした。紅白ではその後1回しか歌われていない事と、そもそもさゆりさんが大トリで歌ったのがこの年のみというのは、正直かなり不思議な現象としか言いようがありません。

第40回(1989年)・まとめ

演奏時間ランキング(企画コーナーは除外)

順位 曲順 楽曲 アーティスト 演奏時間
1 40(紅19)
紅後半12
Groove A・Go・Go 杏里 4分23秒
2 26(白13)
白後半6
ソーラン節 伊藤多喜雄 4分21秒
2 53(白26)
白後半19
陽はまた昇る 谷村新司 4分21秒
4 10(白4) ヒット・メドレー ザ・タイガース 4分15秒
5 9(紅5) ヒット・メドレー ピンク・レディー 4分10秒
6 15(紅7) アンコ椿は恋の花 都はるみ 3分46秒
7 22(白11)
白後半4
太陽がいっぱい 光GENJI 3分34秒
8 38(紅18)
紅後半11
いい子を抱いて眠りなよ 小比類巻かほる 3分25秒
45 21(紅10)
紅後半3
Virgin Eyes 中山美穂 2分31秒
45 33(紅16)
紅後半9
男の情話 坂本冬美 2分31秒
47 13(白6) 東京五輪音頭 三波春夫 2分29秒
48 32(白16)
白後半9
冗談じゃねぇ 堀内孝雄 2分26秒
49 3(紅1) 君の名は 織井茂子 2分25秒
50 14(白7) 青い山脈 藤山一郎 2分23秒
50 11(紅6) 誰よりも君を愛す 松尾和子
和田弘とマヒナスターズ
2分23秒
52 5(紅3) 未練の波止場 松山恵子 2分15秒
53 8(白3) 王将 村田英雄 2分13秒
54 6(白2) お富さん 春日八郎 1分58秒

 この年は第1部と第2部で明確に放送内容が違うので、ランキングも合同にするかどうか少し迷いました。特に短い方は1950年代~1960年代と1989年当時はヒット曲の尺が全く違うので、6曲までが第1部のステージで占める形になっています。そういう意味では、昭和の紅白と言える第1部は長いステージと短いステージでかなり差があったと言えそうです。第2部の全ステージ平均は3分9秒、これは昭和の紅白最長記録の前年より4秒長いです。第1部と合わせた平均時間は3分4秒でした。

フルコーラス歌唱(間奏・アウトロ・フェイドアウトは除く)

曲順 楽曲 アーティスト 演奏時間
構成
フル再生時間
構成
15(紅7) アンコ椿は恋の花 都はるみ 3分46秒
3コーラス
4分4秒
3コーラス
31(紅15)
紅後半8
ロンドンデリーの歌 佐藤しのぶ 3分12秒
1コーラス半
3分17秒
1コーラス半
37(白18)
白後半11
DOWN 沢田研二 2分54秒
2コーラス半+サビ
3分41秒
2コーラス半+サビ
40(紅19)
紅後半12
Groove A・Go・Go 杏里 4分23秒
2コーラス半
5分35秒
2コーラス半
46(紅22)
紅後半15
赤とんぼ 由紀さおり・安田祥子 3分14秒
4コーラス+ラスト
2分52秒
4コーラス+ラスト
48(紅23)
紅後半16
離別(イビヨル) パティ・キム 3分21秒
1コーラス半
3分22秒
1コーラス半
53(白26)
白後半19
陽はまた昇る 谷村新司 4分21秒
2コーラス+サビ
4分43秒
2コーラス+サビ

 7曲がフルコーラス、意外とジャンルは分かれました。ただ第1部のフルは復活の都はるみのみです。

バンドスタイルのステージ

曲順 楽曲 アーティスト 演奏時間
構成
フル再生時間
構成
10(白4) ヒット・メドレー ザ・タイガース 4分15秒
20(白10)
白後半3
TIME ZONE 男闘呼組 2分54秒
1コーラス+サビ
4分33秒
2コーラス+サビ
24(白12)
白後半5
Friends and Dream チェッカーズ 3分4秒
サビ+1コーラス+サビ
4分33秒
サビ+2コーラス+サビ
26(白13)
白後半6
ソーラン節 伊藤多喜雄 4分21秒
4コーラス
10分17秒
7コーラス
30(白15)
白後半8
大きな玉ねぎの下で
~はるかなる想い
BAKUFU-SLUMP 3分15秒
1コーラス半+サビ
4分56秒
2コーラス+サビ2
37(白18)
白後半11
DOWN 沢田研二 2分54秒
2コーラス半+サビ
3分41秒
2コーラス半+サビ
38(紅18)
紅後半11
いい子を抱いて眠りなよ 小比類巻かほる 3分25秒
2コーラス+サビ
4分5秒
2コーラス+サビ2
39(白19)
白後半12
白い奇蹟 聖飢魔II 3分2秒
1コーラス半
5分37秒
1コーラス半
40(紅19)
紅後半12
Groove A・Go・Go 杏里 4分23秒
2コーラス半
5分35秒
2コーラス半

 売れ線では無かったものの、第2部中盤の4組連続バンド生演奏はかなりの迫力でした。あらためて見ると良いステージは多いですが、やはりジャンルごとに偏り過ぎている曲順はマイナスだったでしょうか。アイドルを除く若手ヒットアーティストにほぼ敬遠されていた印象も強く、結果視聴率は関東地区で初の50%割れを記録しました。

 

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