今週のビルボードチャート~3/16(BE:FIRST、Perfume、私立恵比寿中学他)

今週のチャート総評

 首位を獲得したのはBE:FIRST「Bye-Good-Bye」、なんとリリースの無いフィジカルとカラオケ以外全部門1位になりました。公式でもLINE MUSICキャンペーン実施等ありましたが、YouTube他の再生回数についてもSNSを主体とするファン中心の強い動きはあったようです。総合ポイントはCD40万枚を売り上げた先週のSixTONESと同様、ただファン以外誰しもが知るヒット曲になるかどうかは来週以降の動き次第でしょうか。なおSpotifyではここまで110万再生、こちらもトップ50入りまではしていませんがキャンペーンだけでは残せない数字を記録しています。

 CD27万枚を売り上げたSKE48「心にFlower」は総合3位。こちらは相変わらずCD売上がポイントの9割以上を占める安定ぶりです。先々週まで1位だったAimer「残響散歌」が2位に再浮上。今週4位のKing Gnu「カメレオン」が本日CD発売なので来週の1位はその売上次第ですが、当分の間AimerとKing Gnuの熾烈な上位争いになることはほぼ間違いありません。

 10位のOWV「You」はCD売上2位・4.8万枚売り上げています。ポイントはCD売上が8割を占めますが、意外とラジオでも15位で上位にランクインしています。

 14位にPerfume「Flow」が初登場。ドラマ『ファイトソング』主題歌でCD・ダウンロード他各要素で高い順位を記録していますが、ストリーミングだけはあまり伸びずに100位圏外となっています。YouTubeは昨年の「ポリゴン・ウェイヴ」が心配になるくらい伸びがなかった印象でしたが、今作は堅調に170万再生まで記録しています。

 15位はFANTASTICS from EXILE TRIBE「サンタモニカ・ロリポップ」。こちらはCD売上がポイントの中心で75%近く、あとはラジオとツイートで稼ぐ結果になっています。ここ最近のBE:FIRSTやJO1ほどではないですが、LDH勢の根強いツイートの多さはまだまだ健在の様子。ただストリーミングどころかダウンロードでさえも100位圏外というのは、ファンの固定化が進み過ぎている状況を浮き彫りにしています。ダウンロード市場は年々縮小傾向にありますが、浮動票の多さを分析するという点では一番有効な要素なのかもしれません。

 強力な初登場曲が多いので、ロングセラー曲が少しずつランクダウンしています。Saucy Dog「シンデレラボーイ」はここにきてポイント低下、ピークを過ぎた可能性が出てきました。マカロニえんぴつ「なんでもないよ、」も11位でTOP10から外れています。「ドライフラワー」「ベテルギウス」優里は相変わらず強いですが、こちらも横ばいの推移が続いています。Tani Yuuki「W / X/ Y」は今週もポイントを伸ばしていますが、順位に関して言うと4ランクダウンの23位でした。入れ替わりで上位にランクインしたのは映画主題歌のRADWIMPS「うるうびと」で16位、そしてタイトルがちょうど集計期間にあたるレミオロメン「3月9日」が19位となっています。

 GANG PARADE「PARADE GOES ON」が29位。12ヶ月連続リリースのBiSH以外でもWACK勢のランクインはここ最近毎週のように発生しています。ただポイント加算はほぼ3.6万枚を売り上げたCD売上のみでリッピングさえも圏外中の圏外、ファン以外に名前が知られるまではまだもう少し時間がかかりそうです。

 34位にVaundy「恋風邪にのせて」が初登場。ラジオオンエアで13位、ストリーミング38位につけています。今の時点で既にストリーミング中心なのでランクイン期間はおそらく長くなると思いますが、どれくらいの順位まで上昇するかが今後のキーになりそうです。

 私立恵比寿中学「ハッピーエンドとそれから」が46位に初登場。来週発売のアルバム『私立恵比寿中学』からの先行配信曲ですが、Saucy Dogの石原慎也が楽曲提供する注目作となっています。

 50位のEve「アヴァン」は『呪術廻戦』スマホゲームアプリの主題歌になっています。「廻廻奇譚」は今週も40位にランクインしている超ロングセラーですが、そう考えるとやや順位が低すぎるような気もします。ダウンロード6位、ストリーミングは圏外ですがSpotifyで62万、ただYouTubeは現在音源のみのアップになっています。

 Lizabet「Another Day Goes By」は先週99位初登場から58位にアップ。TBSの日曜劇場『DCU』主題歌、小林武史プロデュースの作品でラジオオンエア2位になっています。その他87位にカミラ・カベロ「バン・バン feat. エド・シーラン」、92位にCreepy Nuts「パッと咲いて散って灰に」、97位に原因は自分にある。「青、その他」が初登場。上位から下位まで、非常に注目作が多いラインナップになりました。

今週のピックアップ曲

BE:FIRST「Bye-Good-Bye」

 ここ最近BESTYと呼ばれるファンが過熱気味になっているのは若干気になるところですが、楽曲・パフォーマンスは今作も非の付け所のない上々のクオリティ。オープニングから洗練されたサウンドに無駄のない振付、基礎体力が高く気になる悪癖も全く見当たらない歌声。良いことづくめの作品になっています。

 今作はキャッチーさがやや足りない気もしますが、3分近く全てが見せ所の多いサビとして捉えれば問題ないでしょうか。あえてそう作っているようにも聴こえます。しなやかな美しさを端々から感じさせるパフォーマンスは、これまで多くいた日本のボーイズグループが表現出来なかった新しいスタイル。いくら厳しいオーディションで選抜されたと言っても、これだけを見るとデビュー半年余りとは全く思えない余裕と貫禄が感じられます。今だけでなく10年20年は活躍し続けられるグループであることは間違いなく、またそうであって欲しいとあらためて願いたくなる内容です。

King Gnu「カメレオン」

 ブレイクした2019年時点でハイクオリティーの楽曲・パフォーマンスは既に大評判でしたが、正直個人的にここまで国民的人気を得るバンドになるとは思っていなかったです。どちらかというとクセのあるグループという印象でしたが、今回の「カメレオン」はドラマ主題歌として至極まっとうな王道バラードに仕上がっています。毒気・狂気といった印象はこの曲に関して言うと全く無く、万人に愛される見事な内容に仕上げています。

 ここ最近はヒット曲のトラックがどんどん短くなる傾向にあって、1970年代~1980年代の昭和歌謡に近くなっています。1990年代のヒット曲は5分超えが当たり前という風潮もあったので、そう考えると隔世の感があります。間違いなく正統派にカテゴライズされる今回の楽曲、1990年代後半ならラストサビ繰り返しを入れていたような気がしてなりません。3分くらいの短さでは、本当にあっという間に聴き終わるタイプの楽曲だと思いました。

Perfume「Flow」

 Perfumeのライブ演出の神っぷりはここ10年くらいずっと続いていますが、それがそのまま映像に活かされたようなMVです。YouTubeではHD止まりですが、間違いなく4Kだとさらに映える内容です(というより4Kで公開しないのがすごく勿体ない…)。曲もその映像に合わせたかのようなスケールの大きさ。「Dream Fighter」「STAR TRAIN」「無限未来」といったこれまでの名曲ともリンクしているかのような内容です。3人のダンスは勿論ですが、今回のMVは衣装も今まで以上に鮮やかです。カッコ良さもしっかりキープ、そこにはただならぬ貫禄が存在しています。

 「ポリリズム」でブレイクしたのは15年前、元々アイドルグループとしてのカテゴリだったので当時はそういった側面での人気も高い印象でした。女性ダンスグループ・スクール期を除くとメンバー入れ替わり無しでここまで長く人気を保ち続けた存在は過去に1組もいない、というのがPerfumeのただならぬ凄さです。当時と比べて今は男女ともに人気ダンスグループが本当に多くなりましたが、今となればその先駆者的存在としてこれまで以上に取り上げる必要があるような気がします。

Vaundy「恋風邪にのせて」

 今回の新曲もまたこれまでのVaundyとは違う魅力に溢れています。ダークなドラマ風のMVと、メロディアスに聴かせる恋をテーマにした楽曲がよく合っています。

 ここ最近人気のラブソングはある程度の傾向も見られますが、この曲はそれらとも一線を画しています。そうでありながらただただ新しいだけでなく、これまでの名曲にもあるような雰囲気も出しているのが彼の凄さ。J-POP界において、天才という言葉は彼のためにあるのかもしれません。

私立恵比寿中学「ハッピーエンドとそれから」

 2010年代はほとんどの女性アイドルグループのステージを生で見る形になりましたが、パフォーマンスが一番凄いと感じたのは間違いなく私立恵比寿中学です。メンバー全員が踊りも歌唱力も非常に能力が高く、楽曲もコミカルから真面目なバラード、これは提供陣のラインナップを見てもらえば分かると思いますが、尋常ではない範囲をカバーしています。

 今回は現在ブレイク中のSaucy Dog・石原慎也にとって初となる楽曲提供曲です。全体的にメロディアス・素朴な雰囲気は懐かしさを感じさせる部分が強いように感じました。メロディーも素晴らしいですが、新メンバーも含めた人柄の良さがそのまま歌声になっている部分に何より好感を持てます。エビ中ファンだけでなくSaucy Dogを好きな人にも聴いてもらって、そのままエビ中も好きになってくれれば何よりです。

 

 

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