今週のビルボードチャート~4/27(緑黄色社会、マカロニえんぴつ、きゃない他)

今週のチャート総評

 LINE MUSICキャンペーン後もストリーミングは上位だったので、INI「CALL 119」の1位は予想できる範囲内でした。ただ「CALL 119」が収録されているEP『I』の売上が74万枚というのは完全に想定外で、正直驚きました。前作『A』も48万枚で相当高い数字でしたが…。ストリーミング2位(ただし本日付のデイリーはLINE MUSIC4位・Spotify200位圏外・Apple Music100位圏外)や明らかに熱量が大きいと分かるtwitter1位はともかく、なにげにダウンロード3位・ラジオ1位も結構な順位です(ただルックアップは2週目キンプリを下回る2位でした)。なお楽曲はこちらで既にレビュー済。

 先週初登場のOfficial髭男dism「ミックスナッツ」が2位にアップ。ダウンロード・ストリーミングで1位です(こちらはSpotify・Apple Music・LINE MUSICいずれもトップクラス)。もう既にYouTubeでも560万再生なので、反響も昨年の「Cry Baby」同様かなり大きいです。アニメタイアップの強さはもちろんですが、やはり完成度の高い曲が一番の理由だと思います。こちらも先週のレビューで書いているので、もし良ければ是非ご確認ください。

 ここ数週自己最高順位・ポイントともに更新中のTani Yuuki「W / X / Y」がついに3位に入りました。先週より500pt近くアップ、また初登場が多くないのでその分順位上昇の幅も大きくなっています。ストリーミングは今週集計分で3位ですが、本日のデイリーはSpotify・Apple Musicともに1位。快進撃はまだまだ続きそうです。

 15位のSEVENTEEN「Darl+ing」が先週40位から大幅アップ。ストリーミング10位です。K-POPなのでLINE MUSICキャンペーンは当然無く、純粋に再生数が多いものと推測されます。K-POPですが、こちらのホームページにある通りLINE MUSICキャンペーンは実施されているようです。

 映画『クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝』主題歌の緑黄色社会「陽はまた昇るから」はCDシングルリリースで60位→30位。CDセールスは16位止まり、ファンの年齢層や嗜好を考えるとCDを買うという習慣のない人が大多数かもしれません。なおダウンロードは6位・ラジオ3位。ストリーミングは100位圏外ですが、ポイントに占める割合は25%あるのでそこまで低い数値ではありません。

 10曲中5曲が初登場の先週と比べると今週は新譜が弱く、最高位は31位のBiSH「ごめんね」でした。例の連続リリース第4弾です。32位は虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会「Colorful Dreams! Colorful Smiles!」、こちらも先週のAqoursに続くラブライブシリーズです。

 53位に初登場したのはマカロニえんぴつ「星が泳ぐ」。「なんでもないよ、」がロングセラー中ですが、4/15に配信リリースされたアニメ『サマータイムレンダ』OPテーマになっています。ラジオオンエア5位ですが、ダウンロード・ストリーミングともに思いのほか動きは鈍いです。Spotifyでは本日デイリーで120位、どうしたものでしょうか。

 61位も同じくストリーミングで強い若手バンド・Novelbright「愛とか恋とか」が初登場。「ツキミソウ」が71週目で69位ですが…。今作は5月に発売されるアルバム『Assort』からの先行配信という位置づけのようです。Spotifyのデイリーは79位、それなりに伸びてはいますがもう少し欲しい所でもあります。

 70位にはJO1「YOLO-konde」が初登場。22日の金曜日に配信開始で、翌週の上位が見込まれます。先日の私立恵比寿中学に続いて、こちらにもStray Kidsが楽曲提供。キャンペーンはありませんがLINE MUSICのデイリーは現在2位。ちなみにINIやBE:FIRSTもこちらで上位にランクインしています。そう考えると各ボーイズグループのファンは、キャンペーンを通して登録したLINE MUSICで一日中曲を再生してチャート上位に押し上げる推し活を実行している人が、想像以上に多いのかもしれません(実際Twitterでも我々が頑張ってチャートの順位を上げようと呼びかける書き込みが非常に目立っています)。

 78位初登場はきゃない「バニラ」。3月9日に配信リリースされた楽曲が急上昇しています。Spotifyのバイラルチャートで11位、ストリーミングで再生が伸び始めているようです。このパターンは数ヶ月後に上位となるロングセラー、Tani Yuukiみたいなブレイクの可能性もあります。今週の初登場でもっとも注目すべき曲かもしれません。

 81位は女性アイドルグループ・まねきケチャ「Awesome」。アニメ『RPG不動産』EDテーマですが、YouTubeの再生回数を見る限りそちらからの流入は少ない様子。1.6万枚のCDセールスが、ポイントのほぼ100%を占める形です。

 99位のEve「Bubble feat. Uta」も、アニメ映画『バブル』主題歌です。Netflix配信が明日から、劇場公開が5月13日からなので、上位に入るとすればもう少し先になりそうです。配信開始は21日なので木曜からの集計、ダウンロード19位。ストリーミングはキャンペーン展開中のLINE MUSICで現在デイリー2位となっています。

 今週は先週と違って上位に新曲が少なく、ロングセラーは軒並み順位を上げる形になっています。Saucy Dog「シンデレラボーイ」が5ランクアップですが、ポイントは僅かに下げています。同じく5ランクアップのKing Gnu「カメレオン」は若干ポイント上昇。全体的には先週のポイントを若干上回っている曲がやや多く、その点では持ち直しの傾向が見られるということでしょうか。

 先週上位曲は星野源「喜劇」が4位→7位。新曲需要は続いていますが、ストリーミングは13位であと一段階という状況です。BUMP OF CHICKEN「クロノスタシス」は3位→9位、ストリーミングは34位→26位にアップしていますが、全キャリアにおけるキャンペーン実施中なのでそれが無くなる来週に注目。IVE「LOVE DIVE」は8位→10位、他の要素の順位低下を5位のストリーミングが支えている状況です。King & Prince「Lovin’ you」は1位→16位、先週2位のSTU48は100位圏外でした。

今週のピックアップ曲

緑黄色社会「陽はまた昇るから」

 軽快なバンドサウンドにストリングスも入った、王道J-POPのど真ん中をいくような楽曲です。したがって楽曲の新鮮度は決して高くないですが、マイナー音をうまく使った良質なメロディー・等身大の歌詞・基本に忠実な楽曲構成は、どの時代から見ても通用する広汎性に満ち溢れています。長屋さんを中心とした、ミュージシャン・緑黄色社会の基礎能力の高さが最大限に活きています。「J-POP」というジャンルの魅力を、広くアピールする作品と言っても良いのではないでしょうか。

マカロニえんぴつ「星が泳ぐ」


 「なんでもないよ、」とは一味違う、ロック色のやや強いイントロが曲の世界に引き込んでくれます。ただ歌い出しはキーボードを基調とした編曲で、ガラリと雰囲気が変わる大胆さ。水の動きを活かしたMVと合わせて聴くと浮遊感を強く感じさせる内容ですが、じっくり聴くと音でもそれをうまく表現してることが分かります。TRICERATOPSやGRAPEVINE辺りのサウンドを彷彿とさせる上手さです。

 ただこの路線は音楽好きに好まれる一方で、例に挙げた20年近く前の彼らと同様なぜかジャンルを超えた広い人気に繋がりにくい傾向もあります。個人的な第一印象は「なんでもないよ、」よりもカッコ良くて魅力的と思えるくらいですが…。

Novelbright「愛とか恋とか」

 タイトルが示す通りのラブバラードです。ここ最近ヒットするラブソングは具体的な表現が胸に響く歌詞がポイントになっている印象が強いですが、この曲も曖昧な感情表現が耳に残る内容になっている気がしました。裏声を駆使して熱唱する竹中さんのボーカルも等身大なカッコ良さで、女性からの支持が集まりやすい楽曲だと思います。アコースティックな編曲になるとその魅力が更に増大されそうで、その点で考えるとライブで大化けしやすい曲とも言えそうです。

きゃない「バニラ」

 近年はイントロで曲の善し悪しが分かると力説するメディアが増えている印象ですが、そんなことは「津軽海峡・冬景色」の時点で証明済です。Seesaaやアメブロで新曲レビューを書いていた2000年代後半か2010年代前半くらいで、既に自分はブログにそんなことを書いていたような気がします。はっきりとは憶えていませんが…。

 というわけでこの曲、ピアノで奏でられるイントロのメロディーが凄く良いです。探せばクラシックでこんなメロディーがあるのではないか、と思えるくらいです。のっけから”愛してる”とストレートに伝える歌詞、やや舌足らずのボーカルは、意外と今まで聴いたことない感覚でありながら懐かしさも同時に憶えるハイブリッド。後者はいにしえの遊園地や4:3サイズの映像でそう感じるだけかもしれないですが…。

 ところが本人が記したYouTubeコメントによると、実は”ただのラブソング”というわけでもない様子。今後歌番組に出演することになった場合、そこが重点的にピックアップされそうです。結論を言うと配信から1ヶ月でHot100入りするのは実に納得。Tani Yuukiや優里くらいまでブレイクするかはまだ分かりませんが、かなりの確率で今年を代表するロングセラーになりそうな予感がします。

まねきケチャ「Awesome!」

 ソロに転向した藤川千愛がメインボーカルを務めていた2016年くらいのイメージが強く、彼女の卒業前に見たアットジャムではグループの先行きが不安な印象もありましたが、それでもしっかりグループは存続しているようです。ただオリジナルメンバーの3人は来年春にグループ卒業予定とのこと。その後に残るのは2期・3期の2人ということで、こちらも今後の運営が気になるところです。

 今回の楽曲は純粋な恋心を、良質なメロディーと個性的な5人の歌声で彩るナンバーです。MVでは架空のコマーシャル映像がユニークな作りで、大きな見どころになっています。合いの手や声質は若干好みが分かれそうな印象もありますが、楽曲自体は丁寧に良く作られているという感想を持ちました。

 

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