今週のビルボードチャート~3/23(Lizabet、乃木坂46、Mrs. GREEN APPLE他)

今週のチャート総評

 今週CD発売となったKing Gnu「カメレオン」が順当に1位獲得。ただCD売上は2位とは言え2.4万枚で意外と伸びず、2000pt程度で全体の20%に留まっています。10318ptも1位を連続して獲得していたAimer「残響散歌」ほど高くはありません。ダウンロード1位・ストリーミング2位で順位は問題ないですが、全体として数字が落ちている傾向にあるのでしょうか…。

 先週1位のBE:FIRST「Bye-Good-Bye」は今週も2位。LINE MUSICキャンペーンの影響もありますがこれは15日までなので、先週ほど大きくは絡んではいません。YouTubeも1位ですが、何より割合こそ高くないもののラジオ1位は非常に大きなポイントになっています。ストリーミングも1位ですがSpotifyのデイリーは現在も50位圏外、ただ再生数はこちらでも累計200万突破なので十分高い数字です。

 CDセールス1位のKinKi Kids「高純度romance」は約17万枚の売上、総合では3位でした。CD売上とリッピングでポイントの大半を稼ぐ形ですが、ラジオオンエアでもしっかり14位に入っています。YouTubeでも1分半short ver.のみなのでレビューは控えますが、作詞・松本隆、作曲:マシコタツロウという大変豪華な布陣です。今年でCDデビュー25周年、これだけのキャリアでトップを走り続けるのはそれだけで尊敬に値します。

 12位に原因は自分にある。「青、その他」が98位から突如ランクアップ。LINE MUSICキャンペーン実施でストリーミング5位につけています。スターダストプロモーション所属、2018年結成で現グループ名の活動は2019年以降。キャンペーンに関してはチャートを見る人にとって考えさせられる部分が多い方もいるかと思われますが、彼らの場合はキャンペーン実施でこれだけの順位を残せるようになったこと自体知名度が上がった証とも言えるような気がします。個人的には今回のランクインで初めて名前を知りましたが、これも立派なプロモーションの一つです。

 先週レビューしたVaundy「恋風邪にのせて」は34位→14位。ストリーミングで順調に数字を伸ばし、ラジオでも3位にランクインしています。Tani Yuuki「W / X/ Y」は最高位さらに更新で18位。Lizabet「Another Day Goes By」が58位から36位、NMIXX「O.O」も60位から42位で最高位更新、注目作になりつつあります。

 ロングセラー組は優里「ドライフラワー」back number「水平線」BTS「Butter」「Dynamite」YOASOBI「群青」「夜に駆ける」Awesome City Club「勿忘」が先週より数字を伸ばしています。BTSはゴールドディスク大賞受賞、YOASOBIは「群青」が行進曲に選ばれた選抜高校野球開幕という話題がありました。

 初登場曲は28位にTREASURE「JIKJIN」、35位にAdo「永遠のあくる日」、70位がワンダーランズ×ショウタイム「ニジイロストーリーズ」、81位が池田智子 × TENDRE「水星 × 今夜はブギー・バック nice vocal」、88位がMrs. GREEN APPLE「ニュー・マイ・ノーマル」、89位にStray Kids「MANIAC」、94位にBUDDiiS「R4U」、95位にTK from 凛として時雨「As long as I love (with 稲葉浩志)」。下位に注目作が並びます。あとは80位に乃木坂46「Actually…」もランクイン、来週1位になる可能性が極めて高いと思われます。

今週のピックアップ曲

原因は自分にある。「青、その他」

 キーボードの演奏が印象的な、メロディアスに聴かせるナンバー。最近のボーイズグループはダンス主体が大半を占めるので、そういった要素を排した楽曲は逆に思い切りの良さを感じます(他の曲でダンスを披露しているケースはやはりあるようですが)。

 イケメン揃いなので女性ファンは十分獲得できると思いますが、こういった曲を主体にする場合はもう少し声量が欲しいという印象もあります。声そのものはルックス同様カッコ良いと思いますが、もう少し迫力が出ればアイドルファンとは違う音楽ファンにも注目を浴びる形になるような気がしました。

Lizabet「Another Day Goes By」

 TBSテレビで放送の日曜劇場『DCU』主題歌。この枠のタイアップ効果はやはり大きく、公開2ヶ月で830万まで再生数を伸ばしています。

 小林武史プロデュース・MVは岩井俊二監督。この組み合わせは1996年のYEN TOWN BAND「Swallowtail Butterfly~あいのうた~」、映画『スワロウテイル』を彷彿とさせます。迫力と母性が両立しているような歌声とスケールの大きく荘厳な雰囲気を持ち合わせた楽曲、ドラマには確かにマッチしているのかもしれません。

 さすがに当時のCharaとは全く違う内容ですが、歌い出しは正直4年前にデビューしたmiletに限りなく近い感覚です。とは言えよく聴くと、歌声はいくぶん柔らかい感じにも聴こえます。フルで聴いているとその世界観に引き込まれるような楽曲であることは確か。その意味では、大型タイアップから外れるであろう次作が早くもポイントになるのかもしれません。

乃木坂46「Actually…」

 紆余曲折あって齋藤飛鳥・山下美月のWセンターに落ち着いた、という楽曲です。これに関しては先日コラムにして所感を書いたので、あらためて書くことはありません。

 これまでの乃木坂46の表題曲には無かったようなダークな曲調です。欅坂46っぽいという声もあり、確かに当時の彼女たちがアルバム曲として歌っていそうな雰囲気もあります。

 新生・乃木坂46をアピールした内容であることは間違いなさそうですが、歌詞を聴いていても順風満帆な未来を描いている印象はまるでありません。グループの現在と世相を反映している内容に仕上げた…そんな風にも聴こえます。考えさせられる部分が多い楽曲というのが正直なところです。

 なおMVはYouTube公開分に関して言うと上記の仕様ですが、CD付属ブルーレイ収録の特典映像は元々の作品が収録されています。そちらではドラマパートも作られているようで、その意味ではCDを購入する価値がこれまでより高いと言えるのかもしれません(Twitterで検索する限りファンの評判は決して良くないようですが…)。

Mrs. GREEN APPLE「ニュー・マイ・ノーマル」

 「青と夏」「インフェルノ」などで人気が高い中での活動休止だったので当時は非常に残念な気持ちが強かったですが、充電期間を経て1年半ぶりの復帰作となりました。ただメンバーはドラムとベースが昨年12月に脱退、3人ユニットとしての再スタートになっています。

 久々の新曲なので、まずは大森さんの第一声を聴けた瞬間が嬉しい気持ちになります。アップテンポの曲で、サビで思いっきり開放する構成はまさしくミセスの良さといった所です。あくまでなんとなくの感覚でしかありませんが、しばらく休んだ間に歌詞のスケールが大きくなっているような気がします。

 Cメロ込みの2コーラス半で4分ほど、特別長い曲ではありませんが、最近はヒット曲の短尺化が進んでいます。そのため相対的に他のアーティストよりも壮大な楽曲のようにも聴こえました。AメロBメロサビなどそれぞれの構成が短めなので、余計に様々な要素が詰め込まれているということです。これはミセスの環境的には間違いなくプラスになっている印象で、何か大きなタイアップがあれば間違いなくそれが国民的ヒット曲になる要素も秘めています。パワーアップしたMrs. GREEN APPLEは、今年来年とあらためて注目すべきバンドであることは間違いありません。

TK from 凛として時雨「As long as I love (with 稲葉浩志)」

 TKさんのメロディーを稲葉さんが歌う、というだけで聴く価値のある作品です。このメロディーで稲葉さんのボーカルから始まる、というのはなかなかの衝撃ですが、メロディーと歌声はやはりよく合っています。TKさんも相変わらずのハイトーンボイス。良いのではないでしょうか。

 

 

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