北島三郎さんといえば、「まつり」。このイメージはおそらく紅白歌合戦の大トリで作り上げられたと思われます。そして更にピンポイントで突き詰めると、1993年紅白歌合戦の大トリのステージが原点になったのではないでしょうか。

・1993年の「まつり」

 1990年の紅白では国際色が前面に押し出されていましたが、次の年以降その傾向はどんどん縮小していきます。1991年に中継出演が無くなり、その翌年には海外アーティストの出場もなくなり。1993年は設けられたテーマからして”変わるニッポン、変わらぬニッポン”。少し前までの国際色はどこへやら、思いっきり国内テイストの強い内容に仕上がりました。

 後半紅白各4組ずつ(J-POPアーティストがメイン)のステージが終わった所で、”故郷の祭り”コーナーが設けられます。総合司会・森田美由紀アナウンサーが紹介したのは、以下の面々。

  • 沖縄舞踊普及会 阿波連明美社中の皆さん
  • 東京阿波踊り振興協会の皆さん
  • 秋田市竿燈会の皆さん

 それぞれの団体がステージで競演してパフォーマンスを見せます。時間にしておよそ4分ほど。これだけだとわざわざコーナーを設けるほどかな…?という印象でしたが、真の本番はもう少し後。紅白歌合戦のラストステージで訪れます。

 2年連続大トリを務めることになった北島三郎さんの「まつり」。1984年の紅白では金色の袴姿で力強く歌いましたが、この回の衣装は白の紋付き袴。バックステージには満開の桜と大きな地球。1コーラス歌った後に登場するのは、無数に舞う桜吹雪と豊作を祝う俵積み、そして…。先ほどのショーコーナーにも登場した故郷の祭りの面々。紅白の「まつり」はこの後4度大トリで歌われましたが、いずれもその年の出場歌手たちの饗宴。勿論それはそれで見ていて大変楽しいステージでしたが、見返すと本来の日本の祭りが「まつり」として紅白で表現されたのはこの1回のみだったような気もします。「まつり」の曲に限らない形なら、他にも紅白でいくつか存在はしますが…。ただ”お祭り騒ぎ”ではないと同時に”にぎやか”でもある「まつり」を紅白のステージで見せたのは、この時だけなのかな、と感じます。

 いずれにしても、伝統的に高い歌唱力で歌い上げるステージが大半のトリのステージで新たな形を提示出来たことは非常に大きかったです。21世紀以降、SMAPや嵐が観客を巻き込むようなトリを見せてくれましたが、そこに至るまでの過程に「まつり」があったことは非常に大きかったような気がします。1999年、2006年、2009年そして2013年さらについでに2018年。トリの曲紹介は全て名言集に入れているので、他の「まつり」はまた別の機会にとっておきます。少し短い文章になりましたが、今回はこの辺りで…。