1985年の紅白歌合戦は比較的フレッシュな顔ぶれが多く、ヒット界隈の若手が多く初出場を果たしました。ただ前年の大盛況と比べればどうしても視聴率低下は避け難く、これに音楽業界の多角化も加わって翌年以降の迷走に繋がります。
演奏時間&構成表 1(第36回・1985年)
演奏時間・構成は紅白歌合戦で実際に披露したステージを指しています。フル再生時間はSpotifyの音源基準、オリジナル未配信曲は手持ちのCDからインポートしたiTunes音源を基準としています。
曲順 | 楽曲 | アーティスト | 演奏時間 構成 | フル再生時間 構成 |
1(紅1) | 愛の呪文 | 石川秀美 | 2分9秒 2コーラス | 4分6秒 2コーラス半 |
2(白1) | にくまれそうなNEWフェイス | 吉川晃司 | 2分51秒 2コーラス+サビ | 3分57秒 2コーラス半 |
3(紅2) | デビュー | 河合奈保子 | 2分39秒 1コーラス+サビ | 3分59秒 冒頭+2コーラス |
4(白2) | スシ食いねェ! | シブがき隊 | 2分29秒 3コーラス | 3分21秒 4コーラス |
5(紅3) | 愛人 | テレサ・テン | 2分50秒 2コーラス | 3分46秒 2コーラス半 |
6(白3) | あんた | 千 昌夫 | 2分55秒 2コーラス | 4分46秒 3コーラス |
7(紅4) | なんてったってアイドル | 小泉今日子 | 3分9秒 冒頭+1コーラス半 | 4分7秒 冒頭+2コーラス |
8(白4) | ジュリアに傷心 | チェッカーズ | 2分56秒 1コーラス+サビ2 | 3分59秒 2コーラス+サビ |
9(紅5) | し・の・び・愛 | 柏原芳恵 | 2分24秒 冒頭+1コーラス+サビ2 | 3分45秒 冒頭+2コーラス+サビ2 |
10(白5) | Lucky Chanceをもう一度 | C-C-B | 2分23秒 2コーラス | 3分7秒 2コーラス+サビ |
11(紅6) | 決心 | 岩崎宏美 | 2分45秒 2コーラス+ラスト | 4分1秒 2コーラス+ラスト |
12(白6) | 男詩 | 山本譲二 | 2分34秒 2コーラス | 3分26秒 2コーラス |
13(紅7) | ミ・アモーレ | 中森明菜 | 2分53秒 2コーラス | 3分53秒 2コーラス半 |
14(白7) | 華麗なる賭け | 田原俊彦 | 3分6秒 2コーラス | 3分52秒 2コーラス半 |
15(紅8) | 乾杯! | 小柳ルミ子 | 3分22秒 1コーラス半 | 4分23秒 2コーラス+サビ |
16(白8) | Cool | 郷ひろみ | 2分53秒 1コーラス半 | 4分48秒 2コーラス半 |
各ステージ・補足
トップバッターは初出場の石川秀美。「愛の呪文」を原曲より若干速いテンポで2コーラス、勢いのあるステージを展開します。
白組もトップバッターは初出場、吉川晃司がパワフルに「にくまれそうなNEWフェイス」をパフォーマンス。2コーラスに最後のタイトルフレーズも追加、バックバンドも従えてというなかなかの好待遇で演奏時間も比較的長め。ただギターに火をつけるパフォーマンスは明らかにやり過ぎでした。
河合奈保子は「デビュー」を冒頭から歌唱のはずが、前のステージで居座りが発生したせいで最初のサビがイントロになってしまいました。困惑した表情を浮かべつつも歌に入るとさすがプロの歌手、1番と2番サビを綺麗な歌声と笑顔で歌い切っています。(ステージレビュー→紅白歌合戦・河合奈保子の軌跡)
シブがき隊は当時『みんなのうた』で放送中の「スシ食いねェ」、レコードの発売は1986年2月なのでまだリリース前でした。2番でヤっくんが”ねぇ マジ?”と歌ったり、Cメロ前にテクノ風の間奏が入っていたりするなど、レコード音源とは若干異なるアレンジです。フッくんがコケてモッくんが”大丈夫?”と歌ったのはただのハプニングです。後半の構成は3番Aメロから4番Bメロに飛んでそのままおあいそ、半音ずつ上がる転調は無しでした。
テレサ・テンは前年も「つぐない」が大ヒットしていましたが、初出場を叶えたのはこの年大ヒットの「愛人」でした。2年連続日本有線大賞という実績を考えると、扱いがあまり良くないような気もします。名曲を2コーラス情感たっぷりに歌唱、最後は伸ばすアレンジが入るものの間奏はカット気味でした。アウトロはカット無しでしたが、おそらく2つ3つ前のステージで押していたのが要因で次の曲紹介が被ってしまってます。
千昌夫は2年連続吉幾三の楽曲提供、この年はマイナーな曲調で聴かせる演歌「あんた」。1番と3番の歌唱でした。
小泉今日子は代表曲となった「なんてったってアイドル」、筋肉をイメージした真っ赤な衣装が話題を呼びました。冒頭の歓声はSEですが、演奏はまだこの時代だと生がメイン。ベースやオケの音が良い味を出しています。構成は1番までフル、2番はサビでラスト繰り返しは1回少なめ、アウトロ若干カットでした。(ステージレビュー→紅白歌合戦・小泉今日子の軌跡)
チェッカーズはこの年のオリコンシングルセールス1位の「ジュリアに傷心」を歌唱。色気も満載の極めて格好良いステージですが、少しテンポ速めかつキーを若干下げています。1番から間奏を経て2番サビ、ここからはラストサビ~アウトロまでカット無しでした。(ステージレビュー→紅白歌合戦・チェッカーズの軌跡)
前回なぜか出場できなかった柏原芳恵は2年ぶりに紅白カムバック、歌唱曲は高見沢俊彦提供の「し・の・び・愛」でした。2番は全カット、間奏もそれに伴い一部カット。ただ最後のサビは2回歌わせてもらっています。
C-C-Bは「Romanticが止まらない」ではなく「Lucky Chanceをもう一度」を歌唱。元々短い曲のため、2コーラスのみの歌唱だと演奏時間もやや短めです。2番はラストに入る4小節が追加される形でした。(ステージレビュー→紅白歌合戦・バンド出場歌手の歴史(怒涛の1980年代編))
岩崎宏美はロングヒットになった「決心」を2コーラス。と言いつつも2番はAメロとサビ後半のみで大幅カットされています。この年もテンポはやや速め、11回目ですがまだ原曲通りのテンポで歌わせてもらえません。(ステージレビュー→紅白歌合戦・岩崎宏美の軌跡)
山本譲二は円広志提供の「男詩」。「越冬つばめ」は曲調が異なるので篠原義彦名義でしたが、この曲は”とんで とんで まわって まわって”と歌っていてもおかしくないノリの良いリズム。したがってテンポは原曲よりやや速めです。こちらも2コーラスですが、2番はAメロ後半カットでした。
曲紹介無しの4ステージ連続企画、まず1ステージ目は日本レコード大賞を受賞した中森明菜「ミ・アモーレ」。演出のテーマはウエスト・サイド物語ですが楽曲の舞台はリオのカーニバル、ただダンサーはリオというよりアマゾンかアフリカかというカオスさでした。2コーラスではありますがテンポはイントロからそれだと分かる超高速。最後は”アモーレ…”と歌い上げて締めました。(ステージレビュー→紅白歌合戦・中森明菜の軌跡)
田原俊彦はデビュー前の久保田利伸が楽曲提供した「華麗なる賭け」、こちらは歌詞にハリウッドが入る曲で、テーマに即した内容です。2コーラス歌唱ですが2番はAメロ前半カット。サビは2番歌詞で締める予定が、後半間違えてラストサビの歌詞を歌う結果になりました。(ステージレビュー→紅白歌合戦・田原俊彦の軌跡)
小柳ルミ子の「乾杯!」はほぼ完全にミュージカル仕様、歌は1コーラスと2番Bメロ~サビの構成です。比較的長い演奏時間のステージですが、濃さは間違いなくそれ以上のものがありました。(ステージレビュー→紅白歌合戦・小柳ルミ子の軌跡)
郷ひろみは「十人十色」がヒットし始めた大江千里の楽曲提供。渡米による活動休止を発表した後の紅白出演でした。「Cool」はシングル曲ですが初出はアルバム『LABYRINTH』収録、4分48秒の曲がシングルで5分以上になっています。紅白は1番から間奏を経てCメロ、そこからサビ2回繰り返しの構成でした。
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