歴代紅白歌合戦歌唱曲・演奏時間＆構成表（第49回・1998年その4）

演奏時間＆構成表 4（第49回・1998年）
各ステージ・補足
第49回（1998年）・まとめ

演奏時間＆構成表 4（第49回・1998年）

　演奏時間・構成は紅白歌合戦で実際に披露したステージを指しています。フル再生時間はSpotifyの音源基準、オリジナル未配信曲は手持ちのCDからインポートしたiTunes音源を基準としています。

曲順	楽曲	アーティスト	演奏時間構成	フル再生時間構成
41（紅21）紅後半11	風の盆恋歌	石川さゆり	3分56秒 2コーラス	5分34秒 3コーラス
42（白21）白後半11	北緯五十度	細川たかし	2分56秒 2コーラス	4分22秒 3コーラス
43（紅22）紅後半12	雪深深	藤あや子	3分9秒 1コーラス半	5分4秒 2コーラス半
44（白22）白後半12	冬の旅	森進一	3分48秒 3コーラス	4分37秒 3コーラス
45（白23）白後半13	夜空ノムコウ	SMAP	3分30秒冒頭＋2コーラス	4分34秒冒頭＋2コーラス
46（紅23）紅後半13	人生しみじみ…	天童よしみ	3分14秒 2コーラス	4分57秒 3コーラス
47（白24）白後半14	根っこ	北島三郎	3分26秒 2コーラス	5分20秒 3コーラス
48（紅24）紅後半14	CAN YOU CELEBRATE?	安室奈美恵	4分58秒冒頭＋1コーラス半＋サビ	6分17秒冒頭＋2コーラス＋サビ
49（白25）白後半15	酒ひとり	五木ひろし	3分15秒 2コーラス	4分44秒 3コーラス
50（紅25）紅後半15	今あなたにうたいたい	和田アキ子	4分16秒 2コーラス＋サビ	4分23秒 2コーラス＋サビ

各ステージ・補足

　日本情緒をテーマにした4曲連続ステージ、石川さゆりは9年前の大トリ歌唱曲「風の盆恋歌」を披露。1番と3番の歌唱は同様ですが、間奏は当時と比べてかなり長くなって、全体の演奏時間は40秒増加。バックダンサーによる布の使い方もかなり効果的で、9年間における舞台の進化がよく分かるステージでした。

　演奏開始が前のステージの終音に被るオープニング、細川たかしの「北緯五十度」は紅白で10年ぶりの歌唱です。歌の構成は前回と同じですが、声の伸びと音程の上ずり具合は確実に当時を超えていました。アウトロが長い分、演奏時間も17秒増加になっています。

　藤あや子はこの年発表の「雪深深」、前回まで歌っていた女の演歌とは一味も二味も異なる会心作でした。1コーラスが長いため2コーラスならずでしたが、能をイメージしたステージ作りと歌声は絶品。左手を動かしながら歌う姿がものすごく絵になっていました。

　森進一は第24回以来、25年ぶりに「冬の旅」を紅白で歌唱。こちらもサビ頭の右手が絵になるステージです。2コーラスでは足らず3コーラスフル歌唱、歌が進むたびに紙吹雪が多くなっていく演出でした。2番と3番の間奏を大幅短縮、エンディングは原曲と異なるトリ仕様です。

　年を経るごとに代表曲が更新される当時のSMAP、「夜空ノムコウ」はこれまでのシングル売上記録を大きく塗り替えました。J-POPのグループがこれだけ遅い曲順になるのは、平成以降初めてのことです。冒頭＋2コーラス歌唱は原曲と同じですが、1番サビ後半と2番サビ2回目はカット。あとは2番Aメロの中居正広ソロが香取慎吾ソロに変更されています。

　天童よしみはこの年に自身のキャラクターを模したマスコット人形が魔除けとされて話題になりました。ただキャリア・歌唱力十分とは言え3回目出場でトリ2つ前はかなりの抜擢です。ステージは「人生しみじみ…」の1番と3番。気持ちの乗った素晴らしい歌唱でした。

　今までに無かったパターンの終盤ということもあるでしょうか、北島三郎は35回目にして初めて紅白で歌詞が飛びました。この年発表の「根っこ」の1番と3番の歌唱ですが、よりにもよって”忘れちゃならない”を忘れてしまう始末。間奏で平謝り、歌い終わりでカメラに謝り、この後の曲紹介やエンディングでは自虐モードに入ってしまうという状況でした。

　安室奈美恵はこの紅白でテレビ出演再開、まさに前回の紅白歌合戦以来のステージでした。歌の構成は前回と同様ですが髪型・メイクなどはやはり異なるとともに、何より一児の母親になっています。ピラミッド型の階段から少しずつ降りていくステージ、前に移動して挨拶した際に起こった客席からの拍手に思わず涙。感動的な場面でした。なお平成以降公表されている歌手別視聴率で、このステージはもっとも高い数字を記録しています。

　五木ひろしは2年連続トリ、この年は1998年発表の新曲「酒ひとり」でした。1番と3番の歌唱、後半は半音高いメロディーに転調でエンディングはもちろんトリ仕様。歌声はひときわ力の入った素晴らしいものでしたが、「夜空ノムコウ」以降のただならぬ空気で侘び寂びを感じさせる渋い演歌というのはどうしても埋没しがちになってしまいます。（ステージレビュー→紅白歌合戦・五木ひろしの軌跡）

　大トリの和田アキ子は1988年発売のアルバム収録曲「今あなたにうたいたい」。当時はファン以外にほぼ知られていない楽曲で、デビュー30周年とは言え人選や選曲に疑問を感じる部分もありましたが、マイクを大きく離してほぼ肉声で歌う1番サビでそんなものは完全に吹き飛びます。フルコーラスでマイク無しの歌唱2回、終わってみれば歴代の大トリの中でも屈指の名ステージ。なお構成はトリ仕様のアウトロ以外完全に原曲通りのフルコーラスでした。

第49回（1998年）・まとめ

演奏時間ランキング（企画コーナーは除外）

順位	曲順	楽曲	アーティスト	演奏時間
1	48（紅24）紅後半14	CAN YOU CELEBRATE?	安室奈美恵	4分58秒
2	21（紅11）紅後半1	POWER ＆ Timing 大晦日MIX	ポケットビスケッツ＆ブラックビスケッツスペシャルバンド	4分21秒
3	50（紅25）紅後半15	今あなたにうたいたい	和田アキ子	4分16秒
4	40（白20）白後半10	チャンピオン	谷村新司	4分12秒
5	32（白16）白後半6	母に捧げるバラード	武田鉄矢（海援隊）	4分2秒
6	41（紅21）紅後半11	風の盆恋歌	石川さゆり	3分56秒
7	9（紅5）紅前半5	ザッツディズニーファンタジー	西田ひかる	3分53秒
8	27（紅14）紅後半4	wanna Be A Dreammaker	globe	3分48秒
8	44（白22）白後半12	冬の旅	森進一	3分48秒
10	17（紅9）紅前半9	きらら	工藤静香	3分44秒

41	13（紅7）紅前半7	Time goes by	Every Little Thing	2分49秒
42	22（白11）白後半1	HONEY	L’Arc～en～Ciel	2分47秒
43	12（白6）白前半6	俺がいるじゃないか	山本譲二	2分42秒
44	34（紅17）紅後半7	ふたり咲き	坂本冬美	2分41秒
45	7（紅4）紅前半4	河内おとこ節	中村美律子	2分40秒
45	35（白18）白後半8	THUNDERBIRD	T.M.Revolution	2分40秒
47	29（紅15）紅後半5	二輪草	川中美幸	2分39秒
48	10（白5）白前半5	アメリカ橋	山川豊	2分38秒
49	3（紅2）紅前半2	抱いてHOLD ON ME!	モーニング娘。	2分31秒
50	8（白4）白前半4	龍神	鳥羽一郎	2分29秒

　安室奈美恵が2年連続で最長ステージ、この年は紅組の方が長いステージ多めでした。一方演歌が多かった短いステージですが、この年はJ-POPでもチラホラ短めのステージが発生しています。全ステージ平均は第1部が3分1秒（3秒減少）、第2部が3分25秒（3秒減少）、50ステージの平均は3分16秒（2秒減少）。やや減少傾向に入っています。

複数曲歌唱のステージ

曲順	楽曲	アーティスト	演奏時間曲数
9（紅5）紅前半5	・星に願いを・ミッキーマウスマーチ・ハイホー・スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス・イッツアスモールワールド	西田ひかる	3分53秒 5曲
21（紅11）紅後半1	・POWER ・Timing ～タイミング～	ポケットビスケッツ＆ブラックビスケッツスペシャルバンド	4分21秒 2曲

　長過ぎるタイトルの曲があるので今回に限り箇条書き表記としました。ポケットビスケッツ＆ブラックビスケッツスペシャルバンドは1組にまとめる形でしたが、もう少し後だと1組ずつの扱いになっていたのではないかと想像します。

過去曲/カバー曲のステージ（新曲が含まれるメドレー除外）

曲順	楽曲	アーティスト	発表年	演奏時間構成
7（紅4）紅前半4	河内おとこ節	中村美律子	1989年 3年ぶり3回目	2分40秒 2コーラス
9（紅5）紅前半5	ザッツディズニーファンタジー	西田ひかる	1940年　1955年 1937年　1964年	3分53秒 5曲
14（白7）白前半7	傷だらけのローラ	西城秀樹	1974年 24年ぶり2回目	2分58秒 2コーラス半
20（白10）白前半10	いつでも夢を	橋幸夫	1962年 8年ぶり4回目	2分56秒 2コーラス
32（白16）白後半6	母に捧げるバラード	武田鉄矢（海援隊）	1973年 24年ぶり2回目	4分2秒語り2＋サビ2
33（白17）白後半7	セクシー・ユー	郷ひろみ	1980年	3分5秒 2コーラス
37（紅19）紅後半9	ゴンドラの唄	由紀さおり・安田祥子	1915年 33年ぶり2回目	3分2秒 4コーラス
38（白19）白後半9	北の国から ’98	さだまさし	1982年	3分28秒 1コーラス半
40（白20）白後半10	チャンピオン	谷村新司	1978年（アリス）	4分12秒 2コーラス半
41（紅21）紅後半11	風の盆恋歌	石川さゆり	1989年 9年ぶり2回目	3分56秒 2コーラス
42（白21）白後半11	北緯五十度	細川たかし	1988年 10年ぶり2回目	2分56秒 2コーラス
44（白22）白後半12	冬の旅	森進一	1973年 25年ぶり2回目	3分48秒 3コーラス
50（紅25）紅後半15	今あなたにうたいたい	和田アキ子	1988年	4分16秒 2コーラス＋サビ

　50ステージ中過去曲オンリーは13、前回より2つ増えました。この年は後半～終盤にやや固まっています。

フルコーラス歌唱（間奏・アウトロ・フェイドアウトは除く）

曲順	楽曲	アーティスト	演奏時間構成	フル再生時間構成
38（白19）白後半9	北の国から ’98	さだまさし	3分28秒 1コーラス半	3分38秒 1コーラス半
40（白20）白後半10	チャンピオン	谷村新司	4分12秒 2コーラス半	4分10秒 2コーラス半
44（白22）白後半12	冬の旅	森進一	3分48秒 3コーラス	4分37秒 3コーラス
50（紅25）紅後半15	今あなたにうたいたい	和田アキ子	4分16秒 2コーラス＋サビ	4分23秒 2コーラス＋サビ

　前半はフルコーラス無し、後半もフルコーラスは過去曲のみ。この年は比較的長い曲が多く、J-POPでは細かくカットされる場面も目立つようになってきました。