紅白歌合戦・五木ひろしの軌跡~ステージ編(1989~2020)~

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 前回の続きです。今回は平成~令和のステージを振り返ります。第59回以降は本編でレビュー済なので、当記事では簡単な内容に留めることをご了承ください。

 

第40回(1989年)「暖簾」

作詞・作曲:永井龍雲 前歌手:チョー・ヨンピル、由紀さおり・安田祥子 後歌手:パティー・キム、吉 幾三 曲紹介:武田鉄矢(白組司会)

 賞レース参加を辞退するようになった平成元年。曲順がトリ4つ前に繰り上がりました。

 フォークシンガー・永井龍雲の楽曲提供。数字的に大ヒットというわけにはいきませんでしたが、五木さんはこの曲を1年間大事に歌い続けました。後に活動を振り返ったインタビューで、40代の時に最も印象に残った曲としてこの曲を挙げています。ステージは真っ白な衣装での熱唱でした。

第41回(1990年)「心」

作詞:星野哲郎 作曲:船村 徹 前歌手:鳥羽一郎、ケー・ウンスク 後歌手:和田アキ子、北島三郎 曲紹介:西田敏行(白組司会)、光GENJI

 この年の白組トップバッターは光GENJIの「CO CO RO」。曲紹介もこれをネタにした内容になりました。当のメンバーも白組司会の西田さんと一緒に舞台袖にいるので、女性からの歓声が非常に目立ちます。五木さんのステージとしては、大変珍しいものでした。

 楽曲は50回の出演で一番の本格演歌です。星野船村コンビの代表曲が「なみだ船」「風雪ながれ旅」「兄弟船」「みだれ髪」、この並びを見ると五木さんがそこに入る異質さがよく伝わるのではないかと思います。表記は違いますが、光GENJIのそれとは何もかもが全く異なる内容です。

 白いタキシードで聴かせる熱唱です。和服ではありませんが、「細雪」「浪花盃」以上にストレートな演歌であることは疑いようがありません。

 

第42回(1991年)「おしどり」

作詞:石坂まさを 作曲:弦 哲也 前歌手:森 進一、坂本冬美 後歌手:石川さゆり、北島三郎 曲紹介:堺 正章(白組司会)

 1990年代の紅白歌合戦の終盤は、その年リリースの演歌が曲紹介もそこそこに立て続けという演出がほとんどでした。「おしどり」は1990年代の五木さんの中で最大のCD売上を記録していますが、賞レース不参加のため年末歌番組の披露は特別多くなく、その点昭和と比べて演歌ファン以外の印象に残っていない部分はあったかもしれません。

 この曲は本格演歌ではなく、歌謡曲的リズムで軽く歌えるカラオケ演歌です。歌詞も男女の愛をテーマにしていて、いつの時代でも一定の支持を得られる内容となっています。

第43回(1992年)「終着駅」

作詞:松本 隆 作曲:玉置浩二 前歌手:谷村新司、坂本冬美 後歌手:石川さゆり、細川たかし 曲紹介:堺 正章(白組司会)

 玉置浩二の作曲、作詞の松本隆も普段あまり演歌を手掛けない制作陣で意欲作です。ただ「冬のリヴィエラ」が売れた1983年頃だと話題になった可能性もありますが、当時は演歌の意欲作がなかなか評価されない時代でもありました。「心」「おしどり」と比較して売上を大きく落としています。なお当時の音楽界はJ-POP定着期・ドラマタイアップ全盛期・ビーイングの台頭が目立ち始め、若い世代のカラオケボックス需要などでCDシングルの売上が飛躍的に増加した頃でもあります。

 「僕は流行歌手です」という言葉が、当時の白組司会・堺正章によって紹介されました。楽曲は聴かせるバラードで、ステージ上に作られた花道を歩きながら歌うステージになっています。確かにキャッチーな曲ではなく、歌唱難易度もかなり高い内容です。したがって親しみやすい楽曲とは言えないと思いますが、聴き応えは非常にあります。有名な曲でないからこそ、「流行歌手・五木ひろし」の実力を確認できる作品と言って良いのかもしれません。

 なお玉置さんは翌年香西かおりに「無言坂」を提供。こちらは大ヒットして第35回日本レコード大賞も受賞、紅白歌合戦でも5回披露されています。

 

第44回(1993年)「べにばな」

作詞:石坂まさを 作曲:弦 哲也 前歌手:さだまさし、坂本冬美 後歌手:和田アキ子、谷村新司 曲紹介:堺 正章(白組司会)

 作詞家・石坂まさをの言葉をコメントを交えた曲紹介。堺さんは紅花の花束を手にしています。制作陣は2年前の「おしどり」と同様、歌詞はともかくメロディーと編曲は本当に似たような内容でした。アウトロの太鼓の演奏が大きく、ベテランならではの重みを少し入れたステージのようにも見えます。

第45回(1994年)「汽笛」

作詞:木下龍太郎 作曲:伊藤雪彦 前歌手:北島三郎、石川さゆり 後歌手:都はるみ 曲紹介:古舘伊知郎(白組司会)

 7年ぶりのトリは都はるみが対戦相手、その年リリースした楽曲でデビュー30周年を祝うようなトリ対決になりました。1990年代の紅白において両組トリでその年発売の曲が選曲されたのは、この回のみです。

 イントロに蒸気機関車のSEが入ります。7年前のようにステージ暗転まではいかないですが、バックの照明は星空をイメージした内容になっています。楽曲は「おしどり」「べにばな」にも似た歌謡曲ですが、”ちょっと待って!”の歌詞が耳に残るキャッチーさがあります。この舞台のトリで歌ったこともあって、CDシングルは年をまたぐヒットになりました。

 この時点で木下龍太郎作詞の紅白歌唱曲はまだ3曲目ですが、第40回の北島三郎「夜汽車」もトリなので意外と実績があります。木下氏のヒットが多くなるのは2000年代以降で、ご当地ソング路線でヒットし始めた初期の水森かおりはほぼ彼の作詞でした。2008年に逝去されたのが非常に惜しまれます。一方作曲の伊藤雪彦も八代亜紀「おんな港町」で第28回紅組トリ、大月みやこ「白い海峡」で日本レコード大賞受賞、こちらも曲数の割に名高い実績を残しています。

 

第46回(1995年)「酒 尽尽」

作詞:能吉利人 作曲:桜井 順 前歌手:南こうせつ、坂本冬美 後歌手:石川さゆり、北島三郎 曲紹介:古舘伊知郎(白組司会)

 この年はセットにエレベーターが2基仕込まれています。五木さんは画面右側・白組のエレベーターに乗って舞台に登場。坂本冬美「あばれ太鼓」歌唱後すぐ、司会者の画面に切り替わらないイントロのみの曲紹介です。

 「汽笛」同様、この年の「酒 尽尽」も歌詞のインパクトが強いです。擬音とかけたような”じんじん”の部分は、一度聴くと頭に残るという人も多いのではないかと思われます。この箇所で右拳に力が入っているのも、絵になります。

 2コーラス構成が原則の中でこのステージは3コーラス構成、3番が半音上がる編曲になっています。この年以降、紅白で音階を上げるステージが増えました。

 ちなみに能吉利人と桜井順は同一人物です。普段はCMソングを手掛けることが多く、作詞する時に能吉利人のペンネームを使用しています。歌謡曲のヒットはこの曲と「黒の舟唄」のみですが、CMソングは誰もが知っているメロディーを多数作っているヒットメーカーです。

第47回(1996年)「女の酒場」

作詞・作曲:永井龍雲 前歌手:細川たかし、伍代夏子 後歌手:坂本冬美、北島三郎 曲紹介:古舘伊知郎(白組司会)

 前年同様、この年も曲紹介はイントロで入るのみで前ステージから続けざまの形です。

 第71回のハイライトではこの時の映像も使用されていますが、これは1番の映像です。夕焼けをイメージした照明は、2番に入ると暗転して夜のイメージになりました。

 トリ前は第37回以来10年ぶりで、意外と久々でした。この年以降、第53回まで7年連続トリ前かトリという最終盤の曲順で歌う形になります。

 

第48回(1997年)「千曲川」

作詞:山口洋子 作曲:猪俣公章 前歌手:北島三郎、安室奈美恵 後歌手:(なし、エンディング) 曲紹介:中居正広(白組司会)

 26年連続その年の楽曲を歌ってきましたが、この年ついに紅白で初の過去曲歌唱になりました。その理由は翌年の長野五輪開催と言われています。第28回・第38回同様、この年も40代ラストの紅白を大トリで飾る形になりました。

 「さて1997年最後の歌ですが、オリンピックが開かれます長野が舞台となっている曲になっております。皆様にとって、そして私たちにとって一人ずつまた来年きっといいことがありますよう、その願いをこの方・この曲に託したいと思っております。それでは歌って頂きましょう、「千曲川」五木ひろしさんです、どうぞ。」

 イントロにアレンジが加わる弦楽器の演奏は、高尚なクラシックを聴いているかのような状況でした。全くもって演歌の雰囲気ではない格調高い内容で、童謡・唱歌と言った方が正確な入りです。男女の合唱団も歌をおおいに盛り上げます。

 22年前のトリは2コーラスでしたが、この時は3番まで歌う完全フルコーラス。いや、ラストの”信濃の旅路よ”は2回繰り返して大トリのファンファーレも加わっているので、間違いなく原曲を超えたアレンジです。2番が歌い終わると、銀色の紙吹雪が降り注ぐ演出まで加わります。引きの映像から歌う表情まで少しずつズームしていくラスト1コーラスのカメラワークも印象的。第71回のハイライトではこの時の映像も使用されています。

 直前のステージが社会現象にもなった安室奈美恵「CAN YOU CELEBRATE?」、個人的に放送前は余程のことが無い限り紅組優勝と思ったものです。当時若かった自分にとっては”知らない曲”でしたが、そんな自分が見ても安室さんの印象が飛ぶようなステージでした。中居さんの初司会の上手さもありましたが、やはり白組優勝になった一番の決め手はこのステージにあったと思います。

 名曲・名歌手をこれ以上ないほど魅力的なものに仕上げた、紅白歌合戦史上に残る名ステージです。50回出場した五木さんの全ステージどころか、歴代全てを振り返ってもトップに選んで良い内容でした。少なくともこのステージが無ければこうやって毎年紅白歌合戦について書くことも昔の曲や演歌に興味を示すこともなかった、それくらい自分にとっては大きな存在です。

第49回(1998年)「酒 ひとり」

作詞:土田有紀 作曲:岡 千秋 前歌手:北島三郎、安室奈美恵 後歌手:和田アキ子 曲紹介:中居正広(白組司会)

 2年連続のトリは、奇しくも双方「CAN YOU CELEBRATE?」の次に歌う曲順になりました。ただ最高傑作レベルの前年とは大きく違った内容になります。

 この年の終盤は色々予想外なことが続出しました。サブちゃんが歌詞を間違えて、復帰の安室さんがステージで号泣して、大トリのアッコさんがマイクを離して肉声で歌うパフォーマンス。そうなると、予定通りに歌う五木さんにとっては大変損な結果になってしまいます。ちなみに五木さんは、50回出場した紅白で歌詞を間違えた場面は一つも無し。サブちゃんのみならず森さんもさゆりさんも細川さんも島倉さんも最低一度はミスしているので、そう考えるとこれも非常に偉大な記録です。

 ただ直前に安室さんが号泣して、サブちゃんが歌詞を間違えたと告白するような白組側の舞台袖です。ステージに向かうための準備で既に立っている五木さんにとっては、歌いにくいことこの上ない状況でした。逆に言うと、五木さんだからこそこういった役回りが可能だったのかもしれません。

 ステージはドライアイスの演出が入り、2番に入ると転調する持ち前の歌唱力の高さがしっかり伝わる内容でした。ただやはり、その年発表とはいえ演歌ファン以外の知名度が高くない聴かせる演歌を選曲したのは、結果的には戦略ミスだったような気はしないでもありません。間違いなく名誉なことではあるのですが…。

 

第50回(1999年)「夜空」

作詞:山口洋子 作曲:平尾昌晃 前歌手:谷村新司、天童よしみ 後歌手:和田アキ子、北島三郎 曲紹介:中村勘九郎(白組司会)

 1973年日本レコード大賞受賞曲ですが、第24回では「ふるさと」を選曲。26年経っての紅白初歌唱でした。この年は第50回という節目ということで終盤は過去曲だらけ、トリ4つ前の小林幸子がその年発表曲ラストという珍しい年でした。

 楽曲発表時と比べてギターの音が大きくなり、2コーラス目前半ではテンポがゆっくりになるなどアレンジが大幅に変わっています。アカペラに近いアレンジの前半と通常の演奏に戻るサビではテンポも大きく変わるので、終盤のリズムで少し苦労している様子でした。ラストフレーズ直前で演奏のテンポが1拍多く、オケがミスしているようにも聴こえます。それでもカッコ良いステージであることは間違いなく、それ以前に何回も紅白で演奏された聴かせる演歌やバラードが多かった終盤の中で、確実に良いアクセントになっていました。

 ステージセットの後ろに設けられたビジョンには、宇宙のイメージ映像が映っていました。紅白歌合戦のセットで映像演出が本格的に使用されるのは、この年が初めてです。また客席にもペンライトが配られて、NHKホール全体で夜空を表現しています。

第51回(2000年)「山河」

作詞:小椋 佳 作曲:堀内孝雄 前歌手:北島三郎、天童よしみ 後歌手:(なし、エンディング) 曲紹介:和泉元彌(白組司会)

 20世紀の紅白歌合戦大トリとなった大作バラードです。4月発売時に初めて曲を聴いた瞬間に、これは紅白の大トリ以外あり得ないと直感した内容でした。「あと25分ほどで21世紀。新しい世紀にも私たちは大きな夢と志を持って生きてゆけたらと思います。西暦2000年12月31日、20世紀最後の紅白を飾る1曲は「山河」、五木ひろしさんです!」

 30回目の紅白出場ですが、マイクスタンドが用意されたのはこの時が初めてでした。したがって歌う際には右手だけでなく、左手にもアクションが加わっています。ただスタンドを持つ時の手は、やはり左の方が力が入っているように見えました。

 全部で6分近くになる大作なので、さすがにフルコーラス歌唱ではありません。ただ構成は2番の一部がカットになる程度で転調もあり、演奏時間も5分近い大トリに相応しい内容でした。暗転に近い状態から少しずつ明るくなる照明、終始ステージ床面に放出され時折五木さんの顔にも舞い上がるドライアイス、後半から加わる銀色の紙吹雪に大トリを象徴するようなラストのファンファーレ。やはり20世紀を締めるにあたってこれ以上ないほど相応しいステージでした。第71回、結果的に50回ラストを飾ることになった際に再び選曲されたのも自然の流れです。

 

第52回(2001年)「逢いたかったぜ」

作詞:石本美由起 作曲:上原げんと 前歌手:さだまさし、天童よしみ 後歌手:和田アキ子、北島三郎 曲紹介:阿部 渉(白組司会)

 1955年に岡晴夫が歌った曲のカバー。これはヒットを狙うというよりカバーすることに意味がある曲で、作曲した上原げんとは五木さんのデビューに際しての師匠であり恩師と言える存在でした。上原氏は「新宿駅から」でデビューして間もない1965年8月に50歳の若さで急逝。これが無ければ世に出たタイミングがもう少し早かった可能性も高いですが、その名前が”五木ひろし”でなかったと思われるのもまた確かなことです。

 黒を基調としたスーツで、ラスト1コーラス転調の3コーラス歌唱。トリ前なので、舞台袖には全歌手が集まっています。アウトロも豪華なアレンジが加わり、コーラスの歌声もかなり目立っていました。

第53回(2002年)「おふくろの子守歌」

作詞・作曲:つんく 前歌手:北島三郎、石川さゆり 後歌手:(なし、エンディング) 曲紹介:阿部 渉(白組司会)

 「兄弟の絆、親子の絆、そして家族の絆。今年ほど絆の大切さを意識した年はありません。目を閉じればそこに故郷がある。愛する家族がいる。2002年12月31日第53回NHK紅白歌合戦。万感の思いを込め、今年の締めくくり。五木ひろしさんが歌います。「おふくろの子守歌」。」

 前年4月に発売された「おふくろの子守歌」ですが、この年に自身の母親が亡くなった後は封印状態にしました。阿久悠作詞の「傘ん中」が大ヒットしていた状況でしたが、紅白歌合戦でその封印を解禁するという形で披露。そこには家族や故郷などがクローズアップされた一年(この年拉致被害者の帰還もありました)という理由もありました。

 原曲のメロディー自体かなりあっさりした内容ということもあり、構成が大幅に変わっています。1番Aメロ→2番Aメロ→2番Bメロ→1番サビ→「五木の子守唄」→2番サビ&ラスト、という構成になりました。イントロに童謡「ふるさと」の合唱1コーラス追加、本来冒頭に入る童謡「五木の子守唄」が間奏に移動しています。2番はやはり例のごとく、転調してキーが高くなっています。あとはファンファーレでも「ふるさと」のメロディー・合唱が加えられています。このステージは翌年4月発売のカバーアルバムにもそのまま音源として収録されました。

 涙を浮かべながら歌うステージは、紅白に出場した50回でこの時のみでした。五木さん本人も、思い出に残るステージの一つにこれを挙げています。ただ楽曲の知名度が高くないため、ステージの内容に反して当時の反響や評判は必ずしも良いものばかりではありませんでした。年明けの記事も、強烈な印象を残した中島みゆき「地上の星」の方が圧倒的に多く取り上げられました。

 なおこの年のトップバッターは藤本美貴「ロマンティック浮かれモード」、つんくは紅白のトップバッターと大トリ両方の曲を手掛ける形になりました。五木さん自身もこの時期から約10年、ハロプロとの関係性は深くなります。

 

第54回(2003年)「逢えて…横浜」

作詞:悠木圭子 作曲:鈴木 淳 前歌手:長渕 剛、和田アキ子 後歌手:石川さゆり、北島三郎 曲紹介:阿部 渉(白組司会)、高山哲哉、テツandトモ

 この年に歌手としても出場、五木さんを敬愛しているというテツandトモが曲紹介に参加。笑い無しでマジメに五木さんの凄さを語っていました。

 「逢えて…横浜」は「よこはま・たそがれ」以来横浜を舞台にした曲で、ヒットしました。2000年代は1990年代と売上は大きく変わりませんがJ-POPが全体的に売上低下傾向だったので、元から下がっていた演歌が年間順位で見ると相対的に上がっているように感じる時期でもありました。現在まで紅白に連続出場している氷川きよし水森かおりがブレイクしたのもこの頃です。

 前年まで7年連続トリ~トリ前でしたがこの年はトリ3つ前、そのためステージはややあっさりした内容です。それでも2番に入るとまた転調してフィナーレも豪華、存在感はバッチリ見せていました。

第55回(2004年)「雪燃えて」

作詞:荒木とよひさ 作曲:弦 哲也 前歌手:平井 堅、天童よしみ 後歌手:小林幸子 曲紹介:阿部 渉(白組司会)

 デビュー40周年に際しての白組トリ。もっともレコードデビューは1965年3月なのでこれに関しては40年目という方が正確です。1964年にはコロムビア全国歌謡コンクールで優勝して専属歌手になった年、公式ではここをデビュー年と認定している形のようです。

 楽曲は「アカシア挽歌」と両A面、CDでは2トラック目に収録されていました。演歌・歌謡曲でその年発売された楽曲がトリに選ばれるケースは、これが最後です。NHKで放送された金曜時代劇『最後の忠臣蔵』主題歌、「アカシア挽歌」ではなく「雪燃えて」を選曲した背景にはこのタイアップが加味された可能性もありそうです。また大トリが小林幸子「雪椿」、ここの意識もあったかもしれません。

 雪を題材にした楽曲なのでドライアイス演出が入ります。その一方で紙吹雪はありません。1コーラスが長いので、ステージ構成は1コーラス半でした。例のごとくラストサビで転調、また同じタイミングで照明が燃える火をイメージした赤紫色基調に変わっています。一方、トリでお馴染みのファンファーレは無し。そのため終わり方は前年よりあっさりしていました。

 

第56回(2005年)「ふりむけば日本海」

作詞:五木寛之 作曲:五木ひろし 前歌手:松任谷由実 with Friends of Love The Earth、DREAMS COME TRUE 後歌手:渡辺美里、m-flo loves Akiko Wada 曲紹介:山本耕史(白組司会)、みのもんた(総合司会)

 自身の芸名の由来になった作家・五木寛之が作詞を担当。2000年代の五木さんの楽曲で最もヒットしたシングルになりました。この年以降白組演歌は氷川きよし北山たけしを除いてほぼ過去曲で、「ふりむけば日本海」は紅白終盤で唯一歌われたその年の演歌になっています。

 深い青色を基調とした抑えめの照明で、ノーマルに2コーラス熱唱します。6年ぶりに転調も無しでした。バックの踊りや演出などが何もない状態で新曲の演歌を歌うシーンは、1990年代前半の紅白では当たり前のように見慣れた光景でしたが、この年以降は貴重な内容になっていきます。

第57回(2006年)「高瀬舟」

作詞:水木れいじ 作曲:五木ひろし 前歌手:コブクロ、倖田來未 後歌手:DREAMS COME TRUE、SMAP 曲紹介:三宅民夫(総合司会)

 J-POPのCD売上が低下した影響もあって、22年ぶりにオリコンCDシングルTOP10入りを果たした曲になりました。

 イントロ曲紹介のみで、前ステージの倖田來未「夢のうた」に続く形での登場でした。白組司会の中居正広は次ステージ準備のためスタンバイ中、代わりに総合司会の三宅民夫アナがアナウンスを担当しています。

 せり上がりで登場するのは第33回以来24年ぶり、和服姿は第37回以来20年ぶりでした。ゲスト演奏者として琴の内藤洋子内藤久子の名前がクレジットされていますが、バックにゲストミュージシャンを従えて演奏するのは36回目で初でした。

 

第58回(2007年)「契り」

作詞:阿久 悠 作曲:五木ひろし 前歌手:森 進一、石川さゆり 後歌手:(全員合唱、エンディング) 曲紹介:笑福亭鶴瓶(白組司会)

 この年逝去された作詞家・阿久悠を追悼するステージ。和田アキ子森進一石川さゆりの4人で、ラスト4曲は全て阿久悠作品でした。「あの鐘を鳴らすのはあなた」「北の螢」「津軽海峡・冬景色」はいずれもそれ以前の紅白でトリとして歌っていますが、この回の大トリで歌われた「契り」が過去の紅白でトリ前止まりというのが今考えると大変趣深いです。ちなみにこの3曲はいずれも、大トリで歌っていない曲でもあります。

 弦楽器のイントロが新たに加わるアレンジになりました。ステージ中央の階段から、白いドライアイスが絶え間なく舞台に溢れています。前ステージで大量に降り注いだ紙吹雪が天井にまだ残っていたようで、その一片が五木さんの頭に乗ったままの歌唱になっています。

 35年前は番組テーマの都合でトリに選ばれなかった印象でしたが、逆にこの年ははっきりとした理由があったために大トリに選ばれたという印象もありました。2番で転調して、2コーラスを思いっきり熱唱。間違いない名ステージです。ただトリのファンファーレ無し、直後に全員合唱で「世界に一つだけの花」のステージもありという状況だったので、大トリの割に若干の扱いの悪さを感じさせる内容でもありました。

 第71回のハイライトではこの時の映像も使用されています。

第59回(2008年)「凍て鶴」

作詞:喜多條忠 作曲:三木たかし 前歌手:德永英明、倖田來未 後歌手:アンジェラ・アキ、森山直太朗 曲紹介:中居正広(白組司会)

 闘病生活を送る作曲家・三木たかしに捧げるステージでした。詳しくは本編レビューを参照してください。なおこの年初めてイヤモニを装着しています。

 

第60回(2009年)「凍て鶴」

作詞:喜多條忠 作曲:三木たかし 前歌手:東方神起、水森かおり 後歌手:マイケル・ジャクソン追悼ステージ、木村カエラ 曲紹介:阿部 渉(総合司会)、西田敏行、三國連太郎

 中居正広がSMAPとして直後の企画ステージに出演するため、総合司会の阿部渉アナが曲紹介を進行しました。『釣りバカ日誌』の名コンビとやり取りしながら曲紹介。審査員と応援ゲストが五木さんが歌う前の曲紹介に登場するのは、この時が初めてです。

 詳しくは本編レビューを参照してください。

 

第61回(2010年)「おしろい花」

作詞:たかたかし 作曲:木村好夫 前歌手:TOKIO、倖田來未 後歌手:企画コーナー「ふるさと」、和田アキ子 曲紹介:VTR、二宮和也(白組司会/VTR語り)

 生前の木村好夫氏との親交を紹介したVTRでの曲紹介、ナレーションは二宮和也が担当しました。イントロやその前で直接司会者が曲紹介するシーンは全く無し、これは50回中唯一のケースです。

 バックに人がいない状況でその年発表の楽曲を歌うのは、この年が最後になりました。

 詳しくは本編レビューを参照してください。

 

第62回(2011年)「ふるさと」

作詞:山口洋子 作曲:平尾昌晃 前歌手:嵐、いきものがかり 後歌手:松田聖子・神田沙也加、氷川きよし 曲紹介:嵐(白組司会、台本は大野智と松本潤)

 この辺りになると原則全ステージ、白組でも紅組司会が一緒にいるシーンが通常になります。ちなみにこの年の紅組司会は井上真央でした。

 詳しくは本編レビューを参照してください。

第63回(2012年)「夜明けのブルース」

作詞・作曲:レーモンド松屋 前歌手:郷ひろみ、aiko 後歌手:きゃりーぱみゅぱみゅ、企画コーナー「ふるさと」 曲紹介:嵐(白組司会、台本は櫻井翔)、コロッケ

 五木さんの21世紀を代表する大ヒット曲ですが、この年は紅白歌合戦で初めて挑戦することが複数ありました。

 まずはステージでのギター演奏。応援でギターを披露した例はありますが、自らのステージでは初めてです。そしてAKB48がコーラス(というより盛り上げ役)でステージに参加、紅組歌手・アイドルが歌う後ろで一緒に登場するのもこの時が初めてでした。そもそも出場歌手が五木さんのバックに登場すること自体、第23回以来40年ぶりのことです。

 詳しくは本編レビューを参照してください。

 

第64回(2013年)「博多ア・ラ・モード」

作詞・作曲:レーモンド松屋 前歌手:関ジャニ∞、きゃりーぱみゅぱみゅ 後歌手:Perfume、ゆず 曲紹介:嵐(白組司会、台本は二宮和也)、指原莉乃

 楽曲提供のアーティストだけでなく、大まかなステージ内容どころか近い曲順にきゃりーぱみゅぱみゅがいることも前年と共通。出演時間は前年より少し遅くなっています。あとギター演奏はこの回無しでした。

 曲順が少しズレている時間帯なので、対戦相手がきゃりーぱみゅぱみゅなのかPerfumeなのかは判断が分かれるところです。

 詳しくは本編レビューを参照してください。

 

第65回(2014年)「よこはま・たそがれ」

作詞:山口洋子 作曲:平尾昌晃 前歌手:氷川きよし、水森かおり 後歌手:いきものがかり、きゃりーぱみゅぱみゅ 曲紹介:VTR、木村拓哉

 作詞家で、五木さんの生みの親でもある山口洋子を追悼するステージでした。

 詳しくは本編レビューを参照してください。

 

第66回(2015年)「千曲川」

作詞:山口洋子 作曲:猪俣公章 前歌手:BUMP OF CHICKEN、石川さゆり 後歌手:V6、Perfume 曲紹介:有働由美子(総合司会)

 石川さゆり「津軽海峡・冬景色」と名曲対決。白組司会の井ノ原快彦V6のステージ準備のため有働由美子アナが曲紹介を担当しました。

 詳しくは本編レビューを参照してください。

第67回(2016年)「九頭竜川」

作詞:下地亜記子 作曲:五木ひろし 前歌手:AI、AKB48 後歌手:「ふるさと」全員合唱、KinKi Kids 曲紹介:相葉雅紀(白組司会)、『歌う!SHOW学校』生徒の面々

 この時期MCを務めたNHKの番組『歌う!SHOW学校』出演陣が応援に登場。またAKB48が紅白選抜企画で、そのまま立て続けに五木さんのステージにも参加します。

 詳しくは本編レビューを参照してください。

 

第68回(2017年)「夜空」

作詞:山口洋子 作曲:平尾昌晃 前歌手:西野カナ、TOKIO 後歌手:乃木坂46、全員合唱(いつでも夢を) 曲紹介:二宮和也(白組司会)、松田聖子

 作曲家で、五木さんの恩師でもある平尾昌晃を追悼するステージでした。

 詳しくは本編レビューを参照してください。

 

第69回(2018年)「VIVA・LA・VIDA~生きてるっていいね!~」

作詞:なかにし礼 作曲:杉本眞人 前歌手:おげんさんといっしょ、島津亜矢 後歌手:ニュース、DA PUMP 曲紹介:櫻井 翔(白組司会)

 総合司会の内村光良が扮する三津谷寛治コーナーからステージに入る形になりました。イントロの曲紹介は櫻井翔が担当しています。

 70歳にして初の英語タイトル&英語詞、そしてDA PUMPのメンバー振付のもとフォーメーションダンスに挑戦。前例の全くないほど画期的な内容になっています。

 意外にも、なかにし礼提供の曲を歌う機会はこれまで少なく、紅白で歌うのも初になりました。また紅白前半で歌うのは初出場の第22回以来、平成以降では初めてです。

 詳しくは本編レビューを参照してください。

 

第70回(2019年)「VIVA・LA・VIDA~生きてるっていいね!~」

作詞:なかにし礼 作曲:杉本眞人 前歌手:福山雅治、TWICE 後歌手:ニュース、Little Glee Monster 曲紹介:櫻井 翔(白組司会)、チコちゃん、岡村隆史

 50回のステージの中で圧倒的にカオスな内容になりました。本人もノリノリの表情ではありましたが、よくこの企画を引き受けてくれたものだとも思います。

 詳しくは本編レビューを参照してください。

 

第71回(2020年)「山河」

作詞:小椋 佳 作曲:堀内孝雄 前歌手:鈴木雅之、ディズニーメドレー 後歌手:ニュース、NiziU 曲紹介:大泉 洋(白組司会)

 結果的にはこれが紅白ラストを飾るステージになりました。

 詳しくは本編レビューを参照してください。

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