第51回の紅白歌合戦は2000年、21世紀目前の紅白歌合戦はシドニー五輪開催もあってゲスト審査員が特に豪華な顔ぶれでした。一方音楽シーンもこの年は空前絶後レベルの豊作年。J-POP年間上位は辞退したアーティストが多かったものの、それでも初出場を中心に話題のヒット歌手多数。1990年代は入れ替わりが多かったJ-POP系も、この時期辺りから常連として定着するアーティストが多くなり始めます。
演奏時間&構成表 1(第51回・2000年)
演奏時間・構成は紅白歌合戦で実際に披露したステージを指しています。フル再生時間はSpotifyの音源基準、オリジナル未配信曲は手持ちのCDからインポートしたiTunes音源を基準としています。
曲順 | 楽曲 | アーティスト | 演奏時間 構成 |
フル再生時間 構成 |
1(白1) 白前半1 |
ナンダカンダ | 藤井 隆 | 3分8秒 2コーラス半+サビ |
3分28秒 2コーラス半+サビ |
2(紅1) 紅前半1 |
夏祭り | Whiteberry | 2分29秒 冒頭+2コーラス+サビ |
3分41秒 冒頭+3コーラス+サビ |
3(白2) 白前半2 |
サウダージ | ポルノグラフィティ | 2分56秒 冒頭+2コーラス+サビ |
4分21秒 冒頭+2コーラス半 |
4(紅2) 紅前半2 |
ボーイフレンド | aiko | 3分20秒 1コーラス半 |
4分47秒 2コーラス半 |
5(白3) 白前半3 |
if… | DA PUMP | 3分17秒 2コーラス半 |
3分39秒 2コーラス半 |
6(紅3) 紅前半3 |
みれん酒 | 石原詢子 | 2分39秒 2コーラス |
4分13秒 3コーラス |
7(白4) 白前半4 |
逢えてよかった | 山川 豊 | 2分52秒 2コーラス |
4分3秒 2コーラス半 |
8(紅4) 紅前半4 |
おんなの純情 | 中村美律子 | 2分29秒 2コーラス |
3分51秒 3コーラス |
9(白5) 白前半5 |
水・陸・そら、無限大 | 19 | 2分55秒 1コーラス+サビ |
4分48秒 2コーラス+サビ |
10(紅5) 紅前半5 |
あ~よかった | 花*花 | 3分1秒 2コーラス+サビ |
3分45秒 2コーラス+サビ |
11(企1) | ディズニーソングショー | |||
星に願いを | 小柳ゆき | 0分38秒 サビ |
3分15秒 1コーラス半(原曲) |
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SING SING SING | 白組歌手3名 紅組歌手4名 |
0分31秒 サビ |
3分55秒 2コーラス(原曲) |
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ROCK AROUND THE CLOCK | モーニング娘。 | 0分27秒 1コーラス |
2分17秒 6コーラス(原曲) |
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LET’S GROOVE | DA PUMP | 0分23秒 サビ |
5分39秒 冒頭+2コーラス半(原曲) |
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CONGA | 松田聖子 | 0分27秒 サビ |
4分15秒 冒頭+2コーラス+サビ(原曲) |
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MICKEY MOUSE MARCH (Eurobeat Version) |
出場歌手多数 | 0分50秒 1コーラス+ラスト |
4分21秒 3コーラス+ラスト(原曲) |
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12(白6) 白前半6 |
孫 | 大泉逸郎 | 2分37秒 2コーラス |
4分16秒 3コーラス |
13(紅6) 紅前半6 |
満月 | 伍代夏子 | 2分34秒 1コーラス半 |
4分38秒 2コーラス半 |
14(白7) 白前半7 |
みんなでワーッハッハ! | TOKIO | 2分48秒 2コーラス半 |
3分28秒 2コーラス半+サビ |
15(紅7) 紅前半7 |
バラ色の日々 | MAX | 3分25秒 2コーラス+サビ |
3分52秒 2コーラス半+ラスト |
各ステージ・補足
トップバッターはこの年「ナンダカンダ」がヒットした藤井隆。前回は応援ゲストで全く持ち味出せずでしたが、その時から考えればまさかと言ってもいい歌手としての出場。しかも短い曲であるとは言え完全フルコーラス(アウトロのみフェイドアウトから変更)、本人にとっては夢のようなステージだったのではないでしょうか。次の年もRe:Japanの一員として出場、3年連続異なる形で紅白に出演する珍しい記録を作っています。
北海道の北見から上京したWhiteberryは当時平均15歳台、歴代のバンド出場歌手では当時最年少の出場です。歌は1990年にJITTERIN’ JINNの曲としてヒットした「夏祭り」のカバー。こちらは2番カットでラストサビの繰り返しも1回少なめ、ただ間奏を筆頭とする要所はしっかり残しています。(ステージレビュー→紅白歌合戦・バンド出場歌手の歴史)
ポルノグラフィティはこの年初出場ですが既に複数曲が大ヒット、「アポロ」「ミュージック・アワー」もある中で選曲されたのはもっともヒットした「サウダージ」でした。イントロがかなりカットされたものの、2コーラス歌唱で転調後のラストサビもあり。アウトロも比較的カット少なめで、フェイドアウトからオリジナルの終わり方に変更のアレンジつき。歌う前のトークは緊張を隠せない様子でしたが、ステージは素晴らしい内容でした。
aikoも前年発表の「花火」「カブトムシ」が既に代表曲になっていましたが、紅白で歌ったのはこちらも最大セールスを記録した「ボーイフレンド」。ジーンズにTシャツ姿で舞台狭しと動き回るライブパフォーマンスは、これまで見た紅組歌手の初出場でほとんど見られない快活さでした。間奏が半分ほど短くなった1コーラス半構成ですが、歌唱時間は第1部の初出場としてはなかなかの長さ。もちろん長さを全く感じなかったステージであるのは、言うまでもありません。
3年連続出場のDA PUMP「if…」も、「U.S.A.」で再ブレイクするまでは真っ先に挙げられる代表曲でした。演奏前にオリジナルのMCパフォーマンス15秒追加(表の演奏時間はこれも計上)、イントロではKENがオリジナルラップ披露。曲も2番まるまるではなくAメロのみがカット、この4人時代のグループにおいて紅白のみならずテレビ番組史上でもベストパフォーマンスだったのではないでしょうか。
紅組は冒頭から3組連続初出場、石原詢子が歌うのは前年からロングセラーが続いていた「みれん酒」。ふるさと岐阜県からの応援が曲紹介だけでなく歌の舞台でも入ります。1番と3番の歌唱、間奏は1回目の分がノーカット演奏でした。
山川豊は3年前の「酒場のろくでなし」をバージョンアップさせたような小芝居ステージでした。歌は前回まで2年連続歌唱の「アメリカ橋」と同じ作詞作曲コンビの「逢えてよかった」。演歌としては比較的1コーラス長めですが2コーラス、アウトロの大幅短縮がなければ3分台になってもおかしくないステージでした。
中村美律子はいつもの「河内おとこ節」とは異なる青春歌謡に近い雰囲気の「おんなの純情」、後ろでは明治時代の雰囲気が紅組白組歌手4名によって再現されていました。マジックを披露するため間奏は比較的長めのカット無し、歌は1番と2番の2コーラス。ただ1コーラスがやや短い分演奏時間もそれらしい結果になっています。
19の「水・陸・そら、無限大」はシドニーオリンピック公式応援ソングでした。前回と違って今回はバンドのサポートメンバーも加わったステージです。1番歌唱後すぐに2回目の間奏に移行、そのまま繰り返しあり(2回目サビ前半のみカット)のラストサビに至る構成でした。
花*花は歌う前から宮川大助・花子と山田花子による騒がしい応援でしたが、関西出身の2人にとってはむしろリラックスできた結果でしょうか。紅組出場歌手が続々登場する応援も加わって、歌のイメージにピッタリな温かいステージになりました。イントロを中心に歌以外の部分はかなりカットされましたが、この曲も初出場ながらフルコーラス。ここまで紅白各5組、不当なカットのない理想的な展開が続いています。
ディズニーシーが翌年に開園することを記念して、この年は初めて出場歌手メインのディズニー企画コーナーが設けられました。ただ楽曲はディズニーソング限定ではなく、アース・ウィンド・アンド・ファイアー「Let’s Groove」やグロリア・エステファン「Conga」といった洋楽スタンダードのカバーもあり。ラストの「MICKEY MOUSE MARCH」はパラパラダンス主体のユーロビートバージョン、ティーンの歌手やダンサーで舞台が埋まるステージでした。
大泉逸郎の「孫」は1990年代に1作も無かった演歌のミリオンセラーを達成、一躍時の人になりました。その割に歌唱順などの扱いがあまり良くないような気もしますが…。歌もアウトロカット気味の2コーラス(1番・2番)でやや短め。ただ冒頭のお孫さんのセリフは有りでした。
『コメディーお江戸でござる』メンバーによる、番組名の割に観客席での笑いが非常に少ない応援を挟んで、続いては伍代夏子の「満月」。ムードたっぷりのステージ演出でしたが、構成は間奏無しの1コーラス半。ラストフレーズ繰り返しがあるとは言え、演奏時間はやはりちょっと短めでした。
コロッケによるロボットカンフーの応援?を挟んで、続いてはつんくが提供したTOKIOの「みんなでワーッハッハ!」。バックダンサーにジャニーズJr.が登場したのは、この年が3年ぶりでした。2回繰り返しのラストサビ1回目がカットされましたが、それ以外は曲が短いこともあってフルコーラス。
MAXもオープニングでオリジナルダンスが20秒追加、間奏も原曲とは異なる紅白バージョンでした。楽曲はバックストリート・ボーイズの日本語カバー曲「バラ色の日々」。2コーラス+間奏+ラストサビ、CDセールスはこの時期になると低下傾向に入っていましたが、それを考慮すると破格の扱いと言って良いかもしれません。ステージそのものはダンスグループの長所が前面に出ている、圧巻の内容でした。
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