紅白名言集解説・52~実はこちらが紅白唯一の記録~


 タモリさんと黒柳徹子さんがゲスト審査員に登場して話題になった2014年・第65回NHK紅白歌合戦。31年ぶり、タモさんの総合司会と徹子さんの紅組司会でした。

 ゲスト審査員には必ずどこかしらの場面でコメントをしてもらうのが恒例で、今回紹介したのはそのひとコマ。タモさんらしいユーモアです。ただ司会・審査員に歌も歌ったのは私くらいでしょうというその後の一言は、残念ながらタモさんのみに当てはまる話ではありません。

 

 

紅白歌合戦で一番多様な形で出た方は、西田敏行さん

 司会・出場歌手・審査員の3パターン全てを務めたのは西田敏行さん。71回を重ねた紅白でも未だに唯一の記録ですが、紅白出演はその3つのみに留まりません。以下、簡単に表にまとめてみました。

出場回放送年出場形態内容
第28回1977年応援ゲスト初出場を果たした友人・松崎しげるの応援
第29回1978年白組応援団長白組の盛り上げ役として冒頭からラストまで出演
第32回1981年白組歌手大ヒットした「もしもピアノが弾けたなら」で歌手として初出場
第33回1982年白組歌手名曲紅白で井沢八郎のヒット曲「あゝ上野駅」を歌う
第40回1989年特別審査員次年度の大河ドラマ『翔ぶが如く』主演・西郷隆盛役
第41回1990年白組司会歌手として「もしもピアノが弾けたなら」も歌う、白組優勝
第58回2007年ナレーション阿久悠追悼VTRのナレーションを担当、自身の初出場ステージも振り返られる
第60回2009年ゲスト審査員歴代司会者、映画『釣りバカ日誌』シリーズ最終作が当時公開
第62回2011年白組歌手故郷・福島への祈りを込めて「あの街に生まれて」を歌う
第63回2012年特別出演東北出身の有志とともに「花は咲く」を歌う

 まとめると、白組歌手・ゲスト歌手・応援ゲスト・応援団長・審査員・ナレーションの6パターンで出演している形になります。回数にするとちょうど10回。細かい名場面はまた機会があれば書く予定ですが、あらためてまとめるとやはり圧巻ですね。もしかするとあと1回くらいは、ゲスト審査員として呼ばれそうな気もしますがどうでしょうか。来年の大河ドラマ出演も決まったので…。

 

紅白歌合戦の司会で、歌手じゃないのに歌った人

 出場歌手と司会を兼任するパターンは多数ありますが、兼任でなくても歌っている人は探すと意外といました。というわけでこちらも表に。ただ曲紹介の一環として1フレーズ程度歌ったという例は外してます。

司会者該当回歌唱内容
山川静夫第32回(1981年)
第33回(1982年)
紅白デュエットソングショーで黒柳徹子と「二人は若い」「バラが咲いた」を歌唱
黒柳徹子第32回(1981年)
第33回(1982年)
第34回(1983年)
紅白デュエットソングショーで山川静夫と「二人は若い」「バラが咲いた」を歌唱
日本の四季メドレーでラストに「春が来た」を歌唱
森 光子第35回(1984年)ふるさと民謡を歌うコーナーで都はるみと「祇園小唄」を歌唱
綾瀬はるか第64回(2013年)
第66回(2015年)
前半ラストで「花は咲く」を涙を流しながら歌唱
ディズニーコーナーで「”Wish”メドレー 星に願いを~夢はひそかに」をV6、Perfumeと歌唱
二階堂ふみ第71回(2020年)ディズニーコーナーで「ホール・ニュー・ワールド」を氷川きよしと歌唱

 黒柳さんは第65回が初審査員でしたが、森光子さんは合計8回もゲスト審査員を務めています。綾瀬さんでさえも第63回(2012年)のゲスト審査員なので、その点でも司会・審査員を務めて歌も歌ったという例は複数あることが確認できます。ただ男性に関して言うと、確かにタモさんが言う条件を満たしている人は西田さんしかいないようです。山川さんはさすがに審査員はやっていないので…(というよりNHKアナウンサー経験者でゲスト審査員という例がありません)。

 

 

実はタモリさんはもっと凄い記録保持者

 タモリさんは1983年・第34回NHK紅白歌合戦の総合司会。NHKアナウンサー以外で総合司会を担当するのは史上初で、当時大きな話題になりましたが、それだけでは留まりません。実はショーコーナーでトランペット演奏を披露しています。

 場面は紅白3組ずつ終わって最初のショーコーナー、「ビギン・ザ・ビギン」を紅白出場歌手全員で歌い踊るシーン。当時のトップアイドルからベテラン演歌歌手まで、直後のステージで歌う歌手を除いて本当にほぼ全員出演していたこの時期ならではの企画ですが、中盤でオーケストラピットからトランペットを演奏していたのがタモリさん。『笑っていいとも!』の色が強くなっていた当時ですが、ここでは『今夜は最高!』の色を見せていました。

 司会を務めながら演奏をした例は、「ありがとう」のピアノ演奏を披露した第61回(2010年)・松下奈緒さんの例もあります。また近年の総合司会・内村光良さんは第49回(1998年)にポケットビスケッツのキーボード担当でしたが、双方とも審査員や応援ゲスト出演は経験していません(松下さんはこの後第66回(2015年)に登場しました)。

 というわけでタモリさんは、司会・審査員・ゲスト・演奏を務めた唯一の例になるわけです。ですので結論を言うと、タモさんは我々が想像している以上に、凄いことをしれっと紅白でやっているわけです。あとは第67回(2016年)に一度だけ、蛍の光ファンファーレの後にNHKホールからの中継で終わったことがあるのですが、その時に出ていたのもタモさんでした(マツコ・デラックスと同伴)。そういえば同年はパイプオルガンも演奏していましたね。

 そう考えるとタモさんは、紅白に出るたびに新しい記録を作っているような気がしてなりません。また紅白で登場する機会はあるのでしょうか。今年で76歳になりますが、未だにMステもタモリ倶楽部もブラタモリも恒例ですし…。

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