紅白歌合戦といえば歌手のステージだけでなく、合間の曲紹介やショーコーナーも注目ポイントの一つ。ですが時々意図が全く見えない企画も存在していて、内外から苦言を呈されることもままあります。今回は、もう二度とやらないだろうなぁという”紅白、こんな企画ありました集”を書いてみます。

 

・紅白玉合戦(第32回、第33回)

 1981年の第32回は、大掛かりなセット転換や紅組・白組入り混じってのショーコーナーが導入されるなどかなりの改革が実施されました。とは言え前の年までは応援合戦が恒例。体育祭の延長線上の演出がすぐに無くなるわけではなく、また当時の視聴者もそれを強く望んでいません。

 紅白の歌合戦らしい要素を残す意味で?開催された紅白玉入れ合戦。出場歌手全員が紅・白それぞれのジャージを着て、総合司会の生方恵一アナウンサー実況のもとカゴに大きな玉を入れるゲームが全2回にわたって行われました。

 第32回は5人ずつカゴを背中に背負ってもらって、客席後方から投げられる紅・白の大きなボールを5個ずつそれぞれのカゴに入れてもらうというルール。翌年は1つだけカゴが用意されて先に入れた組の方が勝ちというルールでした。

 歌手の皆さんは必死に頑張っていましたが、最終結果には全く直結しない本当にちょっとしたゲームです。ついでに言うと、第32回も第33回もこのゲームで勝った組が実際の歌合戦で負けています。カメラもゲームの特性上ほとんどが引きのショットで、歌手一人ひとりの姿もあまり確認出来ません。大体2分程度で終わるコーナーだったので本編にはあまり影響ありませんが、やや連続気味だった曲紹介にもう少し時間を割けたような気もします。それが徹子さんの「玉転がしくらいで…」に繋がった、と書くと少し言い過ぎでしょうか。

 

・紅白サバイバルゲーム(第37回)

 紅白の歌手がそれぞれジャンケンをしてもらい、負けた方が1人分しかない小さい台に乗り、どんどんジャンケンをしてもらって最終的に先に落ちた方が負けというゲームです。衣装は全員が赤か白のジャージ姿にハチマキ姿。もう1986年なので、ミュージシャンなら”なんでテレビでこんなカッコさせられなきゃいけないんだ”と確実にクレームが入るような格好です。

 なおこの年はほとんどアイドルや演歌が中心で、安全地帯やC-C-Bなどのバンド系は売上・アンケートでの人気ともに上位だったにも関わらず落選という選考でした。最初からこれをやる予定ではなかったはずですが、逆に考えるとこんな企画に協力してくれる人だけ選んだとも言えそうです。

 斉藤由貴さん、加山雄三さんという両チームリーダーを筆頭に勝負スタート。なぜか若大将はジャンケンに強く早々に4連勝。その後紅組が多少持ち直しますが、7人目が乗ろうとしたところで支えられずにギブアップ。白組勝利となりました。結構体力を使うゲームで、次に曲紹介する斉藤さんは息が上がってます。勝った若大将は「勝って嬉しい花いちもんめですけども」とコメント。意味が分かりません。

 このゲームで使った時間はおよそ2分半。リハーサルなども行って多少の余裕は持たせたと推測しますが、よく考えると大変リスキーな企画です。後年の紅白では恒例にならずこれっきり、それどころか他の番組で見た記憶もまるでありません。

 

・紅あげ白あげ 紅白ハタ合戦(第55回)

 第52回(2001年)はザ・ドリフターズのステージが長く語り継がれていますが、その一環で『8時だよ!大集合』の少年少女聖歌隊も復活しました。その流れで第53回・第54回は2年続けて紅白Ring Show! を開催。出場歌手にラップバージョンやオペラバージョンなどで輪唱をやってもらう企画は、当時のゲスト審査員にも大ウケでした。

 ところが第55回(2004年)は、その2年でコーナーを盛り上げてくれたSMAPが出場していません。3年前にいたザ・ドリフターズはおろか、Re:Japanといった盛り上げ役もいません。ですがリングショー的なものは継続させたい…というわけで発案したのが紅白ハタ合戦。

 出場歌手の1人が課題曲を”赤あげて白あげて”的な歌詞にして歌い、他の歌手みんなで旗を上げ下げして、より正しく動かすことが出来た組が勝利という内容でした。「LOVEマシーン」でモーニング娘。の2人が早口で”白下げ赤下げ…”と早口で歌う面白さもありましたが、2001年以降の系譜的に考えるとやはり…。とてもじゃないですが進化したとは言えない状況です。コーナーの進行を担当した和田アキ子さんや北島三郎さん、プロである以上本番では笑顔で明るく振る舞っていましたが、リハーサルでは思いっきり苦言を呈していました。

 旗を上げ下げするくらいで笑いのバリエーションなど広がりようがないのですが、コーナーにかけた時間は4曲で7分。3曲やって一応の勝敗もついて終わればいいものを、氷川きよしさんに「きよしのズンドコ節」を歌ってもらって大団円という流れになった時は、リアルタイムで見た当時の私も絶句してしまいました。2004年の紅白は一連の不祥事のおかげで予算も縮小気味で、スタッフも例年より大変な状況であったと推察できますが、それを差し引いてもやはりあんまりな状況でした。勿論この年以降、これに似た企画は紅白で実施されていません。

 

・その後

 近年は『妖怪ウォッチ』や『シン・ゴジラ』などNHK以外の題材も扱いやすくなり、ディズニーもほぼ毎年紅白には大変協力的で、今後あるのかどうか分かりませんがオリンピックも4年に1回開催しています。ショーコーナーを作る必要がないほど特別枠として新たに歌手を呼べるようにもなりました。東日本大震災以降は視聴者に寄り添う形の企画も増えて、意図が全く見えない内容は無くなりつつあります。番組の質の口上という点では喜ばしいことだと思いますが…。でも時が経つと、こういう無意味さに不思議と懐かしさを憶える部分もあったりします。