第59回(2008年)NHK紅白歌合戦~その4~

紅9(全体18):藤あや子(2年ぶり16回目)

・1987年デビュー(1989年再デビュー) 第43回(1992年)初出場
・1961年5月10日生 秋田県仙北市出身
・楽曲:「紅い糸」(2007/9/19 シングル)
・詞・曲:小野 彩
・振付:吾妻豊隆 踊り:早乙女太一、橘大五郎
・歌唱前テロップ:20周年!今夜はテリー伊藤プロデュース
・演奏時間:2分36秒

 紅白応援隊のテリー伊藤が登場。白と赤に分けられた帽子と眼鏡、白い衣装に赤いラメをつけた奇抜な衣装を身につけています。横にある等身大パネルは、一見指名手配の人にも見えますが、テリーさんの兄らしいです。築地で卵焼き屋を営んでいるお兄様は、藤さんの大ファンだとか。一緒に仕事する時は「藤あや子にサインもらってきて」「新しいカレンダーはないのか」と大騒ぎみたいです。その兄から、「あや子 命」という字を彫った卵焼きの差し入れが届きます。観客席が少しどよめいてます。

 今回はテリーさんプロデュースのステージ。テーマは「温泉宿に行った時に隣の部屋に藤あや子がいたら嬉しいな」。妖艶に歌う藤さんの後ろに、大衆演劇の早乙女太一橘大五郎が踊りで華を添えます。早乙女さんが芸者姿、橘さんが袴姿。

 後ろのスクリーンでは、何本も絡み合う紅い糸のアニメーションが映されています。歌詞に小指のフレーズが登場するシーンでは、後ろの2人が小指を絡ませ合います。藤さんは、左の小指につけた紅い糸の飾りをカメラの前にさりげなく差し出します。マイクを持つ右の小指にも、枯葉のようなものを施しています。テリーさんはお笑いウルトラクイズなどバラエティのイメージも強いですが、さすが一世を風靡した演出家。細部まで作り込んだこだわりのステージは本当に見事で、NHKでも見倣いたいという声は大きかったのではないでしょうか。

 

(解説)
・冒頭に登場する玉子焼き店は築地にあった『丸武』(店のホームページ)。大正時代から続く名店で、パネルに出てきた店主は兄の光男さん。サンデージャポンのアニー伊藤としても知られる存在でしたが、2020年12月に逝去。店は、ホームページが示す通り現在も営業中です。

早乙女太一は流し目王子と呼ばれた大衆演劇のニューカマーで、当時17歳。第58回から3年連続で、紅組演歌歌手のバックで演舞を披露しました。北野武監督映画『座頭市』で銀幕デビュー、橘大五郎も同じ作品で共演しています。

・藤さんはこの年初孫が生まれました。自身のオフィシャルブログでもたびたび話題にしているお孫さんです。2021年に無事小学校卒業、現在は中学生になりました。

白9(全体19):WaT(4年連続4回目)

・2002年結成、2004年デビュー 第56回(2005年)初出場
・22~23歳・2人組 東京都・大阪府出身
・楽曲:「36℃」(2008/10/29 シングル)
・詞・曲:WaT
・歌唱前テロップ:ウエンツ瑛士&小池徹平のスーパーデュオ
・演奏時間:2分51秒

 応援に世界のナベアツが登場。3の倍数だけアホになる紅白スペシャルバージョン、「16℃、26℃、36℃、Hey, WaT、オモロー!」。出番たったの30秒、過去にあるお笑い応援の中でも珍しいくらいの短さです。

 ステージは演奏するギターの弦が切れることもマイクスタンドが倒れることもなく、至って普通に聴かせる内容でした。曲も衣装も演出も、サビで照明がやや強くなりすぎる程度で特に奇抜な部分はありません。かと言ってものすごい歌唱力で聴かせる、というわけでもありません。観客も白組側の一角が手を振っている以外は聴き入っているかボーっとしているか、の状況です。

 

(解説)
・前年はソロ活動メイン。紅白出場はしましたが、実を言うとユニットでのCDリリースはありませんでした。この年はシングルCDを3枚発表しましたが、ヒットという点ではやや印象が薄め。とは言え2人の人気と知名度は確かなものがありました。ユニットは2016年に解散しますが、その後も俳優としてのソロ活動は継続。小池さんは2013年に『あまちゃん』メンバーで、ひそかにその年の紅白にもゲスト出演しています。

世界のナベアツも髭男爵と同様、『爆笑レッドカーペット』ブレイク組。3の倍数と3が付く数字でアホになるというネタがこの時期人気を博しました。元々は漫才コンビ・ジャリズムのボケで、現在は桂三度という落語家での活動がメインになっています。

・こういう複数回出場で大ヒットしていない曲が紅白でパフォーマンスされる機会は、近年本当に少なくなりました。ましてや奇抜な演出や応援がないケースは、極めて稀なパターンとなっています。

紅10(全体20):中村美律子(2年連続13回目)

・1975年デビュー(1986年メジャーデビュー) 第43回(1992年)初出場
・1950年7月31日生 大阪府東大阪市出身
・楽曲:「河内おとこ節」(1989/6/28 シングル)…4年ぶり6回目
・詞:石本美由起 曲:岡 千秋
・振付:西田一生 踊り:N-PRO乙女組
・歌唱前テロップ:「河内おとこ節」白組から特別応援団
・演奏時間:2分41秒

 紅白応援隊の沢村一樹、関根麻里、テリー伊藤が舞台袖からレポート。くいだおれ人形が移動したりで慌ただしいですが、これでも関根さんが言うにはいつもよりセットが少なく地球に優しいとのこと。奥の方に行くと羞恥心Pabo、そしてさかなクンの姿が見えます。テーブルの上には先ほどの卵焼きと新鮮な寿司ネタ、つるのさんは黒いダイヤと呼ばれている大トロを試食。黒マグロについてさかなクンが詳しく紹介しますが、あまり時間は取れないのですぐ会場に戻ります。

 舞台袖にはTOKIOジェロ世界のナベアツがスタンバイ。白地にハートが書かれたうちわを持って、一緒におみっちゃんを応援します。初っ端から随分な女性ダンサーの歓声、喧嘩囃子の歌詞で吉本新喜劇ばりに倒れるなど、1番の時点でそこそこにおかしなことになっています。ステージだけでなく、観客席の通路にもダンサーが溢れる人海戦術。

 2番からはくいだおれ人形が登場、中村さんはステージのお立ち台の上に昇って歌います。「坂田三吉」の部分ではナベアツを中心に三の所だけアホになったり、踊りも途中なぜか化粧する振り付けだったり、大変ツッコミどころの多いステージを展開していました。

 

(解説)
さかなクンはこの年から3年連続で紅白歌合戦に出演。紅白に限らず、ちょうどNHKの番組出演が多い時期でした。

・大阪名物の飲食店『くいだおれ』は2008年に閉店、ニュースで大きく取り上げられました。ただ法人としては存続していて、現在はこの紅白にも登場したマスコットキャラクターのマネージメント業を営む形になっています。店が無くなった分、各所への露出は当時よりも多様になったような気がします。

・振付師の西田一生はこの時に初めて紅白歌合戦の1ステージを任されます。後年には細川たかしの後ろでアイドルに踊らせたり、百四十五郎丸ダンサーズを手掛けるなどカオスなステージに何度も関わっています。ある意味、21世紀の紅白歌合戦には欠かせない脇役として外せない存在となっています。

白10(全体21):ポルノグラフィティ(4年連続7回目)

・1994年結成、1999年メジャーデビュー 第51回(2000年)初出場
・1974年生・2人組 広島県尾道市因島出身
・楽曲:「ギフト」(2008/8/20 シングル)
・詞:新藤晴一 曲:岡野昭仁
・歌唱前テロップ:2人は因島の高校の同級生
・演奏時間:2分47秒

 ゲスト審査員の姜尚中にコメントを求めます。「こんなに迫力あるとは思いませんでした」「紅組白組本当に熱気があって、甲乙つけがたいんじゃないでしょうか」「歌の力で仕事にあぶれた人や生活に困ってる人をなんか元気づけてあげたいというか、期待しています」。舞台袖では広島出身のPerfumeが登場。広島のご当地自慢を聞かれて、「お好み焼きです」(のっち)「もみじまんじゅうです」(あ~ちゃん)「カキフライです。でもやっぱり」(かしゆか)、「ポルノグラフィティさんです!」(3人)と大変わかりやすい展開。そのまま3人で曲紹介も担当します。

 会場手拍子。サポートはベースとドラムとキーボード。サビで大量に打ち上がる花火の演出は、気がつけばポルノのステージでは3年連続。最後は「今年1年ありがとうございましたー。ポルノグラフィティでした。」と〆。全体的に例年通り格好良く、そしてソツなくこなしていたステージだったように思います。

 

(解説)
ポルノグラフィティPerfumeは同じ広島出身であるとともに、事務所も同じアミューズという間柄。この年はポルノグラフィティの「痛い立ち位置」のMVに、Perfumeの3人がゲスト出演するという話題もありました。

・この年は「痛い立ち位置」の他に「あなたがここにいたら」「Love, too Death, too」「今宵、月が見えずとも」と合わせて5曲のシングルCDをリリース。CD売上に大きな差はなかったので、かなり歌唱曲が予想しにくい年でした。この年に年末番組で「ギフト」を選曲したのは、紅白だけだったと記憶しています。

・紅白におけるポルノグラフィティはおかしな曲紹介があったり歌詞を間違えたり、間奏もしくはアウトロでアキヒトさんが名言を連発するなどインパクトの強いステージが多いですが、この年はPerfumeの曲紹介があった程度で、至ってノーマルでした。

紅11(全体22):大塚 愛(5年連続5回目)

・2003年デビュー 第55回(2004年)初出場
・1982年9月9日生 大阪府大阪市出身
・楽曲:「愛」(2008/12/17 アルバム『LOVE LETTER』)
・詞・曲:愛
・歌唱前テロップ:デビュー5周年 幾色もの「愛」を歌にこめて
・演奏時間:2分45秒

 ゲスト審査員の妻夫木聡がコメント。「生は素晴らしいですね、本当に皆さん心いっぱい歌って、さっきから圧倒されっぱなしです」。大河ドラマ『天地人』が愛をテーマにした内容といった紹介については、「愛の心を持っていろんな物事に向き合えば人は強くもなれるし優しくもなれると、そういう思いをこめて演じています」と話します。非常に分かりやすい形で、曲紹介に入ります。ご丁寧に観客席からも「愛ちゃーーん!」のコールがありました。

 白いドレスに赤いスカートの衣装。ストリングスを中心としたサポートは合計13人。紅白でバラードを歌うのは3回目ですが、これまで以上に聴かせるステージでした。ラストサビ前半はアカペラ、以前より声量が増えていることも実感。「CHU-LIP」を歌った前回のような派手さは皆無ですが、これもまた愛さんの良い所。

 

(解説)
・「愛」はCDシングル曲ではなく、12月17日にリリースされたばかりのアルバム『LOVE LETTER』のラストに収録されている楽曲です。際立った人気曲というわけではありませんが、それでもこの年のシングル「ロケットスニーカー」よりSpotifyの再生数は多いです。バラードだと「クラゲ、流れ星」の発表もこの年でした。

・妻夫木さんは次の年の大河ドラマ『天地人』で主役の直江兼続を演じます。兼続の兜には実際に「愛」という文字がデカデカと書かれていて、ドラマもその流れに添う形でしたが、実際の歴史と相当かけ離れた内容の脚本にはかなりの批判がありました。

白11(全体23):平井 堅(2年連続6回目)

・1995年デビュー 第51回(2000年)初出場
・1972年1月17日生 三重県名張市出身
・楽曲:「いつか離れる日が来ても」(2008/3/12 アルバム『FAKIN’ POP』)
・詞・曲:Ken Hirai
・歌唱前テロップ:ますます磨きのかかった極上ボーカル
・演奏時間:3分40秒

 審査員席前に中居さんが移動して、ゲスト審査員の吉田沙保里にコメントを求めます。「連勝記録がストップして本当に寝れない日が続いたんですけど、たくさんの人に支えられておかげさまで金メダルを取ることができました」中居さんが曲紹介する後ろでは、女性アシスタントが「ライト用意」と書かれた看板を持って客席内を回ります。演奏が始まると同時に、看板を裏返して「スタート!」という赤い文字が一瞬映ります。

 黒いTシャツにGパンというラフな衣装。何もないバックかと思いきや、セット最上段にストリングス奏者が多数配置されています。平井さんが左手に持つマイクは、前回に引き続きコード付きの物が使用されています。

 相変わらずの熱唱でしたが、時折ブレスが大きい箇所があるので、聴いている方としては若干ビックリします。もちろん指示があったように、客席には無数のペンライト。とても綺麗で美しいステージでした。

 

(解説)
・この年以降もほぼ毎年ヒット曲を残していますが、紅白の出場はヒットドラマタイアップの2曲を歌った第62回(2011年)と第68回(2017年)のみ。本来なら20回くらい連続出場でも不思議ではない歌手ですが…。

・「いつか離れる日が来ても」はアルバム『FAKIN’ POP』からのシングルカット。したがって当時のCD売上は高くなかったですが、楽曲人気は今でも非常に高いです。映画『あの空をおぼえてる』主題歌、宮沢りえと共演するMVも話題になりました。

吉田沙保里選手は言わずと知れた霊長類最強女子。アテネ・北京・ロンドンとオリンピックでメダルを獲るたびに紅白に呼ばれています。リオで銀に終わった時も紅白にはゲスト出演しましたが、その時は若干気の毒な形の出演でした。

紅12(全体24):坂本冬美(6年連続20回目)

・1987年デビュー 第39回(1988年)初出場
・1967年3月30日生 和歌山県西牟婁郡上富田町出身
・楽曲:「風に立つ」(1999/2/10 シングル)…9年ぶり2回目
・詞:たかたかし 曲:弦 哲也
・歌唱前テロップ:学生時代はソフトボールのキャッチャー
・演奏時間:3分1秒

 中学高校時代の冬美さんはソフトボール部でキャッチャー。そこでゲスト審査員の上野由岐子「本当に甲乙つけがたいぐらい、どちらも迫力があって、本当にいいですね」、すっかり審査員席に居座る形の中居さんがマイクを向けます。

 というわけで。一球入魂のお願いということで上野選手が冬美さんにボールを投げます。坂本冬美、グラブをはめて臨戦体勢抜群。「足!足!」という中居さんのツッコミも入ります。上野選手の投げるボールは見事、冬美さんのグラブに吸い込まれます。文字通りのナイスキャッチでした。

 紅組前半ラストを飾る冬美さんのステージ、青空に虹をあしらったデザインの着物が美しいです。間奏ではオリンピックで、ソフトボールの金メダルを獲得した瞬間が流れます。その直後のショットは、グラブとボールを笑顔で持つ上野選手でした。

 この曲は彼女の曲の中でもトップクラスの名曲なので、1コーラス半というのはちょっと残念。1999年に歌った時はきっちり2コーラスだったのですが…。それでも、この曲を少しでも色々な人に知ってもらうという意図があるとしたら、良い選曲だったのではないでしょうか。

 

(解説)
・「風に立つ」は演歌が特に売れない時期にあった1999年の楽曲ということもあって、大ヒットはしていません。それでも人生における一大決意をテーマにした歌詞は素晴らしく、この時再び選曲されて嬉しい気持ちになったものです。「夜桜お七」「祝い酒」も良いですが、できればまた冬美さんに紅白で歌って欲しい曲の一つ。

・日本代表時代の上野選手の活躍は本当に強烈でした。「上野の413球」という言葉が生まれましたが、中継を見ていても本当に打たれる気がしなかったです。決勝で最強軍団のアメリカを下した瞬間は、日本のスポーツ史において忘れられない名場面。ちなみに上野選手は、現在も現役のソフトボール選手として活動しています。

企画ステージ:私は貝になりたい

 総合司会の松本和也アナが久々に登場、再び久石譲を紹介します。仲間さんと中居さんが共演する映画『私は貝になりたい』の音楽を担当。「戦争の悲劇を描いた作品なんですけど、福沢監督からは夫婦をテーマに描きたいということだったので僕はその夫婦の愛というか、絆をテーマに包み込むような曲を書こうと思いました」と話します。

 久石さんがピアノで「私は貝になりたい~メインテーマ」を演奏する中で2人がメッセージ。おおよそこんな内容でした。

「映画を通じて色々なことを感じることが出来ました。いろんなことが恵まれすぎて横着になっているのではないかと思います。物を粗末にしてほしくない。お金も人も家族も、何より命を粗末にしてほしくない。今もこの世界中で犠牲になっている方々がいます。我々日本人が感じなければならないことではないでしょうか。」

「愛する人に先立たれてしまった残された人たちの憎しみ、悲しさ、ぶつけようのない怒り、こういう心の傷はいつまで経っても消えないものです。戦い争うことは決して許してはいけないことなんですね。ただ愛すること、守りたいということが一人一人集まれば大きな力になる、そういう気持ちを忘れないでほしいです。」

 

(解説)
・『私は貝になりたい』は元々1958年にフランキー堺の主演でドラマ・映画になった作品。これを福澤克雄監督がリメイクして、2008年11月に公開。ちなみに主題歌は、後半この年の紅白にも出演するMr.Childrenの「花の匂い」でした。

・当然ながら、その年公開される映画の共演者同士が紅白それぞれの司会を務めるケースは他にありません。その年、に限定されなければ2010年代後半辺りにありそうですが、これはまた適当なタイミングで調べたいと思います。

 

白12(全体25):秋川雅史(3年連続3回目)

・2001年CDデビュー 第57回(2006年)初出場
・1967年10月11日生 愛媛県西条市出身
・楽曲:「千の風になって」(2005/9/21 アルバム『威風堂々』)…3年連続3回目
・詞:不詳、新井 満 曲:新井 満
・歌唱前テロップ:今や国民的愛唱歌「千の風になって」
・演奏時間:3分16秒

 「人と人との絆は永遠だということを教えてくれた歌です」という曲紹介を受けて、イントロが流れます。番組の流れとしては、とても自然です。

 今回は、階段上で女声中高生の合唱団が秋川さんを囲むという演出。間奏がカットされて2コーラス+ラストサビ2回繰り返し、フルコーラスだった前2回より演奏時間は相当短くなっていますが、それでもあらためてしみじみ感じ入るものがありました。最後のロングトーンは、相変わらずの迫力です。

 

(解説)
・初出場から3年連続同曲歌唱で、3回目に前半大トリを飾るのは4年前の夏川りみ「涙そうそう」と同じケース。2007年に大ロングセラーになった「千の風になって」は、2008年前半も十分なロングセラーになっていました。

・「千の風になって」の歌唱は3年連続で終了。秋川さんも一旦紅白から外れますが、第62回(2011年)でその夏川りみと同じ楽曲・同じステージで復帰します。

特別2(全体26):エンヤ(初出演)

・1986年デビュー
・1961年5月17日生 アイルランド出身
・楽曲1:「オリノコ・フロウ」(1988/9/19 アルバム『ウォーターマーク』)
・楽曲2:「ありふれた奇跡」(2008/11/12 アルバム『雪と氷の旋律』)
詞:Roma Ryan 曲:Enya
・歌唱前テロップ:アイルランドから地球へのメッセージ
・演奏時間:4分9秒

 前半のステージが終了して、中間審査の時間。1分間の間に投票してもらうことを松本アナが呼び掛けます。その間にスペシャルコーナー、案内役として『SAVE THE FUTURE』のメインパーソナリティ・藤原紀香が登場。「一番印象的だったのがやはり、3月にもう沈むかもしれないツバル・南の島に行った時に、そこに住む子供たちが温暖化に対する知識を知ってたんですね。僕たちの大好きな島が沈むからと、だからみんなで考えてね、すごく伝えてねというメッセージをもらったんですよ」と、環境へのメッセージを話します。

 ここで海外にも環境に対する貢献をしている歌手がいるとの紹介で、アイルランドから中継。担当するのはまさかの有働由美子アナウンサー。場所は首都ダブリンから130kmの距離にあるキャッスルレズリー。現地時間は31日の昼12時を過ぎた頃、古くからの景観が守られ、自然があふれる場所です。

 エンヤさんと紀香さんが会ったのは1年前。英語でお互い挨拶します。「美しい自然に囲まれたアイルランドにいることをとても幸せに思いますし、私を歌を作るときに自然から沢山のインスピレーションをもらうんです。この自然の宝物を次の世代に引き継ぎ、守っていかなくてはいけない」、いつもこういったメッセージを込めて歌っていますとコメントします。

 「オリノコ・フロウ」はハープやコントラバス、バイオリン、太鼓の演奏が入ります。「ありふれた奇跡」は女声コーラスが曲に彩りを添えます。「オリノコ・フロウ」はどう考えても生歌ではないですが、楽曲の構成上これは当然のことでもあります。中継出演、察するに事前の録画と思われます。したがってやや臨場感が欠ける印象もありましたが、実際わざわざNHKホールに呼ぶのも大変なので、これで問題ないと思います。

 

 パフォーマンス終了後に中間結果発表。58455 vs 75691で白組がかなり優勢。両軍を代表して和田アキ子羞恥心がこの後の見どころを紹介、アッコさんはやや力が入っているように見えます。101スタジオでMr.Childrenのステージを準備する光景も映る中で前半戦終了、5分間のニュースに入ります。担当はお馴染み武田真一アナウンサー。どうせならここも阿部渉アナにしてほしかったのは私だけでしょうか。

 

(解説)
藤原紀香は前年に続き2年連続の紅白出演。前回はゲスト審査員で結婚したばかりの陣内智則との貴重な共演でした。なおその後のことについてはここでは書きません。こういう演出をして後々の処理に困る場面は、紅白でも時々発生します。

有働由美子アナウンサーは第52回(2001年)から3年連続で紅組司会。司会経験者が総合司会として再起用された例はそれ以前にもいくつかありますが、リポーターとして起用されるのはこの時が初めてです。紅組・総合・リポーターの3パターンで紅白に出演したのは、今の所彼女が唯一です。

・阿部渉アナウンサーはこの年大みそかは(おそらく)お休み。前年と前々年はニュース担当、次の年以降は3年連続で総合司会として紅白に復帰します。

エンヤの「オリノコ・フロウ」は1988年発表、翌年不二家ネクターのCMソングとして起用されました。「ありふれた奇跡」はこの年発表の新曲、翌年1月からフジテレビで放送された仲間由紀恵主演の同名タイトルのドラマ主題歌に起用されています。民放他局なので当然NHKでの宣伝はありませんが、仲間さんとやり取りする場面もこの時間帯ゼロでした。

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