ニュースが終わって、21時半に後半戦スタート。一昨年までは間髪入れずパフォーマンスに入ることが多かったですが、今回は前回に引き続き曲紹介から入ります。

Perfume(初出場/第59回/2002/19~20/広島県出身)
「ポリリズム」(2007/中田ヤスタカ/中田ヤスタカ/初)
~新世紀テクノポップユニット~

 Perfumeの名前があがった瞬間、男性ファンの雄叫びが挙がります。その声はかなり大きく、曲紹介をまるで聴いていないのではないかと思える勢いです。
 衣装は全体的に白を基調としたドレス。のっちはパンツスタイルでかしゆかはフリフリでやや短めの、あ~ちゃんは膝くらいの丈のスカート。もちろん、足元はハイヒールです。
 編曲は他の歌番組とも違う紅白バージョン、やや聴き慣れない間奏で踊りながら前に移動します。ポリループもガッツリやります。そこから、最後のサビで紙テープが発射されます。曲の性質上テレビでは口パクが多いPerfumeですが、このステージではほぼ生歌で通しています。
 後半のトップバッターにふさわしいステージを展開していました。振り付けと表情はやはりさすがの一言に尽きます。最後は深いお辞儀の挨拶までしっかり映していました。(2分56秒)

(解説)
・2008年のPerfumeの快進撃は凄まじいものがありました。知名度を大きく上げたのはこの「ポリリズム」ですが、アーティストとしての格を一気に上げたのはこの年4月に発売されたアルバム『GAME』だと思います。私もこの作品には、今までに感じたことのない位の強い衝撃を憶えました。それ以降、個人的には現在まで彼女たちの大ファンです。

・とは言え、さすがに現時点で13年も連続して紅白出場するとは想像もしていませんでした。その理由はやはり、パフォーマンスが年々進化しているということが一番大きいように思います。紅白の歴史を振り返っても、それはもう一目瞭然。本編レビューでじっくり触れていきたいと思います。

・ちなみに「ポリリズム」は前年発表の曲。そのためこの年発表された「Baby cruising Love」「Dream Fighter」は知名度高い楽曲であるにも関わらず長らく紅白未歌唱でしたが、第71回(2020年)のメドレーでついに組み込まれました。非常に素晴らしいことです。

ジェロ(初出場/第59回/2008/27/アメリカ出身)
「海雪」(2008/秋元 康/宇崎竜童/初)
~天国の祖母へ届ける渾身の演歌!~

 衣装はカメラから見て左が黒、右が白に分かれてます。右には大好きだった、3年前に亡くなったおばあちゃんの絵が大きく描かれています。小さい頃のジェロとおばあちゃんの写真も、画面に映し出されます。客席では、ジェロの母親が既に感極まって涙する様子を仲間さんがリポート。「頑張って、心から歌って」とエールを送ります。曲紹介、「新潟の出雲崎の皆さんも応援してくれてます」という一言も入りました。
 ステージ一面にドライアイス。ずっと夢見ていた紅白歌合戦の初出場、母親も客席で見ている中での大舞台。歌っている間は本当に夢中で歌っているという状態で、歌い終わって深々と挨拶したジェロの目には大粒の涙。感動的なステージでした。1コーラス半だったのが少し残念ですが、それでも彼のひたむきに歌う姿に感動した視聴者はきっと多かったように思います。
 似顔絵が描かれた帽子のつばの裏には412の数字、右にはジェロという名前が刺繍されています。十字架のネックレスも首に掛けています。胸いっぱいの歌唱に留まらず、細かい部分にもこだわりを見せている衣装も素晴らしい内容でした。(2分30秒)

(解説)
・「海雪」のヒットもまた前例のない事象で衝撃的でした。確か最初に知るきっかけになったのは、ネットで大きく話題になったからだと記憶しています。宇崎竜童さんの作曲なので、正確には演歌というより歌謡曲というのが適当でしょうか。

・この曲の作詞を担当したのは秋元康。前年初出場したAKB48は不出場ですが、2008年は「海雪」の大ヒットがありました。現在第58回(2007年)の「会いたかった」以降14年連続で、紅白に新しい曲を送り込み続けています。

・ジェロはこれ以降の「えいさ」「やんちゃ道」も話題になりましたが、「海雪」のヒットが大きすぎて活動がやや難しくなった面もありました。2018年に活動休止、現在はIT企業に務めているとのことです。

SPEED「WHITE LOVE」(9年ぶり2回目/第48回/1996/24~27/沖縄県出身)
「White Love (ReTrack)」(1997/伊秩弘将/伊秩弘将/初)
~4人の絆ふたたび 9年ぶりの紅白!~

 『ポップジャム』の「Body&Soul」「STEADY」「Go! Go! Heaven」、第50回(1999年)紅白での「my graduation ’99」。それらのステージや若き日の4人の写真が、仲間由紀恵の紹介とともにスクリーンに映し出されます。スクリーンが開いて出てきた4人は、ピンクを基調とした衣装。絵理子さんが、観客席に向かって手を振っています。
 ReTrackと書いている割にキーが下がった以外あまり変化がないですが、個人的にはそれで良いと思います。11年前の初出場はトップバッターでかなり慌しかった印象もありましたが、このステージではあらためてじっくり曲を味わえた内容に仕上がっていたように思います。
 右側の多香子さんと寛子さんは、近年でも女優・歌手としてそれぞれテレビで見る機会も少なくないので相変わらずですが、やや化粧の濃い仁絵さんと音程が微妙に外れ気味の絵理子さんは若干その2人以上に年齢を感じた面もありました。「愛してる」の部分の絵理子さんは手話を披露。ただここは大きく動くよりもじっくりワンショットで見せた方が良かったようにも感じました。
 最後に寛子さんからのメッセージ。「今日のステージに立ててとても嬉しく思っています。皆さん温かなお正月どうぞお迎えください。ありがとうございました!」その挨拶は台本になかったことなのでしょうか、仲間さんはひと足早く、どころか演奏の音が鳴り終わらないうちに「SPEEDの皆さんありがとうございましたー」と声をかけます。次の曲の歌詞テロップも一瞬間違えて入ってしまう場面もあるなど、ちょっとバタバタしてます。そんな中で「もうばらばらにならないでね」とすかさずコメントを入れる中居さんは流石でした。(3分35秒)

 パフォーマン終了後、ゲスト審査員の堀北真希にコメントを求めます。SPEEDの大ファンということで、「小学生の頃から大好きで、初めて買ったCDもSPEEDでした。(目の前でステージを見て)感動しました。」とのことでした。

(解説)
・SPEEDはデビュー前のPerfumeが目標としていたアーティスト。初出場を果たした年に偶然再結成されて同じ年の紅白に共演という出来事は、3人にとって忘れられない奇跡ではないかと思われます。

・そのSPEEDですが、中居さんの言葉も空しく公式発表もないままに活動休止。絵理子さんはあろうことか自民党から参議院議員として比例区で当選します。その現状は、選挙時からの懸念が払拭出来ていないというのが正直なところ。多香子さんもスキャンダルで表に出られないような状況が続き、ひと足先に抜けた仁絵さんの賢明さが目立つ結果になっています。

・「WHITE LOVE」は11年前の紅白初出場の時にも歌われた大ヒット曲。偶然にも、その時の白組司会は当時初担当となる中居正広さんでした。

TOKIO(15年連続15回目/第45回/1994/30~38)
「雨傘」(2008/椎名林檎/椎名林檎/初)
~「雨傘」椎名林檎が作詞作曲を担当~

 歌う前に、3年連続で『芋たこなんきん』の父親役の七三分けの城島さんの写真が登場。衣装も全体的に探偵スタイルといいますかラフな格好で、「外帰りですか?」と中居さんにツッコまれます。
 ストリングスもバックダンサーもない純粋なバンドスタイルのステージ。長瀬さんの熱の入った歌唱も勿論ですが、演奏のクオリティが初出場の頃とはまるで違います。というかその頃はおそらく生演奏じゃなかったですからね。じっくりと聴かせるステージでした。ただ5人の顔をカラフルに映すスクリーンは、ややセンスが問われる場面だと思います。最後は「皆さん風邪ひかないように良いお年をー!TOKIOでしたー!」と長瀬さんが締めの挨拶。(2分27秒)

(解説)
・城島さんの写真のモデルは、2006年下半期の連続テレビ小説『芋たこなんきん』で演じたヒロインの父・花岡徳一役。ジャニーズとは思えないその風貌に、初めて採用した第57回(2006年)紅白では大ウケでした。以降第61回まで恒例となりましたが、さすがに時が経つと元ネタが分からない人も増えるのでウケは年々減っていったような気がします。

・この時期のTOKIOは大物アーティストからの楽曲提供が目立ってました。中島みゆき、甲斐よしひろ、長渕剛に今回の椎名林檎。甲斐さんの「ひかりのまち」以外は、紅白でしっかり歌われています。

・椎名林檎さんはこの年の時点で紅白未出場。正直当時は彼女が紅白に出場することなど望んでも叶わないようなレベルで、こういった人が毎年出られる紅白になってほしいと思った時期もありました。もっとも、第65回(2014年)以降林檎さんは毎年出場する常連となります。世の中は本当に、想像がつかないものです。

青山テルマ(初出場/第59回/2007/21/奈良県出身)
「そばにいるね」(2008/SoulJa/SoulJa/初)
~カリブの血をひく現役女子大生!~

 またまたPaboの3人が登場。テルマさんのファッションを真似するテルマー現象が起こったということで、白い帽子と白いヘッドホンと白いファー付きのガウンを、3人が紹介。もう1人やって来たのは、テルマースタイルに模様替えした天童よしみさん。「ピッタリ合う服がなかったのよ」と言いながら落とすという、お馴染みのパターンです。「天童さんは何やっても天童さんです」と中居さんのツッコミが入りますが、意外と似合っているような気もしたのでオチとしてはやや弱かったかもしれません。ちなみにガウンのボタンを閉めていたのは天童さんだけでした。
 カメラから見て左側にSoulJa、右側に青山テルマという配置。階段セットの上で2人が歌い、左右それぞれ別の階段で降りて真ん中で歌うという演出。テルマさんは紹介にあった例のテルマーファッションと言いたい所ですが、ヘッドフォンは当然無しで、それどころか服もガウンではありません。頭の白い毛皮の帽子があれば適当に白で合わせれば成立するような感じです。SoulJaは金髪のモヒカン姿にグレーのスーツ。
 バックのスクリーンには夜のお台場に東京タワーが映し出されています。曲が進むにつれて夜が明けるという流れになっているようです。間奏なしでいきなり転調する短い編曲で、SoulJaさんのソロパートは一箇所のみ。年末ありとあらゆる歌番組でパフォーマンスしていたこともあって、ややステージ慣れしている印象もある慣れたステージでした。(2分30秒)

(解説)
・この曲は時代を作った楽曲で、”アンサーソング”という言葉を生みました。その元になった歌は、2007年にSoulJaのシングルとしてリリースされた「ここにいるよ feat. 青山テルマ」。結果、元歌よりかえって大ヒットする形になりました。JUJUとSpontaniaの「君のすべてに」「素直になれたら」も同様のパターン。

・CDシングルだけでもロングセラーで週間1位になる大ヒットですが、市場が出来て間もないダウンロードはさらに凄まじい状況でした。着うたフルのダウンロードで初めて200万件突破した楽曲で、その後も当時の日本記録が続々と作られます。また、Youtubeでも当時からフルPVがアップ。この時点では彼女たちが所属するユニバーサルミュージックくらいしかフルPVを挙げるレーベルが存在しなかったので、非常に貴重な存在でもありました。

・ただこれだけ爆発的なヒットになると醒めるのも早く、テルマさんの紅白出場はこの時のみ。一時期は大低迷していましたが、近年は「一生仲間」「世界の中心~We are the world~」などのパリピ路線で再び話題になっています。バラエティ番組にも積極的に出演、この時とはキャラが全く違うぶっちゃけトークを展開しています。

水谷 豊(初出場/第59回/1977/56/北海道出身)
「カリフォルニア・コネクション」(1979/阿木耀子/平尾昌晃/初)
~「熱中時代・刑事編」あの青春をもう一度!~

 水谷さん登場。22年ぶりの音楽活動ということで「いやー…、こんなことになってしまって(笑)」。初出場ということで今の気持ちを聞かれると「いやー、もう…」仲間「落ち着きがなくなっちゃってます」中居「落ち着いてください!」。奥さんで元キャンディーズの伊藤蘭さんからのアドバイスは「いえ、あのー…僕が舞い上がらないようにだと思うんですが、ほとんど紅白の話は出さないようにしてたそうです」で、更に奥さんへの一言。「えー…、帰るのは12時過ぎると思います」終始ソワソワして緊張しているといった面持ちでした。
 ゲスト審査員の本木雅弘さんにもコメントを振ります。「本当に平和な気持ちにさせて頂いてます。懐かしい曲を新鮮な味わいで聴けるというのも紅白の楽しみです。水谷さんの作品もテレビの前で釘付けで夢中で見てた世代なので非常に懐かしいです。」そこで中居さんが「このステージにシブがき隊として出られてましたけど再結成みたいなのはございませんか?」と聞かれ「2人に相談してみたいと思います」「でもバックステージの緊張と興奮もなんとなくわかる気がするので、非常に…ドキドキしながら、とにかく水谷さんが楽しみです」。「シブがき隊で再結成することは100%…ないかもね?ということで(笑)」「そうかもね」で締め。テンポの良いやりとりでした。
 濃紅色のスーツという衣装に大人の装い。いつも通り左のポケットに手を入れながら歌います。おそらくアルバム『TIME CAPSULE』に参加したと思われるバックバンドを従えたステージ。曲名のテロップが、なぜか紅組歌手用のものになっています。衣装とは合っていましたが…。ちなみに歌手名テロップは白組仕様でした。
 どう考えても緊張を隠せない状態で、声量と比較して動きが明らかに大きいです。マイクの手もやや震え気味で、間奏に入ると思わずバックバンドの方向に目がいきました。二枚目で女性からの人気も非常に高い、いわば国民的俳優と言っても差し支えない人がこの舞台では映画やドラマからは想像できないほど気さくで親しみやすい、人間らしいキャラクターを自然に発揮していました。歌う前のやり取りも含め、2008年の紅白歌合戦の名場面と言っても全く差し支えない内容だったのではないでしょうか。(2分43秒)

(解説)
・「カリフォルニア・コネクション」は1979年に自身が主演した『熱中時代・刑事編』主題歌。TBSのザ・ベストテンで4週連続1位になるくらいに大ヒットした楽曲ですが、意外にもその年の紅白では歌われず。この曲だけでなく「はーばーらいと」「表参道軟派ストリート」「故郷フィーリング」「やさしさ紙芝居」など、主演作を中心にヒット曲も多数残しています。

・この当時の水谷さんの代表作はもう『相棒』で差し支えないと思います。2002年に連続ドラマ化したシリーズは、2020年下半期でseason 19に達しました。おそらく今年は記念すべき20作目になるものと思われます。なお初の映画版、『絶体絶命!42.195km東京ビッグシティマラソン』が公開されたのはこの2008年です。

・本木さんと中居さんのやり取りは、紅白名言集解説・19~シブがき隊の再結成は~で以前話題にしているので、そちらを参照してください。