白20(全体41):コブクロ(4年連続4回目)
・1998年結成、1999年デビュー 第56回(2005年)初出場
・1977年生・2人組 大阪府・宮崎県出身
・楽曲:「時の足音」(2008/10/29 シングル)
・詞・曲:小渕健太郎・黒田俊介
・歌唱前テロップ:結成10周年 大阪・堺のストリートが原点
・演奏時間:4分1秒
「二人が歌い続けてきた絆の力、応援してくれたファンの皆さんとの絆の力、それが10年間の宝物だ」という2人のメッセージを、歌う前に仲間さんが読み上げます。非常にバタバタしたステージの直後なので当然そんな短時間でステージには入れず、準備完了まで中居さんが場を繋ぎます。
2人のハーモニーは勿論ですが、NHKホールの観客や視聴者に向けて歌うというひたむきな姿に、胸を打たれた人も多かったのではないでしょうか。初出場した3年前は緊張で思うようなステージとは言いがたい内容でしたが、それ以降は本当に毎年素晴らしい歌唱を見せてくれています。
(解説)
・コブクロはこの年結成10周年。例年和歌山ビッグホエールで開催されていたファンフェスタは、この年紀三井寺運動公園陸上競技場で行われました。この会場でコンサートが行われた事例は、現在までこの年9月6日のコブクロが唯一です。
・この年リリースのシングルCD「時の足音」は、日本テレビ系ドラマ『オー!マイ・ガール!!』主題歌でした。また、同じシングルに収録された「赤い糸」は同時期に女優の新垣結衣がカバーしています。
紅20(全体42):平原綾香(5年連続5回目)
・2003年デビュー 第55回(2004年)初出場
・1984年5月9日生 東京都出身
・楽曲:「ノクターン」(2008/11/12 シングル)
・詞:史香 曲:F. Chopin・椎名邦仁
・踊り:南 流石
・歌唱前テロップ:名優 緒形拳さんに捧げる歌声
・演奏時間:2分32秒
10月5日に71歳で亡くなった緒形拳の映像が流れます。1965年の大河ドラマ『太閤記』、同じく1982年の『峠の群像』、2007年のNHKスペシャル『プラネットアース』、そして2008年の広島発特集ドラマ『帽子』での映像が流れます。それを受けて、木村拓哉が再び出てきてスピーチ。
「緒形拳さんは、自分は『武士の一分』という映画でご一緒させていただきました。緒形さんが演じられた役は僕の剣の師匠でした。でも物語を離れたところでも僕の役者としての、そして人生の師匠として大きな、本当に大きな過程を与えてくださりました。緒形さんのお芝居に対する情熱を、本当に身近で間近で感じられたことを本当に自分は大きな財産だなと今でも思っています。偉大な方と一緒にお仕事をさせて頂いたことを誇りに思います。」
遺作となったフジテレビ系ドラマ『風のガーデン』主題歌が、今回歌われる楽曲です。曲紹介では、緒形さんが亡くなる5日前にドラマ発表の席でお聴きになっていたというエピソードも含まれています。平原さんは天国の緒形拳に届けと言わんばかりの大熱唱、特に間奏を終えて以降は目をみはる物がありました。演奏はピアノとストリングスのみで、ひたすら彼女の歌声を聴かせるステージ。後ろで踊る南流石先生は普段の紅白だと不思議な振付も多いですが、ここでは美しい踊りでしっかりとした表現を披露しています。
(解説)
・『風のガーデン』は『北の国から』シリーズでお馴染みの倉本聰氏の脚本、舞台は北海道の富良野です。上にも挙げた通り、このドラマが緒形さんの遺作となっています。亡くなった日は、第1回放送がオンエアされる4日前でした。
・生前の緒形さんは紅白のゲスト審査員を2度務めています。大河ドラマ『太閤記』で主演を務めた1965年・第16回と、同じく『峠の群像』の放送を翌年に控えた1981年・第32回。また前年・第58回のラストで「世界に一つだけの花」全員合唱を歌う前に、『プラネット・アース』の映像と語りで声の出演がありました。その年の大河ドラマ『風林火山』でも好演していたので、思いもよらぬ訃報だったというのが当時の印象です。
・平原さんは前年辺りからCD売上が落ち始めていましたが、「ノクターン」はこういった話題性もあってロングセラーを記録。両A面の「カンパニュラの恋」は同曲の日本語詞でした。「Jupiter」と同様、原曲はクラシック。翌年には『my Classics!』というクラシックをモチーフにした楽曲のアルバムも制作して、その路線を更に突き詰めることになります。
白21(全体43):EXILE(2年連続4回目)
・2001年結成・デビュー 第54回(2003年)初出場
・24~39歳・7人組
・楽曲:「Ti Amo」(2008/9/24 シングル『The Birthday ~Ti Amo~』)
・詞:松尾 潔 曲:Jin Nakamura・松尾 潔
・歌唱前テロップ:大成功!パーフェクトイヤー!
・演奏時間:3分36秒
札幌ドームから中継。会場は4万人の観客で既に大盛り上がり。リポーターは札幌放送局所属の松村正代アナウンサー。「全国からパワーを頂いた」「来年はEXILE GENERATIONということで」とボーカル・ATSUSHIが話した後にスタンバイ。松村アナがそのまま曲紹介も担当します。
札幌ドームの4万人の観客はほとんどが若い女性。ステージが横に広い分、NHKホールで歌うよりもダンサーが動きやすそうに見えます。後ろにはバンドメンバーも配置されていて、EXILEのテレビ出演としては非常に貴重な生演奏ステージとなっています。ATSUSHIとTAKAHIROのボーカルは相変わらずの美しさ。会場の熱気も十分に伝わって、中継したことでマイナスになる内容では決してありませんでした。
(解説)
・この年は「EXILE PERFECT YEAR 2008」と題して3枚のベストアルバムをリリース。これまでの主だった楽曲を全てATSUSHI・TAKAHIROボーカルで再録して発表されました。現在までダウンロード・ストリーミングで聴ける2006年以前の曲は、全てがこの再録版となっています。
・11月29日から『EXILE PERFECT LIVE 2008』と題したドームツアーがちょうど行われていて、この札幌ドーム公演が最終日でした。ライブ会場からの中継はこれ以前にもありますが、開催中のライブと同時進行で行われるステージは紅白史上初めてのことでした。なお有観客のドームから中継したケースは、現在もこの年のEXILEのみです。
・本来「Ti Amo」はライブ後半に組み込まれていて、紅白歌合戦のために大きくセットリストを動かしています。札幌ドーム公演は22時開演、会場では6曲目の披露でした。アンコールでも再演奏はなかったようなので、フルコーラスでない分札幌の観客にとっては若干損した形かもしれません。
・テロップに「村松正代」と表示されていますが、正しくは「松村正代」アナウンサーです。自局の職員の名前を間違えて紹介するという、大変珍しいハプニングが発生しました。2004年入局で放送当時は札幌放送局勤務、翌年4月に東京アナウンス室勤務で長年そのままでしたが、2020年から長野局に異動。ただ2022年度を持って、異動か退職かは不明ですがアナウンサーホームページにプロフィールが表示されなくなっています。
紅21(全体44):小林幸子(30年連続30回目)
・1964年デビュー 第30回(1979年)初出場
・1953年12月5日生 新潟県新潟市出身
・楽曲:「楼蘭」(2008/8/20 シングル)
・詞:さわだすずこ 曲:小六禮次郎
・歌唱前テロップ:砂漠のオアシス都市「楼蘭」を表現!
・演奏時間:2分55秒
NHKホールは5分近い中継の間に準備万端。仲間さんの横には東方神起のメンバー、ジュンスにコメントを求めます。「凄く楽しみにしてますねー」と話してはいますが、果たして韓国でこれは知られているのでしょうか。ジェジュンは舞台を見て、笑いを堪えきれない様子を見せています。
今回のテーマは「砂漠に突然現れるオアシス」。金色の衣装で、ステージ全体に砂嵐をイメージしたようなセットが広がっています。最初からもう相当な大きさですが、「水の都」が出てくるサビの歌詞で、一気にオアシスをイメージしたセットに早変わり。1コーラスが終わると、例年通り編曲が様変わりしてセットが更に巨大化します。
後半は砂漠のオアシスにある木をイメージした物が登場、幸子さんも上に移動して地上何メートルだろうという高い所で歌います。最後は全体的にピンクにライトアップされて、綺麗にステージの幕を下ろしました。相変わらずの大きな衣装ですが、今回は楽曲の良さや歌唱力の高さも素晴らしかったです。もちろん、会場からも割れんばかりの拍手が起こりました。
(解説)
・この年発表の「楼蘭」は女子十二楽坊がレコーディングに参加。二胡などの演奏が入り、エスニックな要素がふんだんに楽曲に取り込まれています。作曲した小六禮次郎も本来はクラシック音楽の大家、幸子さんのチャレンジ精神が非常に表れた1曲となっています。砂漠をテーマにした衣装は、この曲がバックだとアフリカよりもゴビ砂漠かタクラマカン砂漠辺りの方がしっくりきます。
・豪華衣装に隠れて、幸子さんが演歌調でない楽曲を紅白で歌うケースも決して少なくはありません。ポケモン主題歌の「風といっしょに」、それ以外の楽曲提供にはさだまさし、中島みゆき、黒石ひとみといった名前が見られます。
・この年から、舞台袖にゲストが登場して豪華装置を堪能するという演出が始まりました。ただ東方神起のメンバーはこれ以前におそらく紅白歌合戦が大晦日の定番という生活を送っていないと思われるので、パフォーマンス中の表情を捉える場面はありませんでした。韓国でこういった衣装演出をするアーティストはいないはずで、ジェジュンが思わず笑ってしまうのも実に無理のないことだと推測します。
白22(全体45):北島三郎(22年連続45回目)
・1962年デビュー 第14回(1963年)初出場
・1936年10月4日生 北海道上磯郡知内町出身
・楽曲:「北の漁場」(1986/6/5 シングル)
・詞:新條カオル 曲:桜田誠一
・歌唱前テロップ:今夜幕を下ろす~新宿コマに感謝を込めて!
・演奏時間:3分6秒
同じ日に閉鎖されて、52年の歴史に幕を閉じる新宿コマ劇場から中継。リポーターは中高年のアイドル・綾小路きみまろ。コマ劇場の客席に立っています。「先ほど最後の公演が終わったばかりです。いま撤収作業が行われております。そして客席からは、お客様のぬくもりがまだ伝わってきています。」コマ劇場の歴史を簡単に語った後、黄金に輝く北島三郎の像を紹介。そのまま曲紹介に代えられます。今回は漫談無しで、リポートに徹する形でした。
曲紹介では、1800回座長公演を行った新宿コマ劇場での思い出深いステージを紅白で再現しますと語っています。そんな語りが終わらないうちにイントロ演奏開始、直後サブちゃんが威勢よく「いやー、SMAPのみんなありがとうな!」と大声で叫びます。そのため、きみまろさんの曲紹介と完全に声が被っています。キムタクと中居さんにマイクを向けるサブちゃん。今回は大掛かりな漁船のセットの上で、SMAPの5人を船員に従えて北島船長が歌うという演出のようです。選曲といいセットといい、およそこれまでの北島三郎の紅白のステージとは全く違います。
船の名前は第四十七北島丸。何本もの大漁旗を船に乗せて、大漁を願います。海は大変な荒れ模様で、波風のSEが非常に大きいです。間奏では「まさかこの船に一緒に乗れるとは思いませんでした!」とキムタク。最後は「来年はこの分だときっと元気になるな!ありがとう!」とサブちゃん。歌だけでなく両者の絡みも満載で、ある意味小林幸子より派手で豪華なステージでした。
松本アナウンサーがテンション高く、審査員の松坂慶子にコメントを求めます。「雲の中で拝見しているようで」「こうして皆さんとの一体感を凄く感じて、それで同じ時間を共有しているここにいる皆さん、日本の皆さん、世界の皆さんとの絆を感じながら温かい気持ちで拝見しています」と、興奮気味の口調から少しずつ落ち着きを取り戻すように話します。おそらく舞台袖に向かうサブちゃんとSMAPに対してでしょうか、会場の観客の多くがステージに向けて手を振っています。
そのまま小野アナが乗る飛行船からも中継。新宿コマ劇場のある歌舞伎町上空に移動。「年末年始もおよそ7000店が営業を続けています」とリポート。コマ劇場の壁面にある「52年間のご愛顧ありがとうございました」の挨拶も、遠くからなのでハッキリとはいかないですが確認できます。
(解説)
・新宿コマ劇場は1956年12月に開場、1958年には第9回NHK紅白歌合戦の会場になりました。もっとも当時は円型のステージと音響の技術が整っていなかったこともあって相当使い勝手が悪く、紅白で使われたのはこの回のみとなっています。当日行われた最後のステージはテレビ東京で放送された『年忘れにっぽんの歌』、トリで歌われた楽曲は八代亜紀の「舟唄」でした。
・「北の漁場」は1986年の大ヒット曲で、その年の日本レコード大賞最優秀歌唱賞も受賞。当然その年の紅白でも歌われるべきところ、なんと暴力団がらみのスキャンダルが影響して出場辞退。紅白では22年越しの初歌唱、曲目発表の際は個人的に最も驚いた選曲です。
・SMAPが個別の白組歌手のステージに総出演するのは第47回(1996年)の鳥羽一郎「カサブランカ・グッバイ」以来12年ぶり。同様の事例は第66回(2015年)のラスト出演まで発生していないので、その点でも大変貴重なステージでした。
紅22(全体46):一青 窈(2年連続5回目)
・2002年デビュー 第54回(2003年)初出場
・1976年9月20日生 東京都出身
・楽曲:「はじめて」(2008/11/19 シングル)
・詞:一青 窈 曲:マシコタツロウ
・Pf:武部聡志 AG:マシコタツロウ
・歌唱前テロップ:ろうそくの灯りに包まれて熱唱!
・演奏時間:3分11秒
ここからNHKホールを少しの間だけ照明を落として放送します。スーパーハープカメラという高感度カメラで司会の仲間さんと松本アナを撮影。暗闇の中で小さい蝋燭を持ちながら司会進行します。
環境に人一倍関心を持つアーティストだからこそ協力してくれたような印象もあるステージです。マイクを持って歌う一青さんの周りには、何十本の蝋燭の灯りに囲まれています。ストリングス・コントラバスに武部さんやマシコさんの演奏も入ります。女性コーラスも、1コーラス終わってからの間奏以降に加わります。観客は様々な色に照らされたペンライトを掲げて、左右に振っています。
このステージの評判次第で、次回もこういった演出があるのかどうか決まると思いますが、果たしてどうなるでしょうか。楽曲と歌声は終盤にふさわしい、言うことなしの内容でした。
(解説)
・その後蝋燭を多く使用したステージは第61回のクミコ、第62回のゆずなどがあります。いずれも会場を暗転させていましたが、この時のように高感度カメラを使って、という紹介はありませんでした。
・一青窈の紅白出場は今のところこの回がラスト。CDセールスは翌年オリコンTOP20にも入らなくなって、一気に落ち込みます。とは言え現在も、音楽シーンの第一線で十分に活躍しています。
・武部さんは紅白でもお馴染みの存在で、近年は松任谷由実のステージで登場することが多いです。初めて紅白でテロップが出たのは、第56回(2005年)の一青窈「ハナミズキ」でパイプオルガン演奏を担当した時でした。
紅23(全体47):中島美嘉(7年連続7回目)
・2001年デビュー 第53回(2002年)初出場
・1983年2月19日生 鹿児島県出身
・楽曲:「ORION」(2008/11/19 シングル)
・詞・曲:百田留衣
・歌唱前テロップ:新たな冬の名バラード誕生!
・演奏時間:2分57秒
中居さんが高橋尚子にコメントを求めます。「23年間続けました陸上に幕を下ろしましたけども、多くの皆さんに熱い声援や応援をして頂き、私の陸上人生に悔いなしです、ありがとうございました」「一人ひとり、一組ひとりがとっても素晴らしくて感動してます」。白組紅組どちらか有利かを聞かれると、「もう今トラック勝負になったところですね」と笑いながら話します。その横に座っていた太田雄貴選手は、既に移動して次のステージに出演する準備中。
またまた「ライト用意」のプラカードが後ろに映っていました。というわけで客席はペンライトを左右に動かしています。タイトルに合わせて、後ろの映像には満天に輝く星空が映し出されています。南の方向で見られる星の動きを見せた後、ラストサビでは眩しくなるほどに明るい照明が多数ライトアップされる中で歌っています。先ほど環境に配慮して照明を落としていたはずなのですが…。
(解説)
・中島美嘉のこの年のシングルは「SAKURA~花霞~」と、森三中とコラボしたMICA 3 CHU名義の「I DON’T KNOW」。例年と比べてややヒット曲が薄い印象があったところに「ORION」がTBS系ドラマ『流星の絆』挿入歌としてロングセラー。大ヒットで彼女を代表する楽曲の一つになりました。なおそのドラマには中島さん自身も出演しています。
・高橋尚子はシドニー五輪女子マラソン金メダリストですが、アテネでは五輪選手として選ばれず。北京五輪を目指していましたが結果を残せず、この年競技生活引退という形になりました。
白23(全体48):Mr.Children(初出場)
・1989年結成・1992年デビュー
・38~39歳・4人組
・楽曲:「GIFT」(2008/9/3 シングル)
・詞・曲:桜井和寿
・演奏:小林武史(Key)、ナオト・インティライミ(Cho & Gt)、四家卯大オーケストラ
・ステージング:康本雅子
・歌唱前テロップ:感動!! 北京オリンピックNHKテーマソング、フェンシング太田もコーラスに参加!
・演奏時間:6分22秒
どういった曲なのかを軽く説明して、「毎日を一生懸命生きている皆さん、お聴きください」という一言で締める曲紹介。事前映像などの類は無しでした。押し気味の進行から推測するに、カットされた可能性も高そうです。
NHKホールではなく101スタジオからの中継。会場とのやり取りはなし。ギター・ベース・ドラムの他に、キーボードでプロデューサー・小林武史も参加。映像とストリングス他演奏者に360度囲まれた中でのステージはホールだと実現不可能で、まさにスタジオならではの内容といったところです。
映像の内容は、1番は2008年に開催された北京オリンピック。金メダリストだけではなく、オリンピックに出場した様々な日本選手の名場面が流れます。2番に入ると2008年を象徴する東京証券取引所の映像、そして多くの人たちの笑顔。オリンピックだけでなく、パラリンピックの映像もしっかり流れます。
暗がりの中で座って聴いていたオーディエンスは、曲が進むにつれてコーラスと化します。そしてCメロが終わると全員立ち上がり、桜井さんを中心にラララララ…と歌い始めます。その中には審査員を務める太田雄貴の姿もあります。照明は完全に、真っ白に明るく光っている状態です。”君から君へ、あなたからあなたへ…”と、桜井さんがこの日このステージ限りだけで披露する歌詞も加えて歌います。
ラストは再び舞台暗転、様々な人々の笑顔が映像で映し出される中で1コーラス。フルコーラス、6分を超える大熱唱でした。歌い終わった後は、この日のために集まった多くの人々に向けて拍手を贈る桜井さん。ホールではなくスタジオだからこそ実現できた、2008年紅白歌合戦屈指の名場面です。
(解説)
・オリンピックの公式テーマソングが紅白で歌われるのはもはや当たり前になりましたが、アテネ五輪の「栄光の架橋」以前はほとんど出場辞退で縁がありませんでした。4年前のゆずも当時はテレビ出演が少なかった中での紅白出場、この年のMr.Children出場実現はその後のNHK・五輪・紅白という深い関係性をより強固な物にしていきます。
・スタジオでのパフォーマンスは前年のGacktが最初でした。上杉謙信役として出演した『風林火山』をテーマにしたステージは大変に作り込まれていて、大きな評判を呼びました。無観客の第71回や東京国際フォーラムをメインにした第72回では複数のステージでスタジオを使用していましたが、この年以降は第65回(2014年)の中島みゆきまで少し間が空きます。
・アンジェラ・アキのステージでも使用された多くの人々の写真を使う演出は、この年以降紅白で多く見られるようになりました。東日本大震災が発生した2011年・第62回以降は、その傾向がより顕著になっていきます。
・Mr.Childrenはこの年「HANABI」も大ヒット。それ以外にも1993年以降山のように名曲を量産していますが、今のところ紅白出場はこの年と第71回(2020年)のみです。また、司会者や他の出演歌手とやり取りするシーンも現時点でありません。
・ゲスト審査員がステージに参加する事例は、この年の太田雄貴選手が初めででした。ただしこれ以降はしばしば発生しています。
・コーラスとギター演奏で参加したナオト・インティライミは、2010年に再メジャーデビュー。ロンドン五輪が開催された第63回(2012年)に晴れて歌手として初出場を果たします。照明があまり当たらない立ち位置だったこともあって、アップで映るシーンは残念ながらありませんでした。
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