伍代夏子(4年連続16回目/第41回/1982/48/東京都出身)
「忍ぶ雨」(1990/たきのえいじ/市川昭介/19年ぶり2回目)
~名曲「忍ぶ雨」で早乙女太一が舞う~
振付:吾妻豊隆 踊り:早乙女太一

 ここからはNHKBS2で放送されている『きみまろフルコース ごきげん歌謡笑劇団』が関わるステージ。すっかり紅白でもおなじみになった綾小路きみまろが審査員席前から曲紹介。通算4回目の出演になります。「天気も不安定、経済も不安定、安定しているのは奥様の体重くらいです」「主人と出会った若い頃希望で胸が膨らんでおりました、今は脂肪で腹が膨らんでおります」「主人と出会った頃会うたびに「愛してる」、今会うたびに「出て行って!」」と本日も名調子。
 19年前の初出場の時は前の曲が終わってそのままイントロで曲紹介と、全く初出場らしくないステージで(相当時間が押していたため)ある意味破格の扱いだったわけですが、今回はきみまろの曲紹介がつきました。
 白い着物を着た流し目王子こと早乙女太一に、黒を基調とした着物の伍代さん。王道の演出です。なお初出場時は1番と3番の歌唱でしたが、今回は1番と2番の歌唱。(2分25秒)

(解説)
・きみまろ師匠は第54回(2003年)・第56回(2005年)・第59回(2008年)に続いて4度目の紅白出演。2002年に発売されたCD『爆笑スーパーライブ第1弾!中高年に愛をこめて…』が漫談のジャンルで異例の大ヒット、そこから知名度が一気に上がりました。『ごきげん歌謡笑劇団』はこの年からBS2で放送開始、2012年3月まできみまろさんメインの内容でした。早乙女太一、橘大五郎といった新劇の若手もレギュラー出演していたそうです。

・16回目の出場となった伍代さんですが、過去曲を紅白で歌うのはこの年が初めてでした。以降の紅白は、全てその年の楽曲以外の歌唱となります。こちらは2005年から『それいけ!民謡うた祭り』の司会。一時期出られなかった紅白に再び常連として返り咲いたのは、その翌年のこととなります。




北山たけし(5年連続5回目/第56回/1990/35/福岡県出身)
「剣山」(2009/麻こよみ/原 譲二/初)
~今年結婚!妻に届ける晴れ舞台!~
踊り:橘大五郎、大川良太郎、N-PRO剣山登山口隊

 赤いブレザーと金の扇子から白いブレザーと銀の扇子に模様替えして、きみまろさんが続いて曲紹介。早乙女さんに代わり、こちらでは白い紋付袴姿に扇子を持った橘大五郎大川良太郎が登場。
 青の袴姿の衣装、紅白で和装を披露するのは初めてのことです。バックダンサーは上半身裸で真っ白な腹巻と下着姿の男らしい面々が階段上のステージを陣取ります。N-PRO剣山登山口隊…なんか流石組○○隊みたいなネーミングですね。師匠作曲のスケールの大きい演歌でした。(2分24秒)

(解説)
・師匠・北島三郎が作った曲を紅白で歌うのは、初出場時の「男の出船」以来2回目。そのまま連続出場といきたいところでしたが、残念ながらこの年限りでストップします。その後第69回(2018年)で大江裕と北島兄弟として特別出演、師匠を盛り立てるとともに付き添い役の役割も果たしていました。

・早乙女太一が3年連続、橘大五郎が2年連続、大川良太郎が初出場という新劇の面々。次の年は4人…と言いたい所ですがこちらも紅白の連続出場はここでストップします。

・N-PRO○○隊は、前回の紅白で初登場した西田一生が代表を務めるダンスチーム。紅白のみならず、音楽面での功績も大変大きいことがこちらのホームページを見ても確認出来ます。




GIRL NEXT DOOR(2年連続2回目/第59回/2008/24~31)
「Infinity」(2009/千紗&Kenn Kato/鈴木大輔/初)
~2年連続出場!今年もダンスで魅せる!~
振付:AKIKO 踊り:GIRL NEXT DANCERS

 今回の紅白のスペシャルプレゼンターとして、第40回(1989年)白組司会の武田鉄矢が登場。「歌の力」のテーマソングもBGMとして流れる好待遇です。もっともこの人は海援隊、ソロを含めて歌手としても5回出場しているので、そちらのイメージの方が強いでしょうか。ちなみに紅白と同い年ということで、司会を務めた時は40歳。
 来年の大河ドラマ『龍馬伝』では勝海舟を演じる鉄矢さん。というわけで、「おーい!龍馬!」と呼びかける形で長崎からの中継。坂本龍馬を演じる福山雅治が登場します。龍馬とゆかりが深い史跡料亭「花月」からの中継で、リポーターは久保田祐佳アナウンサー。鉄矢さん曰く、龍馬が刀で傷をつけた柱がそこにあるということで、それもしっかり映されました。やはり龍馬の話になると鉄矢さんはイキイキしています。というわけで、次のステージを鉄矢さんがやや無理やり坂本龍馬に絡めた形で曲紹介。
 プレゼントの箱のセットが開いて千紗さんとダンサーが出てくるという演出。真っ赤な衣装で踊りながら歌います。あと2人の男性も真っ赤な衣装。専属のダンサーは黒いドレスだったり白いドレスだったりでこれまたかなりの大人数。千紗さんの踊りも決まっていましたが、地味に音程も前年よりかなりの改善を見せているように聴こえます。
 今回も前回に引き続き1番のみの歌唱。せめてサビくらい繰り返してもいいんじゃないかと思いましたが。次回はもう少し長く歌わせてあげてほしいところですが、次回出場できるかどうかは正直何とも言えません。(2分0秒)

(解説)
・紅白でも選曲された「Infinity」はオリコン週間1位を獲得。年間にすると100位にも入っていないですが、一応の結果は残しています。この曲が収録されているアルバム『NEXT FUTURE』も、翌年1月にオリコン週間1位を獲得しました。

・とは言え過去紅白に複数回出場したエイベックスのアーティストほどの結果はこれ以降残せず、紅白もこの回がラストになりました。キーボードの鈴木大輔はガルネク以前にday after tomorrowのメンバーだったのですが、総合するとデイアフの方がやや売れていたような…。ちなみにデイアフは紅白未出場ですが、メインボーカルはこの年に姉のゲストボーカルとして登場します。

・千紗さんは2013年に競泳の北島康介選手と結婚。同時に芸能界も引退するということで、ユニットはその年12月で解散。



ジェロ(2年連続2回目/第59回/2008/28/アメリカ出身)
「海雪」(2008/秋元 康/宇崎竜童/2年連続2回目)
~「海雪」でヒップホップと日本舞踊が融合!~
振付:花柳糸之、EBATO 踊り:花柳糸之社中、電撃チョモランマ隊

 ここで演奏するオーケストラの紹介。いつもと同じく今回もNHK506スタジオから、三原綱木とザ・ニューブリード、東京放送管弦楽団の演奏です。第38回(1987年)以降紅白バンドの紹介が途絶えて久しかったのですが、ここ2年間はしっかり紹介されています。個人的には良い傾向だと思いますが、どうしたものでしょう。
 今回はイントロでホストのような男性ダンサー4人をしたがえてジェロが踊ります。ステージが2段構成、場面によっては3段構成になっている関係で、1ステージあたりのダンサーが例年以上に多いです。最初から舞台を埋め尽くしていて、ステージを真っ白に染め上げていました。
 ジェロの被る帽子はニューヨーク・ヤンキースの物ですが、これまた生地は黒ではなく真っ白です。最後は青い布地を一斉に出して締めました。(2分31秒)

(解説)
・オーケストラは紅白を奏でて36年と紹介されます。これはザ・ニューブリード基準で、ダン池田指揮のもと初めて紅白に参加したのは第23回(1972年)でした。バンドマスターが三原さんに代わったのは第37回(1986年)。ダンさんは第35回までで、間の第36回はこれまたブルーコメッツのメンバーであった小田啓義さんでした。東京放送管弦楽団はいつから参加しているのか不明です。もしかすると第1回からではないか、とも思いますが…。

・ジェロの紅白出場はこの年までとなりました。その後は前回の記事でも書いた通りなのでここでは省略します。



水樹奈々(初出場/第60回/2000/29/愛媛県出身)
「深愛」(2009/水樹奈々/上松範康(Elements Garden)/初)
~”アニソンの女王”亡き父に捧げる紅白~

 今回のデジタル紅白応援隊にもなっている水樹奈々の応援に関根麻里テリー伊藤が登場。観客席から多くの声援があがっています。歌前に、昨年亡くなった父親の話題を振ります。「歌の好きなお父さんだったので、今日はきっとステージに立っていると思います」と、笑顔でコメント。
 夜空を彩ったかのような照明の演出、観客席にはペンライトが光ります。伸びのある歌声は厚みもあって評判どおりの歌唱力の高さ、特にAメロの低音の響きには目を見張るものがありました。それだけに1コーラスであっさり終わったのが実に残念。せめてアウトロの余韻くらいは残してほしかったですね。今回だけと言わず、是非次回もその次も出場してほしいところです。おそらくまだしばらく曲はヒットすることになるはずなので…。(1分52秒)

(解説)
・父親が亡くなったという話題が歌前にありましたが、「深愛」の歌詞を書いたのはその直後。したがって奈々さんにとっては特に思い入れの強い楽曲となっています。人気楽曲の投票でも、必ず上位に入る曲となっています。

・ノンクレジットではありましたが、レコーディング・PVでもアルパを演奏した上松美香もステージに加わっています。彼女はこの曲を作曲した、Elements Gardenの上松範康の妹であるとともに、編曲を担当した藤間仁の妻でもあります。

・声優が音楽シーンで活躍する場面は1990年代後半からの現象ですが、紅白歌合戦出場にソロで到達したのは現在でも水樹奈々のみです(グループはμ’sがいますね)。当時でも快挙とおおいに報道されましたが、近年声優界から音楽方面で新たな動きが少ないこともあって、余計にその価値は高まっているようにも感じます。



FUNKY MONKEY BABYS(初出場/第60回/2000/27~31/東京都出身)
「ヒーロー」(2009/FUNKY MONKEY BABYS/FUNKY MONKEY BABYS/田中隼人/初)
~働くお父さんへの応援歌「ヒーロー」~

 ファンモン3人がそれぞれ自己紹介。「ヒーロー」で勇気づけられた人物として応援に駆けつけたのは、なんと日本テレビの羽鳥慎一アナウンサー。前回、半ば乱入みたいな形でフジテレビの中村仁美アナが羞恥心 with Paboの応援に参加しましたが、正式にこういった形で民放のアナウンサーが出てくるのは今回が初。CDジャケットやPVに描かれているのは羽鳥アナの父親としての素顔でしたが、まさかこんな形で出てくるとは思ってもいませんでした。そのまま司会者2人と一緒に曲紹介、もちろん羽鳥アナはしっかり「ズームイン!」のポーズを取ります。左ポケットには、番組のキャラクター・ズーミンの人形を入れています。
 日々働く父親の写真を集めた映像がこの曲の演出に彩りを添えています。家族揃ってこのステージを見ていたく感動した、そんな光景がおそらく全国で見られたのではないかと思います。3人も堂々のステージでした。
 なおDJケミカルの衣装は、くいだおれ人形がかけるような眼鏡に金色のブレザー・スーツと父親の姿を間違えて表現したような出で立ち。銀色のかばんにはBESTと書かれています。2010年にリリースされるアルバムの宣伝でしょうか、そのインパクトはなかなか絶大なものがありました。スクラッチなど全くせずに飛び上がって手拍子していたので、彼を知らない家庭では「こいつは一体何者なんだ?」という突っ込みが一斉に起こったのも容易に想像できます。
 ステージ終了後、ゲスト審査員の白鵬関にコメント。2児の父親として頑張る横綱は、「今後もヒーローであり続けるためには、やっぱり私自身が一番精進努力することが大事じゃないかと思っております。」と話します。(2分54秒)

(解説)
・ファンモンの最初のヒットは2007年の「Lovin’ Life」。ダウンロードで年間6位を記録しますが、その時は紅白出場まで届かず。以降も安定したヒットを記録しましたが、一気に評判を上げたのはやはりこの「ヒーロー」。ズームインで既にお馴染みだったとは言えCD発売は11月、出場歌手発表直前で一気に評判を上げて初出場に漕ぎつけたという形でした。

・ファンモンと言えばジャケットに著名人を起用することでお馴染みですが、「ヒーロー」で起用されたのは当時『ズームイン!! SUPER』総合司会の羽鳥慎一アナウンサー。年に数回局の垣根を越えてアナウンサーが登場する事例はありますが、上記にも書いた通り紅白では公式に言うと史上初。なお出演の際ノーギャラだったそうです。羽鳥アナは2011年にフリー転向、現在はテレ朝の『羽鳥慎一モーニングショー』司会などで活躍。

・DJケミカルが曲前で手に持ち、ステージではDJセットの上に置かれたかばんには「BEST」と書かれています。ベストアルバム『ファンキーモンキーベイビーズBEST』発売は、翌年の2月10日でした。

・白鵬関は2007年に横綱昇進、この年は3場所で優勝。この時点で12回優勝していますが、本当に凄かったのは翌年でなんと63連勝を記録します。近年は休場が目立っていますが、そもそも14年も横綱でいられた力士は過去誰もいません。進退を懸けると言われた2021年名古屋場所も安定の強さで、色々言われてはいますが伝説級の力士であることは疑いようもない所です。



中村美律子(3年連続14回目/第43回/1975/59/大阪府出身)
「河内おとこ節」(1989/石本美由起/岡 千秋/2年連続7回目)
~草食系男子に喝!「河内おとこ節」~
振付:西田一生 踊り:N-PRO草食系男子応援団

 前年に引き続きTOKIOが応援で登場。今回のコンセプトは「草食系男子が強い男に生まれ変わる」というストーリーみたいです。
 今回は客席通路からギャル風のダンサーを引き連れて登場。いかにも草食系な男が、肉食系な女子を肩車して踊る振付です。ダンサーから過剰に「おみっちゃーーん!」コールが挙がるのは前回同様、そもそもコンセプトが違うとはいえ振付担当も前回と同じです。衣装は赤と白の二色を基調とした着物で、今回は特別派手な物ではありませんでした。
 正直この振付は草食系男子から見て気分の良いものではないと思います。さすがにもうこの曲はマンネリを通り越していると思いますが、女性演歌の中では比較的CDの売上枚数が多いのもまた確か、難しいところです。(2分43秒)

(解説)
・草食系、肉食系という言葉が出てきたのはこの頃です。前年のファッション雑誌で「草食系男子」として取り上げられた特集から徐々に世間に広まった…とか。当時起こった事象を演出に取り入れるのも紅白あるあるですが、これに関しては相当雑な形だったと言えるのではないかと思います。

・前回初採用となったTOKIOの演歌歌手を応援する場面。なぜだか分かりませんが、結果的には第65回(2014年)まで続く恒例演出となりました。

・この年リリースされたシングルは「つれあい」。聴かせる演歌でヒットしました。本来美律子さんが得意するジャンルは「瞼の母」に代表される聴かせる演歌ですが、紅白でほとんど披露されなかったのが惜しまれます。



ポルノグラフィティ(5年連続8回目/第51回/1999/35/広島県出身)
「アニマロッサ」(2009/岡野昭仁/岡野昭仁/初)
~初めての東京ドーム公演が大成功!~

 ザ!!トラベラーズの面々が登場。メンバーは蛍原徹、タカアンドトシ、トータルテンボス、オリエンタルラジオ、ケンドーコバヤシ、次長課長、ブラックマヨネーズ、はんにゃ、チュートリアル、NON STYLE、博多華丸・大吉、エドはるみ。ブラマヨの小杉さんがグループについて説明。各地区を応援しようというプロジェクトのようですが、蛍原さんが各地区担当を紹介し切ることのないまま時間切れ。セット転換の繋ぎという役割だったと思うのですが、結論を言うとうるさいだけでした。
 熱狂的なファンからのビデオレターだったり(第57回(2006年))、正しいけど妙な発音で紹介されたり(第58回(2007年))、挙句の果てに曲紹介がなかった(第56回(2005年))時もあったので、こんな応援の後に歌うのはもはや慣れたもの。それどころか間奏で「紅白歌合戦が60回目ということで、僕のブーツのヒールは60mmになってまーーす!どうでもいいですかーー!」というアキヒトさんの謎MC。会場のウケがどうだったのかはわかりませんが、個人的には間違いなく吉本軍団より面白かったです。それ以外は赤い照明を効果的に使い、最後のサビではバックで炎も吹き上がる、いつものポルノ同様非常に格好良いステージでした。
 炎と言えばスーパーライブでも「この炎熱いんです、意外と熱いんです!」というMCがありました。最後は「一年間ありがとうございましたー!」と右手を振りながら締めます。アキヒトさん面白過ぎです。(2分33秒)

(解説)
・ザ!!トラベラーズというのは、吉本のタレントと各地方局が連携した番組『地元応援バラエティ このへん!!トラベラー』のMCが集結したグループ。この名義で「HOME TOWN」というCDもリリースしています。メンバーはこの1回限りの紅白、既に出ている人後に出てくる人など色々いますが、とりあえずオリラジは7年後の紅白に白組歌手として名を連ねます。

・「ハネウマライダー」を歌った第57回(2006年)は、間奏でアキヒトさんがギターだけでなくサポートの森男さんまで紹介する一幕がありました。この年以降の紅白では、間奏やアウトロで喋る場面がしばしば見られます。

・この時期のポルノは炎や火薬を使った演出が紅白でも恒例化していました。さすがに「黄昏ロマンス」ではありませんが、「ジョバイロ」「ハネウマライダー」「リンク」「ギフト」「アニマロッサ」となんと5年連続。これだけ紅白でこういった演出が続いたのは彼らくらいです。