第61回(2010年)NHK紅白歌合戦~その2~

紅3(全体5):アンジェラ・アキ(5年連続5回目)

・2005年デビュー 第57回(2006年)初出場
・1977年9月15日生 徳島県板野郡出身
・楽曲:「輝く人」(2010/4/14 シングル)
・詞・曲:アンジェラ・アキ

・演奏時間:2分30秒

(メッセージ)人生は色々だし、日本中色んな状況で観て下さっている方にとって私の歌が少しでも心の休憩所になってもらえる様に演奏したいです。

 「手紙~拝啓、十五の君へ~」のドキュメント映像が今回も歌前に挿入されます。中学生たちとの交流から、この曲の続編となる「輝く人」が作られた、というナレーション。

 桃色のTシャツ・下はGパンという衣装は例年と大きく変わらないですが、今回はピアノではなくギターを弾きながらの演奏。バックのステージにはダンサー、バンドともに全くなく彼女ただ一人、照明も夕焼けをイメージしたようなやや暗めの物。というより聴こえてくる音自体彼女が弾くギターの音だけ。徹底的にシンプルなステージでしたが、それだけに彼女の歌声がよく響いたステージでした。

 あまりヒットしなかったこともあって(オリコンでは約2.0万枚の売上)出場時間も早く、演奏時間もやや短めの内容でした。紅白にはもう何回も出場しているので、こういうステージがあってもいいと思いますが、もう少しじっくり聴きたかったという感想を持ったのもまた事実。

 

(ウラトーク)
 VTRが流れている間に、あらためてこの副音声ウラトークを松本アナが紹介。台本のない自由な喋りは、松本アナも既に楽しんでいる模様。

 「ギターだと、お客さんによりメッセージが届く気がします」「自分と向き合わないといい曲は書けない」というアンジェラさんのメッセージを紹介。ほとんどやり取りなしで、彼女の歌声に聴き惚れていました。

 

(解説)
・この曲は2010年3月~7月に放送されたNHKの番組『こころの遺伝子~あなたがいたから~』テーマソング。次の年も科学番組『宇宙の渚』テーマソングの「One Family」だったので、4年連続NHKタイアップ曲の歌唱でした。

・6回出場で、ギターの弾き語りを紅白で披露したのはこの年のみ。13枚リリースされたシングルで、ピアノを使わない唯一の楽曲でもあります。

白3(全体6):AAA(初出場)

・2005年結成・デビュー
・22~28歳・7人組
・楽曲:「逢いたい理由」(2010/5/25 シングル)
・詞:Kyasu Morizuki, 日高光啓 曲:TETSUYA KOMURO
・歌唱前テロップ:AAAは「アタック・オール・アラウンド」初出場男女7人組
・演奏時間:2分6秒

(メッセージ)今年紅白歌合戦初出場なのでとにかくおもいっきり楽しみたいです。来年につながるよう最高の年末にしたいです。

 歌唱前にメンバー7人が勢揃い、代表して喋るのは西島隆弘宇野実彩子。全体的に金色を基調とした衣装です。

 白組からの出場ですがソロパートが一番目立つのは宇野実彩子。男性だとやはり西島隆弘で、歌い出しの歌唱がバッチリ決まっていました。もう一人の女性ボーカル、伊藤千晃はやや音程が低かったでしょうか。帽子を被っているのはメンバー最年長の浦田直也、ラップを格好良く決めていたのは日高光啓與真司郎末吉秀太はダンスとコーラスに徹していた格好。

 間奏に紅白オリジナルのダンスを入れるなど気合いの入ったステージでしたが、2分ちょっとしか持ち時間がなかったのが残念。次回出場するとしたら更にダンサブルなステージを見たいところです。

 

(ウラトーク)
 ウラトークゲスト1人目として小林幸子が登場。客席から見るのは生まれて初めてと話しています。

 当然話題の中心は衣装。「今回は鶴になります」と話しています。なお今着ている衣装はユニオンジャックのシャツ、普段の格好はポップなのだとか。紅白が終わった後に衣装は解体して倉庫に保管する、ということも話していました。

 

(解説)
・AAAのデビューは2005年。早くから実力の高さは評価されていてプロモーション展開も大きかったですが、大きく注目されたのはこの紅白でも披露された「逢いたい理由」でした。「Dream After Dream~夢から醒めた夢~」との両A面でリリースされたシングルは両曲とも小室哲哉作曲、これは詐欺事件の為休止してから初めての復帰作でもありました。

・そのシングルはオリコン週間1位を獲得。当時西宮ガーデンズのリリースイベントに足を運びましたが、大変多くのファンが集まっていました。小室さん復帰の話題が盛り上がっていた印象でしたが、当時のAAAは既に横浜アリーナを満員にした実績を残していて大人気でした。

・AAAはこの年から7年連続で紅白出場。「7」という数字にこだわった活動も時折展開していましたが、ちょうど7回出場という形に落ち着いたのが面白いです。なお2007年までは後藤友香里を含めた8人組、活動休止中ではありますが現在は5人グループという形になっています。

紅4(全体7):中村美律子(4年連続15回目)

・1975年デビュー(1986年メジャーデビュー) 第43回(1992年)初出場
・1950年7月31日生 大阪府東大阪市出身
・楽曲:「河内おとこ節」(1989/6/28 シングル)…3年連続8回目
・詞:石本美由起 曲:岡 千秋
・振付:花柳糸之 踊り:花柳糸之社中
・歌唱前テロップ:定番お祭りソングをTOKIO&はるな愛&ウタ♪ウッキーが応援
・演奏時間:2分44秒

(メッセージ)デビュー25周年で、紅白出場15回と、節目を飾るにふさわしい年末を迎える事ができました。これを機に更に邁進(まいしん)いたします。

 おみっちゃんの応援にはるな愛が登場。「全国の皆さ~ん、はるな愛でーす!よろしくピース!」ピンクの和服にスカート、ピンクのリボンと派手派手な衣装。中村美律子とは「同じ大阪出身で同じ紅組」だから応援するということ。でも後ろの団扇には思いっきり「男」と書かれています。それには「曲のタイトル、言うよねー!」という弁解。客席には最終審査でも使う団扇、ゲスト審査員にもウタ♪ウッキーの人形を持って応援させてます。

 はるな愛の衣装も大概ですが中村さんの衣装も大概の物で、お立ち台の上に乗ってる彼女の姿はいかにもお祭りらしい衣装で、赤と白の着物にハチマキ。それどころか間奏の早替えで背中に「美律子」と書かれた、黄色と紫を基調とした派手なハッピ姿で生足丸出し、開いた口が塞がらないとはまさにこのことを指すのではないかと言わんばかりのとんでもない衣装。そりゃ国分太一もズッコケます。

 なおTOKIOが彼女のステージに登場するのは3年連続ですが、そこまで恒例にさせる必然性があるのかどうかは不明。踊りは密かに紅白最多出場らしい花柳糸之社中で、客席通路にまで溢れています。相変わらず突っ込みどころが非常に多いステージで次回もやりそうな雰囲気ですが、実際どうするのかは不明。さそり座の女がいなくなった以上、これがないとちょっと寂しいと思わせたらもう敗戦確定、ということなのでしょうか?

 

(ウラトーク)
 はるな愛を見て「やっかいな奴が出てきたよ」と話すテリーさん。そんな彼女(彼?)の衣装は出演が決まってから急遽作ったのだとか。幸子さんに関しては出場が決まる前から毎年、見切り発車で作っているそうです。下駄なのでいつもより背が小さく見えてしまう、とも。顔の大きさはリボンで誤魔化しているそうです。

 女性陣はみんな仲が良く、そして紅組がずっと負けているので一緒に頑張ろうと余計に気合いが入っているようです。「河内おとこ節」は紅白で一番歌われた曲だと、幸子さんが紹介。団扇はウラトーク席に配られていないようですが、幸子さんは代わりに「みっちゃん!」とコールします。客席同様に、ウラトーク席も非常に楽しんでいるようでした。ちなみに客席にはこれに関して言うと練習はしていないそうです。

 

(解説)
はるな愛は3年連続出演。過去2年は「さそり座の女」で桃組所属でしたが、美川さんがいなくなったこの年はおみっちゃんにスライドした形。この場面以外でもウラトークやエンディングなどに登場しますが、詳しくは後述。

TOKIOもなぜか3年連続で「河内おとこ節」に参加します。前回記事でも書きましたが、次年以降も紅組演歌歌手のバックを第65回(2014年)まで担当。花柳糸之社中は紅白でも共演する機会が非常に多いバックダンサーですが、ここ2年は西田一生のN-PRO軍団だったので意外にも第53回(2002年)以来8年ぶり。「河内おとこ節」に限らず1990年代はほぼ彼女のステージ専属状態でした。

・最終的に「河内おとこ節」は15回中8回歌われる形になりました。当時としては最多記録、現在でも「天城越え」「津軽海峡・冬景色」に次いで多く「おふくろさん」と同じ回数です。「さそり座の女」の美川憲一が26回中7回、「北国の春」の千昌夫でも16回中6回、2曲交互に歌う石川さゆりは「天城越え」で43回中12回なので、いかに異常な比率で歌われているのかがよく分かると思います。

・というわけで、中村さんはこの年を最後に紅白出場していません。歌手活動は70歳を超えた現在も継続中で、順調に毎年新曲を発表して歌っています。

白4(全体8):flumpool(2年連続2回目)

・2007年結成・2008年デビュー
・25~26歳・4人組
・楽曲:「君に届け」(2010/9/29 シングル)
・詞:山村隆太 曲:阪井一生
・歌唱前テロップ:若い世代に大人気の関西出身4人組
・演奏時間:2分24秒

(メッセージ)2年連続出場という事で皆さんへの感謝の気持ちを込めて、去年とは一味も二味も違ったパフォーマンスを見せたいと思います!

 舞台転換で入れ替わるセットと人が多いのでしょうか、曲前のトークもやや長め。ボーカル山村隆太曰く今年もやっぱり緊張するとのこと。このコーナーは相葉雅紀メインで進行していましたが、ちょっと滑舌が悪い印象もあります。

 歌い出し前でカメラがズッコけるハプニングがありましたが、それ以外は歌詞を間違えることもなく、至って真面目なステージでした。先ほどのステージと比較して、同じ関西出身でここまで違うのかと思うくらいの対照的な内容。構成は1コーラス半で間奏ほぼ無し、演奏時間は前回とほぼ同じくらいでした。最後の「ありがとうー!」も実に爽やか、ただ印象に残るという意味において言うとまだまだ先輩のポルノグラフィティには敵わないですね。

 

(ウラトーク)
 事前番組で緊張すると話していて、昨年歌詞を間違えたとも話しているflumpool。「そういうのがあるとトラウマになる」「いつも歌詞を手に書いてるんですけど、本番前に見ると汗で全部取れてる」と幸子さんが話します。普通の歌番組と違って紅白は別物、「紅白は魔物がいるかもしれない」「プレッシャーが別」「いい歌唄えた時の感動が10倍にも100倍にも返ってくる凄い舞台」だとも話しています。

 白いLEDライトはウラトーク席にも用意され、観客と一緒に全員動かします。演者からするとこういう演出は「ものすごく嬉しい」「エネルギーをもらいます」と幸子さんが話します。引きの画面では、自分たちが映っている場所を猛アピール。まるで出たがりの素人のようです。

 

(解説)
・歌唱曲はこの年公開された実写映画『君に届け』主題歌でした。多部未華子と三浦春馬が主演を務めています。原作は椎名軽穂作の少女コミックで全30巻連載、テレビアニメ化もされています。現在でも非常に人気の高い作品です。

・flumpoolにとっては一番の代表作になりました。Youtube、Spotifyともに再生回数は一番多く、特にSpotifyでは2位の「夜は眠れるかい?」740万をはるかに上回る2400万再生数となっています(2021年7月20日現在)。

・今回歌詞間違いはありませんでしたが、冒頭でカメラが転倒するハプニングが発生しました。これは史上初の出来事ではなく、第39回(1988年)で中森明菜が「I MISSED “THE SHOCK”」を歌った時にも発生しています。

紅5(全体9):平原綾香(7年連続7回目)

・2003年デビュー 第55回(2004年)初出場
・1984年5月9日生 東京都出身
・楽曲:
Voyagers」(2006/7/19 シングル)
・詞:平原綾香 曲:内池秀和

・歌唱前テロップ:人気の自然番組「ダーウィンが来た!生きもの新伝説」テーマ曲熱唱
・演奏時間:2分19秒

(メッセージ)7年連続で出場出来て嬉しいです!今、観ている皆様へ感謝の気持ちが届くように一生懸命歌います。来年もよろしくお願いします!

 曲前に松下奈緒相葉雅紀が生きものについてしばしやり取り。松下さんの進行は落ち着いていますが、相葉さんの喋りはやはり少し固い印象。しかし彼女が「生きもの」について語ると言われると、どう考えても某紅組出場歌手についてのトークに聴こえてしまいます。

 スクリーンに朝陽が昇ってすぐに象の映像、その後もひたすらアニマルが映し出されてかなりの迫力です。もちろん彼女の歌唱も迫力があって、またステージに設けられた階段のやや上部で歌っていたので会場では余計によく響いていたのではないでしょうか。個人的にはちょっと力が入り過ぎな気もしましたが。歌唱もさることながら、メイクもやや濃い目で…。それだけ紅白歌合戦のステージに力を入れているという証ですね。

 

(ウラトーク)
 ステージは大迫力のLEDに一同ビックリ。「後ろの映像も是非楽しみにしてください」と本番前にも話していたようです。彼女は両親と仲良し、幸子さんはサックス奏者である父親ともよく仕事していて、娘の話も聞いていたのだとか。

 「こういう映像を持っていることが凄い」と話すテリーさんは、さすが演出家といったところでしょうか。「歌い終わった時の顔が素敵」と幸子さんも称賛しています。

 

(解説)
・『ダーウィンが来た!』は2006年4月から放送開始。「Voyagers」は番組当初からテーマソングになっていて、2011年12月まで使用されました。番組は現在も継続、テーマソングは「スマイル スマイル」を経て2019年4月からはMISIAの「AMAZING LIFE」となっています。2006年は「誓い」がトリノ五輪中継テーマソングだったので、NHKとの関わりが極めて強い年となっていました。

・ウラトークで父親の話題がありました。前回の記事でも書いた通り父親はテナーサックス奏者の平原まこと、第56回(2005年)の前川清「夜霧よ今夜も有難う」のステージで共演しています。その年平原さんも「明日」で紅白出場しています。親子といえば同年に森山良子森山直太朗の「さとうきび畑」共演がありましたが、この親子も裏で一緒に時間を過ごしていた場面があったのかもしれません。

白5(全体10):遊助(2年連続2回目)

・1999年俳優デビュー 2009年ソロ歌手デビュー
・1979年4月18日生 神奈川県横須賀市出身
・楽曲:「ひと」(2010/11/10 シングル)
・詞:遊助 曲:遊助・菅谷 豊
・歌唱前テロップ:今年は演技に歌に大活躍!
・振付:EBATO アクト:P’Z group

・演奏時間:2分13秒

(メッセージ)昨年はテーマである「感謝」を胸に、今年は自分が何を発信できるかと掲げたテーマが「夢」でした。大晦日まで夢を応援し続けます。

 20年前に彼の父親は紅白出場を目標として、バンドを始めたということ。若干変わってると話していましたが、多分息子である彼の方が変わってると思います。このコーナーの進行は松本潤メイン。結婚する彼の男友達に向けた作られた楽曲ということで、「大切なひととの繋がりを感じてください」という曲紹介が良かったです。

 こういうラップ系の曲で多い傾向にあるダンサーがこのステージにも大勢います。「人」という人文字から始めるのは良いのですが、サビの左右往復する振り付けはちょっと曲に集中しにくいと言いますか何と言いますか。全体的にはヒップホップよりもレゲエに近いアクトに見えました。

 曲自体は相変わらずヒップホップと言うには軽すぎる内容ですが、そこもまた彼の魅力と言えるでしょう。「みんなに最高の年が来ますよーに!全員でー!Everybody singin’!」とラストで煽っていたのは良かったと思います。なんだかんだ言ってあっという間に売れなくなるわけでなく2年連続出場までできるのは、ひとえに彼のポジティブな人間性が大きいのではないかと再確認できたステージでした。

 

(ウラトーク)
 歌っている際の表情の話を引き続き展開します。そこからテリーさんも涙したという2004年紅白の「雪椿」についての話題に入りました。「大きい衣装の中の幸子さんの表情を絶対見て欲しい」とまとめて、ステージに話を移します。「楽しいね」と一言話してすぐに、これまた会場と一緒にライトを動かして応援。彼の温かい人となりについても触れていました。

 

(解説)
・彼の父親は当時既に横須賀市議会議員を務めていた上地克明氏。2017年から横須賀市長を務め、今年6月の選挙でも再選されました。バンドの名前は「上地克明&GOLD」、実際この年の12月に横須賀中央のライブハウスでクリスマスライブを開催したようです(横須賀経済新聞の記事より)。

・この年発売したシングルは「ライオン」「ミツバチ」「ひと」。「ミツバチ」はネット中心に大きな話題になりましたが、ここで「ひと」を選曲したのは正解だと思います。

・羞恥心を含めると3年連続紅白出場でしたが、この年でストップ。ただ現在も俳優・歌手として長く第一線で活躍しています。

キャラクター紅白歌合戦

 アニメやテレビのキャラクターが今年大活躍したということで、今回作られたコーナー。審査員はウタ♪ウッキー。基本的に「ウー」と「キー」以外の言葉を発していませんが、マツジュンには「厳しく審査しますよ」という風に聴こえたようです。曲紹介は普通に両組の司会者が担当。

紅A(全体11):三谷たくみ・横山だいすけ(初出演)

・三谷たくみ:1986年5月8日生 神奈川県鎌倉市
・横山だいすけ:1983年5月29日生 千葉県千葉市出身
・楽曲:「ドコノコノキノコ」(『おかあさんといっしょ』2010年9月のうた)
・詞:もりちよこ 曲:ザッハトルテ
踊り:小林よしひさ いとうまゆ ライゴー スイリン プゥート
・歌唱前テロップ:こどもたちの朝はこれで決まり!
・演奏時間:1分13秒

 メインで歌うのはうたのおねえさんとおにいさん・三谷たくみ横山だいすけ。踊りはたいそうのおにいさん・小林よしひさと『ゴッチャ』のおねえさん・いとうまゆ、そして『あしたてんきにな~れ!』キャラクターのライゴースイリンプゥートという面々。

 見どころはやはり途中からテンポが早くなる所でしょう。このややこしい歌詞を滑舌良く歌う2人、アクロバティックな踊りを見せるいとうまゆ、そして見事なバク宙を決める小林よしひさ。普通に凄いステージでした。

白A(全体12):怪物くん・オオカミ男・ドラキュラ

・楽曲:「ユカイツーカイ怪物くん」(1980/9/1 シングル 怪物くん(野沢雅子)/2010/7/7 シングル 怪物くん(大野智))
・詞:藤子不二雄A 曲:小林亜星
・歌唱前テロップ:みんなの友達!怪物ランドのプリンス
・演奏時間:0分57秒

 ドラマで共演したドラキュラ(八嶋智人)オオカミ男(上島竜兵)が颯爽と登場。オオカミ男は『天才てれびくん』でダチョウ倶楽部として出場した第44回以来17年ぶりの紅白出演。なおフランケン役のチェ・ホンマンはスケジュールの都合で出られず、ということらしいです。

 「うるさ~い!」と叫びながら怪物くん(大野智)が登場。3人で踊りながら歌い、最後は舞台袖に行って決めポーズ。なお歌番組で彼がこの曲を披露したことは一回もないそうで、そういう意味では非常に貴重なステージになったと言えそうです。

 曲後のトーク。フランケンは怪物ランドから応援しているということです。そして「大晦日までお供させられるとは思ってなかったでガンス!」とオオカミ男が右足をドンと鳴らして全員ジャンプ。思いっ切り十八番の団体芸を披露します(ただし1回目だけ松本潤はジャンプしませんでした)。個人的には「俺がやる」「じゃあ俺がやる」「どうぞどうぞ」が見られたら完璧だったんですが。審査員にコメントを求めると「ウキー」「ウキー」「ウーキー」ということ。とりあえず褒めてたみたいです。松下奈緒の進行をドラキュラ「落ち着いてる」と評する場面も見られました。

紅B(全体13):水樹奈々・前田敦子・大島優子・板野友美

・楽曲:「Alright! ハートキャッチプリキュア!」(2010/3/17 シングル 池田 彩)
・詞:六ツ見純代 曲:高取ヒデアキ
・振付:市川 歩
・踊り:キュアブロッサム キュアマリン キュアサンシャイン キュアムーンライト
・歌唱前テロップ:女の子のハートをがっちりキャッチ!
・演奏時間:1分21秒

 女の子に人気とのことですが、明らかに声援が野太いのはご愛嬌。歌うのは水樹奈々AKB48の3人(前田敦子大島優子板野友美)。途中スイッチング失敗で、歌手名テロップとカメラが合わない場面がありました。各キャラクターには、わざわざ丁寧にそれぞれの名前がしっかりテロップに表示されています。

 奈々さんはこのアニメで主人公キュアブロッサムの声を担当、挿入歌も歌っています。キャラクターの設定は中高生の女の子で、当然4人の衣装はセーラー服なんですが30歳なのに全く違和感なく溶け込んでいます。恐ろしい話です。AKB48の3人は無難にこなしましたが、ちょっと前田敦子の歌唱はソロでは厳しいかもしれないという印象もありました。

白B(全体14):熊倉一雄(初出演)

・1927年1月30日生 東京都港区出身
・楽曲:「ゲゲゲの鬼太郎」(1967/10/10 シングル)
・詞:水木しげる 曲:いずみたく
・振付:尾上陽子
踊り:鬼太郎 ねずみ男 ねこ娘 砂かけばばあ
・歌唱前テロップ:こどもの味方!心優しい最強妖怪
・演奏時間:1分37秒

 夏に放送された思い出のメロディーに続いて、紅白にも熊倉一雄御大が登場。歌い始めの何とも言えないざわめきは、振付が原因でしょうか。鬼太郎やねずみ男、ねこ娘や砂かけばばあが踊り、他のキャラクターもしっかりスクリーンに表示されています。このコーナーのトリにふさわしい見事な熱唱でした。

 審査結果は当然のごとく?引き分け。怪物くん陣営がクレームを入れますが、ニノの「熊倉さんも友達になってくれますよね?」「もちろ~ん」で丸く納まります。最後は怪物くん「テレビの前の子どもたち、ちゃんと飯食ってるのか!なんかあったら俺が助けに行くぞー!」のコメントで〆。まあほぼ予想通りの終わり方と言って良いでしょう。

 これを受けてゲスト審査員の武良布枝にコメントを振ります。「40年前ぐらい前になると思います。主人がいよいよ歌詞が決まったと興奮気味で私たちに告げてきた時をまざまざと思い出しました」「今日まで歌い継がれていることに感激でいっぱいでございます」「本日もありがとうございました」と感謝の気持ちを込めて話していました。

 

(ウラトーク)
 幸子さんの登場時間が22時15分過ぎということを知らせてから、挨拶・握手して退席。

 「ドコノコノキノコ」はおかあさんといっしょで大人気。松本アナはスタジオで収録する時に一緒になることが多いそうですが、うたのお姉さんお兄さんは普段もテレビと変わらないという裏話披露。

 「怪物くん」演奏中にTOKIO国分太一がウラトーク席に登場。こちらも客席から紅白で見る機会がないので、早々に楽しそうな表情を見せています。今回の副音声導入については、説明を受けた後「NHKさんも変わりましたねー」「いろんなことをやってます」というやり取り。

 怪物くんのやり取りを見て、「嵐が空気読んでないですよね」「普通でいったら次TOKIOなんですよ」「これから先どれだけ頑張ればいいんですか」と早速猛クレーム。とは言え司会ぶりについては「安定感ありますよね」「性格悪いやつ一人もいないんですよ。だから悔しいんですよ」と称賛していました。プリキュアを歌うシーンでは水樹奈々の話題。西武ドーム2日間満員という話に、「スーパーボールキャッチするロケをやったことあるんですよ」とバラエティな感じで対抗します。『少年倶楽部』をはじめとする司会業については「楽器だけじゃ難しいということで司会を憶えたんですけども」「時々声を枯らすのも喋りすぎて声を枯らす」「いつもテリーさん見て研究してます」。やはりよく喋る上にトークも上手いです。

 松本アナがうまくステージに話を戻します。御年83歳の熊倉さんについて「あと100年くらい生きそうだよね」「顔は妖怪入ってますよね」と好き放題言いまくってます(もちろん褒めてます)。ラストのショットについては「砂かけばばあ凄いですよね」と関根さんのコメント。

 あっという間の企画コーナー、引き分けという結果に「なんだよー」「出来レースじゃねぇか」「みんな思ってても言ってないんですからやめてください」。テリーさんが好き放題言いまくり、松本アナのツッコミも冴え渡っています。

 ラストは大野さんの話題、絵が得意という話を国分さんが披露。ただ似顔絵を描いて欲しいと言っても、描いてくれないのだそうです。なお嵐のメンバーにはさん付けではなく「太一くん」と呼ばれている模様。

 

(解説)
・『おかあさんといっしょ』からの紅白出演は第50回(1999年)の「だんご3兄弟」以来。ただ速水けんたろう・茂森あゆみは1999年12月時点で卒業していて、現役のうたのおにいさん・うたのおねえさんが揃って登場するのは史上初でした。単体だと、「ビューティフル・サンデー」を第27回(1976年)で歌った当時の田中星児は現役のうたのおにいさんでした。たいそうのおにいさんは第17回(1966年)に、砂川啓介がゲストとして出演しています。

・『怪物くん』はこの年NTV系でテレビドラマ化、主演を務めた大野智が挿入歌も歌っています。なお主題歌の「Monster」も、同じ年の紅白でしっかり歌われています。原作は1960年代後半に連載、アニメは1968年と1980年に2度放送されています。

・この紅白で歌われた「ユカイツーカイ怪物くん」は、1980年版アニメの主題歌でした。大野さんがカバーした楽曲もCDシングル化されてヒット、の「To be free」と同日発売でした。

・「Alright! ハートキャッチプリキュア」の原曲は池田彩の歌唱。プリキュアシリーズはこの作品が7作目、現在もシリーズを変えて毎年放送しています。水樹奈々はこの年、主人公・キュアブロッサムの声優を担当していました。

前田敦子は翌2011年にソロデビュー、板野友美も年が明けて1月にソロデビューを果たします。一方大島優子はこれまた翌年結成のグループ内ユニット・Not yetで活動があったものの、ソロシングル発売は本人の希望もあって無し。さすがにソロ曲はありましたが、卒業後も含めてソロでの歌手活動は一切ありませんでした。

熊倉一雄は当時83歳、正式な出場歌手を除くと紅白のステージで歌った出演者の最年長記録です。第66回(2015年)の美輪明宏、第69回(2018年)の北島三郎を上回っています。ウラトークではリスペクトを込めて妖怪とか色々言われていましたが、残念ながら2015年10月に88歳で世を去っています。飄々としたパフォーマンスですが、1953年からテレビに関わってテアトル・エコーでは山田康雄や納谷悟朗をスカウトしたという、声優界にとんでもない功績を残した人でもあります。

・この年大ヒットした連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』、これは武良さんが2年前に書いた自伝が原作となっています。こういった形でゲスト審査員に選出されたのは、第48回(1997年)における『あぐり』の吉行あぐり以来2人目でした。夫の水木しげる氏も当時は健在でしたがこちらも2015年11月に逝去、同年の紅白でも追悼されました。

 

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