演奏時間&構成表 2(第45回・1994年)
演奏時間・構成は紅白歌合戦で実際に披露したステージを指しています。フル再生時間はSpotifyの音源基準、オリジナル未配信曲は手持ちのCDからインポートしたiTunes音源を基準としています。
曲順 | 楽曲 | アーティスト | 演奏時間 構成 |
フル再生時間 構成 |
18(紅9) 紅前半9 |
すき~紅白バージョン~ | Dreams Come True |
5分30秒 2曲 |
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すき | 2分2秒 1コーラス |
3分40秒 1コーラス+ラスト |
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WINTER SONG | 3分17秒 1コーラス半 |
4分46秒 2コーラス半 |
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19(白9) 白前半9 |
手紙~紅白バージョン~ | 米米CLUB | 5分5秒 2曲 |
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手紙 | 2分42秒 1コーラス |
4分29秒 1コーラス半 |
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浪漫飛行 | 2分23秒 1コーラス半+サビ |
4分10秒 2コーラス半+サビ |
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20(紅10) 紅前半10 |
人生いろいろ | 島倉千代子 | 3分22秒 2コーラス+サビ |
3分51秒 2コーラス+サビ |
21(白10) 白前半10 |
さらば青春 | 小椋 佳 | 3分7秒 2コーラス |
2分44秒 2コーラス |
22(紅11) 紅後半1 |
輝いた季節へ旅立とう | 松田聖子 |
4分45秒 冒頭+2コーラス半+ラスト |
4分53秒 冒頭+2コーラス半+ラスト |
23(白11) 白後半1 |
外は白い雪の夜 | 吉田拓郎 | 6分23秒 4コーラス |
6分12秒 4コーラス |
24(紅12) 紅後半2 |
愛にゆれて… | 大月みやこ |
3分11秒 2コーラス |
4分44秒 2コーラス+サビ |
25(白12) 白後半2 |
娘に… | 吉 幾三 | 3分53秒 2コーラス |
6分2秒 3コーラス |
26(紅13) 紅後半3 |
愛が生まれた日 | 藤谷美和子・ 大内義昭 |
3分34秒 1コーラス半 |
5分15秒 2コーラス半 |
27(白13) 白後半3 |
言えないよ | 郷ひろみ | 3分11秒 1コーラス半 |
5分0秒 2コーラス半+サビ |
28(紅14) 紅後半4 |
素敵な誕生日 | 森高千里 |
3分3秒 2コーラス |
4分9秒 2コーラス+サビ |
29(白14) 白後半4 |
YOUNG MAN (Y.M.C.A.) |
西城秀樹 | 3分16秒 2コーラス半 |
4分44秒 3コーラス半+サビ |
各ステージ・補足
前半第1部最大の目玉は、やはりDreams Come Trueのステージだったでしょうか。21時過ぎに始まった「すき」「WINTER SONG」のパフォーマンスは、特に吉田美和のボーカルが神がかり的な仕上がりでした。「すき」は最後でタイトルを連呼する部分以外フルコーラス。次の曲に繋がるブリッジではロングトーンを含む自由歌唱、それは過去のJ-POP歌手だと考えられなかったような珠玉の内容です(これ以降なら何人かいますが)。「WINTER SONG」は前曲の続きという雰囲気で、2番からラストサビまで歌唱。5分30秒があっという間に過ぎる、歴代紅白でも屈指のステージでした。
米米CLUBも2曲披露。「手紙」は作詞作曲クレジットが米米CLUBでなく石井竜也、彼とキーボードのフラッシュ金子以外は暗転待機。サビ後のCメロまで歌ってから、照明が明るくなって1990年の大ヒット曲「浪漫飛行」を披露。1番とCメロ以降ラストまで、こちらも堂々の5分超ステージです。(ステージレビュー→紅白歌合戦・米米CLUBの軌跡)
前半トリ、6年ぶり復帰の島倉千代子は当時と同じ「人生いろいろ」の歌唱でした。ラストサビが原曲より1回分短め、アウトロが急にテンポが速くなるのは6年前と同様。違うとすれば紅組出場歌手が後ろで応援していることと、”いろいろ!”と観客席からコールが起きたことでしょうか。(ステージレビュー→紅白歌合戦・島倉千代子の軌跡)
前回の紅白にゲスト出演した小椋佳は、この年母校の東京大学に再入学。その生きざまが話題になった一年でした。1970年代屈指のヒットメーカーかつフォークシンガーですが、サラリーマン兼業ということもあって当時は紅白どころか音楽番組出演も無し。それだけに注目度も高いステージでした。1971年のデビューシングルB面に収録されている「さらば青春」は、前の年にCDが再発売。もちろんフルコーラス歌唱、フェイドアウトで終わるラストはオリジナルのエンディングが追加。したがって本来の音源より演奏時間は長いです。
ニュースを挟んで、第2部トップバッターは6年ぶり紅白復活の松田聖子でした。2年前からヒットチャート的には再び上位に入り始めましたが、満を持して復活したのがこの年だったと言えます。21秒にわたる大仰な登場曲が別個に設けられて、本編は5分近くあるこの年のヒット曲「輝いた季節へ旅立とう」を堂々フルコーラス歌唱。1980年代当時よりも、格段に大事な扱いになっていました。
吉田拓郎の紅白歌合戦出場は、1970年代に生きていた人々にとっては全く考えられなかったことでした。歌は1978年発表の「外は白い雪の夜」、このステージのために集めた超豪華な演奏陣をバックにフルコーラス。宮川泰・吉田建・日野皓正・日野元彦…。紅白でバンドメンバー全員に個人名テロップが入ったのは、このステージが初めてです。もちろん完全生演奏、このメンバーなので歌以外の部分は大幅にアレンジが変わっています。特にラスト1分にわたるセッションは過去の紅白で見られないレベルの圧巻さでした。
拓郎さんの余韻に浸りたいところでしたが、直後に始まったのはハイヒールの漫才でした。もっとも前年まで出演していた今いくよ・くるよ師匠や宮川花子師匠と比べると煩さは無く、幾分スマートです。そんな中、大阪出身でありながら彼女たちや上沼さんらしい下品さのない大月みやこのステージは「愛にゆれて…」2コーラスでした。ややポップス色も強いこの曲は、大月さんが歌う紅白のステージとしてはやや異質な印象もあります。
吉幾三が歌う「娘に…」、曲紹介では娘からの手紙を朗読するというサプライズ演出がありました。感情移入して冒頭から思わず涙を流すステージは、1番と3番の歌唱。直前の2年は過去曲かつ短い演奏時間で扱いの悪さが顕著でしたが、それを取り返すような長いステージになりました。この年以降、吉さんが紅白で歌うシーンはしばらく涙がつきものになります。なお手紙の主である2人の娘は、現在芸能界で活動しています。
第36回以来久々に組まれた4曲連続ステージ。その最初は初出場、藤谷美和子・大内義昭「愛が生まれた日」。金色のウィッグにエンジェルのような羽根を背中に背負った藤谷さんの衣装は印象的ですが、羽根は聖子さんもつけていました。テレビサイズの1コーラス半歌唱。
郷ひろみは前年の時点でバラードが大ヒットしてますが、紅白復帰はこの年の「言えないよ」。昭和期でもバラードの名曲はいくつかありますが、紅白でバラードを歌うのは「哀愁のカサブランカ」以来2回目でした。Cメロを含む1コーラス半、ラストサビは2回繰り返し。豪華な薔薇のセット以外は完全に歌唱力で聴かせるステージ、そこには昭和期の郷さんとは異なる新しい魅力に満ちあふれていました。
セット転換用の繋ぎの音楽15秒を経て、始まるのは森高千里「素敵な誕生日」。超巨大ウエディングケーキのセット上で歌うステージが、大変絵になっていました。2コーラス歌唱ですが、2番のサビは初めて彼に作った料理の顛末をコミカルに歌うラストサビに差し替えられています。
10年ぶりの紅白復帰となった西城秀樹は、繋ぎの音楽は「ちぎれた愛」のイントロ12秒でした。「YOUNG MAN (Y.M.C.A.)」は天井から登場するシーンで別個にイントロを追加、歌は1番・2番・サビで15年前の歌唱時と異なる構成です。当時は猛スピードの演奏で2分40秒に詰め込んでいましたが、もちろんこの年は普通のテンポでの歌唱でした。(ステージレビュー→紅白歌合戦・西城秀樹の軌跡)
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