第61回(2010年)NHK紅白歌合戦~まとめ~

 第61回紅白について、全体的な感想とか次回に向けての意見とかをまたあらためて書いていきます。単純に今回の紅白は良かった!と感動したり駄目だった!と批判を並べるのもありかもしれませんが、紅白・あるいは音楽ファンだからこそ感じる良かった所、悪かった所をあらためて振り返ることは非常に大切なことなのではないでしょうか。単純な批判、あるいは賞賛だけで終わらせるのを個人的に良しとしない人間なので…。




・ステージ演出

 基本的に前回の内容を踏まえたもので、それ自体は問題ないのですがちょっと踏まえ過ぎな気もしました。特に歌前に左下に表示されるテロップは、同じ演出だからこそ質の低さが目立ちました。また歌をじっくり聴かせる演出は今後も続けてほしいと言いつつも歌で盛り上げる演出のステージは突っ込み所満載で、まあおそらく狙ったものだと思うので問題はないのですが「聴かせる演出」と比べるとやや不得手なのかもしれないな、という印象も持ちました。まあこれは今に始まった話ではありません。とは言え福山雅治の時のカメラワークを筆頭に名ステージも多かったので、総合的には決して悪くない出来ではないかと思います。

 

・演奏時間

今回は「トイレの神様」が大きな話題になりましたが、それ以外でも歌手によっては4~5分などじっくり時間をかけたステージが目立ちましたね。でも第1部の中盤あたりでは2分ちょっとで終わったステージもいくつかありました。結論を言います。出場歌手の数はまだ減らせます。




・司会

 初のグループ司会となったですが、懸念されるほど悪いものではありませんでした。まあそれ自体前例のないことで、今後恒例になる可能性もあまりないと思われるのでそういう意味では楽しめました。また嵐というグループ自体がチームワークを売りにしている部分があって、SMAPほど5人の役割が分担されている印象もないので違和感も個人的にはそれほど感じませんでしたが、やはり次回は1人に戻した方が良いように思いました。

 これには色々理由がありますが、一番大きいのは台本が煩雑になりがちなことでしょうね。メンバー一人一人きっちり細かく台詞を憶えて進行するのは、見ている方にとって若干の不自然さが存在していました。また、今回の白組司会は事前には全く考えられなかったサプライズ、つまりは特殊なパターンです。特別なことが二度三度続くとそれは特別ではありません。一度だからこそ嵐のファンも喜び、そうでない一般の人にとっても記憶に残るものになるのではないでしょうか。

 よく考えるとアナウンサー司会が4年続いた後は1年おいて、ずっとジャニーズが白組司会を担当(第58回は例外ですが紅組がそうでした)。そうなると次はそろそろジャニーズ以外の男性タレントあるいは俳優の起用を考えてもいい頃なのではないでしょうか。

 紅組の松下奈緒は概ね堅調な内容でした。ただ構成上どうしても目立ちにくかった部分が否めないので、次回やるとしたら従来通り白組司会は男性一人、という形でさせてあげたいです。彼女もゲゲゲの女房があったからこその司会ですが、石田ひかり仲間由紀恵みたいな例もありますし、続投でも何ら問題ないのではないでしょうか。

 

・曲目、曲順

 メドレーが多いこと自体に異論はないですが、その内容・センスにはかなり問題がありました。メインの曲がステージ内容と合っていないSMAP、メインの曲があるのにそれを主としないタイトルだった倖田來未はその最たる例でしょう。もちろんAKB48みたいに良い例もありましたがそれは少なく、和田アキ子郷ひろみは内容が良くてもタイトルが寒い(まあこれは好みの問題でもありますが)。特にSMAPの場合大トリでそれをやったという点で自分の中では許せない内容でした(本人たちの問題ではありません、念のため)。メドレーやタイトルのつけ方に関しては第58回を中心に、以前からセンスがあまり良くないとは思っていましたが今回はセンス以前の問題です。根本的に見直してほしいと願います。

 曲目に関して言うと、番組のテーマに合った歌手選出・選曲というのは何ひとつ問題ないですが、欲を言うと過去の選曲・ステージの傾向なども参考にして選んでほしいかなぁと思います。当然視聴者は紅白ファンよりもそうでない人の方が圧倒的に多く、毎年見ないけど今年たまたま見たという人も相当数いるはず。したがって極端に重視する必要は絶対にないですが、それでも意味なく同じ曲を歌い過ぎな人も数名見受けられるので…。

 あと今後のトリ選出に関してはポップス中心に、演歌はヒットが出たら考えるという話もあるとか。まあ現状あるいは今後の音楽シーンのことを考えると十二分に頷ける内容ですが、個人的には少し寂しい気もします。




・審査方法

 変えないといけないというより、変わると思いますね。今回の演出は、白組司会とトリと中継を除けばほとんど紅組に勝たせてやりたいという雰囲気が相当出ているように感じたことがその理由です。それでも白組が6年連続の勝利。変えないとまずいでしょう。

 変えるとしたら「元に戻す」か「何か加える」か、そのどちらかでしょう。「元に戻す」というのはゲスト審査員の比率を上げて1人1個ずつ、デジタル・携帯等でボール2個ずつで最後に司会者がボールを投げる方式。でも今回の投票結果を見る限りではちょっと矛盾を感じて納得いかない視聴者が多く出るようにも考えられます(第55回では紅組勝利でしたが、デジタルTVの投票結果は47都道府県全て白組の方が多かったという内容でした)。

 というわけで「何か加える」方が現実的でしょう。今回の紅白、ホームページ・Twitterなどweb・ネット関連にもかなり力を入れていた印象がありました。番組中のTwitterを見る限りでは紅組の方が勢いあったようにも感じます。ということでTwitterアプリなどを活用してインターネットからも投票を可能にする、これが一番良いのではないでしょうか?見てない人でも投票できるじゃないか、という批判もあるでしょうけどワンセグやケータイ、極端に言えばデジタルTVでも審査時間にだけチャンネルを合わせればそれで問題なく、そもそもNHK自体勝ち負けなんかどうでもいいと発言しているんですから個人的にはそれでいいんじゃないの?と思います。

 

・最後に

 色々批判的なことも書いていきましたが、見ている分には非常に楽しかった紅白でした。Twitterでつぶやきながらという部分があったからかもしれませんが、他の長時間音楽番組と比べてもあっという間に時間が経って、興味ない人にもあまり退屈させない内容に構成されていたと思います。特にAKB48のファンにとっては一生の思い出の紅白になったのではないでしょうか?

 全体的には良い紅白でした。でも最後の15分だけは本当にしっくり来ませんでした。新しさを求めるのは素敵なことですが、新しいから良いというのは違うと思います。当日携わったスタッフでご覧になっている方がもしいらっしゃったら、その一言をメッセージとして受け取って頂きたいです。では第62回NHK紅白歌合戦も楽しみにしています。ここまで読んで下さった方々、そして当日番組に関わった多くの出演者・スタッフの皆様、本当にありがとうございました!




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