紅白歌合戦・安室奈美恵の軌跡~ステージ編~

第46回(1995年)「Chase the Chance」

ステージ

作詞:小室哲哉、前田たかひろ 作曲:小室哲哉
前歌手:冠 二郎、香西かおり
後歌手:TOKIO、伍代夏子
曲紹介:上沼恵美子(紅組司会)
踊り:SUPER MONKEY’S

 演歌4ステージ連続・NHK子ども向けキャラクターのショーに古舘伊知郎上沼恵美子の大舌戦を経てステージ開始。「さあ!安室奈美恵ちゃんですよ!「Chase The Chance!」」

 緑色のコートで颯爽と登場、従えるダンサーは仲間であるSUPER MONKEY’Sの面々。この時点ではもうナナレイナミーナリナのメンバーが固まっていて、5月にはMAXとしてデビュー。ちなみにavex traxからの発売は安室さんより彼女たちの方が先でした。こちらも赤・ピンク・水色・黄色という具合に、衣装でカラフルな色彩を見せています。

 ラップ2回とも含む2コーラス、格好良いダンスも非常に見応えのあるステージでした。ただ前年まででは考えられなかった多忙ということもあったでしょうか、歌の方はCD音源と全く同じ内容。司会を担当した上沼さんが何組か口パクの歌手がいたと後に暴露していますが、実を言うと20世紀までの紅白でもっともこういった措置が目立ったのもこの時期です。2000年代後半以降はダンスパフォーマンス重視のアーティストも増えたので、さしたる問題でも無くなりましたが…。

その他

 オープニングは白いコートのような衣装で登場。両司会が実況風に出場歌手をおおまかに紹介する段取りで、いの一番に名前が挙げられました。ダンサーとして参加するSUPER MONKEY’Sの4人も、一緒に登場しています。

 裏番組の日本レコード大賞もノミネートされているので、前半の出演はこれ以外無し。もっとも紅白での歌唱開始時間は20時36分、内々で彼女の受賞は無いということで調整がついていたものと思われます(なおこの年の大賞は同レーベルのtrf、20時20分歌唱終了後にレコ大会場へ移動しました)。

 以降は演歌歌手の後ろで応援することも無く、エンディングのみの出演。「蛍の光」も後ろの方で少し見切れる程度で、あまり目立っていません。

第47回(1996年)「Don’t wanna cry」

ステージ

作詞:TETSUYA KOMURO, TAKAHIRO MAEDA 作曲:TETSUYA KOMURO
前歌手:都はるみ、(ニュース)、SMAP
後歌手:藤井フミヤ、華原朋美
曲紹介:松たか子(紅組司会)、由紀さおり

 後半トップバッターをSMAPがバシッと決めた後に、対抗するはこの方しかいないという触れ込み。なぜかアイドル評論家という肩書で由紀さおりが登場、メガネをかけてそれっぽい格好に変装しています。コント仕込みの饒舌さで、この年の安室さんについて解説。

 「彼女に憧れ、そのスタイルを真似た少女たちは、「アムラー」と呼ばれ、社会現象になりました」
 「ちなみに、由紀さおりに憧れ、そのスタイルを真似た少女たちは、「サオラー」と呼ばれております」
 「…えっ?」「…えっ?あら。まあ…イヤだ。失礼こきました」

 そのあまりにもな呼び名に、話しながら由紀さんが苦笑い。会場もちろん沈黙、お茶の間にもおそらく何とも言えない空気が発生したものと思われます。「それではいって頂きましょう。安室奈美恵さん、「Don’t wanna cry」!」、司会の松さんがそのまま強引に進行して演奏開始します。

 とは言えこの年社会現象となり、日本レコード大賞まで受賞した安室さん。直前の空気など全く関係なく素晴らしいパフォーマンスを魅せます。楽しそうな表情を見せつつ、高音で伸ばす部分は熱唱も熱唱。フルバンドメンバーに海外からのダンス&コーラスと紅白出場まだ2回目とは思えない超豪華サポート、当時リアルタイムでは当たり前のようにも感じていましたが、歴代の紅白を振り返ってあらためて見るとやはり相当力を入れたステージであることは間違いありません。本来なら歴代でも多々振り返られるべき内容ですが、次の年とその次が凄すぎるためにやや霞みがちになっている部分も若干あるでしょうか…。

その他

 赤と黒の衣装に金色のロングヘアー。振り返ると彼女も名前が「あ」で始まる影響でしょうか、オープニングは割と中央目立つ場所に映ることが多いです。腕を組みながら両司会のやり取りを見守る安室さん、古舘伊知郎による「(上沼恵美子から松たか子に司会が代わったことに際して)昨年までは若干私の方がかわいそうだという意見もあった」の言葉に笑みを浮かべていました。

 この年は小室哲哉プロデュースのアーティストが紅組から4組も出演、そのラストを飾るglobeの曲紹介でtrf華原朋美ともども登場。「おしゃれで、カッコよくて、センスが良くて…」と小室さんを一言で紹介し切れない華原さんに、「朋ちゃん朋ちゃん、一言だよ一言」とツッコミ。華原さんのマジっぷりとヘンテコな脚本に、笑いを堪えられない様子でした。あまりノリ気でないようにも見えますが、一応次の年4月までは『THE 夜もヒッパレ』レギュラーでコミカルなことも色々やっています。

 なおオープニング・ステージ・それ以降で衣装は最低3着以上が定石ですが、ステージで歌った後にglobe曲紹介で登場した際はオープニングと同じ衣装でした。この年はTKファミリー全員集合で年越しイベント開催、そのため自身含めた4組ともエンディングには出演していません。

第48回(1997年)「CAN YOU CELEBRATE?」

ステージ

作詞・作曲:Tetsuya Komuro
前歌手:和田アキ子、北島三郎
後歌手:五木ひろし、(エンディング)

曲紹介:和田アキ子(紅組司会)

 結婚をテーマにしたドラマ『バージンロード』の主題歌が、最終的には自身の結婚を祝う曲になったという展開になりました。いわばフィクションを超えた状況というわけですが、紅白歌合戦もこの年の紅組トリは異例の大抜擢という形になります。

 紅組トリを既に3回経験している和田アキ子が丁寧に曲紹介。安室さんはアッコさんの横で胸に手を当てて待機。後ろには紅組歌手が大集合。ちょうど「Give me a Shake」で初出場となった、MAXのメンバーも近くにいます。

 「1997年、思い起こせば色んなことがありました。皆さんは今年どんな1年だったでしょうか?紅組の最後を飾ってくれます安室奈美恵さんにとって、今年は一生忘れられない思い出の年になりそうです。20歳での結婚、そのニュースは日本中を駆け抜けました。来年はお母さんになって、子育てのため1年間お仕事を休みます。今日でしばらくのお別れです。安室奈美恵さん、「CAN YOU CELEBRATE?」。イェイ!」

 ひと通り曲紹介が終わった所で、舞台袖からステージにスタンバイ。ピアノが一音鳴った所で、歌唱開始。金色の紙吹雪が冒頭から降り注ぎます。わざわざ教会のセットが用意されているわけではなく、21世紀のように大きなビジョンがあるわけでもないのですが、だからこそ一歌手としてのステージが映えて歌の説得力が上がるような演出に見えます。

 6分近くある長い曲、ただカットは冒頭長めのイントロと2番Aメロ程度。ロングだった髪はバッサリ切ってショート、清楚な黒いドレスも気取らないファッションセンス。妊娠していることもあって、ある意味では機能性を重視した格好にも見えますが、それを書くとやや野暮でしょうか。いずれにしても、1997年の主役としてこれ以上無いほどの素敵な姿です。

 ラストサビで転調、金色の紙吹雪は大量に降り注ぎます。NHKのスタッフが全力を挙げて安室さんを祝う演出、さながらライスシャワーのようでした。これ以上無いほど美しいトリのステージ、ただこの年は大トリで「千曲川」を歌う五木ひろしもまたそれに負けないくらいの大熱唱でした。

その他

 日本レコード大賞出演でも紅白歌合戦は基本オープニングに必ず出演、歌手によってはTBSとNHKを2往復するのが当時の流れでした。もっともこの年の安室さんは妊娠中で配慮もあったのでしょうか、珍しくオープニングは不参加となっています。もちろん、この年は2年連続大賞受賞となっています。

 本番出演は後半戦から、紅組トップバッター・華原朋美の応援でした。「朋ちゃん頑張ってくださーい」と一言、彼女の動きか喋りが原因でしょうかまた思わず笑う状況になっています。

 事前の予想ではおそらく紅組優勝かと思いましたが、大トリの五木ひろしの素晴らしさと明らかに和田アキ子を食っていた初司会・中居正広の活躍で結果は白組優勝でした。他の年だと後ろにいることの多いエンディングですが、さすがにこの年は中心前方で多く映る形になっています。

 

第49回(1998年)「CAN YOU CELEBRATE?」

ステージ

作詞・作曲:TETSUYA KOMURO
前歌手:天童よしみ、北島三郎
後歌手:五木ひろし、和田アキ子
曲紹介:久保純子(紅組司会)

 紅白歌合戦を最後に活動休止したアーティストは他にもいますが、紅白歌合戦が復帰ステージになったアーティストは多くありません。第40回の都はるみに第69回のいきものがかりくらいでしょうか。1年ぶりの活動再開は、前年以上に大きく注目されました。なおレコーディングはこの時点で既に再開、8日前に新曲「I HAVE NEVER SEEN」が発表されています。

 「自分に素直に自由に生きる。歌手・妻・そして母として生きていく姿は、私たち女性に大きな勇気を与えてくれました。この1年間、あなたの登場を多くの人たちが心待ちにしていました。おかえりなさい。安室奈美恵さん、「CAN YOU CELEBRATE?」」

 階段上にスポットライトが照らされて、イントロ無しで歌唱開始。歌う後ろにミラーボール状のセットが用意されています。歌いながら一歩ずつ階段を下り、最初のサビを歌い終わった頃にはステージ上。おでこを出した髪型にコート姿、ファッション面で着飾る部分はこの年も少なめ。歌声は1年のブランクを感じさせる部分僅かにあれど、待望のステージという期待感が懸念を大きく吹き飛ばしています。

 1コーラス歌い切って胸に手を当てる安室さん。緊張がこちらにまで伝わってきます。所定のコーラス部でも同様、やはり1年ぶりのステージというのは相当なプレッシャーであることを感じさせます。それでも久しぶりに観客の前で歌える喜び、大詰めに入り歩いて前に出たところで一つ会釈。温かい拍手が聴こえた瞬間堪えきれなくなったようで、思わず手を目に当てて泣き出してしまいます。

 涙を流している間にも止まらない拍手、照明も明るくなっているでしょうか。会場、いやお茶の間で見ている人全員が安室さんを応援する空気になりました。涙が止まらないながらも何とか最後歌い切ってステージ終了。思わず駆けつけるMAXの4人、彼女たちがエスコートして舞台袖にはけます。

 直前に北島三郎が歌詞を間違え、大トリの和田アキ子はテレビで初となるマイクを大きく離してほぼ肉声で歌うパフォーマンス。平成期に30回放送された紅白歌合戦で、終盤これだけ見せ場が多かった回は他にありません。「もう安室ちゃんに関してはおかえりなさいという気持ちだよね。本当いっぱいですね。おかえりなさいです。ありがとうございました」、この後に進行する白組司会・中居正広は前年もそうでしたが、対決ムード無しで完全に祝福モードの温かいコメントを歌い終わった後に残しています。

その他

 ステージ出演は23時過ぎですが、オープニングには紹介無いもののしっかり参加はしています。前回紅組司会を務めた和田アキ子の隣りという立ち位置。紅組側の舞台袖で、トップバッター・SPEEDを全員で応援している姿も映りました。

 後半オープニングは安室さんのアップで放送開始。アッコさんの呼びかけに「ただいま~」と挨拶。そのまま久保純子も加えた3人でポケットビスケッツ&ブラックビスケッツ スペシャルバンドを紹介。テンションの高い2人に対して、安室さんはやや恐縮気味。少なくともノリ気のようには見えません。

 歌唱ラストの状況が状況なので、エンディングのステージは不参加。圧倒的な差で紅組が優勝した瞬間は、おそらく楽屋で目撃したものと思われます。

第50回(1999年)「RESPECT the POWER OF LOVE」

ステージ

作詞・作曲:TETSUYA KOMURO
前歌手:鈴木あみ、SMAP
後歌手:Sans Filtre、globe
曲紹介:久保純子(紅組司会)、小室哲哉

 globeのメンバーとして参加している小室哲哉が曲紹介に登場。「僕にとってもすごい思い出ある曲なんですけども、今年は締めくくりでこの曲を歌ってくれることをすごい感謝してます。」とメッセージを残してそのまま曲紹介。

 「RESPECT the POWER OF LOVE」がリリースされた当日はこの上なく不幸な出来事が起こった日でした。これがあった時の新曲がこれだったから立ち直ることが出来たと、年明けに自身のホームページで声明を残しています。

 シングルではイントロ無しで歌から入りますが、ステージは大人数のゴスペルコーラスから始まります。50人近くいるパワフルな応援が本人を勇気づけ、本人の歌で視聴者を勇気づけるステージでした。間奏ではコーラスから代表して1人がソロコーラス、音源をはるかに超える魅力的なライブアレンジが見事な内容です。なおこの時期はレコーディングで別アレンジが施されることも多く、特にこの曲はシングル・オリジナルアルバム・ベストアルバムでそれぞれ全く異なる色を見せる形になりました。

その他

 この年もオープニングは司会者の真後ろでよく映る立ち位置。明るい表情で手拍子をしながら登場する他の歌手と対照的に、胸に手を当て腕を組み上を見上げる安室さん。とは言え司会者紹介で笑顔を見せる場面あり、彼女なりにこの場を楽しんでいる様子であることは間違いありません。

 余興的な応援に参加することは無いですが、出場歌手全員が歌う「21世紀の君たちへ ~A Song for Children~」のパフォーマンスには参加。中央の立ち位置で歌い出しソロパートという重要な役割を担いました。一緒に映るのは、一昨年のトリ相手だった五木ひろしです。

 後半歌い終わった後は坂本冬美の曲紹介に登場。と言っても変な応援があるわけではなく、内容は久保純子アナによるインタビューです。「すごい緊張しましたね~。でもやっぱりすごく気持ち良かったし、あとやっぱり紅白で歌うとまた来年もちょっと頑張ろうって。ちょっと気合いが入りますよねやっぱり」と、歌い終わった後の感想を話していました。

 この年はエンディングも参加。後ろの方でMAXと手を繋ぎ、カメラに向かって手を振る安室さん。色々制約の多そうな前年までと比べて、かなりリラックスしている様子でした。さらに歴代紅白唯一となったカウントダウン放送にも参加、全員歌唱の曲ももう一度歌っています。

第51回(2000年)「NEVER END」

ステージ

作詞・作曲:TETSUYA KOMURO
前歌手:石川さゆり、細川たかし
後歌手:SMAP、和田アキ子
曲紹介:久保純子(紅組司会)
ピアノ演奏:小室哲哉

 沖縄サミット公式テーマソングとして発表された曲、当然大ヒットして紅組トリも期待されましたが結果はトリ2つ前。天童よしみの初トリは喜ばしいことでしたが、J-POPの紅白トリが定着するのはもう少し先の話です。

 この年も小室哲哉が曲紹介で登場。今回は安室さんも歌う前に舞台袖でスタンバイ。「すごくドキドキしましたね。やっぱり」と話す安室さん、曲についての想いは「伝統にも触れられたし、未来のことは奈美恵ちゃんに歌ってもらって」と話す小室さん、ついでに翌日沖縄で開催されるイベントの告知も。ちなみにこれは宜野湾海浜公園トロピカルビーチで開催された「Rendez-vous in Space 2001」で、globeTRFTM NETWORKなどTKファミリー大集合。当日はテレビ朝日系列で全国ネット中継もされています。

 演奏開始間もなく手拍子を促す安室さん。ただこの年の紅白は音声のせいでしょうかノリが悪いのでしょうか、観客席の手拍子の音はあまり大きくありません。美しいメロディーに小室さんのピアノ演奏で聴かせるステージでしたが、一体感としてはもう一つ。終盤”ラララ”と歌うところで観客席にマイクを向けていますが、レスポンスの声は全く入らず。事前の段取りで無かったアクションかもしれませんが、ちょっと観客席の空気が重く見えるのはやはり気になりました。

その他

 紅白歌合戦ではあまり奇抜な衣装を着ない安室さんですが、この年はロングヘアーにサングラス着用でかなり派手です。紅組勝ちましょうのフリでオー!とポーズを取る段取りは、もう当たり前のように拒否して手を叩いてます。

 普段の紅白において歌手の後ろで応援することはほぼない安室さんですが、この年はグラサンをかけた衣装のまま花*花のステージに参加。横にいるのは和田アキ子、アッコさんに連行されて引っ張り出された可能性も高そうです。とは言え「あ~よかった」を口ずさむ場面もあったりして、ノリノリではないもののそれなりには楽しんでいた模様。ただ当時のネットでは、同じくノリ気でないように見えた持田香織とともにちょっとした話題になっていました。

 前半ラストの全員合唱「上を向いて歩こう」は黒い衣装に赤い帽子というカジュアルな格好に衣装替えして、グラサンも外しています。布施明と一緒に歌う場面が映りました。

第52回(2001年)「Say the word」

ステージ

作詞:Namie Amuro 作曲:Ronald Maimberg, Thomas Johansson
前歌手:島津亜矢、(ショーコーナー)、郷ひろみ
後歌手:ザ・ドリフターズ、松田聖子
曲紹介:有働由美子(紅組司会)

 「みんな、自分らしく生きてください。それぞれの感じ方で私の歌を聴いてください」。曲紹介の際に読まれたメッセージです。振り返るとこの言葉は、まさに彼女の生き方を象徴している内容に思えます。

 TKプロデュースから離れ、この年からR&B色強めの音楽性にシフトします。初出場の年を除くとバラードもしくは歌い上げる場面が多い曲の歌唱が続きましたが、この年の「Say the word」は完全にダンス主体。衣装もオシャレなコーディネートはあるものの踊りやすいジャージスタイル、歴代の紅組歌手と比べても異彩を放つ衣装です。

 振り付けもかなり複雑で動きも激しいですが、終始生歌で通すところが安室さんの凄さです。1番サビの歌詞を派手に間違える場面もありましたが、すぐに持ち直したのはやはり流石のキャリア。セルフプロデュースとなり、ステージに向かう覚悟をこれまで以上に感じさせる見事なパフォーマンスでした。

その他

 前年ほどではないものの、この年もオープニングの衣装はややカジュアル。相変わらず前方正面のよく映る立ち位置、隣にいるのも石川さゆり五木ひろしという分かりやすさです。一応トップバッターで松浦亜弥が歌うステージも舞台袖に残っていましたが、よく見るとその時に横にいたのはまたまた和田アキ子でした。前半では途中昭和の歌手席応援を復活させる演出もありましたが、当然のように不参加です。

 エンディングは前年に続いてこの年も後方で映る場面少なめ。いつものようにMAXのメンバーと一緒ですが、立ち位置はカメラから見て奥の方になっています。

第53回(2002年)「Wishing On The Same Star」

ステージ

作詞・作曲:Dian Warren
前歌手:CHEMISTRY、中森明菜
後歌手:SMAP、中島美嘉
曲紹介:有働由美子(紅組司会)

 この年は平井堅CHEMISTRY中森明菜と、4ステージ連続の最後を飾る流れです。紅組白組交互でない曲順は現在特に珍しくありませんが、当時としてはかなり異例のことでした。「来年はライブで沢山の人と出会えることを楽しみにしていますと言う安室奈美恵さん」とイントロに乗せて曲紹介、もうこの頃になると徐々にテレビから現場メインへシフトしていることを示唆しているようにも思えるメッセージです。

 映画主題歌のバラード「Wishing On The Same Star」、作詞作曲のDian Warrenは過去にセリーヌ・ディオンやホイットニー・ヒューストンにも提供したことのある超大物。ただ曲はオリジナルではなく、1991年以降数多くの国でカバーされているナンバーです。とは言え聴き応えのあるバラードであることは間違いなく、紅白のステージも大熱唱の内容でした。ただ1番→Cメロ→ラストサビの構成はやや短め、3分2秒の演奏時間ですが体感的にはそれより短く感じます。CDシングルの売上が低下していた時期、番組内におけるステージの扱いも少し軽くなり始めた印象もありました。

その他

 オープニングは雛壇に立つ全員が最初に映るカメラワーク、相変わらず立ち位置はあいうえお順の目立つ位置です。ジーンズ姿は大変カジュアル、落ち着いています。もちろん紅勝て白勝てのやらされている風のノリには、一切関わりません。

 MAXの出場は前年でストップ、エンディングも映る場面がほとんど無くなります。ズームアップの際に一瞬後ろの方で映っているのが確認出来ましたが、少なくとも積極的に参加している様子ではなさそうです。

第54回(2003年)「SO CRAZY」

ステージ

作詞:Michico・TIGER
作曲:Full Force & Jennifer “JJ” Johnson
前歌手:さだまさし、女子十二楽坊 & 錦織 健
後歌手:森 進一、(ニュース)、森山直太朗
曲紹介:膳場貴子(紅組司会)、有働由美子(紅組司会)

 「紅組は前半戦をこの方でー、ゲッツ!したいと思います」ダンディ坂野の持ちギャグを流用する台本ですが、歌う前にこんなやり取りを見せられるのは嫌だったのではないでしょうか。アナウンサー司会の4年間は進行に関して言うと安定していましたが、台本の寒さについては目を覆うばかりのものがありました。

 この年は歴代の紅白歌合戦でも屈指のクール系ダンスナンバー、後年のPerfumeやK-POP系でも見られないタイプのステージです。正直当時のCDセールスは高くなかったですが、20年後から振り返るとまさに時代を先取りしているといった感。2010年代の安室さんがこの路線に更に磨きをかけてスターダムな存在となったのは、言うまでもありません。

 バックはスポットライトで映るシルエットのダンス、サポートのダンサーは5名。海外ではこういった音楽も市民権を得始めていた時期ですが、日本で当時この路線をモノにしていたのは間違いなく彼女くらいのものでした。そういう意味では、今後の紅白歌合戦においてもより欠かせない存在になると思ったものですが…。

その他

 目立つ立ち位置の多いオープニングの安室さんですが、この年は階段2段目から2列目やや端の方。例年よりベテランが前に陣取っている傾向の強い年でした。

 リングショーや中間審査は勿論不参加ですが、この年はついにエンディングも一切映らず。基本後ろなので単純に映らなかった可能性も高いですが、もしかすると本当に参加していなかったかもしれません。

第68回(2017年)「Hero」

ステージ

作詞・作曲:Ryosuke Imai, SUNNY BOY
前歌手:髙橋真梨子氷川きよし
後歌手:桑田佳祐、石川さゆり
曲紹介:内村光良(総合司会)

 紅白を去ってから14年、引退報道が盛り上がる中で特別出演となりました。この年に関しては本編レビューで詳しく書いていますので、そちらを参照してください。

 

おわりに

 平成を彩った歌姫である安室さん、令和を迎える前に引退したのも今思えば彼女らしい決断だったでしょうか。自分らしい生き方を、特に2001年以降は紅白歌合戦でも貫いた彼女。ステージの素晴らしさは一目瞭然ですが、振り返ると歌以外の出番と派手に着飾らないファッションに彼女の自然さがよく表れているような気がします。あとはSUPER MONKEY’Sから続く、MAXとの絆も外せない要素です。復帰を望む声は現在も多いと思われますが、本人の生き方を考えるとおそらくそのまま意志を貫く形になるような気がします。

 引退後もサブスクでの配信は続いていましたが、外部でのコラボ作品を除くと2023年11月を最後に配信停止中。色々複雑な事情があるのだと思いますが、気軽に聴くことが出来ない状況になっているのはやはり惜しまれます。なんとかして再び聴けるようになって欲しいところではありますが…。

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