第65回(2014年)NHK紅白歌合戦~その7~

紅21(全体41):神田沙也加(3年ぶり2回目)

・2002年デビュー 第62回(2011年)初出場
・1986年10月1日生 東京都千代田区出身

特別3(全体41):イディナ・メンゼル(初出演)

・1996年ブロードウェイデビュー、1998年歌手デビュー
・1971年5月30日生 アメリカ・ニューヨーク州出身

・タイトル:「アナと雪の女王 スペシャルメドレー」
 楽曲1:「生まれてはじめて」(2014/5/3 『アナと雪の女王』サウンドトラック日本語版)
 楽曲2:「Let It Go」(2013/11/25 『アナと雪の女王』サウンドトラック)
  詞・曲:Kristen Anderson-Lopez/Robert Lopez 日本語詞:高橋知伽江
・データ放送テロップ1:ニューヨークから中継。「アナと雪の女王」スペシャルメドレー
・データ放送テロップ2:”雪の女王”エルサ役イディナ・メンゼル熱唱。全員参加で「レリゴー!」
・演奏時間:6分57秒

 ニューヨークから中継、タイムズスクエアから神田沙也加イディナ・メンゼルが登場。この日の共演が本当に夢のようですと話す沙也加さんは、ナチュラルにイディナさんの通訳もこなしてます。なおパフォーマンスは事前収録というアナウンスがありました。また、これに続く形のステージとなるSMAPのメンバーも登場。香取さんが今回のステージの内容を紹介するとともに「タモリさんお久しぶりです」「毎週会ってたのになぁ」、笑っていいとも最終回を思い出すやり取りです。「テレビをご覧の皆さんも全員参加ですよ、一緒に歌いましょう!(小声で)わー」とだんだん吉高さんも良い意味で素になってきました。

 神田沙也加もいまやすっかりミュージカル女優。階段を移動しながら「生まれてはじめて」をダイナミックに、感情を込めて歌いあげます。ステージで待っているイディナ・メンゼルも途中から一緒に参加、英語と日本語でデュエットという、おそらく今後もこの日この場でしか披露されないであろうステージです。こういう内容だと、事前収録でも紅白歌合戦でやる甲斐があるというものです。

 「Let It Go」のイントロが流れて、出場歌手全員がモニターを見守るNHKホールの様子が流れます。沙也加さんの母親・松田聖子が、涙を流しながら娘の活躍を見守るシーンが非常に良いです。先ほどMay J.が日本語バージョンを歌っていましたが、本家の歌唱はやはり違います。さすが本場のミュージカル女優は格が違うと言わんばかりで、力強く感情も溢れている凄まじい歌声を聴かせてくれていました。勿論『アナと雪の女王』の映像も流れますが本当に間奏~落ちサビで最低限のみという印象で、セットにも歌を邪魔しているような演出は一切ありません。シンプル・イズ・ベストというのはまさにこういうことを指しています。

 ラストは”My friend, Sayaka!”と呼びかけてサビを日本語でデュエット。NHKホールでも出場歌手や観客も含めて大合唱。May J.と松田聖子が隣同士で歌ってます。聖子さんにとっては一生に残る思い出になったと思いますがMay J.の本心は如何に、という部分もあったかもしれません。ただこの演出は短かったのでつけ足しという感も少しありました。蛇足だった、と評する人がいてもおかしくはありません。ただ全体的には総じて神田沙也加とイディナ・メンゼルの素晴らしい部分がクローズアップされたステージで、大成功だったと思います。

 

(ウラトーク)
 モニターに映る2人を見て「あの服ほしい」と呟く朱美ちゃん。「ところでね、私たちは紅組なのかね白組なのかね」と細貝さん。一応細貝さんは男性設定のようです。アナとエルサの話になり、急にアナを連呼するエレキテル連合の2人、極めて危険です。そんな2人の去年は初詣行って自分たちのオンエアを見るというノーマルな生活、ただ一昨日は(おそらく仕事で?)地獄だったと話してます。

 「ライバル視してたんだから」「流行語大賞とったけどな、アハハハハ」と語る日本エレキテル連合の2人。衣装に注目するのは女性ならではの視点。細貝さんがセルフでエコーをかけながら歌ってます。ちなみに本人たちはアナ雪を見ていない模様、「流行語大賞のライバルだったから意地でも見るもんか」と話してます。

 ステージを見ている母親・松田聖子にも注目しているウラトーク席。サビで歌い出す細貝さんは「普通にミーハーな気持ちで来てます」とのこと。それ以外でも各所でボケを連発していて、良い仕事しています。細貝さんは普段坂本冬美や椎名林檎をカラオケで歌っていて、林檎さんに至ってはグッズまで持って来てるようです。朱美ちゃんは槇原敬之が好きだそうで。2人とも相当な音楽好きではあることは間違いなさそうです。

 ラストはこちらでも大合唱。少しも寒くないわのフレーズ、「スベった時に聴きたいねぇ」と話す細貝さんでした。

「ニューヨークに居るイディナさん、神田さんといっしょに「全員参加で!」。みんなで歌いましょう!」
「さすがだわ>>朱美ちゃん これが紅白です>>日村」
「さぁ!みんなで大合唱!!!!」

 

(解説)
・『アナと雪の女王』は全世界で大ヒット、この年社会現象級の作品になりました。日本での興行収入は『千と千尋の神隠し』『タイタニック』に次ぐ、当時歴代3位の数字を記録しています。

・映画は勿論ですが、サウンドトラックも全世界で大ヒットしました。2014年のオリコンCDアルバムランキングで年間2位、サントラとしては異例の記録を樹立しています。

・神田沙也加は3年前と同様中継出演になりました。NHKのスタジオを除く中継出演のみで複数回紅白出場しているアーティストは今のところORANGE RANGEと彼女のみです。

・「レット・イット・ゴー」を歌う本家は、エルサ役の声を演じたイディナ・メンゼルです。日本語吹替版でエルサを演じたのは松たか子、神田沙也加はアナの役を演じていました。日本盤の公式歌手はMay J.ですが、やはり松さんの出場をリクエストする声が当時非常に大きかったです。

・松さんはこの時期第一子の妊娠7ヶ月ほどであると同時にコンサート活動も無く、紅白出場も無かったのは無理もない話でした。なお他の歌番組・コンサートを含めても本人の「レット・イット・ゴー」披露は一切ありません。

・ディズニーをテーマにしたステージはこれ以前の紅白でもありましたが、ミッキーマウスが一切関わらない企画はこの時が初でした。近年はディズニーにミッキーマウスは必ずしも必須ではなく、アナ雪第2作が公開された2019年・第70回の企画コーナーもアニメーション映画3作がピックアップされています。

・さらなる活躍が期待された沙也加さんは、実際特にミュージカルで大活躍していましたが、2021年12月に急逝。その衝撃は各所で非常に大きく、母親の聖子さんは出場が決まっていたこの年の紅白を辞退する形になっています。

白19(全体42):SMAP(10年連続22回目)

・1988年結成、1991年デビュー 第42回(1991年)初出場
・37~42歳・5人組
・タイトル:「みんなで歌おう!SMAPメドレー」
 楽曲1:「SHAKE」(1996/11/18 シングル)…18年ぶり2回目
  詞:森 浩美 曲:小森田実
 楽曲2:「世界に一つだけの花」(2002/7/24 アルバム『SMAP 015/Drink! Smap!』)…5年ぶり5回目
  詞・曲:槇原敬之
 楽曲3:「Top Of The World」(2014/7/16 シングル)
  詞:いしわたり淳治 曲:MIYAVI ギター演奏:MIYAVI
・データ放送テロップ:”全員参加”でSMAPの名曲を!
・演奏時間:6分24秒

 アナ雪の余韻も冷めやらぬ間にSMAPのステージ。確かにこの後すぐにステージの雰囲気をガラリと変えられるのはSMAPだけかもしれません。

 18年ぶりに紅白で歌唱する「SHAKE」でスタート。紙吹雪が舞う演出で、舞台にいる出場歌手もノリノリです。1コーラス歌った後紅白では5年ぶりとなる「世界に一つだけの花」。11年前初の大トリを取った時の凄まじさは未だに記憶に新しいですが、全員合唱でも2度歌われているナンバー。出場歌手やオーディエンスがみんなペンライトを振るステージが本当に絵になります。サビでは5人ともステージから降りて、最後は草彅さんを筆頭に5人全員が明らかにタモさんに向けて歌っていました。

 ラストは今年の曲「Top Of The World」。ステージ中央でギターを弾くMIYAVIが尋常ではない迫力のプレイを魅せています。舞台も暗転して緑色のペンライトにレーザー光線、出場歌手も両側の舞台袖に移動します。この曲はみんなで歌おう!というよりもカッコ良いステージで盛り上げようというテイストのステージでした。「世界に一つだけの花」とテーマが真逆過ぎるような印象もありますが、いずれにしても非常に迫力のある内容だったことは間違いありません。

 演出の所以で久々に22時台での歌唱になりましたが、演奏時間はこれまでの紅白歌合戦でもはるかに長め。やはり存在感は大トリクラスかそれ以上の、他を追随する者がいないクラスです。

 

(ウラトーク)
 ウラトーク席は全員がSMAPに大興奮。中居さんのソロを聴いて「うまいじゃん」「聞いてたのと違う」。そしてひそかにmiwaさんがウラトーク席に手を振っている模様。

 「Top of the world」はカッコ良い!という言葉が全員から連発。MIYAVIのギターはピックなしで演奏してますという久保田アナの情報も入りました。

「『みんなで歌おう!SMAPメドレー』のスターティングナンバーは『SHAKE』」
「2曲目は、教科書にも載っている『世界に一つだけの花』」
「木村さんと中居さん、日村さんは同い年だそうです。」
「ララララララ~」
「ラストナンバーは『Top Of The World』、作曲のMIYAVIさんとのコラボで」
「ウラトーク席「かっこいい」しか出てきません…」」

 

(解説)
・2組通して登場した出場歌手は松田聖子May J.の他に判別可能な範囲で和田アキ子五木ひろし森進一郷ひろみTOKIO関ジャニ∞氷川きよしいきものがかり坂本冬美伍代夏子香西かおり藤あや子T.M.Revolution西野カナ天童よしみPerfumeV6三代目J Soul Brothers(EXILE非兼任の4名)、ゴールデンボンバークリス・ハート水樹奈々水森かおりAKB48グループ(約20名)、AAA細川たかしポルノグラフィティmiwa福田こうへいももいろクローバーZE-girls(数名)、キング・クリームソーダ。ここまでの全員登場演出、美輪明宏長渕剛薬師丸ひろ子椎名林檎は仕方ないとして、きゃりーぱみゅぱみゅが全く姿を見せていないのはやや意外でした。德永英明EXILESEKAI NO OWARIも見たところ全て不参加のようです。

・「SHAKE」は第47回(1996年)以来18年ぶりの紅白歌唱。この年『SMAP×SMAP』が放送開始したとともに、森且行が抜けて5人編成となりました。5人体制初のシングルは「青いイナズマ」でこちらも大ヒットしていますが、意外に紅白では一度も歌われていません。

・「世界に一つだけの花」はSMAPのステージで歌われるのは3回目です。第56回(2005年)・第58回(2007年)は全員合唱のステージですが、一応この時もSMAP主導の演出ではありました。

・「Top Of The World」のタイアップはスマスマのみで、実質ノンタイアップの楽曲です。曲調も7/8拍子という大変攻めた楽曲です。そういえばこの年は27時間テレビでメイン進行、グランドフィナーレ直前に27曲45分3秒ノンストップメドレーを披露するという超過酷な企画もありました。

・SMAPが紅白で3曲メドレーを披露するのは第46回(1995年)の「胸さわぎ ’96」以来19年ぶり。当時演奏された楽曲は「がんばりましょう」「俺たちに明日はある」「どんないいこと」でした。また後半の序盤~中盤での出演は第53回(2002年)に「freebird ’02」を歌った時以来12年ぶり。当時の紅白的にもSMAP的にもかなり異例の、攻めたステージであったことは間違いありません。

紅22(全体43):椎名林檎(3年ぶり2回目)

・1998年デビュー 第60回(2009年)初出場
・1978年11月25日生 福岡県出身
・タイトル:「NIPPON-紅白ボーダレス篇-」
 楽曲:「NIPPON」(2014/6/11 シングル)
  詞・曲:椎名林檎
・データ放送テロップ:”NIPPON”に、熱い思いを込めて
・演奏時間:3分31秒

 審査員の尾上松也蜷川実花がステージに登場。観客から「音羽屋!」コールが起こります。2人ともこの紅白を大変楽しんでいるとコメントしています。どちらが優勢かはまだわからないようですが、蜷川さんは紅組を応援しようかなと話しています。そんな蜷川さんは2020東京オリパラ組織委員会理事、林檎さんとは友人のようで、2020年の東京五輪についてもよくお話しているのだとか。

 女性ダンサー・ELEVENPLAYの2人が先導するステージ、衣装は真っ赤な振袖姿。オープニングで管楽器隊が演奏する新しいアレンジが加わっています。バンドメンバーに指揮者も加わった弦楽器隊、舞台真ん中で演奏していた管楽器隊は位置を移動して、旗を振ったり”NIPPON!”とコールをしたりしています。

 ギターを持つ手に首の傾け方、何より目。女性の妖艶さの全てを詰めあわせたような椎名林檎はやはり凄まじいということを、あらためて再確認できる内容でした。本人だけでなく登場するメンバーほぼ全員、和装姿で統一されています。ラストを盛り上げる赤と白の紙吹雪もこの上ないほどの美しさ。こちらもまた今回の紅白を代表する名ステージでした。

 

(ウラトーク)
 日本エレキテル連合の2人はここで退席。「この後も紅白楽しまなきゃ~」「ダメよダメダメ」と綺麗に締めました。

 再び「かっこいい」という言葉が連発する中で今回のウラトーク最後のゲスト・ゴールデンボンバーが登場。今回の樽美酒さん、「やることがなくて、体張るしかなくて」という理由で今回の演出に至ったようです。ウラトークで西川さんが歌ってたことについては鬼龍院さんがクレーム、「完全に迷惑」「あの人は裏でゴールデンボンバーの歌を届けないって言ってました」。ですが二宮さんが歌ってたことについては「じゃあいいや」「しょうがない」、長いものには巻かれます。

 林檎さんについては「僕が高校生の時くらいから大活躍で、そのまま」と語る鬼龍院さん。そう思うと彼女も本当に長いこと活躍しています。

「日本エレキテル連合さん、お疲れ様でした。」
「オリンピックで応援したい種目を聞かれて「なでしこJAPANのように女性が活躍しているのを見ると力が入る」と椎名さん。」
「ウラトーク席にはゴールデンボンバーのみなさん!最後のゲストになります!」
「今年やることなくて坊主になるしかなかった>>樽美酒」
「椎名さんカッコいい!!! なんてパワフルなんだ!>>鬼龍院」

 

(解説)
尾上松也はこの時期台頭を表していた歌舞伎俳優で、2代目です。中村勘九郎、中村七之助と共演した「三人吉三」のお坊吉三が大きな話題を呼びました。翌年以降、歌舞伎の枠を超えたドラマ出演が一気に増加します。

蜷川実花は写真家という肩書ながら、映画・MV監督も務めるなど非常にマルチな活動を展開しています。この年発足した東京オリパラ組織委員会理事でもありました。ちなみに父親は演出家の蜷川幸雄、こちらは第37回(1986年)紅白の審査員を辞退した経歴があります。

・「NIPPON」はこの年のNHKサッカー中継テーマソングで、その後も2016年まで起用されました。ブラジルで開催されたFIFAワールドカップ中継でも同曲が使用されてます。なお2014年日本代表はW杯で1勝も出来ず敗退、そのため紅白でも曲紹介含めて完全スルーという形になりました。

・管楽器隊や旗振りなどを行う集団を独特の動きで指示しているのは長岡亮介。東京事変のギタリスト・浮雲でもありますが、この年以降林檎さんや星野源のステージで毎年見られるお馴染みの顔になります。

白20(全体44):EXILE(8年連続10回目)

・2001年結成、デビュー 第54回(2003年)初出場
・19~39歳・18人組
・楽曲:「NEW HORIZON」(2014/7/23 シングル)
  詞:ATSUSHI 曲:Erik Lidbom
・データ放送テロップ:今年は第四章、新メンバーも加入してますます進化したステージ
・演奏時間:3分39秒

 メンバーは18人、ジャケットの背中に書かれている19の文字は前回の紅白までメンバーだったHIRO社長を入れた人数を表しているのだそう。今年のATSUSHIはソロ活動が目立ちましたが、来年はグループに戻ってEXILEとして頑張りますとあらためて歌前にコメント。

 19と書かれたジャケット以外は、レーザー光線がやや目立つ程度でパフォーマンスは普段と大きく変わりありません。ただ全体的にマイクの調子が良くない印象で、途中歌声がハッキリ乗っていない場面が特にATSUSHIさんの方で多くありました。本来の彼らの持ち味をしっかり出せていたという点は良いのですが、ファンでない個人的な意見として「19」をそこまで押す必要があるのかな、とは思います。

 

(ウラトーク)
 ワイプで映るウラトーク席は、やはり毛刈りした後の樽美酒さんの頭から入るショット。EXILEのメンバーに「研二入れそうじゃない?」「入れるね、これー」当然ながら総ツッコミが起こります。

 ソロ活動の多かったATSUSHIはこの間のMステで8ヶ月ぶりに合流したと話す久保田アナ。この後なぜか歌広場淳のフルーツパーラーの情報が設楽さんから入ります。ダンスを見て「女々しくてなんか比べ物にならないキレッキレ」「ある意味切れてましたけどね」とコメントする金爆の面々。「勝てないですよ」「あそこに追いつきたいよね」と、ジャンルが全く違うのにライバル視しています。

 ずっと動いているので「疲れないのかな」「いつ休んでるのか」、止まっている振付を見て「今休んでる」、完全にバナナマンの2人がツッコミに回る芸人っぷりです。ですので困ったら歌広場さんのフルーツパーラーをネタにするバナナマンでした。イチゴがオススメなのだそうです。

「衣装にある「19」の文字の意味について「メンバーはHIROさんの魂も入れて19人」とATSUSHIさんは語る。」

 

(解説)
・この年4月27日にメンバー5人が加入、グループの歴史としては第四章開幕という形になりました。加入したメンバーは岩田剛典白濱亜嵐関口メンディー山本世界佐藤大樹。岩田さんは三代目J Soul Brothers、白濱さんと関口さんはGENERATIONSのメンバーでもあります。あとの2人も後に、2017年にデビューしたFANTASTICSのメンバーとなります。

・「NEW HORIZON」は18人体制の初シングルでしたが、発売当時テレビ番組での披露はありませんでした。久保田アナの情報通り、12月26日のMステスーパーライブでようやく初披露という形になります。この年ATSUSHIがソロ活動メインのスケジュール、4月~7月はほぼ毎週末アリーナ会場でコンサートという状況でした。

・HIROさんを含めた「19」という数字は、翌年3月リリースのアルバムにも『19-Road to AMAZING WORLD-』というタイトルで反映されます。ただ18人体制の期間は短く、2015年大晦日を最後にデビュー当初からのパフォーマー3名が勇退。翌年の紅白とCDTVスペシャルでのパフォーマンスがラストとなります。

・ウラトークで話題になった歌広場淳のフルーツパーラーは、秋葉原にある「オータムリーフ」という店でした。イケメン店員が接客するというコンセプトがあったようですが、既に2016年3月をもって閉店になっています。

紅23(全体45):薬師丸ひろ子(初出場)

・1978年映画デビュー、1981年歌手デビュー
・1964年6月9日生 東京都港区出身
・楽曲:「Woman “Wの悲劇”より」(1984/10/24 シングル)
  詞:松本 隆 曲:呉田軽穂 ピアノ演奏:松任谷正隆
・データ放送テロップ:呉田軽穂(松任谷由実)作曲の名曲を松任谷正隆のピアノ共演で
・演奏時間:4分4秒

 ゲスト審査員の山中伸弥にコメントを求めます。例年でも比較的多い、裏方の活躍に感動という内容でした。やはり生で見るとこの部分が、テレビ画面で見るのと大きく違うのだろうと容易に推測できます。

 歌前トークあり、ファンや関係者に向けた感謝の気持ちなどをコメントした後にステージへ向かいます。ピアノ演奏は作曲した呉田軽穂(松任谷由実)の夫・松任谷正隆。イントロの前に、新しいピアノソロのアレンジが入りました。

 櫻井さんが曲紹介で話した通り緊張の見えるステージではありましたが、大熱唱でした。そしてあらためて聴くとこの曲を歌うことの難しさも感じました。メロディーもそうですが、一つ一つの言葉の表現方法が本当に難しいです。若干高音が大変そうな印象もありましたが、見事に歌い切ったステージでした。やはり名曲とそれを歌いあげる薬師丸さんは、永遠に色褪せない輝きです。

 

(ウラトーク)
 ここからしっとりとした曲に入るので、久保田アナが直々に静かめにとの注意。「おはようございます…」「ドッキリじゃありません…」。そして気がつけば「女々しくて」の著作権料の話に入るゴールデンボンバーのメンバー。「ホントにウラトークじゃねえか」と見事な日村さんのツッコミ。静かに語る展開になっても全員がボケまくってます。

 歌に入ってもマジメに語ろうとしないゴールデンボンバーのメンバー。「いつ丸刈りにするのか…」と、樽美酒さんがとんでもないことを口走ってます。そんな中でも久保田アナはしっかり曲の情報を入れます。

 ステージに関しては絶賛。「薬師丸さんの歌って、深みがありますよね」「透明感と、深みと」。サビで聴かせる美声に、ゴールデンボンバーもようやく空気を読んで黙ります。Twitterでは「バナナマン、ゴールデンボンバー出禁になるぞ」との書き込みまで寄せられました。

「ここからしっとりとした曲が続くので、ウラトークも静か目に…」
「1984年にリリースされた薬師丸さん4枚目のシングル。ヒットチャートで第1位、大ヒットを記録した名曲です。」
「薬師丸さんに弟子入りしよう!>>鬼龍院」

 

(解説)
山中伸弥教授は2012年にジョン・ガードンとともに、「成熟細胞が初期化され多能性を持つことの発見」を理由としてノーベル生理学医学賞を受賞しました。ノーベル賞受賞者の紅白ゲスト審査員はこれが初です。

・薬師丸さんの紅白出演はこの年4回目となります。第56回(2005年)ゲスト審査員、第58回(2007年)特別ゲスト(東京タワーから中継)、第64回(2013年)ゲスト(『あまちゃん』鈴鹿ひろ美)に続く形でした。

・「Woman “Wの悲劇”より」は1984年10月、薬師丸さんの通算4枚目のシングルとしてリリース。彼女が主演を務めた映画『Wの悲劇』主題歌でした。「セーラー服と機関銃」「探偵物語」「メイン・テーマ」、この年までの4枚は全て自身が主演した同タイトルの角川映画の主題歌です。原田知世渡辺典子もこの時期に同様の形で台頭しました。

・ピアノを演奏する松任谷正隆は第55回(2004年)の「栄光の架橋」以来、10年ぶりの紅白出演です。

・松本隆・呉田軽穂(松任谷由実)コンビの名曲は多く、特に松田聖子作品で頻出しています。「赤いスイートピー」「瞳はダイアモンド」「時間の国のアリス」など、シングルだけでもB面含めて10曲以上を数えます。2015年には「永遠のもっと果てまで」で、31年ぶりにタッグを組む形になりました。

・薬師丸さんの歌手活動は1990年代に一旦落ち着きますが、2010年以降再び活発になっていきます。やはりNHK出演がきっかけだったようで、紅白出場以前に『音楽・夢くらぶ』と複数回の『SONGS』出演が確認できました。2013年に行われたコンサートは、当時23年ぶりの単独公演だったようです。

・当然1980年代大ヒット当時に紅白出演のオファーもあったようですが、学業優先のため辞退したという経緯があります。1982年・第33回の紅白歌合戦で「セーラー服と機関銃」を披露したのは、当時歌手から女優にシフトしつつある頃の桜田淳子でした。

紅24(全体46):石川さゆり(31年連続37回目)

・1973年デビュー 第28回(1977年)初出場
・1958年1月30日生 熊本県熊本市出身
・楽曲:「天城越え」(1986/7/21 シングル)…2年ぶり9回目
  詞:吉岡 治 曲:弦 哲也
・データ放送テロップ:音楽×アート。世界で活躍する日本画家・千住博の絵をバックに熱唱
・演奏時間:3分50秒

 ゲスト審査員の井上真央がステージに登場。3年前の紅組勝利の時は「すごく嬉しかったですね」「気持ちだけ負けなければ大丈夫です!」と吉高さんに力強くエールを贈ります。その後は自身が主演を務める翌年の大河ドラマ『花燃ゆ』を宣伝。

 今回の「天城越え」は日本画家・千住博が描いた滝の絵をバックにして歌われます。終始ステージ上段で歌うというシチュエーションは初になるでしょうか。9度目の歌唱でも意外と新鮮な発見があり、案外今までとは違うステージが作れるものだと感心します。3年前のトリの時に感動して涙を見せた井上さんも、今回は舞台袖で笑顔で見守っていました。

 

(ウラトーク)
 また声のトーン落としてくださいの注意が入りました。そうなると再び鬼龍院さんの稼ぎが六億とか税金で一億持っていかれるとか、テレビとは全く思えない生々しい話に。流石のバナナマンも呆れています。

 「こんなこと出来るんだ」「うわー、やりゃー良かった」「羊を映してる場合じゃなかった」「いつ坊主にするのかな」「(滝の映像を見て)静止画じゃなかったんだ」「かっこいい!」「天城ってるね、だいぶ天城ってる」「越えたね!完全に」「来るか?」「あの天城を越えるとは凄いよ」「天城越えるチャンピオンだな」。4人とも、特に喜屋武さんが数秒に1回というレベルでボケてます。しまいには喜屋武さんの住所の話に飛んでしまいました。なお天城越えは9回目ですが、「同じ天城越えは嫌だ」「その年の天城越えを歌いたい」というコメントも残しているようです。

「もうあのステージ一回出してもらえないかな?>>ゴールデンボンバー」
「「紅白で『天城越え』を聴くと一年が終わるという声をいただいて歌い手としてなんて幸せなんだろうと思った」(石川さゆり)」
「わーこんなことできんだ!羊映してる場合じゃなかった…>鬼龍院」
「一人で立ってあれだけの迫力!>>設楽」

 

(解説)
・『花燃ゆ』は吉田松陰の妻・杉文を主軸にした幕末~明治にかけての物語でした。ただ主役となる人物の知名度の低さ・テーマ設定のまずさ・史実とかけ離れた脚本など様々な問題が発生、視聴率も内容に対する評価も散々な出来となりました。井上さん自身もこれ以降映画・ドラマともに出演が減少傾向になり、言葉は良くないですがとばっちりを受けたような形になります(あえて休みを取った可能性もありますが)。

・バックの滝を絵を手掛けたのは日本画家の千住博。かなりの芸術一家のようで、弟は作曲家の千住明。こちらも第70回(2019年)紅白のアレンジに関わるので、兄弟でさゆりさんのステージの演出に携わったという形になります。

・カラオケで多々歌われた「女々しくて」の印税はいまだにかなりの額があるようで、鬼龍院さんの元に月数十万円は入るとか。あとは喜屋武さんの住所がバラされそうになる一幕がありますが、鬼龍院さんは過去ネット番組で西川さんに住所を本当にバラされて引っ越しする羽目になったというエピソードがあります。

白21(全体47):長渕 剛(3年ぶり4回目)

・1977年デビュー 第41回(1990年)初出場
・1956年9月7日生 鹿児島県日置市出身
・楽曲:「明日へ続く道」(2014/12/17 配信)
  詞・曲:長渕 剛
・歌唱前テロップ:長渕さんからのメッセージ、そして希望の歌
・演奏時間:4分59秒

 長渕さんのメッセージを二宮さんが読み上げます。”生きていく”ということをテーマにした熱い思いを文字にしたためていました。東日本大震災以降続く災害から、それぞれの想いを抱えながら生きる人々の様子が映像で流れます。

 ピアノとブルースハープのみの演奏でシンプルに、バックももやがかかる程度のドライアイスが入るくらいで舞台は暗転状態、超シンプルな演出です。本当に身一つだけで名ステージにしたという印象で、恐れ入りましたという一言です。この人も58歳、デビューして40年近くになりますが全く衰えを知りません。新しい曲のメッセージ性も素晴らしく、まだまだ現役ミュージシャンとしての活躍が期待できる内容でした。

 

(ウラトーク)
 残念ながら?ゴールデンボンバーはここで退席。あれだけ好きなだけボケていましたが、最後のコメントは「(来年)出れるように頑張ります」と話す程度で至って普通でした。

 長渕剛のステージはやはり聴き入る状況でした。「喋れませんよ」とは日村さんの評。

「ゴールデンボンバーさん。ウラトークありがとうございました。」
「長渕剛さんのメッセージ「明日へ続く道を信じたい」」
「これ喋れませんよ>>日村」

 

(解説)
・この年は例年と比べて曲目発表がかなり遅れました。一説には名曲を歌ってもらいたいNHKと長渕さんとの交渉が難航したという話もあるようですが、最終的には長渕さんの意向を重視した形になりました。なおこの年7月に、オールタイムベストアルバムがリリースされています。

・「明日へ続く道」は紅白の2週間前に配信シングルとしてリリース。デビュー38年前にして初の配信作品となりました。翌年8月22日に富士山麓で行われたオールナイトライヴでは、40曲以上演奏したセットリストのラストで歌われています。

・その富士山麓での公演は、この時点で既に開催が決まっていて話題にもなっていました。公演は大成功と報じられましたが、実際はその場にいた人間全てが相当な体力を要した超過酷イベントで、交通の不便な会場から退場するまで終演後10時間かかった観客もいたとか…。それでも夜明けには富士山と朝日を眺めることが出来たようで、伝説の一日であったことは間違いなさそうです。

 

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