紅9(全体18):藤あや子(5年連続21回目)
・1987年デビュー、1989年再デビュー 第43回(1992年)初出場
・1961年5月10日生 秋田県仙北市出身
・楽曲:「曼珠沙華」(2003/9/18 シングル)…12年ぶり2回目
詞:阿木燿子 曲:宇崎竜童
振付:夏まゆみ 踊り:乃木坂46
・演奏時間:2分31秒
ゲスト審査員の土屋太鳳と、またもや大泉洋が登場。お馴染み連続テレビ小説『まれ』の親娘です。「歌手の皆さんの想いが伝わってきて何度も泣きそうになりました」と土屋さんがコメント、それを受けて話す有働アナとイノッチの姿は完全にあさイチそのもの。ドラマでは家出ばかりしている大泉さんは、プライベートで「しっかりしろよ!」と何度も言われたようです。そんな『まれ』に出演したという縁で、藤さんのステージが始まります。
チャイナドレスを着て踊るのは乃木坂46から生駒里奈・生田絵梨花・桜井玲香・白石麻衣・橋本奈々未・西野七瀬。6人の脚が大変セクシーに決まっていて、メインのステージ同様こちらでも目の美しさが印象的です。藤さんの美貌も相変わらずで54とは思えないほどと言いたい所でしたが、首周りと声はさすがに年齢を感じさせる部分も出てきました。藤さんの紅白のステージは毎回高いクオリティを保っていますが、現状のCD売上などを考えると紅白で見れるのもあと数回か、場合によっては今回がラストになる可能性もありそうです。
(ウラトーク)
西川さんと大原さんはここでゲスト出演終了。ただ西川さんはCOUNTDOWN JAPANでオープニングに自分の曲を歌われたことで、ゴールデンボンバーのステージを「今日は絶対にムッチャクチャにしてやろうと思って」と決意してるので抜けようとしません。というわけで強制的に警備員に連れて行かれてしまいました。大原さんは「皆さん楽しんでください」というメッセージで、こちらは至ってノーマルな退席。
ステージは舞台上の乃木坂46に注目。振付の先生から「全セクシーを放出して」と言われたという情報を入れます。普段番組で共演している設楽さんから見ても「セクシーだわ」というコメント。そして気がつけば日村さんも、いつの間にかウラトーク席からいなくなっています。
(解説)
・連続テレビ小説『まれ』は2015年上半期放送、能登と横浜を舞台にした作品でした。ヒロインは土屋太鳳で大泉洋はその父親役、藤あや子も同作品に少しだけゲスト出演。2010年以降上半期の連続テレビ小説からは紅組司会4名、応援隊長1名を輩出していますが『まれ』については審査員止まり。その人選が示す通り、作品に対する評価は批判的な内容が多くを占めていました。
・作品の評判次第ではこの年の紅組司会に選ばれていた可能性のある土屋太鳳ですが、その後2018年・2019年に日本レコード大賞の司会を担当。『まれ』出演前から知名度は高く、既に何本かの映画・ドラマで主演を務めていました。その後主演作品は更に増加、特に恋愛映画で彼女の名前を見る機会が増加します。
・大泉洋もこの時点で数多くの作品で主演を務める大物俳優になっています。ただ1990年代後半の『水曜どうでしょう』が放つインパクトは極めて大きく、紅白司会まで務めるようになった現在でも良い意味で大物感が全くありません。2018年以降は『SONGS』責任者として、NHKの歌番組にも大きく関わっています。
・「曼珠沙華」は1978年12月にリリースされた山口百恵のアルバム曲で、次の年のシングル「美・サイレント」のB面にも収録。藤さんは2003年にこの曲をカバー、シングル曲として発表しています。百恵さんがこの曲を歌った当時は19歳、実を言うと藤さんとは2つしか年が変わりません。
・バックに選ばれた乃木坂46の6人は常に選抜メンバーに入っている選りすぐりの面々。この6人と高山一実・松村沙友理・秋元真夏は活動休止期間以外、卒業するまでの全シングル表題曲で選抜メンバーに入っています。
・当時から予感していた通り、藤さんの紅白連続出場はこの年でストップ。ちなみに最近はTwitterで猫の写真がよく話題になっていて、演歌歌手としては異例と言える25万ものフォロワーを集めています。
白9(全体19):ゆず(2年ぶり6回目)
・1997年デビュー 第54回(2003年)初出場
・38~39歳・2人組 神奈川県横浜市出身
・楽曲:「かける」(2015/7/1 配信)
詞・曲:北川悠仁
・演奏時間:2分43秒
審査員席の三宅宏実選手に来年のリオ五輪への意気込みを語ってもらいます。「自分で壁を作らず限界に挑戦したい」とコメント。
「栄光の架橋」以降アスリートの映像が似合う、スケールの大きい楽曲が増えましたが、この曲もまさにその一つ。バックの映像はさながらリオデジャネイロ五輪の前哨戦といった雰囲気でした。上段ステージで歌うと、今回使用しているビジョンの大きさがより目立っています。
ステージは過去5回と比べてややノーマルな熱唱といった所でしょうか。ただ演奏時間は前半の他の歌手以上に長めに設けられているようです。この2人も相当長いキャリアですが、伸びのある歌声とハモリは結成20年近く経っても相変わらず。その中で新しい曲を紅白で歌えることが何よりも凄いです。
(ウラトーク)
ゲストに小林幸子、国分太一(TOKIO)、横山裕(関ジャニ∞)、丸山隆平(関ジャニ∞)が登場。ジャニーズの方々がいらっしゃるので、映像配信はここで一旦ストップします。
過去にもウラトーク席に来たことがある国分さんは「うらやましいですよねぇ」とまずコメント。特等席・贅沢という感想が口々に飛び出します。
(解説)
・三宅選手はロンドン五輪で銀メダル、リオ五輪で銅メダルを獲得します。この年はヒューストンの世界選手権で銅メダルを獲得。2012年はその年に紅白出場したYUKIのファンであることも多く取り上げられましたが、結果的には3年越しの紅白出演。
・この年4月から1年間、北川さんは『めざせ!2020年のオリンピアン~東京五輪の原石たち~』のMCを担当。未来のオリンピアンとして番組で紹介された中には、阿部一二三選手や素根輝選手など2020TOKYOオリパラでメダルを獲得した人も複数います。
・ゆずは第60回(2009年)以降は2年おきの紅白出場。第55回(2004年)以外奇数年放送回で見られない状況が続いていましたが、この年以降は現在まで連続出場継続中。
・この年は「OLA!!」「終わらない歌」がCDシングルでリリースされましたが、紅白歌唱曲は配信シングルの「かける」でした。CDシングル発売は翌年以降2018年の「マスカット」のみ。2017年に2週連続EP発売もありましたが、この年以降ゆずのシングルは完全に配信メインに切り替わります。
紅10(全体20):miwa(3年連続3回目)
・2010年デビュー 第64回(2013年)初出場
・1990年6月15日生 神奈川県三浦郡葉山町出身
・楽曲:「fighting-Φ-girls」(2015/1/28 シングル)
詞:miwa 曲:miwa&NAOKI-T 振付:夏まゆみ
・演奏時間:1分59秒
ウラトークチャンネルからの中継が入ります。現在のゲストは小林幸子、国分太一(TOKIO)、横山裕(関ジャニ∞)、丸山隆平(関ジャニ∞)。国分さんはイノッチの司会をあらためて絶賛。関ジャニ∞の2人はやはり幸子さんのステージを楽しみにしている様子。今回のパフォーマンスのヒントは「幸子が進化します」。そういえば日村さんがここにいません。何かが起こりそうな予感アリアリですが、とりあえずそのまま6人で曲紹介。
この曲のMVではナース姿を披露していましたが、ステージはOL姿のダンサーが盛り上げる形。ラメを入れた黒のパンツ、白いTシャツには「DON’T FORGET TO SMILE」という文字が描かれています。髪型はポニーテールでおでこを出しているのも良いアクセント。ラフなスタイルの中に工夫も見られる良い衣装で、かわいい女性はどういう格好でもかわいいということを相変わらず体現しています。歌も年々声量が上がっている印象でこちらも上出来。
なお日村さんはOL姿のヒム子という体でダンサーに紛れて踊っていました。後半はスタンドマイクの前に立つコーラスを押しのけてマイクの前に立つ始末。ただmiwaさん本人は前年のウラトーク他各所でヒム子のファンと発言、したがって歌い終わりは2人とも爽やかな笑顔で決めポーズ。当の彼女も怒っている表情は全く無しでノリノリでした。
(ウラトーク)
ステージが始まるとすぐに、ヒム子に扮している日村さんを発見。その後はずっと全員がツッコミを入れまくってます。ちなみに国分さんは「袖で会ったんですけど、相当緊張していました」と裏話を披露。
なおmiwaの右後ろ・画面左側のスタンドマイク前に立っていたコーラスは、今年結婚した東京03・飯塚さんの奥さんであるまゆみっくす(藤田真由美)だそうです。他の面々がヒム子に夢中になる中で、幸子さんだけが歌終わりでヒム子でなくmiwaさんにエールを贈っていたのが印象的でした。
(解説)
・miwaさんはこの年Eテレで放送された『オン マイ ウェイ(ON MY WAY)』ナビゲーターを担当。エンディングテーマの「始まりは終わりじゃない」歌唱も予想されましたが、選曲されたのは1月発売のシングル曲でした。カップリングの「空の彼方」が、先ほどゆずのステージ解説欄で触れた北川さんMCの番組テーマソングになっています。
・「360°」が映画ドラえもんタイアップ、「夜空。」でハジ→とコラボ、さらに映画『マエストロ!』やドラマ『紅白が生まれた日』で女優活動もこの年開始。シンガーソングライターだけに留まらない幅広い活動を展開した一年でした。
・ジャニーズ事務所の肖像権はこの当時まだ徹底していて、2018年1月までは配信どころか写真でさえも掲載NGという状況でした。現在でも多少その名残りは見られますが、ここ数年はYoutubeで公式チャンネルも開設。6年で思った以上に状況が変化しているようです。
・ヒム子に押しのけられたコーラス・藤田真由美は、まゆみっっくすの愛称で知られています。東京03の飯塚さんと入籍したのは前年の11月でした。バンドメンバーも含めてこの年miwaさんのツアーに1年間帯同、COUNTDOWN JAPANにも一緒に参加しています。ちなみに本人にとっては第58回(2007年)の平原綾香のステージ以来の出演(アメブロの記事より)。
・なお東京03はこれまで本家紅白歌合戦の出演はありません。特に飯塚さんはももいろ歌合戦の進行役が定着しているので、今後も当面紅白のゲスト出演は無いものと思われます。
白10(全体21):氷川きよし(16年連続16回目)
・2000年デビュー 第51回(2000年)初出場
・1977年9月6日生 福岡県福岡市出身
・楽曲:「男花」(2015/7/8 アルバム『新・演歌名曲コレクション-さすらい慕情-』)
詞・曲:梅原 晃
振付:西田一生、尾上陽子
踊り:百四十五郎丸ダンサーズ、ポイ応援団
・演奏時間:2分24秒
7人制ラグビー女子日本代表・サクラセブンズの面々が登場。出来れば個別の名前くらいテロップで入れて欲しかった所ですが…。出演決定のニュースでも”サクラセブンズの面々”とあるだけで、普段スポーツを見ていない立場では誰が出ているのか全然分かりません。映像で短く紹介された後に、来年の五輪に向けての抱負をキャプテンが話します。
ラグビーが盛り上げた1年ということで、ラガーマンとの競演のステージ。白と赤のボーダーのユニフォームで盛り上げる人数は125名、というわけでついた名前は「百四十五郎丸ダンサーズ」。五郎丸歩選手から怒られないのでしょうか。明らかにふざけているとしか思えないダンサーのネーミングですが、振付師の名前を見て妙に納得。
氷川さんの衣装もなかなか派手です。必要以上に風がなびいてマントが広がる姿は、人海戦術で相当目立っているバックに負けないインパクトを放ってます。迫力ある歌声と楽曲、そこにダンサーが加わることに対する違和感は特にありません。ただチアも登場したりライトセーバーのような光る棒を振り回したりするダンスには、全体的には”何もそこまでやらなくても”という感想が先立ってしまいました。
(ウラトーク)
ほとんどヒム子にツッコミを入れただけで、ジャニーズの3人は早くも退席。幸子さんはまだもう少しウラトーク席に残ります。とりあえず設楽さんは幸子さんにヒム子について説明。
ズラズラと登場するダンサーに、「どんだけ出てくるんですかねこれ、終わらないぞ」「125人」。幸子さんが話している間にヒム子が放送席に戻ってきます。本人によると踊りはギリギリでOKを頂いたようですが、疲れはまだ残っているようで息が上がってます。
チアを含めると145人のダンサーが登場していると久保田アナが解説。「迫力がありますね」。
(解説)
・オリンピックのラグビー競技は1924年を最後に長年行われていませんでしたが、2016年リオ五輪で7人制ラグビーとして復活。男子・女子ともに日本代表は代表権を獲得して初出場となりました。
・当時サクラセブンズのキャプテンを務めていたのは中村知春選手。代表メンバーは13人ですが、舞台上に登場したのは7名でした。リオ五輪での結果はグループリーグ敗退でしたが、ケニア代表に勝利して10位。これが記念すべき五輪初勝利となります。
・一方ラグビー男子代表はこの年ワールドカップで大健闘、特に世界ランキング3位の南アフリカ代表に勝利した試合は「ブライトンの奇跡」とまで報じられます。ほとんどの大会で結果を残せなかったラグビー日本代表は、これをきっかけに大躍進。4年後の快進撃に繋がります。ちなみにリオ五輪での7人制でも男子は4位入賞の大健闘でした。
・特にこの大会で活躍した五郎丸歩選手は大きく報道され、キックする前に精神統一を図る五郎丸ポーズは話題になりました。現役生活は2021年シーズンまで続行、ただ2019年日本代表には選出されていません。
・氷川さんの「男花」はシングル「愛しのテキーロ」と両A面で、元々はアルバム曲でした。マントをなびかせながら歌うのは、MVと同様です。YouTubeで聴き比べる限り、シングルバージョンはより迫力を重視した編曲になっているようです。
・振付の尾上陽子は5年前にキャラクター紅白の振付を担当。そして西田一生は中村美律子や細川たかしなど過去の紅白でもクセが強いステージ演出を多用している人です。おそらく一番暴走していたのはこのステージのはずで、翌年以降に西田さんが担当するステージはある程度落ち着きを見せます。
白11(全体22):細川たかし(7年連続39回目)
・1975年デビュー 第26回(1975年)初出場
・1950年6月15日生 北海道虻田郡真狩村出身
・楽曲:「心のこり」(1975/4/1 シングル)…40年ぶり2回目
詞:なかにし礼 曲:中村泰士
振付:左 踊り:NMB48、クマムシ、ピスタチオ、とにかく明るい安村
・演奏時間:2分16秒
楽屋ロビーからの中継が入ります。リポーターはV6の年長組・20th Centuryの面々。若手のとにかく明るい安村、クマムシ、ピスタチオの面々。後ろにはヒカキンやはじめしゃちょー、NMB48にTOKIOの面々も一緒です。いつも通りさり気なくイカ大王も見切りで登場。
当然3組は初紅白なので、紅白応援最多出場のコロッケがアドバイス役という形で登場。挨拶代わりに両組トリの松田聖子と近藤真彦のモノマネを披露しますが、完全デフォルメ重視のため正直申し上げると似てはいません。そんな大先輩がステージに立ちたい3組に向けてアドバイスした内容は「マジメにやんなきゃダメ」、当然全員から総ツッコミが入ります。
その後は一個一個ネタを見てもらう展開に入り、クマムシが「あったかいんだからぁ」の紅白バージョン、ピスタチオが紅白とあまり関係のない白目漫才、とにかく明るい安村が紅白に出てくる演歌歌手の全裸ポーズ3連発をそれぞれ披露。台本とは言え審査する坂本昌行と長野博の判定は全て○、かなり甘いです。そして客席にいたはずの綾部祐二がここで乱入。ネタ披露をしましたが、決めポーズで完全にカメラからフレームアウト。というわけで合格した3組はステージへ、不合格の綾部さんはここに残ってそのまま曲紹介。「綾部くんは、ここにのこり」というのが、歌に入る直前コロッケさんのセリフ。
年齢を重ねれば普通キーは下がるものですが、この人の場合はどうやら逆のようです。40年前よりもキーを1つ上げて歌っていました。衣装もスーツだった当時と違い白い袴姿、ここ最近は完全に和装が定着しています。バックで水玉の衣装で踊る面々は2年前と同様NMB48、2番からは先述の芸人3組も登場。黄色いハンカチを持ちながらパフォーマンスします。
”私バカよね”というフレーズでお馴染みの別れの歌なので、ハンカチを咥える振付などが取り入れられていますが、全体的には正直言ってワケが分かりません。しまいには歌い終わった細川さん本人にまで「これはどういう状況なんだ」とツッコミを入れられます。歌に入る直前にガヤガヤした映像を見る細川さんもやはり、苦笑気味の表情でした。
(ウラトーク)
「昨日機械が故障したんですけどね、リハーサルで」「衣装!衣装!」「ああ、間違えましたw」次の準備のために幸子さんもここで退席。
このタイミングで日村さんがまさかの生着替え。「隠しながらやらないと」「NHKホールで素っ裸になってる人はじめて」「今のコーナーだったらまだ許されるかもしれない」楽屋中継以上にゴチャゴチャしています。狭いスペースで大慌てで着替えているので、日村さんは体がつったり椅子が畳んでる状態で座ろうとしてしまう状況。安村さんがやってるタイミングと同時に日村さんも裸という、公共の電波で放送されているとは全く思えない状況です。衣装もメイクもここに駆けつけて、着替えのお手伝いをしています。
しみじみと「楽しいなぁ紅白」と語る設楽さん。この仕事が終わってから久保田アナは「おそば食べたいですね~」と話します。「こうやって2015年終わっていくんですね、日村さん」と、マイクが入っていないことを分かってて日村さんに話をふる設楽さん。
なんとか衣装替えが終わり、マイクオンで復帰する日村さん。2人してそちらに夢中だったので、芸人勢がステージに立ったことを気づいたのは終わり間際でした。
(解説)
・この年上半期は若手芸人の台頭が目立ち、特にクマムシの「あったかいんだからぁ♪」はCD化もされて大ヒットしました。ただここでアーティスト気取りしたせいで(本人たちがテレビ番組で披露)翌年以降一気に仕事が減り、現在は富山近辺ローカルでの仕事が多いようです。
・ピスタチオはアメトーークで白目漫才が注目されてヒットしました。ただこちらもその後人気が長続きせず、2022年5月に解散。他にこの年は上半期に8.6秒バズーカーが「ラッスンゴレライ」で大ブレイクしましたが、年末にはすっかり人気が落ちていて紅白にも選ばれずじまいでした。
・この年限りで連続出場がストップする歌手が多い2015年の紅白歌合戦ですが、実は最多ゲスト出演回数を誇るコロッケも今のところこの年がラストになっています。美川憲一のモノマネで共演した第42回(1991年)をきっかけに合計15回、第54回(2003年)で華原朋美とデュエットした時以外は全て応援ゲストでの出演でした。
・ダンサーとして出演しているNMB48は2班に分かれての登場で、山本彩や渡辺美優紀など12人は歌の最初からダンスしています。残り4人は芸人と一緒に2番から登場、そのため楽屋ロビー中継から参加しています。その4人には、ここ数年バラエティ番組で仕事急増中の渋谷凪咲が含まれています。
・一昨年の「浪花節だよ人生は」では「アホの坂田」や「いらっしゃ~い!」などが振付に登場していましたが、ハンカチを噛むポーズはおそらく横山たかし師匠の「すまんのぉ~」が元ネタではないかと思われます。横山たかし・ひろしとして長年ホラ吹き漫才で活躍していましたが、たかし師匠は2019年に70歳で逝去されました。
・細川さんはこの時点で連続出場する意欲を持っていたようですが、翌年出場歌手発表前に辞退を表明。したがってこの紅白がラスト出演となっています。
・ちなみにレイザーラモンRGが細川さんのモノマネで大ブレイクしたのも翌年、この頃から不自然な髪型も広くネタにされ始めるようになります。歌唱力は70歳を超えた現在でもバリバリ健在、元気なうちにあと1度くらい紅白に顔を見せて欲しいと思った矢先に、第72回で特別出演が実現。大泉洋と一緒に「北酒場」を歌うなどして会場を盛り上げました。
紅11(全体23):和田アキ子(30年連続39回目)
・1968年デビュー 第21回(1970年)初出場
・1950年4月10日生 大阪府大阪市出身
・楽曲:「笑って許して」(1970/3/25 シングル)…5年ぶり4回目
詞:阿久 悠 曲:羽根田武邦
・演奏時間:2分21秒
「細川たかしさん、ありがとうございました。芸人さんたちの心のこりな芸はこの方に笑って許してもらいましょう!和田アキ子さん「笑って許して」」。大変よくできた曲紹介です。おそらくこの文章が出来て完璧だと一番感じた人は、台本を書いた人自身のような気がします。
前回の「古い日記」同様、今回も出場歌手が全員登場して「アッコ!」と大合唱する演出。赤と黒を基調に男らしくカッコ良く決めた衣装ですが、後ろを見ると金色のドレスの石川さゆりの方が目立ってるような気がしてなりません。アッコ!と必要以上にコールする近藤真彦にマイクを向ける五木ひろしもノリノリの動きで、歌い手以上に目立っています。間奏では木村拓哉がアッコさんと一緒にツイストを踊って、やはり目立っています。アッコとキムタクが一緒になって盛り上がるシーンはもはや紅白あるあるの域に達しています。
2番でマイクを向けた相手はマッチ、松田聖子、嵐、森進一。森さんにマイクを向けられるのは本人も計算外だったようで、照れくさそうなリアクションを見せています。2回目のAメロでは両司会にマイクを向けていました。非常に盛り上がったステージですが、ここ数年は以前にもまして紅白出場に疑問を持つ声がネットだけでなくメディアでも目立ちます。連続出場に関して言うと、この辺りがいよいよ正念場になるのかもしれません。
(ウラトーク)
衣装替わったばかりなのにまた日村さん退席。「退席するんだったらゆっくり着替えれば良かったのに」「ウラトークもこんなバタバタしましたっけ」「出入りが激しい」。
トイレ休憩の時に先に並んであげるという優しい寺門亜衣子後輩を紹介したところでとにかく明るい安村とイカ大王がゲスト席に加わります。イカ大王のイヤホンは既に中に入っている模様。
(解説)
・ステージ上に登場した歌手はμ’s、山内惠介、三山ひろし、ゆず、星野源、大原櫻子、AKB48(高橋みなみ、渡辺麻友)、氷川きよし、島津亜矢、郷ひろみ、SMAP、乃木坂46(中田花奈、若月佑美、齋藤飛鳥、高山一実他十数名)、近藤真彦、五木ひろし、松田聖子、石川さゆり、TOKIO、Sexy Zone、嵐、森進一、伍代夏子、坂本冬美、藤あや子、V6、miwa。歌い終わったばかりの細川たかしに、クマムシやピスタチオも加わっています。安村さんはウラトーク参加、NMB48は次のステージまであまり間がないので不参加でした。
・「心のこり」と「笑って許して」はどちらも紅白初出場の時に歌われた楽曲です。初出場した時の曲同士の対決は第60回(2009年)の川中美幸「ふたり酒」対森進一「花と蝶」以来6年ぶり。
・「笑って許して」はこれ以前の紅白で3度歌われていましが、いずれも出場歌手のアッコ!コールが入ります。もっとも当時は紅組歌手のみの参加でしたが、今回は初めて白組歌手も加わる形になりました。
・この時点で紅組最多出場、次回は40回の出場が期待されましたが、アンケートなど支持率低下に伴いこの年限りで落選。冠番組『アッコにおまかせ!』で紅白出場を祝われるのが恒例でしたが、これ以降は番組で触れられる機会が減少しています。
・70歳を超えても音楽活動には精力的で、2021年はなんとフレデリックのメンバーが「YONA YONA DANCE」を提供。YouTube2700万再生を達成する大ヒットになりました。ジャンルや年齢を問わず活動するスタンスは、現在でもまだまだ健在です。
白12(全体24):関ジャニ∞(4年連続4回目)
・2002年結成、2004年デビュー 第63回(2012年)初出場
・30~34歳・7人組
・楽曲:「前向きスクリーム!」(2015/8/5 シングル)
詞:GAKU 渡辺潤平 曲:渡辺潤平
踊り:花柳糸之社中、ふなっし~、ねばーる君、こにゅうどうくん、出世大名家康くん、はばタン、むすび丸
・演奏時間:2分36秒
前半トリ直前に、中間投票の呼びかけが入ります。その後の歌前トークはツアーで全国様々な出会いがあったという話題、その中から茨城県の非公認キャラ・ねば~る君を紹介。横山さんと大倉さんに納豆が嫌いと言われて涙を流し、丸山さんにねば~る君のおかげで納豆が好きになったと言われて嬉しい!と言われて3mくらいまで体が伸びる演出が入りました。村上さんが会場にいる方全員に一緒に踊ることを促して、自身のコンサートらしい入りでパフォーマンスに入ります。
登場したゆるキャラはねば~る君の他にふなっしー(千葉県船橋市)、出世大名家康くん(静岡県浜松市)、はばタン(兵庫県)、こにゅうどうくん(三重県四日市市)、むすび丸(宮城県)。ふなっしーは3年連続、むすび丸は2年連続の出演。盛り上げる出場歌手の中では細川たかしがねば~る君の前ですごく目立っていて、端の方にいるμ’sの面々もワンショットが映って結構おいしい位置です。祭と書かれたうちわを持つ演出は、サブちゃんの「まつり」を彷彿とさせる面もあります。賑やかで大変盛り上がったステージでした。ただラストサビ前で”4年連続白が勝つ勝つ!”とアドリブを入れた丸山さんはやや噛み気味字余り気味で、ここはもう少し精進が必要かもしれません。
(ウラトーク)
「この格好でまさか出れるとは思わなかった(安村)」「正直あんまりNHKにはご出演少ない…」「そうですね、生放送出させてもらっても服着てたりとか」「紅白だから特別にあれなのかな、年忘れで。でもイカ大王なんてさこれ素っ裸ってことでしょ?」「安心してください履いてませんよ」。
「後ろもごった返してたもん」と話す安村さん。設楽さんによると後ろの人数は総勢5000万人、正しくは1000人近くいるとのことです。マイクは人間が使う分だけで40本、会場を入れると100本。カメラは23カメまであるという久保田アナの情報。イカ大王も「後ろの通路とかも花柳社中の皆さんが通られたら10分くらい待たないけません」と裏側の状況を説明します。
ウラトーク配信は映像もあります。というわけでリクエストに応えて、曲に合わせて安村さんが見えないポーズ連発。「その横にいる俺の立場考えてよ」「股間の横にいるから」「お尻当たってるって」「この状況なんなの」と、イカ大王で隠しているという絵がカメラには映し出されていました。ただ映像に30秒のタイムラグがあるため音と合ってないと設楽さんが報告、これには「嘘でしょ、なんで言ってくれないんすか」とクレームを入れます。でもここは目の前のステージ通り前向きに、ということで話をまとめます。
ゆるキャラが大活躍するステージを見て、イカ大王は「ここに出たかったんですよ私は」と正直な気持ちを表明。NHKのキャラクターなのに関わらず引導を渡された状況で、少し危機感を芽生え始めてます。
(解説)
・アッコさんのステージで出演したAKB48のメンバーは2人だけで、曲紹介中に柏木由紀や横山由依などが後方に加わります。またゲスの極み乙女。やAAAもこのステージから合流、一方クマムシとピスタチオの姿が無くなりました。
・出世大名家康くんはこの年地元開催ということもあって悲願のゆるキャラグランプリを受賞。浜松市はかなりこのキャラクターに力を入れているそうで、2年前は市役所ぐるみの組織票が問題になりました。なお2年後の大河ドラマが井伊直虎主人公になったことを踏まえて、2016年に出世法師直虎ちゃんもデビューさせています。
・茨城県非公認キャラクターのねば~る君は2013年デビュー。テレビ出演から話題になったゆるキャラです。ちなみにこの年は細川たかしに弟子入りを申し込んで断られたそうです。当の細川さんはこのステージでねば~る君の側に立って、頭を団扇で叩いたりする場面がありましたが、この弟子入り志願を念頭に置いたやり取りと考えると非常に微笑ましい光景に見えます。
・はばタンは2003年に誕生した兵庫国体のマスコットキャラクターで、ゆるキャラブームが起こるはるか前から活躍しています。こにゅうどうくんは三重県四日市市のキャラクターで、こちらも1997年に誕生した大ベテランのようです。
・関ジャニ∞はこの年シングル3枚リリース、「前向きスクリーム!」はオロナミンCのCMソングでした。このステージが相当盛り上がった影響でしょうか、後年の紅白でも繰り返し歌われる形になります。
紅12(全体25):天童よしみ(19年連続20回目)
・1970年デビュー 第44回(1993年)初出場
・1954年9月26日生 大阪府八尾市出身
・楽曲1:「終りなき旅」(1988/4/11 美空ひばり)
詞:なかにし礼 曲:三木たかし
・楽曲2:「人生一路」(1970/1/10 美空ひばり)…36年ぶり2回目
詞:石本美由起 曲:かとう哲也
・演奏時間:2分51秒
ラストは黒柳徹子が曲紹介。ただゆるキャラの占めるスペースが非常に大きく、なかなか前の立ち位置に移動できません。ふなっしーに至っては完全に邪魔してるような状況です。落ち着いた所で曲紹介、「人生一路」は紅白で最後に歌った歌であり、生涯最後に歌った歌でもあることを綾瀬さんが説明。57年前徹子さんが紅組司会を務めた時にトリだった美空ひばりは当時21歳。同じ時代を生きた彼女の思い出を語ります。
東京ドームの不死鳥コンサートで一番最初に歌われた「終りなき旅」をまずは披露。ファンにとっては間違いなく有名な曲ですが、個人的には完全に初聴でした。
その後に「人生一路」の歌唱に入ります。生前の美空ひばりの愛唱歌で、東京ドーム公演でもトリとして歌われた楽曲です。バックで流れる映像は生前の美空ひばりが歌う姿。若い時の写真から第30回の紅白で特別出演した時の映像、東京ドーム公演などが振り返られます。天童さんが今回のステージのために選んだ衣装も、当時の不死鳥コンサートを意識したような真っ赤なドレスです。
美空ひばりに憧れて歌手になったという天童よしみ。ひばりさん以上かどうかは分からないですが、彼女に肩を並べるくらいの歌唱は存分に見せていました。徹子さんも「魂の歌だと思いますね」と絶賛する内容。これ自体はあくまで台本の言葉ではないかと思いますが、同じ感想を抱いた視聴者もおそらく多かったのではないしょうか。
中間審査の結果は168179VS 179230で白組優勢。その後ステージの下が大変なことになっているということで、ホールの奈落から指原莉乃・稲垣吾郎・日村勇紀が登場。マイクに「奈落中継隊」と書かれた装飾物が備え付けられています。かなりのオーバーリアクションで、この後登場する2つの巨大衣装をリポートします。見せないように日村さんが手でカメラを押さえていますが、間違いなく一瞬映りました。というわけでニュースに入ります。原稿を読み上げる武田真一アナが少し苦笑いなのも、紅白あるあるの一つになるでしょうか。
(ウラトーク)
曲が曲なので少し静かなトーンに。ただ話す内容はあまり変わりません。イカ大王は綾瀬はるかとすれ違った際「イカ大名!」と言われたそうです。安村さんは美輪明宏に「安心してください、履いてなくても見えませんよ」と言われたそうです。ただ律儀に引き返して謝罪までしてもらった模様。
安村さんは1年前の大晦日、インフルエンザにかかっていたと話しています。今年は風邪1回しかひいていない、2歳になる娘はお父さんがテレビに出てくると「父ちゃん変な顔」とずっと言っていたと話してます。
ピースとは10年前にも渋谷の∞ホールの劇場に出ていて、地べたに寝転んでたりしてたと話す安村さん。だからバナナマンも含めてここにいるのが「夢のようだ」と話してます。ただやはり一番凄いのは又吉さんということで見解一致。「踊ってる時に見たら、又吉くんだけ目そらしちゃいましたもん」と話すイカ大王。
「紅白が我々みたいな人たちに声かけてくれて、ありがたいですよ」「特等席ですねここ、ほんとに(安村)」「同化してる感じですね、天童さんが美空さんに(イカ大王)」「単独ライブのポスターにしたい…(安村)」「単独ポスターのライブにしたら誰のライブか分からないw」「1800円くらいの…」(安村)「安いなぁw」。
前半終了間際に登場した日村さんを指して「いい顔してるなぁ」「フグみたいだね」。そしてゲスト2人はここで退席。安村さんは「また来年は…ないか、来年は無理か」、イカ大王は「私も来年消えないように頑張りますね」。双方とも大変哀愁が漂う挨拶になりました。
(解説)
・天童さんは過去に美空ひばりのカバーのみを集めたアルバム『夢歌』シリーズ3作を発売、紅白でも「川の流れのように」「愛燦燦」で合計3回歌っています。ひばりさんとは小学生の時の共演経験があり、歌手になってからずっと憧れの存在だと再三話しています。
・1988年4月11日に開催された「不死鳥/美空ひばり in TOKYO DOME 翔ぶ!! 新しき空に向かって」は、当時完成して間もない東京ドームのこけら落とし公演でもあります。その日最初に歌われた曲が「終りなき旅」で、38曲のうちラストで歌われた曲が「人生一路」でした。
・コンサートと同日にアルバム『不死鳥』が発売、「終りなき旅」はこの作品に収録されている楽曲でした。紅白歌合戦では初歌唱となります。
・「人生一路」は曲紹介でもあった通り、第30回(1979年)特別出演3曲メドレーのラストとして歌われた楽曲でした。元々は1970年のシングル「花と炎」のB面収録曲でしたが、コンサートやテレビ番組で好んで歌った結果ひばり作品でもトップクラスの人気曲になります。
・天童さんは5年ぶり2回目の前半トリですが、前半大トリは初でした。ここ数年前半の締めくくりはJ-POPが増加していたので、演歌の前半締めは第61回(2010年)の森進一「襟裳岬」以来5年ぶり。
・第58回(2007年)以降楽屋・楽屋裏・楽屋ロビーとステージ以外からの中継が多くなりましたが、舞台奈落からの中継はこの年が初めてでした。ただ出場歌手のステージの裏側を追うドキュメンタリーなどでカメラが入ったことは何回かあります。
・前半を盛り上げたとにかく明るい安村は、翌年4月に不倫現場をスクープされます。さらに腰も痛めたようで、その結果仕事量は大幅に減少。ただ2023年にイギリスのオーディション番組で脚光を浴び再ブレイク、それどころか世界で活躍する芸人になっています。
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