まずは第49回(1998年)~第58回(2007年)のステージを、共演者も含めて振り返ります。合わせて第53回の藤本美貴、第54回の後藤真希についても最後に書きます。また、自らのステージ以外の企画や応援などの出演については全て別記事でまとめます。なお第56回・第57回で共演する形になった松浦亜弥についてはこちらの記事も参照してください。
- 第49回(1998年)「抱いてHOLD ON ME!」
- 第50回(1999年)「LOVEマシーン」
- 第51回(2000年)「ハッピーサマーウェディング 大晦日スペシャル」
- 第52回(2001年)「Mr.Moonlight~愛こそがザ☆ピ~ス!~」
- 第53回(2002年)「ここにいるぜぇ!そうだ!We’re ALIVE 2002 Ver.」
- 第54回(2003年)「Go Girl~恋のヴィクトリー~」
- 第55回(2004年)「2004年 愛・涙・キッス 紅白スペシャル」
- 第56回(2005年)「気がつけば好きすぎて♪盛り上がって♪LOVEマシーン!」
- 第57回(2006年)「Thanks! 歩いてる 2006 Ambitious バージョン」
- 第58回(2007年)「Special LOVE Mix~幸せの平成20周年 Ver.~」
- おわりに
第49回(1998年)「抱いてHOLD ON ME!」
参加メンバー:中澤・石黒・飯田・安倍・福田・矢口・市井・保田
作詞・作曲:つんく
前歌手:SPEED、DA PUMP
後歌手:TOKIO、田川寿美
曲紹介:久保純子(紅組司会)
紅組2番手、当時は紅組歌手もまだ舞台袖に集まっています。同じくこの年初出場の、ポケットビスケッツ&ブラックビスケッツ スペシャルバンドの面々が歌前にちょっとしたやり取り。当時の紅白は台本のお笑いセンスがマイナスもマイナスという具合でしたが、さすがにこの6人なのでテンポはバッチリでした。
ビビアン「へー、いま夜なのになんでモーニング娘。なの?」
千秋「そうだよね、この時間から言うとイブニング娘。だよね」
南原「いや正確に言ったら年越し娘。になるんだよねこれ」
内村「ヘタしたら朝帰り娘。になるダニ」
ウド「もっと正確に言うと、明日の朝早いので夜更かししちゃって起きれずに、そのまま…」
天野「おいなげーなおい!スタジオにお返しします」
久保「はい、では戻りました。聴いてお得なモーニング娘。の皆さんで「抱いてHOLD ON ME!」」
紅白カラーの赤と白で揃えた衣装、色は同じですがスタイルはメンバーごとに大きく違います。中澤裕子は赤一色のドレス、飯田圭織と石黒彩が上着つきでそろぞれ色違いのパンツスタイル、安倍なつみはミニスカート…などなど。ソックスや靴も赤と白に分かれています。
オリコン週間1位を初めて獲得した曲で、既に十分大ヒットしてはいましたが(紅白に選ばれるくらいなので)、楽曲は全体的に聴かせる内容で人気も後年ほどではありません。正直ステージは音程が全体的にフラット気味で、実際「LOVEマシーン」大ヒット前はここをピークに早くも人気落ち気味という雰囲気もありました。衣装も全員が黒髪でやや地味なルックス、”ねぇ笑って”と囁く飯田圭織やリードボーカルの安倍なつみはまだしも、2期生の矢口真里辺りは後年のような明るいキャラクターが知れ渡る前段階でスター的なオーラがまだありません。国民的グループと言われる前のステージを紅白歌合戦で見られるという点では、他の年と全く違う個性を持つ貴重な内容と言えるでしょう。
第50回(1999年)「LOVEマシーン」
参加メンバー:中澤・石黒・飯田・安倍・矢口・市井・保田・後藤
作詞・作曲:つんく 振付:夏まゆみ
前歌手:(トップバッター)
後歌手:DA PUMP、Hysteric Blue
曲紹介:久保純子(紅組司会)
モーニング娘。が紅白で振り返られる時、現在もっとも映像で使われる場面はこの年のステージだと思います。特に2018年以降はその傾向が顕著になりました。
全体のトップバッターとしてこの年登場、会場の拍手が前年と比べて相当増えています。衣装のカラーリングは前年と同様ですが、ファーがついて全体的にバージョンアップしています。両脇に紅組白組歌手全員が移動して応援、サビも一緒に踊っています。「パプリカ」では舞台上で全員が一緒にダンスといったところですが、このステージはあくまで両脇、したがって一緒に手を動かすのは事前練習無しの自然な動きです。
globeやSMAPなどもいますが、この年は演歌歌謡曲フォーク系中心でJ-POPはほとんど新人で後ろの立ち位置。演歌歌手が「LOVEマシーン」を一緒に踊るという、紅白ならではの光景がバッチリ繰り広げられる形になっています。
第51回(2000年)「ハッピーサマーウェディング 大晦日スペシャル」
楽曲:「ハッピーサマーウェディング」「LOVEマシーン」「I WISH」
参加メンバー:中澤・飯田・安倍・矢口・保田・後藤・石川・吉澤・辻・加護
作詞・作曲:つんく
振付:夏まゆみ 踊り:Hello! Project、12-DOS、BEANS-DOS
前歌手:原田悠里、企画(ライオンキング)
後歌手:平井 堅、坂本冬美
曲紹介:久保純子(紅組司会)
劇団四季のメンバーが『ライオンキング』のラストシーンを直々に演じた後、当時の連続テレビ小説『オードリー』出演中の長嶋一茂と仁科貴が殺陣を披露。一茂さんの父親である審査員の長嶋茂雄が大笑いして「よくやってます」とコメントする一幕もありましたが、次のステージには全く関係のない内容でした。
この年からいよいよ国民的グループに成長して、メドレーを紅白で歌うことが多くなります。いま振り返ると、紅白でメドレーが多くなったのはモーニング娘。がきっかけではないかと思う部分もあります。スパンコールの衣装で「ハッピーサマーウェディング」を1コーラス、中澤姐さんのセリフ中に他メンバーと入れ替わりでダンサーが登場、直後に銀色のコートのような衣装に代わって「LOVEマシーン」サビ披露。途中からは緑色の衣装を着たハロプロのキッズダンサーも登場します。
「LOVEマシーン」終了後にまたメンバーが後ろに移動して「恋愛レボリューション21」をダンサーのみでパフォーマンス。その後「I WISH」でまた衣装が変わります(コートを脱いだだけですが)。当時の新メンバー4人(石川・吉澤・辻・加護)はこの曲からソロパートが設けられ、目立つワンショットが多くなります。辻ちゃん加護ちゃんはまだ中学1年生で、早生まれの加護ちゃんはまだ12歳。したがって21時までにステージを終わらせる必要がありますが、無情にもこの曲の途中で画面左上に21:00の表示が入りました(当時のアナログ放送は毎時ごとに時間が必ず表示されます)。このステージ終了時点で、大体1分押しが発生している計算になっています。
歌い出しはゴマキ、ラストもゴマキと加護ちゃんのツーショットでした。当時の後藤真希の人気ぶりがうかがえますが、彼女は翌年に「愛のバカやろう」でソロデビューを果たします。
第52回(2001年)「Mr.Moonlight~愛こそがザ☆ピ~ス!~」
楽曲:「Mr.Moonlight~愛のビッグバンド~」「ザ☆ピ~ス!」
参加メンバー:飯田・安倍・矢口・保田・後藤・石川・吉澤・辻・加護・高橋・紺野・小川・新垣
作詞・作曲:つんく
振付:夏まゆみ 踊り:KMSダンサーズ
前歌手:香西かおり、細川たかし
後歌手:吉 幾三、長山洋子
曲紹介:有働由美子(紅組司会)、中澤裕子
中村美律子の曲紹介で登場した中澤裕子が、古巣モー娘の曲紹介でも再登場。この年は出場歌手全員に応援メッセージが用意される演出でしたが、彼女たちはステージに向かう前に1人ずつマイクの前で一言話すという展開でした。
飯田「今年最後の年、私たちが楽しくしまーす!」
安倍「モーニング娘。13人、力を合わせて頑張ります!」
矢口「応援してくれた皆さん、心から感謝しています!」
保田「今年は自分らしく過ごせた年でした、ありがとうございました!」
後藤「家族のみんな、今年も頑張ったよー!」
吉澤「今年も私たちにたくさんの愛をありがとうございましたー!」
石川「16年間生きてきた中で、一番中身の濃い一年でした!」
加護「今年の紅白、歌って踊りまーす!」
辻「2回目の紅白、一生懸命頑張りまーす!」
小川「家族のみんな、新潟から応援してねー!」
高橋「福井の友達のみんな、私のこと忘れんといてのー!」
紺野「今年は、緊張することがいっぱいあって、あっという間の一年でした!」
新垣「去年テレビで見ていた紅白歌合戦、夢みたいです!」
ステージごとに変わる「Mr.Moonlight~愛のビッグバンド~」の歌い出しは新垣里沙の担当でした。ミュージカルテイストの楽曲はなっち・ゴマキ・よっすぃーがメインのボーカルですが、それ故に現在振り返られにくい楽曲になったのが惜しいところです。1コーラス歌った後ギャング風のダンサーが登場、その後ろでメンバーが衣装替えして「ザ☆ピ~ス!」。選挙の日に投票行って外食するのくだりは、20年経った現在でも事あるごとに振り返られています。こちらはガッツリ1コーラス、曲が終わるフェイントを2回繰り返した後にダンサーも総登場、「Mr.Moonlight~愛のビッグバンド~」再演奏でフィナーレ。「ザ☆ピ~ス」衣装でこの曲を歌うというテレビでは大変レアなケースでした。ラストは完全に吉澤ひとみオンステージという印象で見事な内容でしたが、先ほども書いたようにそれ故に現在では…という状況になっているのがただただ残念です。
2曲とも有無を言わせぬほど高い完成度を誇る楽曲で、個人的には紅白10回出場中のベストアクトに挙げたい内容です。この年は松浦亜弥もデビュー1年目で紅白初出場、Hello! Project勢の活躍がさらに目立った一年でした。
第53回(2002年)「ここにいるぜぇ!そうだ!We’re ALIVE 2002 Ver.」
楽曲:「ここにいるぜぇ!」「そうだ!We’re ALIVE」
参加メンバー:飯田・安倍・矢口・保田・石川・吉澤・辻・加護・高橋・紺野・小川・新垣
作詞・作曲:つんく
前歌手:鈴木慶江、ジョン・健・ヌッツォ
後歌手:Gackt、長山洋子
曲紹介:有働由美子(紅組司会)、高野志穂(紅組サポーター)
いわゆるハロマゲドンと呼ばれる大改革が起こった年ですが、まだこの紅白時点では前年と大きく変わらない人気でした。ただ下半期辺りからCDシングルの売上は下がり始めています。この年も前年同様の歌前メッセージ、「モーニング娘。にとって音楽とはなんでしょう?」という質問に全員が答えたようです。
飯田「みんなを笑顔にさせちゃうぞ!」
安倍「熱いライブでエンジョイダンスだー!」
保田「パワー全開!みんなで一緒に歌いましょー!」
矢口「歌は心を伝えるメッセージだぜぇー!」
石川「ポジティブに自分を表現できる!」
吉澤「音楽はいいですよー」
辻「元気でいられますよー、アイ~ン」
加護「歌で大好きな気持ちを伝えたいです!」
高橋「なんてったって合唱が一番!」
紺野「頑張ろうって気持ちになります!」
小川「音楽と言えば、モーニング娘。!」
新垣「音楽と言えば、寝る時に聴くものです!」
真横で連続テレビ小説『さくら』のヒロイン・紅組応援サポーターの高野志穂が一つ一つの言葉に反応していました。最後のガキさんの回答には思わず「えっ?」の一言が入ります。やや大喜利に近いテイストで、今のジャニーズや坂道系に同じ質問をするとウケ狙いの回答ばかりになりそうです。
ステージはまず「ここにいるぜぇ!」を、お姫様をイメージしたような大きなスカートの衣装で披露。MVとは正反対の衣装で、踊るのがかなり大変そうです。当然この衣装のままで5分近くは厳しいので、1コーラス歌唱後例年通りダンサーが入って金色の軽装に早替え、「そうだ!We’re ALIVE」をパフォーマンス。なおこの年は振付・ダンサーのテロップ無しでした。
1コーラス披露後前年同様に紙テープ放射つきのフェイント演出、その後「ここにいるぜぇ!」サビから始まるフィナーレ。前年同様迫力満点のパフォーマンスでしたが、ある意味では前年とそこまで変化のない内容でもありました。ラストのなっちのワンショットも、若干アップになったカメラと位置がズレています。
第54回(2003年)「Go Girl~恋のヴィクトリー~」
参加メンバー:飯田・安倍・矢口・石川・吉澤・辻・加護・高橋・紺野・小川・新垣・藤本・亀井・道重・田中
作詞・作曲:つんく
前歌手:香西かおり、前川 清
後歌手:Gackt、松浦亜弥
曲紹介:有働由美子、膳場貴子(紅組司会)
この年はもう各歌手ごとにメッセージという状況ではありませんでしたが、一言メッセージが紅白名物として紹介されています。この年のテーマは「素晴らしい日本」。ほぼ大喜利状態です。
飯田「伝統を大切にしているところ!」
安倍「着物がかわいいよねえー」
矢口「地元横浜大好きです!」
石川「家族を大事にする心!」
吉澤「ご飯がおいしい!」
辻「おかずもおいしい!」
加護「お菓子もおいしいよ!」
高橋「ふるさと荒波日本海!」
紺野「四季があることです!」
小川「自然が一番です!」
新垣「やっぱり富士山でしょう!」
藤本「私は道産子北海道!」
亀井「山も海もすぐそば!」
道重「田舎大好き!」
田中「なんたって平和なことですよ!」
まだ会場にいる男性ファンの声援は大きいですが、やはりハロマゲドンの影響でしょうかこの年からCDシングルの売上が明らかに下がり始めました。そのため過去3年間の厚遇状態で無くなったのは仕方のない面もありますが、ヘッドセットマイク・明らかなリップシンク・1メンバーあたり1回しかないソロショットなど、前年との格差があまりにも大きいという印象は正直否めなかったです。なっちの卒業が曲紹介でもアナウンス、ラストショットは彼女のアップでマイクオフの「ありがとうございます」の挨拶でした。曲順も20時過ぎで21時前よりも早め、その後も間髪入れず2階席ステージでGacktの演奏開始。楽曲は後年人気曲として語られる機会も比較的多いですが、全10回の中では間違いなく最もあっさりした内容でした。
第55回(2004年)「2004年 愛・涙・キッス 紅白スペシャル」
楽曲:「愛あらばIT’S ALL RIGHT」「涙が止まらない放課後」「ロボキッス」
参加メンバー:飯田・矢口・石川・吉澤・高橋・紺野・小川・新垣・藤本・亀井・道重・田中、辻(W)・加護(W)
作詞・作曲:つんく 振付:RYON・RYON
前歌手:上戸 彩、TOKIO
後歌手:w-inds.、aiko
曲紹介:小野文惠(紅組司会)
「フユミンです!サユリンです!サッチーです!ミッチーです!ヨーヨーです!ヨッシーです!」。2004年にもなって今さら紅組演歌歌手(坂本冬美、石川さゆり、小林幸子、中村美律子、長山洋子、天童よしみ)にイブニング娘。と称して自己紹介してもらう内容の台本には、当時相当ガッカリしました。これならここ3回続いてたメンバーの一言メッセージを続ける方がまだ良かったです。
ステージは「愛あらばIT’S ALL RIGHT」をまずは1コーラス。これまでの勢いのある楽曲と比べるとミディアムテンポで動きに余裕があり、肩を組んで歌うシーンやキスするシーンなどが例年以上に目立っています。静止画キャプチャも動きが激しい前年と比べてかなりやりやすいです。「涙が止まらない放課後」は紺野さんメインの楽曲で、やや拙い印象の歌声がピュアさを一層演出していました。
この曲はサビのみの演奏で、メンバーが中央で踊る間にWの2人が後ろのセットに登場。正方形の大きなスペースにハート型のセットがあり、そこに乗りながら「ロボキッス」を1コーラスパフォーマンス。その後階段と両脇から衣装替えしたメンバーが登場、「浪漫~MY DEAR BOY~」の”Let’s have a dance?”をよっすぃーが呟いた後にダンスパフォーマンス、「愛あらばIT’S ALL RIGHT」のサビでステージを締めます。もともと辻ちゃん加護ちゃんが卒業する前に発表した曲なので、こちらも羽根の生えた衣装に早替えした2人が合流してパフォーマンスする内容になりました。ラストはリーダーのかおりんが「皆さん、今年1年ありがとうございました!」と挨拶。終わってみれば前年よりもはるかに見どころの多い内容のステージです。
2組は元々同グループではありますが、肩書的には紅組2組が1ステージを担当する形になります。グループ同士では史上初、ソロも含めると紅組では第15回(1964年)の中尾ミエ・伊東ゆかり・園まり以来40年ぶりの出来事でした。
第56回(2005年)「気がつけば好きすぎて♪盛り上がって♪LOVEマシーン!」
楽曲:「気がつけば あなた」「好きすぎて バカみたい」「LOVEマシーン」
参加メンバー(現役):吉澤・高橋・紺野・小川・新垣・藤本・亀井・道重・田中・久住
参加メンバー(OG):中澤・飯田・安倍・矢口・保田・後藤・石川・辻・加護
作詞・作曲:つんく
振付:夏まゆみ 踊り:ハロー!プロジェクト・キッズ
前歌手:布施 明、コブクロ
後歌手:氣志團、BoA
曲紹介:仲間由紀恵(司会)、みのもんた、山根基世、上川隆也
歌前に次年の大河ドラマ『功名が辻』主演の仲間由紀恵と上川隆也が舞台袖に揃います。ちょっとしたやり取りはありましたが、ステージには特に関係ないのでここでは割愛します。
松浦亜弥は5年連続出場、前回も後藤真希とセット状態になりましたが、この年もモー娘。と込みになっています。午後の紅茶CMで話題になった「気がつけば あなた」を1コーラス披露。後ろで踊るハロプロキッズは既にBerryz工房と℃-uteとして結成済で、前者は既にCDデビューも果たしていました。ラストであややを隠すように中央に登場したのは、嗣永桃子と萩原舞です。
この年は横長に舞台が組まれていて、袖から登場したのは安倍なつみと後藤真希。舞台階段上からは石川梨華が登場、中央で他の3人と同じ衣装に早替えして合流したのが松浦亜弥、この4人でDEF.DIVA「好きすぎて バカみたい」を1コーラスパフォーマンス。こちらもややあっさり終了します。
「LOVEマシーン」はまずせり上がりでOG6名が登場、安倍・後藤・石川の3人はその間に衣装替えで他6人に合わせています。銀色を基調とした衣装は、第51回に近いスタイルです。この時点で1999年当時のオリジナルメンバーは全員卒業、2番は吉澤ひとみを中心とする現役メンバーが赤い衣装でパフォーマンス。この年から加入の久住小春は当然ですが、亀井絵里や道重さゆみ辺りはこの時が紅白で初めてソロパートが与えられる形になっています。
Cメロからは現役OG共演、田中・安倍→高橋・後藤→小川・矢口の順でソロパートが与えられます。ラストは「気がつけば あなた」で一緒にパフォーマンスしたハロプロキッズとNHK各番組キャラクターも登場、ラストの”LOVEマシーン”は矢口ではなく久住で締めました。合計6分近いパフォーマンス、「LOVEマシーン」1曲だけでも第50回より歌唱時間長め。ハロプロファンには特に思い入れ深い紅白のステージだったかもしれません。
第57回(2006年)「Thanks! 歩いてる 2006 Ambitious バージョン」
楽曲:「Ambitious! 野心的でいいじゃん」「Thanks!」「歩いてる」
参加メンバー:吉澤・高橋・新垣・藤本・亀井・道重・田中・久住
作詞・作曲:つんく
振付:夏まゆみ 踊り:カントリー娘。 Berryz工房 ℃-ute
前歌手:坂本冬美、北山たけし
後歌手:Aqua Timez、藤あや子
曲紹介:仲間由紀恵(紅組司会)
GAMとの共演ステージ、歌唱前にはメンバー8人と松浦亜弥が揃って登場。8人でのステージは第50回以来7年ぶりですが、久々に見ると随分少なくなったという印象もありました。パネルを使ってGAMの名前の由来(Great Aya & Miki)を丁寧に説明後、リーダーの吉澤さんが意気込みを語った後に円陣を組んで、「頑張っていきまっしょーい!」。現在にも受け継がれているコンサート前の掛け声ですが、紅白本番で披露したのはこれが唯一です。この年は全体的に丁寧かつ落ち着いた進行で、台本上の変なやり取りも一気に減り、非常に見やすい部類に入る紅白歌合戦でした。
「Ambitious! 野心的でいいじゃん」のサビからスタート、階段ステージからメインステージに降りて1番Aメロ~サビのパフォーマンス。CO2噴出の間にミキティが早替え、あややが階段上から登場してGAM「Thanks!」のパフォーマンス。その間に他の7人は舞台袖でゆっくり新しい衣装に着替えています。
1コーラス、2人見つめ合うショットの後に真っ白な衣装で「歩いてる」の演奏開始。ハロプロメンバーもこのタイミングで入場、バックダンサーとして参加します。ミキティはBメロにある自身のソロパートで舞台入場、こちらも他の7人に合わせた衣装に早替え。結果的に彼女だけ2回ステージで早替えを披露する形になっています。NHKマスコットキャラクターに、先ほどまでパフォーマンスしていたあややも曲前に着ていた衣装に戻ってステージに参加。彼女がモー娘のバックダンサーで参加しているのは、おそらくこの時だけだと思われます。
前向きな歌詞が印象的な「歩いてる」は、これまでの8回とは違う新しいモーニング娘。の門出にピッタリの選曲でした。当時この曲では3年半ぶりにオリコン週間1位を獲得、再び人気を盛り返すのではないかと感じましたが…。
第58回(2007年)「Special LOVE Mix~幸せの平成20周年 Ver.~」
楽曲:「LOVEマシーン」「付き合ってるのに片思い」「都会っ子 純情」「LALALA 幸せの歌」
参加メンバー:高橋・新垣・亀井・道重・田中・久住・光井・ジュンジュン・リンリン
作詞・作曲:つんく
振付:SHE 踊り:ハロプロエッグ
前歌手:(トップバッター)
後歌手:美川憲一、鳥羽一郎
曲紹介:中居正広(紅組司会)
8年ぶりのトップバッター、「LOVEマシーン」で始まるのも前年同様でした。同じ曲がトップバッターで披露されるのは紅白史上初ですが、メンバーは8年前と全く違う顔ぶれです。Berryz工房、℃-uteは最初から共演して一緒に踊りますが、℃-uteの最初のショットは舞台袖への移動が遅い紅組歌手の後ろに完全に隠れています。
モー娘が赤、ベリ工が黄緑、℃-uteが青と衣装で分かりやすく区別されています。1コーラス披露しますが、やはり歌声は当時と大きく違う印象でした。「ザ☆ピ~ス!」のリミックスで繋げた後、黄色い衣装に早替えしてBerryz工房「付き合ってるのに片思い」、℃-ute「都会っ子 純情」のサビをそれぞれ披露。短い時間で全メンバーを映す段取りでしたが、スイッチングミスでももちが映らないハプニングが発生しています。ちなみに当時の℃-uteは5人ではなく、有原栞菜と梅田えりかが在籍していた7人でした。
再び「ザ☆ピ~ス!」に「恋愛レボリューション21」を混ぜたリミックス後、全員集合のハロー!プロジェクト10周年記念 紅白スペシャル隊という名目で「LALALA 幸せの歌」を披露。一般的には当時まだ知られていないですが、既にハロプロコンサートでは定番曲になっていてファンにはお馴染みの楽曲でした。翌年には℃-uteのシングルとして音源化されます。
全体的には賑やかなステージでしたが、特にサビだけの楽曲も2曲入ったことで大変慌ただしく、また放送当時ハロプロに対する知識があまり無かったので正直何が何だか…という感想でした。直後のステージがパラパラバージョンの美川憲一「さそり座の女」だったのも、余計に混乱を招く結果になったような気がします。この年の紅白は後半の番組内容は非常に評価高かったですが、前半の半分くらいまでは慌ただしさ度MAXで、正直落ち着いて見られる内容ではなかったです。
おわりに
CD売上的には2000年代中盤辺りから下がり始めましたが、2008年ついに紅白落選という形になります。当時のモーニング娘。はプラチナ期と呼ばれていて、パフォーマンスの精度を上げた時期ではありましたが、それと反比例するかのようにコア度は上がる結果になりました。それと同時に人気上昇し始めたのがAKB48で、2010年の女性アイドルシーンは完全にハロプロから48系メインに切り替わる形となります。
とは言え紅白落選し始めた時期から事務所のブランドとパフォーマンスの素晴らしさは広く認知されるようになり、特に2010年代に女性アイドルグループが多数デビューした頃には”ハロプロはレベルが違う”と各所で言われたものです。2012年からインターネットで恒例になったアイドル楽曲大賞も、元はハロプロから始まったものでした(現在もハロプロは「ハロプロ楽曲大賞」として、別物として開催しています)。
振り返ると今日の紅白メドレーの作り方・大人数グループのステージは2000年代のモー娘がベースになっている部分が多いです。それ以前に8人や10人以上の女性ボーカルグループが続けてヒットする例は全くなかったので、その点で考えると紅白に限らずJ-POPシーンにおいてまさに革命児的存在だったと言えます。ただ紅白初出場した頃の楽曲を振り返ると、想定していなかった結果という印象もありますが…。
長年紅白歌合戦をテーマにして記事を書いていますが、コメント欄や掲示板などのモー娘紅白待望論は毎年のように起きています。事務所単位でのNHK貢献度はここ10年見渡しても決して低くはないのですが、そういえば最後に出場したのが15年前なので気がつけば随分前になりました。さすがに懐メロ枠とか現役での再出場は現段階だと想像つかないですが…。そう考えると、卒業後に歌メインで活動しているのが℃-uteの鈴木愛理くらいしかいないのは勿体ない印象もあります(田中れいなは現在ミュージカルの出演多いですが)。歌唱力の高いメンバーも複数いるのですが…。
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