紅白歌合戦・松浦亜弥の軌跡

 先日11年ぶりのCM出演が話題になった松浦亜弥は、2001年から2006年まで6年連続紅白歌合戦に出場しました。今回は彼女の紅白歌合戦におけるステージ・業績を紹介します。1月にモーニング娘。の記事を3回に分けて書いているので(データ編ステージ編本番スケジュール編)、多少被る部分があるかもしれないことをご了承ください。

 6回のみの出場なので1記事にまとめますが、決して多くない出場回数でありながら特筆すべき記録はいくつかあります。今回はそういった記録の紹介・6回の出場表をまとめた後に各ステージ・出演シーンを振り返る形とします。

松浦亜弥の紅白歌合戦データ

21世紀の紅白歌合戦トップバッター

 2001年にデビューした松浦亜弥は、早い段階で高い人気を獲得。早々に紅白歌合戦にも初出場、第52回で披露された3rdシングル「LOVE涙色」は紅組先攻トップバッター、すなわち21世紀の紅白歌合戦最初のステージとなりました。

4種類の名義で紅白歌合戦出場

 デビューから3年は松浦亜弥のソロ、第55回は後藤真希&松浦亜弥、第56回はソロ名義とDEF.DIVA、第57回はGAMの一員として出場しています。これはモーニング娘。、ソロ、DEF.DIVA、あややとのコンビで出場した後藤真希と並ぶ最多記録です。またソロ曲は第52回~第56回で5年連続歌唱でした。

日本出身のソロ歌手では平成最年少記録

 昭和では河野ナオユキ、ユニットではSPEED大橋のぞみ芦田愛菜鈴木福など多数、日本人以外だとモンゴルのオユンナ(15歳1ヶ月)といった例はありますが…。ただ15歳と6ヶ月での出場は、日本で生まれた平成以降出場のソロ歌手では現在も最年少記録となっています(次点はえなりかずきの17歳1ヶ月、なお同い年のBoAは16歳で初出場)。アイドルも21世紀は男性も女性もグループが多くを占める現在、余程のことが無い限り今後も更新されない記録かもしれません。ちなみに15歳の初出場は、弘田三枝子森昌子山口百恵など1960年代~1970年代は数人いますが、1980年代でもソロでは皆無の記録です。

6回分のまとめ

 作詞作曲は全作つんくなので省略、代わりに各回の出場者名義を記しています。すぐ下の項目で詳しく書くので、メドレーの題目などは一旦外しました。

出場回
年齢
歌唱曲発売日名義曲順主なデータ他の発売曲
第52回
(2001年)
15歳
LOVE涙色2001/9/5松浦亜弥トップバッター2001年オリコン年間122位・ドッキドキ!LOVEメール
・トロピカ~ル恋して~る
・100回のKISS(
第53回
(2002年)
16歳
Yeah! めっちゃホリディ2002/5/29松浦亜弥紅組前半7番手/13組中2002年オリコン年間107位・桃色片想い
・The 美学
・草原の人
・SHALL WE LOVE? (ごまっとう)
第54回
(2003年)
17歳
ね~え?2003/3/12松浦亜弥紅組前半8番手/15組中2003年オリコン年間80位・GOOD BYE 夏男
・THE LAST NIGHT
第55回
(2004年)
18歳
奇跡の香りダンス。
ママがサンタにキスをした
風も雪も友達だ
お正月
2004/1/28
(童謡)
(童謡)
(童謡)
松浦亜弥&後藤真希紅組前半8番手/13組中2004年オリコン年間124位・風信子
・YOUR SONG ~青春宣誓~
・渡良瀬橋
・恋愛戦隊シツレンジャー(後浦なつみ)
第56回
(2005年)
19歳
気がつけば あなた
好きすぎて バカみたい
2005/9/21
2005/10/19
松浦亜弥
DEF.DIVA
紅組前半5番手/15組中2005年オリコン年間178位
2005年オリコン年間229位
・ずっと 好きでいいですか
第57回
(2006年)
20歳
Thanks!2006/9/13GAM紅組5番手/14組中オリコン週間最高5位・砂を噛むように…NAMIDA
・メロディーズ(GAM)

松浦亜弥の紅白歌合戦歴代ステージ

第52回(2001年)「LOVE涙色」

ステージ

作詞・作曲:つんく
前歌手:(オープニング)
後歌手:えなりかずき、ZONE

曲紹介:有働由美子(紅組司会)
振付:YOSHIKO 踊り:DOS-BEANS 8

 21世紀最初の紅白歌合戦、トップバッターとして選ばれたのは松浦亜弥「LOVE涙色」。白組のトップバッター・えなりかずきも一応当時17歳、年齢だけでいうと歴代の紅白歌合戦でも屈指の若々しさです。なお双方ともつんくの作詞作曲&プロデュースでした。

 有働アナに紹介されて中央に移動、上のツイートで紹介した通りのやり取り・曲紹介後にステージ開始。男性ファンと思われる観客席の応援が非常に大きいです。世紀が変わって新調された曲名テロップには、ハート型のアニメーションが加わりました。

 タキシード姿の男性とドレス姿の女性が後ろでダンスを踊ります。ただ彼らは大人っぽい雰囲気では全くなく、小学生~中学生といった年代のようです。1986年6月生まれの彼女自身が、当時まだ中学3年生でした。ただ楽曲は切ない恋心を表現する内容で、歌声は15歳とは思えない大人っぽさも兼ね備えています。緊張は当然あり、音程の正確さなどはまだ発展途上の段階にも聴こえますが、発声の確かさは当時から間違いないものがありました。

 紅白歌合戦の序盤、特に若手だとカットされることも多いところですが、このステージは1コーラス半ではなくしっかり2コーラスの歌唱。衣装はパーティーグッズに近いようなかわいらしいデザインで、お腹をビニールのような透明な生地で見せている所がポイントになっている様子です。

応援など

 オープニングはあいうえお順で前列中央→端→後ろの列…の順番になっていますが、トップバッターで歌う松浦さんは前列で川中美幸香西かおりに挟まれる形の登場でした。

 21時までの出演になりましたが、それ故にステージ以外の出番も目立っています。昭和の紅白で恒例の歌手席が復活した演出では、有働アナに感想を求められていました。「ドキドキなんですけど、やっぱり楽しいですね」と話した後に、横にいた小林幸子にマイクを向けています。「地味」「ドキドキ」というキーワードを使いながら早口でコメントする幸子さんに、15歳の松浦さんはピュアな笑顔でしたが、当時揉めていたと言われていた和田アキ子は完全に苦笑いの表情でした。

 21時になる少し前にも、軽い応援合戦みたいな段取りで天童よしみ松田聖子と一緒に登場。白組のココリコ・藤井隆(Re:Japan)が白組優勢だと思う人に手を挙げてもらうことを促した後に、天童さんが両手を挙げてくださいと促して、「これで紅組大勝利ですね」と締めるセリフを担当しました。全く意味のない台本上のやり取りですが、視聴者的にはあややの出番が増えたので問題なし、といった所でしょうか。なお21時以降の出番は年齢的な面もあって全く無しでした。

第53回(2002年)「Yeah! めっちゃホリディ」

ステージ

作詞・作曲:つんく
前歌手:藤あや子、(ショーコーナー)、TOKIO
後歌手:KICK THE CAN CREW、華原朋美
曲紹介:有働由美子(紅組司会)、中村美律子、香西かおり
振付:YOSHIKO 踊り:メロン記念日

 曲前に関西出身の先輩歌手・中村美律子香西かおりが登場。有働アナも交えて、突然関西弁トークが始まります。

有働「ところで皆さん、お休みの日ホリデイって何してはります?」
(中村さん→ウォーキング、香西さん→酒を飲む)
松浦「私は、洗濯してます。ハンガーにかけてパンパンするのがいいんですよ」
香西「あんた16やのにしっかりしてるねー」中村「ほんまやー頑張りや」

 関西弁の喋りを聴けるのは良かったですが、トークにオチを全くつけない台本担当は関西人の心を何一つ理解していない様子です。それはともかく、この年のあややは大ヒット。「桃色片想い」は従来のアイドルソングの概念を覆すような革命作で大きな話題になり、「Yeah! めっちゃホリディ」は発表時から後年まで数多くのタレントにモノマネされました。

 黄色を基調とした衣装は個性的で、帽子も大きなアクセントになっています。バックには巨大なウエディングケーキのセットが用意され、無数のハート型風船による装飾も加わっています。メロン記念日がバックダンサーで参加していますが、1番サビ前まではダンサー無しのソロ歌唱。アップで顔を映している間に加わるカメラワークになっています。体全体でスラッシュを表したり、”ズバッと”ポーズを決める振付も5人バッチリ揃いました。

 なおメロン記念日は同事務所のアイドルグループで、デビューはあややより1年早く年齢も上です。そのため、笑顔でダンスに参加している反面、内心では複雑な心境だったかもしれません。彼女たちはその後もメンバー変動無しで2010年まで活動しますが、残念ながら歌手としての紅白歌合戦出場は実現せず。ただグループのパフォーマンスや楽曲は確かなものがありました。

応援など

 オープニングはピンクのカジュアルなドレス姿です。出場歌手全員が映るシーンで、この年初出場の親友・藤本美貴に話しかけられるシーンが映っています。前年の自身と同様、この年のミキティもトップバッターの出演でした。「ロマンティック浮かれモード」を歌う場面では、紅組歌手陣の中で一番ステージに近い位置から笑顔で応援。冒頭サビの後、1番で紅組歌手の方に近づいて歌っている目線の先にいるのはおそらくあややではないかと思われます。

 初出場を果たしたミキティにとっては、間違いなく心の支えになる存在だったのではないでしょうか。オンエアバトル方式の中間審査で出場歌手が集まるシーンでも、隣同士のツーショットが映っています。

第54回(2003年)「ね~え?」

ステージ

作詞・作曲:つんく
前歌手:モーニング娘。、Gackt
後歌手:布施 明鳥羽一郎
曲紹介:有働由美子・膳場貴子(紅組司会)
振付:YOSHIKO 踊り:ハロー!プロジェクト・キッズ

 この年の衣装はアラビア風のドレス。「ハッピーサマーウェディング」を金色にして王族風にした感じの衣装です。歌前のトークでは当時ソニーが開発した二足歩行ロボット・QRIOが四体登場。「フレーフレー紅組」と扇子を使った舞を使って応援しますが、感想を喋っている間に手に持っていた扇子を落とすのを見て「扇子落としちゃった」と指をさしてツッコミを入れています。そのままQRIOが曲紹介も担当。なおこの製品はAIBOとともに2006年新規開発・生産の中止が発表されています。

 「桃色片想い」もそうですが、この曲は本人出演の資生堂「ティアラ」のCMで話題になりました。2003年のCM出演数は5本、以降もコマーシャルの仕事は芸能活動休止まで長く続きます。そのため、意外と高くないCD売上と比べると認知度の高い曲が多いような気がします。「ね~え?」はCMもそうですが、当時インターネットやメールなどで一般的になり始めた(泣)(怒)といったカッコ文字の多用も個性的でした。それに合わせた顔芸?の披露もあります。

 ダンサーはあややと似た衣装のハロプロキッズ。後にBerryz工房℃-uteに発展しますが、このステージに参加したのは15名中10名です。メンバーは当時全員小学生、Wikipediaによると(汗)清水佐紀夏焼雅須藤茉麻菅谷梨沙子石村舞波鈴木愛理岡井千聖中島早貴萩原舞村上愛が参加していたようです。被り物の衣装のため髪型が統一されているので、正直申し上げると個人的に判別は困難です。

 後半からはどーもくん忍たま乱太郎おじゃる丸ドン・ガバチョといったNHKキャラクターも参加。さらに曲紹介で登場したQRIOと紅組司会のアナウンサー2名も、曲紹介エリアで一緒に踊っていました。

応援など

 この年のオープニングは赤い大きな羽根をつけた帽子が目立つ、かなり派手な衣装でした。全員集合する場面は、こちらもソロで初出場となった後藤真希の隣という立ち位置です。

 歌唱後は白い衣装(こちらも大きい羽根の帽子つき)に着替えて、辻希美・加護亜依と一緒に華原朋美の曲紹介に参加。この後にデュエットで歌うコロッケ美川憲一のモノマネをリクエストします。ここの曲紹介~ステージのくだりは既にレビュー済なので、詳しくはそちらを参照してください。

第55回(2004年)「冬の童謡~メリークリスマス&ハッピーニュー2005年~」

ステージ

「ママがサンタにキッスした」(日本語詞:漣 健児、作曲:THOMAS PATRICK CONNOR)
「風も雪も友達だ」(日本語詞:小林純一郎、作曲:STEVE NELSON, JACK ROLLINS)
「奇跡の香りダンス。」(作詞・作曲:つんく)
「手を握って歩きたい」(作詞・作曲:つんく)
「お正月」(作詞:東 くめ 作曲:滝廉太郎)
前歌手:BoA、EXILE
後歌手:nobodyknows+美川憲一
曲紹介:小野文惠(紅組司会)、小川直也
振付:夏まゆみ 踊り:ハロー!プロジェクト・キッズ

 紅白史に残る謎ステージです。元々安倍なつみを加えた3人組・後浦なつみのユニットで出場する予定でしたが、安倍さんの過去のエッセイ等における盗作疑惑で活動自粛&辞退から話がおかしくなりました。元々「恋愛戦隊シツレンジャー」を軸に3人の持ち歌を含めたメドレーを企画していたと思われますが、当然2人で後浦なつみの曲をやる訳にはいきません。したがって持ち歌以外は冬の童謡を主体とする、「新鮮」というよりは「苦肉の策」という形容の方がしっくりくる内容となりました。この年はNHKで相次いだ不祥事の報道で非常に風当たりが強く、合間の余興が旗揚げ合戦という有様で企画力にも難あり、さらに前年大トリのSMAPが辞退するという非常に厳しい状況でした。したがって同年のスタッフには、同情すべき部分が大きいです。

 セット転換の繋ぎとして曲前に登場したのは、”ハッスルハッスル”が話題になったキャプテン・ハッスルこと小川直也でした。裏番組の格闘技が最も盛り上がった時期ですが、小川さんと”気合いだ!”のアニマル浜口は苦境にあえぐ紅白歌合戦に協力してくれました。モーニング娘。Wが一緒に”ハッスルハッスル!”と応援した後にステージ開始。彼女たちだけでなく、小野アナの曲紹介に合わせて手でポーズする小川さんもちょっとだけかわいらしい?一面を見せています。

 前年10名参加だったハロプロキッズは、この年15名全員が参加。「もろびとこぞりて」のメロディーに乗せて挨拶後、後ろから白いドレスを着たメインの2人が登場。「ママがサンタにキッスした」「風も雪も友達だ」を1コーラスずつ歌います。長い紅白歌合戦の歴史で、童謡のクリスマスソングが歌われたのはこの時くらいです。当然2人がその後レコーディングした形跡も無く、紅白歌合戦以外でもコンサートで歌う機会は無かったような気がします。そう考えると非常に貴重なステージであることは確かです。

 ゴマキが舞台にはけて、僅かな繋ぎの間にあややは黄色いドレスに早替え。「奇跡の香りダンス。」のサビを歌います。その後登場したゴマキは赤いドレス姿、歌唱曲はこの年3枚シングルリリースがあったにも関わらず2002年の「手を握って歩きたい」でした。新曲でないのは気の毒の一語ですが、ステージの演出的には確かに一番よく合っている選曲です。

 ゴマキのソロ歌唱後あややが合流、ハロプロキッズも加えたダンスパフォーマンスを披露。リミックス色強めの音源でなかなかカッコ良い振付ですが、その後に流れるメロディーがまさかの「お正月」。年が明けるまでまだ3時間半、ずいぶん気の早い選曲です。

 ど~もくんうさじぃ、さらに翌年開催される愛・地球博のモリゾーキッコロといったキャラクターもステージに加わります。ハロプロキッズのメンバーは銀色の風船を持ちながらダンス、大団円感だけは間違いなく確かな物がありました。なお前年と違ってこの年のハロプロキッズは比較的区別が容易、「お正月」のラストショットで真ん中に陣取る嗣永桃子は当時から既に例の2つ括りの髪型です。

 後年のアキバ枠やSKE48/NMB48みたいな発想は当時おそらく思い浮かばなかったと考えられますが、今あらためて見ても普通にそれぞれの持ち歌2ステージずつで良かったような気はします。この年のあややは確かに前年と比べてCD売上が若干低下傾向にありましたが、それでもソロで1ステージ任せても全く問題のない人気は健在でした。この後の2年も含めると、当時のハロプロ内における企画ユニット連発で、紅白歌合戦でもっとも割を食った歌手であることは言うまでもありません。

応援など

 後藤真希とのユニット出演なので、登場シーンはオープニング(大きなリボンを基調とした赤いドレス)、「上を向いて歩こう」全員合唱(お揃いの銀色)、旗揚げ(水色のドレス)、エンディング(赤紫色のドレス)全て2人一緒の登場でした。なおエンディングはこの年が初参加です。

第56回(2005年)「気がつけば好きすぎて♪盛り上がって♪LOVEマシーン!」

ステージ

楽曲:「気がつけば あなた」「好きすぎて バカみたい」「LOVEマシーン」
作詞・作曲:つんく
前歌手:布施 明コブクロ
後歌手:氣志團、BoA
曲紹介:仲間由紀恵(司会)、みのもんた、山根基世、上川隆也
振付:夏まゆみ 踊り:ハロー!プロジェクト・キッズ

 この年からハロプロは1ステージにまとめられる形になりました。全体の流れはモーニング娘。のレビューで書いているので、ここではあややの出演シーンのみをまとめます。

 「気がつけば あなた」は本人出演の『午後の紅茶』CMで話題になりました。大ヒット曲ではありませんが、知名度はかなり高い方ではないかと思われます。この曲辺りから、ソロで歌う曲は落ち着いた曲調が増えたような印象があります。1コーラス歌唱、後ろで踊るハロプロキッズは水色のBerryz工房とピンクの℃-uteで衣装ごとに分けられています。ベリ工は前年まで8人でしたが、この年からは解散時まで続く7人体制でした。NHKBSと愛・地球博のキャラクターの登場や風船を持つ振付は、概ね前の年と共通しています。ラストで早替えのため真ん中中央に立つ嗣永桃子萩原舞が、誰よりも目立っています。

 DEF.DIVA「好きすぎて バカみたい」松浦亜弥が一番最後のソロパートを担当。他の3人が歌っている間に、肩を出したホットパンツの衣装に早替え完了。ソロとは違うセクシーな歌声を披露します。なお「LOVEマシーン」は当然ですが不参加でした。

応援など

 歌以外のシーンではDEF.DIVAのメンバーと一緒の出演が主体になっています。途中佐藤弘道おにいさんが登場して一緒に体操する場面も、メンバー4人参加でした。

 唯一ソロで登場したのは後半に設けられた企画コーナー『昭和・平成ALWAYS』。昭和40年代のテレビを模したセットをバックに、水色のドレス姿で「東京ブギウギ」を歌います。他にも様々な出場歌手が昭和の流行歌を披露しましたが、コーナーの最初を飾る楽曲でソロ1コーラスは一番良い待遇でした。安定した歌声と気品のある姿がとても素晴らしかったです。

第57回(2006年)「Thanks! 歩いてる 2006 Ambitious バージョン」

ステージ

楽曲:「Ambitious! 野心的でいいじゃん」「Thanks!」「歩いてる」
作詞・作曲:つんく
前歌手:坂本冬美、北山たけし
後歌手:Aqua Timez、藤あや子
曲紹介:仲間由紀恵(紅組司会)
振付:夏まゆみ 踊り:カントリー娘。 Berryz工房 ℃-ute

 この年はついにソロで歌う場面なく、完全にGAMのユニットの1人としての出演でした。内容はほぼモーニング娘。のレビューでも書いていますが、こちらもあやや中心に振り返ります。

 曲紹介では青色の衣装ですが、モーニング娘。が歌っている間に後ろで衣装替え。階段上にあるステージから登場します。なお相方の藤本美貴は中央で早替え後、階段を登って歌い始めるという演出でした。

 盛大な花火演出を横にする形で、2人一緒に歌います。1番Aメロを半分省略した1コーラス構成。プライベートでも親友同士の2人、息のあったチームワークを魅せるステージでした。歌唱後見つめ合う2人の笑顔も印象的です。

 ただステージで歌う場面はここだけで、当然ミキティはその後の「歩いてる」で再びモーニング娘。に合流。手が空く形になったあややは、なんと曲紹介の衣装に再び着替えて一緒に踊るという形になりました。モー娘。の後ろでステージに参加する彼女の姿は、紅白どころか他番組でもほぼ見られない光景ではないかと思われます。もしかすると、歴代ハロプロの紅白で一番サプライズ感の強い演出はここだったのかもしれません。

応援など

 紅組2番手、同い年で仲の良いBoAの曲紹介に登場。「何も用事がなくても電話をするくらい仲が良い」「何やってるのかな~と思ったら電話をするんですけど、日本の電話に繋がらない時は韓国の電話にも連絡をします」「3時だろうが4時だろうが平気で電話をしてきて、寝てたけどって言ったらじゃあいいって切りますから~」など、歌番組ではよくありがちですが意外と紅白では珍しいエピソードトークを、本人の目の前で披露していました。

 『みんなのうた』コーナーでは天童よしみと一緒に「南の島のハメハメハ大王」を歌唱、前年ほどではないですがやはりソロ歌手なので他のハロプロメンバーより扱いは良いです。後半のショーコーナーにも登場、”お嬢様風スタイル”を吉澤ひとみ藤本美貴と披露してポーズを決めています。

おわりに

 あらためて振り返ると、前半3回と比べて後半の扱いがあまりにも…という印象もあります。ただそれ以降の女性アイドル史を振り返ると、ここが女性ソロアイドルとして売り出す限界期だったような気もしないではありません。2005年前後からは実力派歌手を意識した落ち着いた楽曲が増えましたが、シングルリリースは残念ながら2009年の「チョコレート魂」が最後になります。子宮内膜症の診断を受けていたことも、自身の歌手生活に大きな影響を与える形となりました。

 とは言え彼女の歌手としての能力は極めて高く、人柄も素晴らしいものがありました。リアルタイムで当時、ハロプロはともかく彼女を嫌っていた人はほとんどいなかったのではないかと思われます。2013年にw-inds.橘慶太と結婚、その後は3児の母親となっています。

 それにしても先日発表されたネスカフェのCM、11年半ぶりの出演とのことですが、非常に素敵な女性になっています。人柄の良さはルックスの美しさにも直結するというのが自分の持論ですが、まさにそれに当てはまるような美しさです。ある意味ではアップフロントの大先輩・森高千里に共通する部分も感じます。歌声も相変わらず綺麗に澄んでいて、爽やかで素敵です。第一線からしばらくの間離れていても、やはり松浦亜弥の素晴らしさは何も変わっていないようでした。

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