紅白歌合戦・鳥羽一郎の軌跡~データ&エピソード編~

 紅白歌合戦の出場歌手を振り返る記事は、ここ最近1960年代~1980年代の人気歌手を振り返る内容が続きました。そのため平成に連続して出場した演歌歌手については、数多くいるにも関わらずここまで書く機会があまりありませんでした。というわけで今回は、デビュー40周年・1985年初出場・平成期は2007年までほぼ毎年白組から出場していた鳥羽一郎の紅白歌合戦を振り返ります。

 合計20回出場していますが、ステージ編は1記事にまとめます。今回はデータ編として、鳥羽さんが紅白歌合戦で作った記録やエピソードを紹介します。

鳥羽一郎の紅白歌合戦エピソード

鳥羽さんといえば、「兄弟船」

 まずは何と言っても「兄弟船」です。紅白歌合戦では合計7回歌われています。確率的には7/20、ほぼ3~4年に1回のペースで選曲されていました。

 同じ曲を何回も歌うケースはここ最近石川さゆり「津軽海峡・冬景色」「天城越え」の専売特許と化していますが、21世紀初頭は鳥羽さんの「兄弟船」と中村美律子「河内おとこ節」がその代名詞でした。

 今回同じ歌手によって7回以上歌われた曲について表にまとめました(「まつり」第69回は特別枠、「2億4千万の瞳」第62回はメドレーの1曲)。また、第58回時点での歌唱回数も緑文字で示しています。

 ここで記した通り、7回目の歌唱は第58回時点で史上初の記録です。現時点では史上6位タイ、白組歌唱曲としては史上2位タイ、トリで歌われていない曲としても「河内おとこ節」に次ぐ2位タイ記録になっています。出場回数に次ぐ比率(7回/20回)も、「河内おとこ節」の8回/全15回に次ぐ高さです。

楽曲歌手回数発表年初歌唱2回目3回目4回目5回目6回目7回目8回目9回目
天城越え石川さゆり121986第37回
(1986年)
第48回
(1997年)
第50回
(1999年)
第53回
(2002年)
第56回
(2005年)
第59回
(2008年)
第61回
(2010年)
第63回
(2012年)
第65回
(2014年)
津軽海峡・冬景色石川さゆり121977第28回
(1977年)
第33回
(1982年)
第44回
(1993年)
第51回
(2000年)
第58回
(2007年)
第60回
(2009年)
第62回
(2011年)
第64回
(2013年)
第66回
(2015年)
河内おとこ節中村美律子81989第43回
(1992年)
第46回
(1995年)
第49回
(1998年)
第53回
(2002年)
第55回
(2004年)
第59回
(2008年)
第60回
(2009年)
第61回
(2010年)
おふくろさん森 進一81971第22回
(1971年)
第41回
(1990年)
第45回
(1994年)
第50回
(1999年)
第56回
(2005年)
第57回
(2006年)
第59回
(2008年)
第66回
(2015年)
夜桜お七坂本冬美81994第45回
(1994年)
第47回
(1996年)
第58回
(2007年)
第62回
(2011年)
第63回
(2012年)
第67回
(2016年)
第69回
(2018年)
第72回
(2021年)
兄弟船鳥羽一郎71982第36回
(1985年)
第43回
(1992年)
第46回
(1995年)
第51回
(2000年)
第54回
(2003年)
第57回
(2006年)
第58回
(2007年)
さそり座の女美川憲一71972第24回
(1973年)
第42回
(1991年)
第54回
(2003年)
第57回
(2006年)
第58回
(2007年)
第59回
(2008年)
第60回
(2009年)
帰ろかな北島三郎71965第16回
(1965年)
第24回
(1973年)
第43回
(1992年)
第51回
(2000年)
第53回
(2002年)
第58回
(2007年)
第62回
(2011年)
風雪ながれ旅北島三郎71980第31回
(1980年)
第32回
(1981年)
第47回
(1996年)
第54回
(2003年)
第56回
(2005年)
第61回
(2010年)
第63回
(2012年)
まつり北島三郎71984第35回
(1984年)
第44回
(1993年)
第50回
(1999年)
第57回
(2006年)
第60回
(2009年)
第64回
(2013年)
第69回
(2018年)
2億4千万の瞳郷ひろみ71984第35回
(1984年)
第47回
(1996年)
第62回
(2011年)
第66回
(2015年)
第68回
(2017年)
第70回
(2019年)
第72回
(2021年)

徹底して海の男(趣味:羅針盤集め)

 タイトルは第46回(1995年)における白組司会・古舘伊知郎の紹介を抜粋したものですが、「兄弟船」に限らず鳥羽さんの歌唱曲はほとんどが海・港に関する内容です。

 「男の港」「北の鴎唄」「演歌船」「龍神」「足摺岬」「志摩半島」「海よ海よ」「大阪湾」「海の匂いのお母さん」。ほぼ全てに「海」「漁」「船」「港」がついて回ります。全く海が関係しない曲は「師匠」と「カサブランカ・グッバイ」しかありません。ちなみに曲の由来になったカサブランカはユリの一種で植物ですが、モロッコに同名の港町が存在します。

 大漁旗の応援は第46回(1995年)を皮切りに合計8回、漁師スタイルの衣装も3回。最初はバックの演出が何もない王道のステージが主でしたが、出場を重ねるごとに多様な演出が増えました。これについてはステージ編で詳しく扱うことにします。

兄弟でソロ歌手として何度も紅白歌合戦に出演

 鳥羽さんといえば海の男ですが、兄弟で歌手として活躍している点も特筆すべき部分です。弟の山川豊は鳥羽さんより1年先に「函館本線」でデビューしていますが、紅白出場は兄の鳥羽さんが1年早い形でした。

 弟の山川さんは翌第37回(1986年)に初出場、兄弟揃って出場となったのは第43回(1992年)でした。以降第44回、第48回~第52回、第54回、第56回と合計9回兄弟で紅白歌合戦に出演。第56回(2005年)では「海の匂いのお母さん」で兄弟同じステージに立つ形となっています。

 姉妹はザ・ピーナッツの16回を筆頭に、由紀さおり・安田祥子、第31回(1980年)の岩崎宏美岩崎良美、第60回(2009年)の倖田來未にゲスト参加したmisonoなど意外と多くいます。ただ兄弟は少なく、複数回出場はチェッカーズ藤井フミヤ・尚之兄弟の9回が目立つ程度です。ちなみに兄弟姉妹がそれぞれ別枠で出場したケースは、現在も岩崎姉妹と鳥羽兄弟のみです。

 兄弟に関連して、ウルトラファミリーの応援も第51回(2000年)・第57回(2006年)の計2回ありました。ただどちらも大変シュールな内容であったことは否めません。

鳥羽一郎の紅白データ~20回分のまとめ

 曲目については上にも書きましたが、20回分の簡単なデータは以下に表としてまとめています。CD売上は当時も高くないのですが、有線での人気と地方の漁師からの支持は非常に確かなものがありました。また、鳥羽さんは長年にわたって定期的に海難遺児チャリティー・漁港コンサートを開催。それらが平成期の連続出場に繋がった大きな理由ではないかと感じます。

出場回
年齢
歌唱曲作詞者
作曲者
発売日曲順主なデータ主な受賞他の発売曲
第36回
(1985年)
33歳
兄弟船星野哲郎
船村 徹
1982/8/25白組10番手/20組中1983年オリコン年間66位・全日本有線放送大賞上半期奨励賞・新人賞(1983年)
・メガロポリス歌謡祭新人賞(1983年)
・海の祈り
第39回
(1988年)
36歳
男の港穂積 淳、結城 忍
中村典正
1986/4/21白組16番手/20組中1986年オリコン年間222位
大分県佐伯市に歌碑有
・北斗船
第40回
(1989年)
37歳
北の鴎唄里村龍一
杉本真人
1989/5/21白組後半10番手/20組中1989年オリコン年間194位・帰港節
第41回
(1990年)
38歳
演歌船星野哲郎
船村 徹
1990/7/21白組後半16番手/20組中1990年オリコン年間178位・周防灘恋唄
第42回
(1991年)
39歳
師匠(おやじ)星野哲郎
船村 徹
1991/4/25白組後半7番手/18組中1991年オリコン年間218位・漁火港
・中仙道
第43回
(1992年)
40歳
兄弟船星野哲郎
船村 徹
(2回目)白組後半9番手/18組中・泉州春木港
・ねぶた恋歌
第44回
(1993年)
41歳
男の港穂積 淳、結城 忍
中村典正
(2回目)白組前半6番手/8組中・男岬
・だんじり
第46回
(1995年)
43歳
兄弟船星野哲郎
船村 徹
(3回目)白組後半6番手/15組中・厳冬・富山湾
・兄弟酒
第47回
(1996年)
44歳
カサブランカ・グッバイ内館牧子
三木たかし
1996/8/21白組前半4番手/10組中1997年オリコン年間325位・駿河男節
・北帰航
第48回
(1997年)
45歳
カサブランカ・グッバイ内館牧子
三木たかし
(2回目)白組前半4番手/10組中・時化酒場
・伊勢湾
第49回
(1998年)
46歳
龍神新本創子
杉本真人
1998/2/25白組前半4番手/10組中オリコン週間最高99位・日本レコード大賞最優秀歌唱賞・紀州街道
第50回
(1999年)
47歳
足摺岬星野哲郎
岡 千秋
1999/7/23白組前半3番手/13組中オリコン週間最高78位・彼奴(あいつ)
・佐渡の舞い扇
第51回
(2000年)
48歳
兄弟船星野哲郎
船村 徹
(4回目)白組前半11番手/14組中・海峡の春
・東海道
第52回
(2001年)
49歳
志摩半島里村龍一
美樹克彦
2001/8/22白組前半6番手/13組中オリコン週間最高95位
三重県志摩市に歌碑有
・夢・一本づり
第53回
(2002年)
50歳
海よ 海よ阿木燿子
宇崎竜童
2002/3/21白組前半11番手/13組中オリコン週間最高77位・おれの人生始発駅
・河内一代男
第54回
(2003年)
51歳
兄弟船星野哲郎
船村 徹
(5回目)白組前半9番手/15組中・親子船
第55回
(2004年)
52歳
大阪湾もず唱平船村 徹2004/7/20白組後半6番手/15組中オリコン週間最高46位
大阪府岬町に歌碑有
・スペイン坂
第56回
(2005年)
53歳
海の匂いのお母さん田村和男
船村 徹
1983/3/25白組前半11番手/15組中シングル「南十字星」B面
山川豊とデュエット
・男酒
・銭五の海
第57回
(2006年)
54歳
兄弟船星野哲郎
船村 徹
(6回目)白組前半2番手/14組中・母の磯笛
・サロベツ原野
第58回
(2007年)
55歳
兄弟船星野哲郎
船村徹
(7回目)白組前半2番手/15組中・浪漫ちっく東京
・夫婦船

 

 

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