紅白歌合戦・米米CLUBの軌跡

 前回は華原朋美について書きましたが、今回も平成期のJ-POPから米米CLUBの紅白史を書いていきます。

 1980年代後半から既に人気ミュージシャンの1組になっていましたが、紅白歌合戦初出場はドラマ主題歌の「君がいるだけで」が大ヒットした第43回(1992年)でした。以降白組歌手のJ-POP代表として、解散前の第47回(1996年)まで計4回インパクトの強いステージを展開します。再結成後の第58回(2007年)にも出場しているので計5回、ただ歌唱曲数は多く合計13曲・のべ18曲となっています。

 今回も冒頭でまとめの表を作った後にステージレビューに入りますが、第47回以外全てメドレー・ほぼ全て作詞作曲が米米CLUB表記なので、今回はタイトルと歌唱曲の内訳を表にする形で書いています。

米米CLUBの紅白データ~5回分のまとめ

出場回タイトル歌唱曲発売日曲順主なデータ主な受賞他の発売曲
第43回
(1992年)
君がいるだけで
~紅白バージョン~
君がいるだけで
なんちゅうこと言うの
1992/5/4白組後半13番手/19組中1992年オリコン年間1位日本レコード大賞受賞・ORION
第45回
(1994年)
手紙
~紅白バージョン~
手紙
浪漫飛行
1994/11/10
1987/10/21
白組前半トリ前オリコン週間最高6位・俺色にそまれ
第46回
(1995年)
米米CLUBヒット・メドレー
~DYNAMITE DIGEST SHOW~
JUST MY FRIEND
sure dance
I Can Be
愛はふしぎさ
ア・ブラ・カダ・ブラ
浪漫飛行
KOME KOME WAR
君がいるだけで
ワンダブルSUNでぃ
Shake Hip!
1995/5/21
1987/9/21
1985/10/21
1993/10/1
1994/3/25
(2回目)
1988/8/22
(2回目)
1985/4/21
1986/3/21
白組後半2番手/15組中・すべてはホントでウソかもね
第47回
(1996年)
浪漫飛行浪漫飛行(3回目)白組後半4番手/15組中・STYLISH WOMAN
第58回
(2007年)
愛君浪漫愛してる
君がいるだけで
嗚呼!浪漫飛行
1992/5/4
(3回目)
(4回目)
白組前半9番手/15組中・御利益
・WE ARE MUSIC!

第43回(1992年)「君がいるだけで~紅白バージョン~」

ステージ

歌唱曲:「君がいるだけで」「なんちゅうこというの」
作詞・作曲:米米CLUB
前歌手:チェッカーズ、小林幸子
後歌手:大月みやこ、森 進一

曲紹介:堺 正章(白組司会)

 小林幸子の豪華舞台装置ステージの後に登場。舞台交換に時間がかかるので、白組歌手総出で時間を繋ぎます。なぜか白組司会のマチャアキは、マイクではなくトラメガを持参。

堺「紅組は大したもんだー!」白組「そうだー!」
堺「あの衣装は小林幸子さんしか似合わないぞー!」白組「そうだー!」
堺「幸子さんはすごいぞー!」白組「そうだーそうだー!」
吉幾三「褒め殺しだぞー!」堺「(少し間を空けて)それを言っちゃおしまいだぞー!」
堺「しかし紅組も凄かったが正直言おう。白組もなんと、電気を食うグループが出てくるぞー!」
堺「用意はまだまだのようだぞー!(マイクに持ち替えて)こういう時は繋がなきゃいけないぞー!」吉「結構辛いぞー!」
堺「いくぞー!」前川清「恥ずかしいぞー!」堺「何?」
前川「恥ずかしいぞー!」堺「それはもう終わったぞー!」
嘉門達夫「そのセリフはさっき終わったぞ!」
堺「それじゃーいってみようかー!米米CLUBだー!「君がいるだけで、紅白バージョン!」

 電飾ギラギラ(の予定だった)の幸子さんの装置を搬出して、新しい2段仕様の骨組みセットを導入。6つの仕切りにそれぞれバンドの演奏メンバーやBIG HORNS BEEが一緒に入っています。イントロが始まってから、SUE CREAM SUEの2人とカールスモーキー石井が駆け足で入場。ギリギリ歌い出しに間に合う形になりました。

 歌が始まるとともに、手の空いているメンバーは全員が手拍子。それに観客も即座に反応、ワンマンライブのような雰囲気でステージが進みます。間奏では「石井さーん!」と叫ぶ女性ファンの声も聴こえます。

 フジテレビの月9ドラマ『素顔のままで』主題歌として大ヒットした「君がいるだけで」は、1992年のCDシングル売上1位を記録しています。売上枚数はオリコン調べで約290万枚、1999年の「だんご3兄弟」発売までは1990年代1位・歴代3位の売上記録を持っていました。既に多くの代表曲を持っている段階ではありますが、この曲のヒットで完全にJ-POPトップクラスの地位を手に入れます。またポップス・ロック部門と演歌・歌謡曲部門に分かれていた日本レコード大賞でも、前者の方で大賞を受賞しています。

 そのため、初出場ではありますが冒頭サビから2コーラス、カット無しでじっくり歌います。2番サビが本来ラストに入る歌詞の内容になっているで、そこの繰り返しがカットされているようです。Cメロを歌い切って演奏終了、と思いきや突然ファン以外にはあまり聴きおぼえのない変な曲が鳴り出しました。

 そういえばここまで姿を見せていなかったジェームス小野田が、このタイミングで舞台裏から入場。スカとファンクを混ぜ合わせたような演奏に乗せて、全員がダンスを披露します。”なんちゅうこというの”と連呼して2人の軽い掛け合い、そこから”どーしてそんなこというのかな”をまた連呼。「お茶の間の皆さんも一緒にどうぞ!」とコールしてまたそれを繰り返します。

石井「いやーこないだトイレ、後に入ったでしょ、(その間ジェスチャーと音のみ)もう溢れちゃ…」
小野田「……なんちゅうこというの!」

 BE(林部直樹)のギターソロに手持ち無沙汰のダンサーとBIG HORNS BEEが集まり、しまいにはジェームスさんが宙吊りになってステージ上に舞うパフォーマンス。「君がいるだけで」だけでなく、当時ライブのみで演奏されていたソーリーソング「なんちゅうこというの」も加えて約5分半演奏する非常に豪華なステージでした。

 歌唱後も爪痕を残します。石井さんが前に出て演奏を締めた後、「逃げろ!」のコールで一斉に走り去るダンサーたち。カメラはステージに向けられ、スタッフ総出でバンドメンバーを乗せたまま2段式のセットを搬出。石井さんはステージに残ってスタッフの動きを指示(しているフリ)。新しいセットが出来上がるとOKのサインを出し、(わざと)つまずきながら退場。小ボケ連発で会場を盛り上げていました。ちなみに紅白歌合戦で舞台交換の様子が映るのは、この時が史上初です。

その他

 日本レコード大賞出演のため、前半はオープニングも含めて出演無し。エンディングや他の場面でも姿を見せることはありませんでした。

 彼らの場合1980年代後半、あるいは2年前に「浪漫飛行」で出場しても全く不思議でない人気で、特に「浪漫飛行」は1990年のオリコン年間売上2位のヒットを記録しています。おそらく前年まではオファーがあっても辞退していたはずで、この年は「君がいるだけで」の大ヒットで特に交渉に力を入れていたものと思われます。

 この時期のメガヒットはCHAGE & ASKA、小田和正、プリンセス・プリンセス、サザンオールスターズ、松任谷由実、中島みゆき、B’z、小泉今日子、今井美樹、浜田省吾など辞退が相次ぐ状況でした。そのためこの年に米米CLUBを紅白に呼び込めたのは番組にとって非常に大きな出来事だったと言えます。

第45回(1994年)「手紙~紅白バージョン~」

ステージ

歌唱曲:「手紙」「浪漫飛行」
作詞・作曲:石井竜也(「手紙」)、米米CLUB(「浪漫飛行」)
前歌手:藤井フミヤ、Dreams Come True
後歌手:島倉千代子、小椋 佳
曲紹介:古舘伊知郎(白組司会)

 当時バラエティ番組に多数出演していた周富徳が客席から登場。美川憲一をアシスタントに従えて、古舘さんの実況を交えながら生で料理を披露。40秒近くでカニチャーハンを作ります。「ここで読めました。皆さん、カニとは英語でスペルは違うがクラブ。そしてもちろんチャーハンの原材料はお米。クラブとお米、米米CLUB!」これだけのために周先生をわざわざ呼んで料理までしてもらうという随分な展開です。なお、紅白歌合戦の番組内で調理するシーンを生で披露したのは、後にも先にもこの時のみ。

 「ア・ブラ・カダ・ブラ」「俺色にそまれ」といったヒット曲もありましたが、紅白でメインを歌う曲はバラードの「手紙」。対戦相手のDreams Come Trueが同様に当時最新曲の「すき」だったので、それを意識した選曲であるように見えます。バンドメンバーは暗転状態で、歌う石井さん以外で映っていたのは真横でキーボードを演奏するフラッシュ金子のみでした。

 1コーラス歌った後に舞台が明るくなり、歓声が起こる中で「浪漫飛行」のイントロが流れます。Cメロありの1コーラス半を、伸びのある声で歌い切るステージでした。

 この年の前半は21時を過ぎた時間帯、トリ前に組まれたDreams Come Trueとの対決が大きな見どころになっていました。両曲とも2曲歌唱・5分を超える演奏時間で非常に力が入っています。ただこの年の大ヒット曲「すき」「WINTER SONG」を圧倒的な歌声で聴かせたドリカムと比べると、あまりヒットしていない「手紙」と名曲とは言え過去曲の「浪漫飛行」の組み合わせは若干物足りないという印象もありました。紅白出場以前はパンキッシュなパフォーマンスもテレビでよく見せていましたが、「君がいるだけで」で本人が売れ過ぎたと語る通り、以前のようなイメージで認識されなくなったのが米米CLUBにとって難しい部分でもありました。もっとも番組的には前年辞退だったのを呼び戻せたということで、それだけでも十分成功の部類に入っています。

その他

 この年以降は番組全編にわたって参加、白組トップバッターの曲紹介ではサングラスにハットを被った正装のバンドメンバーの姿が映っています。歌い終わってからも、本番の衣装のまま前半大トリ・小椋佳「さらば青春」のステージに全員で参加しています。

 カールスモーキー石井は、この年5年ぶりに紅白復帰となった沢田研二の曲紹介に登場(ステージレビューはこちら)。古舘さんと漫才のようなテンポの良いトークを繰り広げてます。

古舘「さあ、石井さんですけども」
石井「紅組が勝ちですね」古舘「やめてください、それは」
石井「いやだってあんな、花まで用意してるんですよ向こう」
古舘「花はちょっとねぇ…。だけど大丈夫ですよ。ちゃんとあのカニチャーハンから米米の流れはねぇ」
石井「いやカニチャーハンはお客さんに渡ってないでしょ?あっちは渡ってますからね客に。買収に入ってますからね」
古舘「石井さん。次の方で挽回しましょう。米米CLUBもやっぱり歌うボリショイ・サーカスと言われるだけあって」
石井「どういう意味ですか、それは!」
古舘「いやいや、ものすごく派手でカッコ良いですけど。この人も派手でカッコ良いですよ」
石井「すごいですよー。僕も『河童』って映画作りましたけどね、この人もある意味では怪物ですからね。モンスターですよ」
古舘「もしかしたら『河童2』は上沼さん主役で撮ろうとしてらっしゃる」
石井「いやいやいやそんなことないですけどね。やっぱりモンスターと言えば、日本のミック・ジャガーじゃないかなって僕思うんですよ」
古舘「この人ね!それじゃ一つ控えめにですね、軽く紹介して頂けますか?」
石井「厳かにいってみましょう。久しぶりに。ジュリ~~~!」

第46回(1995年)「米米CLUBヒット・メドレー ~DYNAMITE DIGEST SHOW~」

ステージ

歌唱曲:「JUST MY FRIEND」「sure dance」「I Can Be」「愛はふしぎさ」「ア・ブラ・カダ・ブラ」「浪漫飛行」「KOME KOME WAR」「君がいるだけで」「ワンダブルSUNでぃ」「Shake Hip!」
作詞・作曲:米米CLUB
前歌手:H jungle with t、Dreams Come True
後歌手:松田聖子、谷村新司
曲紹介:古舘伊知郎(白組司会)

 メジャーデビュー10周年イヤーを迎えたこの年は、年末歌番組での活躍が目立った年でした。Mステスーパーライブでは、「JUST MY FRIEND」の演奏を急遽途中で止めて「露骨にルンバ」に切り替えるという伝説を作っています。

 この紅白歌合戦はなんとヒット曲満載の10曲メドレー。1ステージで10曲も披露するのはまさに前代未聞、実際この後1回の紅白で10曲も歌った出場歌手は誰もいません。

 早速ステージレビューに入りたいところですが、前年同様この年も斜め上の方向で曲紹介が凝っています。TOKIO社中の囃子演奏に乗せて、森進一堀内孝雄郷ひろみ前川清美川憲一五木ひろしの6人が裃姿で俵を持ちながら登場。後ろを向くと俵の底にそれぞれ「米」「米」「C」「L」「U」「B」、長瀬智也が「米」と書かれた旗を持ちながら横切るオチ。「さぁ、次なる出し物は、御・米米ク…ラーブ…大体いいでしょう、これで。」古舘さんの口上後、そのまま演奏が始まってテンポ良くステージの曲紹介。「さあ年に一度の米米が紅白のためにだけ歌う、魅力の詰め合わせ全10曲。不思議の国の大魔術団がいま大晦日にシャウト!米米CLUBヒットメドレー、DYNAMITE DIGEST SHOW!」

 まずはこの年に発表された「JUST MY FRIEND」のイントロ~サビ。スーパーライブでは先述の通り途中で演奏ストップしましたが、NHKでこれをやると間違いなく苦情殺到出入り禁止になります。そのままスムーズに「sure dance」のサビ~「I Can Be」サビ、合間で軽いメンバー紹介もはさみます。

 続いては「愛はふしぎさ」、軽快なイントロ演奏がたっぷり入りますが、歌唱はラストサビ手前の1節のみ。そのまま「ア・ブラ・カダ・ブラ」のサビに直接入ります。アブラカダブラ…と連呼した後はお馴染みのイントロ。「さあみんなで歌おう!「浪漫飛行」!さあ手拍子!テレビの前のみんなも歌ってね!」と乗せるだけ乗せますが、「浪漫飛行」は”「逢いたい」と思わない…”で終了。カメラが右方向にズッコケるという動きまでつく見事なフリオチです。

 「KOME KOME WAR」、さらに「君がいるだけで」とどんどん続きます。いつの間にやら9曲目、「ワンダブルSUNでぃ」はこの年に発表されたCMでお馴染みの曲でした。ラストは「Shake Hip!」、サビばかりのダイジェストが続いた中でこの曲だけは1コーラス+ラストで比較的長く歌う形になりました。

 これまでの2回は石井さん以外、アップで映る場面は少なめでしたが、この年は小野田さんやSUE CREAM SUE、BIG HORNS BEEに至るまで非常に細かいカメラワーク。何度もメンバーのショットが映っています。正規メンバーとサポートの境界線が曖昧になった頃ですが、ステージに参加しているのは17人…でしょうか。そのためラストでは、演奏そっちのけで両手を上げて踊っているのに音だけはバッチリ聴こえる…という場面もありました。

その他

 ステージは黄色い衣装でしたが、オープニングは赤い衣装で石井さんとダンサー4人が代表して登場。階段上に陣取る美川憲一などとともに、古舘さんには歌う貴重品預かり所コーナーと実況されています。その意味不明な命名に、思わず石井さんズッコケ。

 前回沢田研二の曲紹介に登場した石井さんは、この年小林旭の曲紹介に登場。背中にギターを背負いながら「♪オ~~~レハ~~~アキ~~ラダ~~~」と裏声で絶叫。コモリアキラと自己紹介しますが、ご本人が階段ステージからその様子を見ています。驚いた石井さんはこれを見て、「アキラ~~~~」と絶叫するオチでした。

第47回(1996年)「浪漫飛行」

ステージ

作詞・作曲:米米CLUB
前歌手:玉置浩二、松田聖子
後歌手:globe、(ショーコーナー)、南こうせつ
曲紹介:古舘伊知郎(白組司会)
振付:菊池ヒロユキ

 歌う前にトークコーナーあり。カールスモーキー石井とジェームス小野田が登場。話題はもちろん、翌年3月に迎える解散についてです。

小野田さんが最初から最後までずっと大笑いする中で
古舘「サウンドのテーマパークと言われる米米CLUB、3月で解散ということで。これはですね、大コンサートを前にしてその後どうするの?というのは、ファンの正直な気持ちだと思うんですけどもね」
石井「3月で米米CLUBが解散しましてね、4月から麦麦クラブっていうのでまたデビューしようと思うんですけどね」
古舘「正月になると餅餅クラブになるわけですね。冗談抜きに、今の心境とかどうですか?」
石井「今の心境はやっぱりほら、(小野田さんを指して)顔で笑って腹で泣いてるんですよ。そういう心境ですね」
古舘「だけどもテレビも歌い納めという所がありますから、今日パーッといって頂けますか?」
石井「パーッといきましょう!」
古舘「小野田さんひとつよろしくお願いいたします」
石井「笑ってますから大丈夫ですよ!」
古舘「それではスタンバイの方お願いします」
石井「いきましょう!」
古舘「正直どうしようかと思いましたけども」

「本当にこの紅白、今年米米CLUBとしては、最初にして最後のテレビ出演。「浪漫飛行」です、どうぞ!」

 この年も3月にシングル「STYLISH WOMAN」発売はありましたが、テレビ出演は曲紹介の通りこの紅白のみでした。初出場でない出場歌手では、非常に珍しいケースです。なお翌年は解散コンサート直前の2月28日に、ミュージックステーションに出演しています。

 解散と銘打っての紅白出場は4年前のチェッカーズ以来2例目ですが、選曲はメドレーではなく「浪漫飛行」フルコーラスでした。前年のメドレーを入れるかどうかはやや見解分かれる所ですが、3年連続同じ曲を紅白で歌った例は千昌夫「北国の春」以来当時2例目のケースとなっています。メンバーは白と黒をテーマにした衣装、石井さんが歌う後ろで小野田さんがどこかの宗教の教祖のようにステージを盛り上げています。

「米米CLUB、デビューして14年でございますけど、全国のファンの皆さん、本当にどうもありがとうございました!」

 石井さんのメッセージと熱唱が胸を打つ素晴らしい内容ですが、ただで終わらないのが本来の米米CLUB。ラストサビでドラム以外のメンバーが一斉に石井さんの元に集合。ステージの端ギリギリまで迫ってきて、中にはカメラで記念撮影しているメンバーもいます。

「ちょっとおい!」「待てよ!」「ちょっと…!」「素人じゃないんだからオマエ!おい!歌えない…」あまりの勢いに、石井さんがステージから落下するハプニングが発生してしまいました。階段2段分くらいの高さなので怪我はありませんが、さすがに困惑している様子。ステージ終了後は急ぎ足で逃げるように退場、紅組司会の松たか子「気をつけてください」と思わず声をかけます。客席はもちろん、次のglobeの曲紹介で待機しているtrfのメンバーや安室奈美恵も大爆笑していました。

その他

 カールスモーキー石井はこの年後半もう一つ見せ場がありました。それは渥美清さんの追悼で「男はつらいよ」を出場歌手全員で歌うシーン。1番ラストのソロを任された石井さんは、なんとここで渥美さんの声マネを披露。横にいた松田聖子が思わず振り向き、会場も大きな拍手に包まれました。

第58回(2007年)「愛君浪漫」

ステージ

歌唱曲:「愛してる」「君がいるだけで」「嗚呼!浪漫飛行」
作詞・作曲:米米CLUB
前歌手:(おしりかじり虫)、AKB48/リア・ディゾン/中川翔子
後歌手:絢香、ポルノグラフィティ
曲紹介:笑福亭鶴瓶(白組司会)他

 この年ブームになった「おしりかじり虫」のステージ後、いわゆるアキバ枠ステージと込みで曲紹介。笑福亭鶴瓶中居正広松本和也住吉美紀の司会陣の他に、関根勤・関根麻里親子、タカアンドトシもやり取りに参加する賑やかさです。紅白では珍しく押しの指示があったので、関根勤がジェームス小野田と犬の散歩でお会いした時のトークを披露。「最初はメイクしてなかったから、小野田さんって分からなかったんですよ。ですからいつもメイクして外歩いていて欲しいです」。鶴瓶さんも「階段降りて来はるんですよ。階段ね、こう向こう見んと手探りで…」と自由なやり取り。

 AKB48を筆頭とするアイドル軍団が「なんてったってアイドル」で締めた後に、階段セットを回転させる形でメンバー登場。石井さんは「2001年宇宙の旅」のメロディーに乗せて、「A~~K~~B~~、フォーーーティエーーート!リア・ディゾン、リアディゾン、しょこたんしょこたん…」と歌い出します。

「さあさあさあ、親御さんが心配していますよ。早く帰りましょうね。はい、はい、はい、はい。小娘たちはもう帰りましょうバイバーイ!。はい危ないですから、その辺のおじさん危ないですよ気をつけて。ミカン食ってますかーーー!OK!米米CLUBがお茶の間に帰ってきましたー!ジェームス・オノーダ!」

「米米CLUBです!世界中の皆さん、愛してます!」

 20名近くのメンバーが例年ステージに立っていましたが、このステージは正式メンバーのみで9名。50人近くのステージを見た後ということもあって、米米CLUBなのに人が少ないという1990年代ではありえない新鮮な感覚です。

 紅白初歌唱の「愛してる」サビを歌い上げた後、「君がいるだけで」をサビ+Cメロ。石井さんは米米解散後もずっとソロで音楽活動をしているので相変わらずの歌唱力の高さですが、他のメンバーも思いのほか大きな変化はありません。人数が少なくなった分?ダンサーやバンドメンバーのショットも1990年代より格段に多い様子です。

 ラストはやはり紅白4回目となる「浪漫飛行」、編曲がアップデートされて「嗚呼!浪漫飛行」とテロップ表示されています。石井さんはサングラスをかけての登場でしたが、この曲では外しています。この年の紅白歌合戦前半は非常に慌ただしくゴチャゴチャしていた進行でしたが、彼らのステージはそういった雰囲気を一気に締める形にもなっていました。

 歌い終わってから、白組司会の鶴瓶さんと石井さんで台本無しのフリートーク。曲紹介でもあった通り急な階段を降りるのが怖かったということと、オリジナルメンバーで揃うのが嬉しいということ、鶴瓶さんのゲスト審査員いじり、自宅で歌を歌ってくれたことを話した所で中居さんが引き取る内容でした。

その他

 メンバー全員オープニング・エンディング(「世界に一つだけの花」の全員合唱も含む)に参加、石井さんは北島三郎「帰ろかな」のステージにも顔を見せています。北島さんが歌う後ろ、中川翔子アンジェラ・アキの間にいるという立ち位置でした。

おわりに

 米米CLUBの活動史は本来紅白歌合戦の出場のみで語るべき物ではなく、一部のアルバムやコンサートは超メジャー番組である紅白歌合戦の真逆をいく内容になっています。それでも突如ソーリーソングを歌う初出場や前代未聞の10曲メドレー、メンバー全員暴走してメインボーカルをステージから落下させるなど、可能な限り正統派と異なるステージングを見せた部分はやはり米米CLUBらしさではないかと感じます。またカールスモーキー石井のMC術も間違いなく確かで、古舘伊知郎が白組司会を務めた第45回~第47回はその長所を活かした箇所もしっかり用意されていました。

 紅白歌合戦はDreams Come TrueX JAPANと同様、1990年代中盤には珍しい「ほぼ毎年出場して頂ける大物J-POPアーティスト」の1組でした。そのため番組内では歌唱時間も一定時間確保され、上質なステージを必ず見せてくれる存在であったことは間違いありません。あらためて聴き直すと石井さんのボーカルは声量・ピッチともに抜群の安定感で、もっと再評価されるべき存在ではないかと思います。

コメント

  1. “第45回(1994年)「手紙~紅白バージョン~」”の”その他”の文章において
    “小沢田研二”という誤植を見つけたので
    訂正をお願いします。
    それにしてもこうして記事を読みながら
    彼らの紅白史に触れると、彼らはどの
    出場回においてもエンターテイナーらしさにこだわっていたんだなということを
    実感します。
    あと、例の10曲メドレーがラストステージではなかったというのが新鮮な気付きで意外でした。

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