今週のビルボードチャート~5/18(米津玄師、アンジュルム、岡野昭仁×井口 理他)

今週のチャート総評

 ここ最近CDセールスの強い曲が1位になるケースが続いていましたが、今週は3週連続それらに阻まれていたOfficial髭男dism「ミックスナッツ」が初の1位獲得。「Cry Baby」が2位止まりということもあって、1位は2020年の「I LOVE…」以来約2年ぶりとなりました。順当に今年を代表するヒット曲に成長しています。

 今週は映画『シン・ウルトラマン』公開が大きなトピックですが、主題歌の米津玄師「M八七」も2位に初登場。MVも映画と同日に公開開始、したがって集計期間は3日間のみですがダウンロード1位・動画再生9位・ストリーミングも早々に44位となっています。来週はCDセールスも集計されますが、フィジカルが強い楽曲のリリースもあるようです(今週は日向坂46リリースの予定が延期になった週でした)。果たしてどうなるでしょうか、チャートの行方が非常に楽しみです。

 3位はアンジュルム「愛・魔性」。相変わらずストリーミング解禁がないので、約8万枚のCDセールスがポイントのメインになっています。MV再生数132万は、ここ最近の彼女たちの作品ではかなりペースが早いです。3曲A面で、他2曲の「ハデにやっちゃいな」は78万、「愛すべきべきHuman Life」は70万の再生数を記録しています。

 SEKAI NO OWARI「Habit」が6位まで上昇しました。先日更新した再生数ランキングが示す通り近年は「silent」が代表曲という認識ですが、それが塗り替えられそうな勢いです。特にYouTubeは2日間で100万再生という状況で、相当伸びています。ポイントはストリーミング8位が半分を占めますが、動画指標は2位でした。そこから20%近く集計されているので、上位進出にあたって非常に大きな役割を果たす形になっています。

 19位にあいみょん「初恋が泣いている」が初登場。ダウンロード・ラジオ指標で3位になっています。ドラマ『恋なんて、本気でやってどうするの?』主題歌、ドラマタイアップはもう7回目です。すっかりお馴染みになりました。CDも6月8日に発売予定、それまでにおそらくフルMVもアップされるのではないかと思われます。

 21位はTOMORROW X TOGETHER「Good Boy Gone Bad」。ストリーミング15位・動画指標14位です。

 LINE MUSICキャンペーン中の私立恵比寿中学「青春ゾンビィィズ」は58位から23位までアップしました。元JUDY AND MARYのTAKUYAが楽曲提供している、メジャーデビュー10周年記念デジタルシングルです。なおめいちゃん「ラナ」は今週もストリーミングチャート1位ながらポイントに係数がかかって総合63位ですが、先週アナウンスされた以下の方針は1位の曲のみに有効らしいです。ただ調整がそれだけだと上位はともかく、下の方は逆に正確性を欠く結果になりそうな気もしますが、大丈夫なのでしょうか。


 岡野昭仁×井口理「MELODY (prod.by BREIMEN)」が36位に初登場。ダウンロード4位・ラジオオンエア7位につけています。ストリーミング配信も開始してますが、Spotify再生数はまだ24.8万・デイリー130位で大きくは動いていないようです。また51位にはJO1「Walk It Like I Talk It」、57位にはBiSH「LiE LiE LiE」が初登場。前者は細かい配信開始、後者は細かいCDリリースがあるたびにランクインが続いている状況です。64位にもSUPER★DRAGON「Brand New Music」が初登場。

 72位のちゃんみな「ハレンチ」は、先日の「美人」同様THE FIRST TAKEきっかけのランクインです。75位のりりあ。「じゃあね、またね。」はラジオ指標1位、映画『バブル』主題歌であると同時に全国ラジオ局パワープレイとなっています。79位に優里「うぉ」はダウンロード6位からスタート、Spotifyデイリーでは既に68位なので、これまでの楽曲と同様また少しずつ順位が上昇するものと思われます。

 ゴールデンウィークの次の週という時節的な関係で、ロングセラー組のポイントは全体的に微減傾向です。ここ何週もポイント数を更新し続けていたTani Yuuki「W / X / Y」も今週は若干下げています。星野源「喜劇」も微減傾向です。先週初登場のLE SSERAFIM「FEARLESS」も400pt減少ながら順位キープで早くもロングセラー組入り。ストリーミング5位・現在Spotifyデイリーでも17位なので着実に数字を稼いでます。

 フィジカルで1位だったENHYPEN「Tamed-Dashed」は今週もセールス2位、総合でも12位に留まっています。さすがにINI「CALL 119」は8週目となると息切れで、4位から16位にダウン。なにわ男子PSYも順位を大きく下げています。一方Novelbright「愛とか恋とか」きゃない「バニラ」はストリーミングで着実に再生数を増やして、初のTOP50入りとなりました。

 先週の水曜日・5月11日朝に、上島竜兵さんの訃報が大きなニュースになりました。ダチョウ倶楽部の3人が出演したケツメイシ「友よ~この先もずっと…」のMVは今年3月24日現在で7807万再生だったのが(再生数ランキングより)、記事更新時点で8639万にまで伸びています。今週の動画指標1位はこの曲、ダウンロードやストリーミングも伸びた結果総合で39位に再ランクインとなりました。それだけ生前の上島さんが広く多くの人に愛されていたことが分かる結果となっています。なおYouTubeの同作品は2016年リリース時アップ分2018年12月に公開されたHD版の2種類が存在、再生数ランキングの記事に関しては合算集計という形にしています。

今週のピックアップ曲

米津玄師「M八七」

 『シン・ウルトラマン』主題歌ということで、楽曲・映像ともにそれと見合った非常にスケールの大きな内容になっています。説得力の強い歌詞を歌い上げる米津さんの声と姿が、これまでの楽曲と比較してもより印象に残りやすい内容ではないかと感じました。

 映画の初週興行収入は『シン・ゴジラ』を上回る数字を記録、こちらも5日間でYouTube650万再生というペースなので相当な再生数を記録するのは間違いないと思われます。1億再生を達成した曲数は過去に12ありますが、おそらく到達するのではないでしょうか。さすがに「Lemon」の7億は難しいと思いますが…。

アンジュルム「愛・魔性」

 ラテンの風味とEDMを織り交ぜたダンス歌謡に仕上がっています。いわゆるラテン歌謡は1980年代から常時ヒット戦線に食い込んでいますが、過去にヒットした曲は音の使い方がことごとく日本人好みという印象があります。今回の曲もズバリ言うと、その法則に則って完成度の高い人気曲を作ったという形と言えそうです。新しさは正直言ってほとんどありませんが、安定のクオリティの高さはこういった楽曲だとやはり間違いなく保証出来ることがよく分かります。

 今のアンジュルムはダンス・歌声ともに日本を代表するプロフェッショナル集団なので、どういった楽曲でも表現力はお手のもの。K-POPのダンスミュージックとは種類が違う、日本ならではの歌謡ダンスを味わうには是非お薦めしたい作品です。

BUMP OF CHICKEN「クロノスタシス」

 ロングセラー中のこの曲はランクインした週からMVが公開されていますが、ここまで機会がなかったので今回あらためて書きます。コナン映画最新作の主題歌、興行収入ランキングは今週末発表分でも2位なのでそちらでもロングセラーになっています。

 5分半を超える曲の長さは過去のバンプにもいくつかありますが、最近では非常に珍しくなりました。内容はズバリ長年続くバンプの王道という印象で、正直言うと今さら書くべきこともありません。単純に「良い曲を聴きたい」という人には一番お薦め出来る楽曲で、実際映画を見た人の反響も上々のようです。この曲が好きならバンプも自然に好きになるという印象もあり、そういう意味では昔のバンプをよく知らない若い人にもまず薦めるべき曲と言って良いかもしれません。

岡野昭仁×井口 理「MELODY (prod.by BREIMEN)」

 レコーディング映像はYouTubeでアップされていますが、MVが作られる保証がないのでSpotify音源のリンクとします。コラボのきっかけはラジオ番組の共演だそうです。

 作詞作曲は岡野さんでもなく井口さんでもなく、新進気鋭のミュージシャン・BREIMENの高木祥太が担当。その音作りは従来の楽曲展開を無視するような進行も多く前衛的、歌唱力というよりリズム感が長けていないと歌えないようなメロディーです。というよりこの楽曲で「MELODY」というタイトルをつけるのが逆説的とも言いますか…。

 先の読めない展開は新しい音楽を聴く上で最高の面白さが詰まっていて、大物2人の共演以上に大きな意味を持つ楽曲ではないかと思います。多くの人に聴いて欲しいナンバーです。

りりあ。「じゃあね、またね。」

 大型タイアップにパワープレイ、業界からの期待が大きい新鋭です。2020年11月にトイズファクトリーからメジャーデビュー、昨年にはMステ出演もありました。デビュー前からTikTokやYouTubeでの弾き語り動画が話題になっている人でもあるようです。

 弾き語り動画に近いミュージックビデオで、実際にはリリックビデオと言った方が正確な映像です。ギター弾き語りで歌う曲は、声質もひと昔前に大ヒットしたYUIを彷彿とさせます。高音から歌詞以上の切なさと心地良さを感じさせる部分に、彼女の才能が詰まっているように感じました。

 ここ5年くらいギター弾き語り女性ソロは人数の多さに反して全くブレイクしない状況が続いていますが、果たしてどうなるでしょうか。ストリングスの多さが、彼女の売り出しに力を入れていることがよく分かる1曲です。

 

 

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