今週のビルボードチャート~6/22(Ado、幾田りら、山下達郎他)

今週のチャート総評

 最新アンソロジーアルバム『Proof』収録曲のBTS「Yet To Come (The Most Beautiful Moment)」が今週の1位です。アルバム曲なのでフィジカル加算はありませんが、ストリーミング1位・動画3位・ラジオ2位などそれ以外でしっかりポイントを稼いでいます。アルバムは今週集計分からCD売上のカウント開始、49万枚の売上は2位のヒプノシスマイク -Division Rap Battle-『CROSS A LINE』を45万枚も上回る圧倒的な数字です。


 4位はNEWS「LOSER」が初登場。CDシングルは「三銃士」との両A面リリースです。「LOSER」がドラマ『吉祥寺ルーザーズ』OPテーマ、「三銃士」は「weeeek」「U R not alone」に続く3作目のGReeeeN提供曲になっています。それぞれの映像DVD/ブルーレイが付属している「LOSER」盤と「三銃士」盤に通常盤、Amazonではセット販売までされることを考えると、やはり複数買い需要の方が多いということでしょうか。ポイントに占めるリッピングの割合も、他のジャニーズ勢と比べるとやや低めです。なおCD売上は13万枚ほどでした。


 5位のOCTPATH「Perfect」は2ndシングル、9万枚のCD売上を記録しています。前作「IT’S A BOP」より少し売上を下げました。CDセールス中心ですが意外にラジオ指標が高く3位、全体の20%を占めて順位上昇に大きく貢献しています。JO1に続く存在ですが、リッピング82位でほぼ計上されていない辺り知名度アップはまだまだこれからという段階でしょうか。


 12位は幾田りら「レンズ」。ドラマ『持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~』主題歌、ダウンロード指標で1位を記録しています。今年はYOASOBIのリリースが「ミスター」「好きだ」くらいで昨年までと比べて落ち着いていますが、その分「スパークル」やコラボ曲「ばかまじめ」などソロでの作品がここまで目立っているようです。先々週はTHE FIRST TAKEで歌唱、この影響も大きいような気がします。

 23位にnobodyknows+「ココロオドル」がランクイン。2004年に紅白歌合戦出場まで至った大ヒット曲ですが、これもTHE FIRST TAKE効果です。6月10日公開分は現在850万再生、昨年10月にアップされたオリジナルMVよりも多くなっています。動画指標で2位、加えてダウンロード指標でも21位・ラジオ指標92位と思わぬ効果が発生しています。これまでのTHE FIRST TAKEの中でも特に再生数が多くなっているようで、注視が必要です。そろそろ夏の音楽特番シーズンですが、もしかするとそこで見られる機会もあるのかもしれません。

 32位は超特急「クレッシェンド」。TBSドラマ『理想ノカレシ』主題歌ですが、ランクアップはLINE MUSICキャンペーンによるものです。すっかりこのキャンペーンが順位を押し上げるムーヴも定着しましたが、それが最初に確認できたのは昨年7月の「CARNAVAL」でした(当時の記事)。

 43位はMrs.GREEN APPLE「ブルーアンビエンス feat. asami」、アルバム『Unity』からの先行配信でラジオ順位17位。46位の山下達郎「LOVE’S ON FIRE」は配信無し、なんとラジオ指標1位だけでランクインしました。『関ジャム∞完全燃Show』では2週にわたってインタビュー出演するなど、これまでの作品以上に大きなプロモーションを展開中です。なおMVはアルバム発売日にフル公開されました。

 64位はYouTubeで人気の歌い手の肉チョモランマ「モンスター」が初登場。LINE MUSICキャンペーン展開中です。76位のJO1「ALL HOURS」は全編英語詞の意欲作。98位にSnow Man「オレンジkiss」、100位にwacci「恋だろ」が初登場。またBTSの『Proof』からは「Born Singer」「For Youth」もそれぞれ65位と67位に初登場、「Dynamite」「Butter」なども含めて合計7曲がHot100入りという結果になりました。

 SEKAI NO OWARI「Habit」のポイントは先週よりもさらに3000ほど増加。YouTubeでは公開から50日ほどで早くも3700万再生です。なおHIKAKINのパロディーは公開11日でなんと1010万、国内No.1のYouTuberの影響力は尋常でないことをあらためて示す結果になっています。

 先週9位に初登場のAdo「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」はポイントを1.5倍にして6位にランクアップ。各要素好調ですが、一番順位を上げた指標は58位→7位のラジオです。Uru「それを愛と呼ぶなら」が14位→11位、きゃない「バニラ」も24位キープですが順位を上げています。Novelbright「愛とか恋とか」は先週より少しポイントダウン。有華「Partner」は45位キープですがポイント上昇、YOAKE「ねぇ」も53位キープ。CHEHON「韻波句徒」さとうもか「melt better」もまだ順位上昇が続いています。

今週のピックアップ曲

NEWS「LOSER」「三銃士」

 2曲とも2分半のショートバージョンなのでレビューするには少し足りないですが、あいにく先日のCDTVライブライブ出演時に呟いたツイートが結構なバズリ具合なので、無視するわけにもいきません。簡単ではありますが感想を書こうと思います。

 「LOSER」は人数が3人しかいないとは思えない迫力のサビが冒頭からガツンと来ます。聴き応えのあるスケール満点の楽曲で、十数年前とは全く別種類のカッコ良さがあります。GReeeeNが楽曲提供した「三銃士」も当時とは種類の違うリズミカルなナンバー、聴いていてハッピーになる曲です。新たなライブ定番曲になること間違いなし、テゴマス時代から続く増田貴久の美声も活きています。2曲とも親しみやすくベテランならではの実力も感じさせる作品で、ファン以外にも広く知られるべき楽曲ではないでしょうか。そんな気がします。

Ado「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」

 同人系アーティストからの楽曲提供が多い彼女ですが、「新時代」をはじめとするウタ名義の楽曲は実績のあるクリエイター中心となっています。「新時代」を提供したのは中田ヤスタカ、Perfumeやきゃりーぱみゅぱみゅ以外のコラボも実は多いです。過去にはKizuna AIへの「AIAIAI」提供もありました。

 中田さんのプロデュース視点で考えると、Adoさんは全く別種類の声質・歌唱法。メロディーや歌詞はよく聴くと従来の中田さん路線そのままですが(特にサビ前導入部とサビの締めで顕著)、歌い手が変わるとやはり新鮮に聴こえるものです。Adoさん視点だと一つひとつの言葉に重さがない分、より伸び伸びと歌っているように聴こえます。ふと思い返すと、中田ヤスタカプロデュース作品でこれだけ歌い上げる曲はあまり多くありません。そういう意味では、従来の個性がコラボした結果双方に新しい魅力が産まれたという理想のコラボレーションになったと言えそうです。

幾田りら「レンズ」

 ドラマ主題歌、YOASOBIだと必然的にAyaseさんの作品になりますが、この曲は幾田さん本人が作詞作曲を担当しています。細やかな歌唱表現が耳に残るバラードは、生まれ持った声質も相まって大変切ない作品に仕上がっています。ドラマ主題歌として起用されるとしたら、非常にしっくりくる内容ではないかと感じました。

山下達郎「LOVE’S ON FIRE」

 「さよなら夏の日」がリリース30周年記念でMV制作されるというトピックスは昨年ありましたが、新曲がYouTubeでフル公開されるのは今作が初めてです。当面まだサブスク公開しないと表明していますが、MVのリリース時公開解禁となると…。案外1年もしないうちに考えを変える可能性もあるような気はするのです。

 達郎さんが作る曲の凄さは、いつどの時代に聴いても新しさを感じる先進性。1980年の「RIDE ON TIME」は当時から見て斬新なサウンドであることは当然ですが、2022年に聴いても古さを感じないことに凄さがあります。果たして今回のアルバムリード「LOVE’S ON FIRE」も打ち込み音が目立つアレンジ、一聴した印象は流行りのJ-POPより最近の洋楽の方が余程近いです。映像がそう思わせているだけかもしれませんが、そこに古さは存在しません。1980年代~1990年代に達郎さんが作った曲を振り返っても、明らかに音の使い方を意識的にアップデートさせていることがよく分かります。

 ただ達郎さんが歌うとやっぱり達郎さんのサウンド、そこだけは長年のエバーグリーン性を感じさせます。1953年生まれなので今年69歳、過去のアーティストと比較してもこの年齢でこのアレンジの曲を発表できるのは驚異的です。そんなアーティストが先進的なフォーマットに抗っているように感じるのも、また面白い部分でもありますが…。

Snow Man「オレンジkiss」

 7月13日シングルリリースなのでまだ先ですが、MVは先週の水曜日にアップされています。既に再生数は500万突破、1000万達成もほぼ確実という状況です。

 映画『モエカレはオレンジ色』主題歌、そのため今作は女性をキュンキュンさせるような王道ミディアムテンポの楽曲になっています。ベタな書き方をするとキンプリが歌いそうな曲、そのキンプリは先週レビューした「ichiban」で全く違う路線を見せました。「D.D.」や「ブラザービート」とは別のイメージですが、こういうSnow Manも悪くはありません。

 なおYouTube公開のMVは3分台のshort Editですが、本日アップされたDance Practice動画は4分23秒の(おそらくは)フルコーラス構成になっています。ダンスが特に得意なメンバーが集まるグループであることも含めて考えると、最終的な再生数はこちらの方が多くなるかもしれません。

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