紅白歌合戦・野口五郎の軌跡~データ&エピソード編~

 今回は新御三家の一角・野口五郎の紅白歌合戦を振り返ります。

 ここ最近は桑田佳祐の「時代遅れのRock’n’Roll Band」に参加、さらに今年は岩崎宏美とのジョイントコンサートを全国で開催。精力的に活動する五郎さんが紅白歌合戦に初出場したのは今からもう50年前、まだ16歳の若さでした。

 1972年から1983年にかけて計11回出場、彼の美しい歌声は昭和の紅白歌合戦に欠かせない顔でした。今回はそんな五郎さんの紅白歌合戦を振り返ります。本日はデータ編&エピソード編、次回記事で一気に11回分のステージ&応援について触れていく予定です。

野口五郎の紅白歌合戦エピソード

デビュー2年目・16歳10ヶ月の若さで初出場

 1971年5月の「博多みれん」は演歌ですが、8月発売の「青いリンゴ」で早々にアイドル路線へ転向。

 この曲のヒットをきっかけに若い女性ファンを一気に獲得、レコードもコンスタントにヒットします。それが評価されて紅白初出場を果たしたのは16歳10ヶ月、まだ高校生でした。これは白組歌手だと河野ヨシユキの11歳10ヶ月に次ぐ当時の最年少記録です。

 参考までに、高校生もしくはそれ以下の年齢で紅白初出場を果たしたソロ男性歌手は以下の通りです。第33回のシブがき隊以降はグループでのデビューが多くなったので、地味にこちらもなかなか更新されない大記録と言って良いかもしれません(なお鈴木福芦田愛菜とのデュエットなので表から除外しています)。

歌手名 生年月日 年齢 初出場 備考
河野ヨシユキ 1943/2/25 11歳10ヶ月 第5回
(1954年)
橋 幸夫 1943/5/3 17歳7ヶ月 第11回
(1960年)
デビュー曲で初出場
松島アキラ 1944/7/5 18歳5ヶ月 第13回
(1962年)
田辺靖雄 1945/4/5 18歳8ヶ月 第14回
(1963年)
西郷輝彦 1947/2/5 17歳10ヶ月 第15回
(1964年)
デビュー年に初出場
三田 明 1947/6/14 17歳6ヶ月 第15回
(1964年)
山田太郎 1948/8/24 17歳4ヶ月 第16回
(1965年)
野村真樹 1952/11/13 18歳1ヶ月 第21回
(1970年)
デビュー曲で初出場
野口五郎 1956/2/23 16歳10ヶ月 第23回
(1972年)
郷ひろみ 1955/10/18 18歳2ヶ月 第24回
(1973年)
近藤真彦 1964/7/19 17歳5ヶ月 第32回
(1981年)
えなりかずき 1984/11/9 17歳1ヶ月 第52回
(2001年)

計9回・新御三家が紅白歌合戦で勢揃い

 第24回(1973年)に郷ひろみ、さらに第25回(1974年)で西城秀樹が初出場。同い年の3人は新御三家として親しまれましたが、第25回~第32回・第34回と計9回紅白歌合戦で共演しました。これは元祖御三家、橋幸夫舟木一夫西郷輝彦の8回(第15回~第22回)より多いです。

 第25回でヒデキと一緒に郷さんの後ろでダンス、第32回で3人一緒にデュエットショー参加など紅白でも一緒に出演するシーンも多いです。これについては、ステージ編であらためて触れていく予定にしています。

女性ファンの熱狂的な声援

 「めぐり逢う青春」で初出場した時は、登場からラストまで女性ファンの叫び声が終始響きました。続く「君が美しすぎて」「甘い生活」でも、ファンの叫びがよく聴こえます。

 ジャニーズ系など、アイドル性の強い男性アーティストは現在に至るまで女性ファンの声援が大きいです。もしくするとその元祖的存在は、五郎さんなのかもしれません。

紅白ではギターでなくハーモニカを演奏

 ギタリストとしても名高い五郎さんですが、紅白歌合戦でギターを弾いたのは第30回(1979年)における加山雄三「旅人よ」のバック演奏のみで、自身のステージでは1度もありません。

 ただハーモニカを演奏する場面はありました。第32回(1981年)の「裏切り小僧」では、五郎さんの演奏に合わせて、多くの出場歌手が座ったまま舞台裏から歌手席が入場する演出が施されています。これについてはステージ編で、もう少し詳しく書く予定です。

野口五郎の紅白データ~11回分のまとめ

出場回
年齢
歌唱曲 作詞者
作曲者
発売日 曲順 主なデータ 主な受賞 他の発売曲
第23回
(1972年)
16歳
めぐり逢う青春 大日方俊子
馬飼野俊一
1972/9/1 白組10番手/23組中 1972年オリコン年間90位 ・悲しみの日曜日
・雨に消えた恋
第24回
(1973年)
17歳
君が美しすぎて 千家和也
馬飼野俊一
1973/7/1 白組3番手/22組中 1973年オリコン年間33位 ・オレンジの雨
・愛さずにいられない
第25回
(1974年)
18歳
甘い生活 山上路夫
筒美京平
1974/10/20 白組8番手/25組中 1974年オリコン年間70位、翌年同34位 ・日本レコード大賞作曲賞 ・こころの叫び
・告白
・愛ふたたび
第26回
(1975年)
19歳
私鉄沿線 山上路夫
佐藤 寛
1975/1/21 白組16番手/24組中 1975年オリコン年間14位 ・日本有線大賞グランプリ
・日本レコード大賞歌唱賞
・日本歌謡大賞放送音楽賞
・哀しみの終るとき
・夕立ちのあとで
・美しい愛のかけら
第27回
(1976年)
20歳
針葉樹 麻生香太郎
筒美京平
1976/9/10 トップバッター 1976年オリコン年間28位 ・日本レコード大賞歌唱賞
・日本歌謡大賞放送音楽賞
・女友達
・きらめき
第28回
(1977年)
21歳
風の駅 喜多條忠
筒美京平
1977/10/25 白組6番手/24組中 1978年オリコン年間97位 ・日本歌謡大賞放送音楽賞 ・むさし野詩人
・沈黙
・季節風
第29回
(1978年)
22歳
グッド・ラック 山川啓介
筒美京平
1978/9/1 白組4番手/24組中 1978年オリコン年間70位 ・日本レコード大賞金賞
・日本歌謡大賞放送音楽賞
・愛よ甦れ
・泣き上手
・送春曲
第30回
(1979年)
23歳
青春の一冊 伊藤アキラ
佐藤 寛
1979/9/15 白組5番手/23組中 1979年オリコン年間196位 ・日本歌謡大賞放送音楽賞 ・真夏の夜の夢
・女になって出直せよ
第31回
(1980年)
24歳
コーラス・ライン 麻生香太郎
東海林修
1980/5/1 白組3番手/23組中 1980年オリコン年間152位 ・愛の証明
・さすらい気分
・愁雷
第32回
(1981年)
25歳
裏切り小僧 伊藤アキラ
宇崎竜童
1981/8/21 白組17番手/22組中 1981年オリコン年間309位 ・序曲・愛
・氷をゆらす人
・ダイヤル177
第34回
(1983年)
27歳
19:00の街 伊藤 薫
筒美京平
1983/1/25 白組2番手/21組中 1983年オリコン年間71位 ・東京音楽祭、フリオ・イグレシアス賞 ・過ぎ去れば夢は優しい
・今夜はつれづれ

 

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